ウクライナ(Ukraine)

 
ウクライナ(Ukraine)

ウクライナへの渡航に備えた予防接種

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項目 説明
地域概要 ウクライナは、旧ソ連欧州部の南に位置し、国土の中央をドニプロ川が南北に流れ黒海に注いでいます。 面積は60万3,700平方キロメートルで日本の約1.6倍の広さです。
国土の半分は平野で、北部にはポレ‐シエ湿地、東部にはドネツク丘陵,西部にカルパチア山脈から続く高地があります。
医療情報 在留邦人の多くは、私立の医療機関を利用しており、キーウ、リヴィウ、オデーサ等には英語で受診可能な外国人向けの外来クリニックがあります。医療レベルは、日常の外来診療では大きな問題はありませんが、命に関わる緊急の場合を除き、外来手術やがん検診などは日本や欧州の病院を利用することをおすすめします。お薬は市内の薬局で、鎮痛解熱薬・高血圧や高脂血症などの薬は処方箋なしで購入が可能です。しかし、偽薬も1割程度出回っているため、購入には注意が必要です。
気候 北部及び西部は冷帯湿潤大陸性気候で比較的降水量が多く、南東部は乾燥したステップ気候、クリミア半島は比較的温暖な温暖湿潤気候となっています。
首都キーウは大陸性の気候で、数日間で最高気温が10℃以上も上下することがあり、体調管理に注意が必要です。
宗教 ウクライナ正教会、ウクライナ東方典礼カトリック教会、ユダヤ教,イスラム教、カトリック、
文化 国民の多くは文化・芸術への関心が高く、キエフ市の国立オペラ劇場をはじめ、主要な都市には劇場、交響楽団が多く存在します。また、民族音楽や宗教音楽の伝統があり、一般の人たちの間でも広く親しまれています。
気をつけたい感染症 麻疹、風疹、水痘、花粉症、ライム病、ダニ媒介性脳炎、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ウエストナイル熱、食中毒、ボツリヌス中毒、A型肝炎
推奨する予防接種 A型肝炎、B型肝炎、破傷風、麻疹、風疹のワクチン、水痘、狂犬病、腸チフス、ダニ媒介性脳炎
成人の方は、A型肝炎、B型肝炎、破傷風に加えて、接種が2回済んでいない場合、麻疹と風疹のワクチン接種をお勧めします。水痘も散発していますので、過去の感染歴やワクチン接種歴を踏まえて医師に相談して下さい。長期滞在者、アウトドアがお好きな方や地方滞在者、または東欧、旧ソ連諸国、中東へ出かける機会が多い方は、狂犬病、腸チフス、ダニ媒介性脳炎も接種しておくと無難です。

小児の方は、A型肝炎を含めて日本の定期予防接種スケジュールに従って接種を受けておいてください。ウクライナではワクチンの供給が不安定で、スケジュールどおりに小児定期接種を受けられない可能性がございますので、小さなお子様は渡航する前にMRワクチンと水痘ワクチンを済ませておくと無難です。

気をつけたい病気

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病名 説明
A型肝炎 汚染された食品や水などを介した経口的な感染が主な感染経路です。4週間ほどの潜伏期間の後に発熱、全身、倦怠感、食欲不振で、黄疸、肝腫大などの肝症状が出てきます。毎年10月から1月にかけて発症者が増えます。
破傷風 破傷風の菌は世界中の土壌の至るところに存在し、怪我をすると傷口から侵入し感染します。感染すると潜伏期間の後に口が開きにくい、首筋が張る、体が痛い等の症状が出て、体のしびれや痛みが体中に広がり、痙攣を起こしたり呼吸困難になったり死に至る可能性があります。
怪我を完全に避けることは難しいため、事前の予防接種による予防が有効です。
水痘 「みずぼうそう」のことで、水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスによって引き起こされる発疹性の病気です。空気感染、飛沫感染、接触感染により広がり2週間程度の潜伏期間の後、発熱し発疹が紅斑から始まり、水疱、膿疱を経て痂皮化して治癒すると言われています。水痘は主に小児の病気で、9歳以下での発症が90%以上を占めると言われていますが、大人の感染も珍しくありません。国内で用いられているワクチンは現状乾燥弱毒生水痘ワクチンで1回の接種により重症の水痘をほぼ100%予防でき、2回の接種以降、軽症の水痘も含めてその発症を予防できると考えられています。
麻しん(はしか) 麻しん(はしか)は世界中に存在する感染症です。 麻しんウイルスは非常に感染力が強く、空気感染や咳、くしゃみなどの飛沫感染、接触感染をします。マスクや手洗いだけでは予防することはできないと言われており、10~12日の潜伏期間の後に発熱、咳、鼻汁、目の充血などの症状が出ます。肺炎や脳炎になる可能性もあります。 感染力が高い為、今までに2回の定期予防接種を受けて麻しんに対する免疫をつけていることが重要です。
ライム病 ライム病はライム病ボレリアという病原体を保有するマダニより媒介される感染症です。数日~2週間後の潜伏期間の後に刺された部分に遊走性紅斑という赤い皮疹が出現し、次第に周辺に拡大し、5~20cmほどの大きさになります。倦怠感や、発熱、筋肉痛、関節痛などを伴うこともあります。キーウ在住の外国人からも発生があり、診断・治療が遅れると後遺症が残る危険な感染症です。
ダニ媒介性脳炎 カルパチア地方やクリミア地方等ではダニ媒介性脳炎の危険があります。ダニに噛まれるのを避けるため、腕、脚を露出した格好は避け、肌の露出は避けましょう。 屋外活動をされる方はダニ脳炎ワクチンの接種をおすすめします。
クリミア・コンゴ出血熱ウイルス 出血熱を特徴とする感染症です。ヒトが感染することは非常にまれですが、ヒトはウイルスを有するマダニに咬まれたり、ヒツジなどの家畜を解体する作業中に血液に触れたりした場合に感染します。また、患者体液との直接的接触でも感染することがあります。
ウエストナイル熱 主に蚊を介して人に感染し、通常は人から人への感染はありません。 感染した人の約8割が不顕性感染で、発症した場合は軽症だと発熱、筋肉痛、発疹、リンパ腫症などが見られるが、短期間(1週間程度)で回復します。重症の場合、頭痛、高熱、方向感覚の欠如、麻痺、昏睡、痙攣などの脊髄炎・脳炎症状がみられます。過去10年間に100人ほどが感染しています。
食中毒・ボツリヌス中毒 気温の高い時期を中心にサルモネラ菌などによる食中毒が散発し、手作りの瓶詰や自家製ソーセージによるボツリヌス中毒も通年見られます。