カンボジア(Cambodia)

 
カンボジア(Cambodia)


カンボジアへの渡航に備えた予防接種

表は横にスクロールします

項目 説明
地域概要 カンボジアは東南アジアのインドシナ半島南部に位置する国です。面積は18万km2で日本の約半分となっており、人口は1500万人ほどです。
国民の多くが仏教徒ですが、かつてのクメール朝時代に栄えた有名なヒンドゥー寺院が数多くあり、特にシェムリアップ市にある世界遺産のアンコールワットが特に有名です。 国の真ん中をメコン川が北はラオスから南はベトナムへと流れています。このメコン川がカンボジアの土地に豊かな資源をもたらしています。
医療情報 一般的な衛生事情は日本に比べて劣悪です。医療水準も決して高くはありません。プノンペンの私立病院やクリニックでは日本と同程度の医療を受けることも可能ですが、高度な医療が必要になった場合や一部の診療科の治療は、バンコクやシンガポールで受けざるを得なくなることもあります。また、私立病院では支払保証の確認が行われますので、あらかじめ十分な額の海外旅行傷害保険に加入しておく必要があります。
プノンペンとシェムリアップでは日本人医師の診療を受けることも可能ですが、それ以外の地域に外国人向けの医療機関はほとんどありません。医師は英語を解しますが、看護師や技師など他の職員との意思疎通は通常クメール語になります。
気候 カンボジアは大きく雨季(6月~11月)と乾季(12月~5月)に分かれ、年間を通じて気温が高い熱帯性気候です。乾季の12月から3月中旬は湿度が低く、比較的過ごしやすくなりますが、3月後半から5月にかけては暑さが厳しくなります。
宗教 仏教、イスラム教など
文化 アンコールワットを中心に栄えていたクメール文化が今でも受け継がれています。『アプサラダンス』が有名で、結婚式やお祭りの際にはみんなで踊ることもあります。主食はお米でおかずと一緒に食べるスタイルなので、日本の食事とも親和性が高いです。

気をつけたい感染症 アメーバ赤痢、A型肝炎、コレラ、デング熱、日本脳炎、狂犬病
推奨する予防接種 推奨の度合い:◎:強く、○:できれば、△:長期滞在者・医療過疎地旅行時 成人:◎破傷風、◎A型肝炎、◎B型肝炎、○日本脳炎、○腸チフス、○MR(麻疹・風疹;30~40歳代で免疫の低下した人が多いため)、△狂犬病 小児:日本の定期接種 ◎4種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ)、◎MR(麻疹・風疹)、◎日本脳炎、◎BCG、◎B型肝炎、◎肺炎球菌、◎Hib、◎水痘 日本の任意接種 ◎A型肝炎、◎おたふくかぜ、◎ロタウイルス、○腸チフス、○季節性インフルエンザ、△狂犬病
ベトナムでは上下水道の不備などが目立ち、水質も良くありません。カンボジアではプノンペン市内の上水道の浄化施設は改善されましたが、配管や施設の浄化槽の管理が十分とはいえません。飲用には市販のミネラルウォーターをお勧めします。 黄熱流行国から入国する際は、黄熱の国際予防接種証明書が必要です。

気をつけたい病気

表は横にスクロールします

病名 説明
急性胃腸炎 細菌やウイルスに汚染された飲食物を口にすることで感染し、腹痛や下痢、発熱、嘔吐などの症状が見られます。原因により発症するまでの時間(数時間から数日)や症状は異なります。下痢がひどい場合は、脱水にならないよう水やお茶、スポーツドリンクなどで水分補給をすることが大切です。数日で回復することが多いですが、症状が重い場合や血便、発熱が認められる場合は医療機関を受診して下さい。飲食は衛生的な店を選び、生ものは避け、加熱されたものを熱いうちに食べるようにして下さい。
デング熱 蚊(ネッタイシマカ;日中に活動する)に刺されることでデングウイルスに感染します。市街地でも多く発生しており、蚊が発生しやすい雨季に患者が増加します。通常3~7日の潜伏期間後に突然の高熱で発症し、頭痛や関節痛、筋肉痛などの症状を伴います。現時点でお勧めできる予防接種はありません。肌の露出を避け、虫除けスプレーや蚊取り線香を使うなど蚊にさされないようにすることが唯一の予防策です。特別な治療法はなく、症状に合わせた対症療法で経過をみます。時に重症化(デング出血熱)し、生命にかかわることもあります。原因のわからない高熱が認められた場合は医療機関を受診して下さい。
寄生虫症 アメーバ赤痢やジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)が発生しています。これらの寄生虫が混入している飲食物を口にすることで感染します。発熱することは少なく、血便や下痢、腹痛、腹部不快感を生じますが、下痢や軟便だけが長期間続くこともあります。疑わしい場合は便の検査で寄生虫の有無や種類を確認して下さい。治療は必要に応じて駆虫薬を内服します。
マラリア 蚊(ハマダラカ;夜間に活動する)に刺されることでマラリア原虫に感染します。主として森林地帯や国境周辺部で発生しており、プノンペンやシェムリアップ市内で感染することはまずありません。多発する地域に滞在しない限り、予防薬の服用は不要です。潜伏期間は1~2週間(ときに1ヶ月程度)で、突然の高熱で発症します。血液検査で診断することができ、治療薬の内服(ときに点滴)が必要です。治療をせずに放置すると命に関わることもあるため、流行地滞在後に高熱が出た場合は必ず医療機関を受診して下さい。

チクングニア熱 チクングニアウイルスを保有する蚊(ネッタイシマカ;日中に活動する)に刺されることで感染します。通常3~7日の潜伏期間後に高熱で発症し、関節痛や頭痛(眼の奥)、発疹などの症状を伴います。予防接種はありません。特別な治療もありませんが、関節痛が月単位で続くこともあるため、疑わしい症状が認められた場合は医療機関を受診して下さい。