イラン(Iran)

 
イラン(Iran)

イランへの渡航に備えた予防接種

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項目 説明
地域概要 イランは、日本の4.4倍(約165万平方km)の広大な国土に、7,000万人以上の人々が暮らす地域大国です。
ペルシャといえば、「砂漠」に「ラクダ」のイメージが強いかもしれませんが、首都テヘラン(Tehran)などイラン北西部はとても緑豊かな高原が広がっており、中東最高峰のダマーヴァンド山(標高5,604m)をはじめとする4,000m級の山々も連なっています。冬には国内外からスキーヤーが集まるスキー場もあります。
医療情報 テヘランなどの大都市の医療水準は比較的高く、CTやMRI等の高度医療機器を備えた病院も多くあります。しかし、各診療科の連携が不十分で適切な治療が行われない例もあり、プライバシー等に関する習慣の違いや言葉の問題等もあることから、詳しい検査・手術・入院等が必要な場合は、先進国の医療機関を受診されることをお勧めします。
出産についても、およそ半数が帝王切開で行われていることや、赤ちゃんに異常があった場合のケアに不安があることから、本邦等の先進国での出産が安全です。
気候 首都テヘランは、標高1,000~1,800メートルの高地に位置し、年間を通じて乾燥し寒暖の差が大きい内陸性気候です。夏季には気温が40℃を超える一方、冬季には市街でも降雪があります。年間降水量は約200ミリと少なく、そのほとんどが12月から3月にかけての冬季に集中します。
宗教 イスラム教、キリスト教、ユダヤ教、ゾロアスター教など
文化 多くの民族や多くの言語が使われています。生活はイスラム教と強く結びついています。古くからシルクロード中継地点であったため、文化も多様です。
気をつけたい感染症 細菌性赤痢、A型肝炎、腸チフス、サルモネラ、カンピロバクター感染症、コレラ、アメーバ赤痢、
ジアルジア症、ポリオ、クリミア・コンゴ出血熱
推奨する予防接種 A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病、ポリオ
テヘランの水道水は、無菌で良質と言われていますが、日本と比べてカルシウムやマグネシウムを多く含む硬水で、下痢を起こすこともあるため注意が必要です。特に妊婦や乳幼児には、市販のミネラルウォーターの利用をお勧めします。
また、テヘラン以外の水道水は飲用に適さないものもあります。

自動車の排気ガスなどの影響で、テヘランなどの大都市では大気汚染が深刻な問題となっており、特に冬場に悪化して学校が休校になることもあります。

気をつけたい病気

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病名 説明
大気汚染の影響、
持病をお持ちの方
大気汚染が常態化しており、気管支喘息などの呼吸器疾患、アレルギー性疾患、高血圧症や心臓病などの循環器疾患が悪化したり、新たに発症したりする可能性があります。持病がある方は、渡航に際し主治医によくご相談ください。また、日本と同じ医薬品を購入することは困難ですので、常用薬は予め十分な量を日本からお持ちください。
交通事故 毎年、交通事故による死者は約2万人(日本約3,200人)、人口10万人あたりでは約25人(日本 約2.5 人)に上るなど、イランの交通事情はよくありません
マラリア 発生地域は、イランの南東地域のシスタン・バルチスタン州および隣接するホルモズガン州とケルマーン州の農村部に限られていて、2018年時点ではパキスタンなどの隣国からの輸入症例が601例、輸入症例からハマダラカを媒介して偶然に感染した導入症例が20例のみになります。テヘラン、イスファハン、シーラーズなどの主な観光地では、マラリア予防薬は必要ありません。
エイズ 宗教戒律の厳格なイランにおいても、従来の麻薬中毒患者の注射器等の再使用による感染に加え、性行為によるHIV / AIDS(エイズ)感染が増える傾向にあります。新規感染者では、女性の割合が30%強まで増えており、その大半は性的感染が原因になっています。厚生省の報告によれば、2014年までに28,663人が確認されていた累計患者数は、2019年には40,735人と増加傾向にあります。さらに、2019年の現感染者数は21,635人ですが、未診断の者も含めると現感染者数は約6万人と見積もられています。
コレラ 夏季を中心に発生があり、2005年にイラン国内で約1,100人が発症、11人が死亡し、テヘラン地域でも217人の患者が確認されました。2011年に1,000人超、2013年にも約250人の患者の発生がありましたが、それ以外の年は数十人程度で推移しています。
中東呼吸器症候群(MERS) アラビア半島諸国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦など)を中心に発生が報告されており、2014年から2015年にかけてイラン国内で6人の患者が確認されました。ラクダとの接触や、未殺菌のラクダの乳など加熱不十分な食品を避けてください。
皮膚リーシュマニア症 パキスタン国境に近い地方やペルシャ湾岸を中心に、テヘランを含むイラン全土において発生があります。
サシチョウバエが媒介し、感染のあるイヌとの接触や咬傷によってもヒトに感染します。

クリミア・コンゴ出血熱 家畜に付くダニが媒介し、初夏から秋にかけて、イスファハン、ホラサーン・ラザヴィ、シスタン・バルチスタン各州を中心に26の州において散発的に報告されています。
狂犬病 毎年、数名の死者が報告されています。万一、狂犬病にかかっているおそれのある動物に咬まれた場合には、創部の十分な洗浄と速やかな狂犬病ワクチンの接種が必要になります。
レプトスピラ症 ネズミの尿等から感染する病気で、カスピ海沿岸地域で発生が報告されています。
腸チフスやA型肝炎等の経口感染症 夏季を中心にイラン全土で報告されています。