腹痛が続く、なぜ?原因と対処法を解説

  • クリニックブログ
2025/01/30

腹痛が続く、なぜ?原因と対処法を解説

 

 

腹痛は誰もが経験する身近な症状ですが、その痛みが長引くと日常生活に支障をきたし、不安な気持ちになることがあります。腹痛が続く原因は、単なる胃腸の不調から重大な疾患までさまざまです。
 
この記事では、腹痛が続く原因とその対処法について、詳しく解説します。腹痛のタイプや性質、考えられる疾患、日常生活での対策、そして医療機関を受診すべきタイミングまで、体系的に理解することができるはずです。この情報を参考に、自身の症状を適切に判断し、必要な対策を取れるようになりましょう。

 
 

腹痛の基礎知識

腹痛を理解するためには、その性質や特徴を知ることが重要です。腹痛にはさまざまなタイプがあり、痛みの場所や性質によって原因が異なることがあります。以下の3つの観点から、腹痛について詳しく見ていきましょう。
 

  • ●腹痛のタイプと部位
  • ●痛みの性質による分類
  • ●急性痛と慢性痛の違い

 

腹痛のタイプと部位

腹痛の部位は、その原因を特定する重要な手がかりです。上腹部(みぞおち)の痛みは、主に食道・胃・十二指腸の疾患が関係しています。右上腹部の痛みは胆のうや肝臓の疾患、左下腹部の痛みは大腸の疾患が疑われます。
 
 

 下腹部の痛みについてはこちら

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また、臍(へそ)周辺の痛みは小腸の疾患や虫垂炎の初期症状として現れることがあります。このように、痛みの場所によって考えられる疾患が異なるため、痛みの部位を正確に把握することが重要です。
 

痛みの性質による分類

腹痛の性質は大きく分けて、持続的な痛み、周期的な痛み、突発的な痛みの3つに分類されます。持続的な痛みは炎症性の疾患に多く見られ、周期的な痛みは腸の動きに関連することが多いです。
 
突発的な痛みは、結石や穿孔などの緊急性の高い疾患の可能性があります。痛みに波があるか、常に同じ強さで続くか、どのような動作で痛みが変化するかなど、痛みの特徴を把握することで、原因の特定に役立ちます。
 

急性痛と慢性痛の違い

急性の腹痛は突然発症し、比較的短期間で改善することが多い一方、慢性の腹痛は1週間以上続く持続的な痛みを指します。急性痛は食中毒や胃腸炎などの一時的な原因によることが多く、適切な治療で改善します。
 
一方、慢性痛は過敏性腸症候群や炎症性腸疾患など、長期的な治療が必要な疾患が原因となることが多いです。また、慢性痛は身体的な原因だけでなく、ストレスなどの心理的要因が関与することもあります。
 
 

腹痛が続く主な原因

腹痛が続く原因は多岐にわたり、消化器系の疾患から精神的なストレスまで、さまざまな要因が関係します。以下では、代表的な原因について詳しく解説します。
 

  • ●消化管の病気
  • ●ストレスと自律神経の影響
  • ●婦人科系疾患との関連性

 

消化管の病気

消化管の病気は腹痛が続く主要な原因の一つです。胃から大腸まで、消化管のどの部分に問題があるかによって症状や治療法が異なります。以下、代表的な疾患について解説します。
 

胃炎や胃潰瘍

胃炎や胃潰瘍は、みぞおちの痛みや胸やけを特徴とする消化器疾患です。主な症状として、食後の腹痛、胃の不快感、吐き気などが挙げられます。
 
原因としては、ストレス、不規則な食生活、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染などがあります。特に空腹時や夜間に痛みが強くなる傾向があり、食事をすると一時的に痛みが和らぐことがあります。
 

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群は、腸の運動や感覚に異常が生じる機能性疾患です。腹痛、腹部膨満感(ふくぶぼうまんかん)、便通異常(下痢や便秘)などの症状が特徴で、ストレスや食生活の乱れによって症状が悪化することがあります。
 
検査では器質的な異常が見られないにもかかわらず、これらの症状が慢性的に続きます。食事内容や生活習慣の改善、ストレス管理が重要な治療となるでしょう。
 

炎症性腸疾患

炎症性腸疾患には、潰瘍性大腸炎とクローン病が含まれます。これらの疾患では、腹痛に加えて下痢や血便などの症状が現れます。慢性的な経過をたどることが特徴で、症状の寛解と再燃を繰り返すことがあります。
 
原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因や環境因子が関与していると考えられています。
 

ストレスと自律神経の影響

 

 
ストレスは腹痛の重要な原因の一つです。ストレスにより自律神経のバランスが乱れると、消化管の運動や分泌機能に影響を与え、さまざまな症状を引き起こします。
 
特に、仕事や人間関係でのストレスが強い場合、腹痛が慢性化することがあります。また、自律神経の乱れは、胃腸の動きを悪くしたり、痛みに対する感受性を高めたりする可能性があります。
 
 

 自律神経失調症についてはこちら

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婦人科系疾患との関連性

女性の場合、腹痛が婦人科系疾患に起因することがあります。子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患では、下腹部を中心とした痛みが特徴的です。月経周期に伴って痛みが変化したり、性交時痛みを伴ったりすることもあります。
 
また、卵巣嚢腫や骨盤内炎症性疾患なども、持続的な腹痛の原因となることがあります。これらの症状がある場合は、婦人科の受診も検討する必要があるでしょう。
 
 

日常生活での対処法

腹痛が続く場合、医療機関への受診と並行して、日常生活での適切な対処も重要です。以下では、症状の緩和や予防に効果的な方法を説明します。
 

  • ●食事の改善策
  • ●ストレス軽減対策
  • ●生活リズムの整え方

 

食事の改善策

食事は腹痛の改善に大きく影響します。まず、規則正しい食事時間を守ることが基本です。早食いを避け、よく噛んで食べることで消化器への負担を減らすことができます。また、以下の点に注意を払うことが重要です。
 

  • ●消化に悪い食べ物(脂っこい食事、刺激物)を控える
  • ●適切な量を守り、食べ過ぎを避ける
  • ●十分な食物繊維を摂取する
  • ●適温の食事を心がける
  • ●水分は常温のものを少しずつ摂取する

 

ストレス軽減対策

ストレスによる腹痛の緩和には、具体的なストレス管理が必要です。特に効果的な方法として以下が挙げられます。
 

  • ●深呼吸やリラックス法を定期的に実施する
  • ●軽い運動やストレッチを日課に取り入れる
  • ●十分な休息時間を確保する
  • ●趣味や楽しみの時間を持つ
  • ●必要に応じて専門家に相談する

 
これらの方法は、自律神経のバランスを整え、腹痛の緩和に効果があります。
 

生活リズムの整え方

規則正しい生活リズムは、腹痛の予防と改善に重要な役割を果たします。以下のポイントを意識して生活習慣を整えましょう。
 

  • ●決まった時間に起床・就寝する
  • ●食事は一日三食、規則正しく取る
  • ●適度な運動を定期的に行う
  • ●十分な睡眠時間を確保する
  • ●休息と活動のバランスを取る

 
また、生活リズムを整える際は、急激な変更を避け、徐々に改善していくことが持続的な習慣づけのコツとなります。
 
 

自己管理と予防策

腹痛の予防と管理には、継続的な取り組みが重要です。自分の体調の変化に気づき、適切に対応することで、腹痛の発症や悪化を防ぐことができます。以下、具体的な管理方法と予防策について説明します。
 

  • ●継続的な体調管理
  • ●生活習慣の見直し
  • ●予防のための習慣化

 

継続的な体調管理

効果的な体調管理には、日々の観察と記録が欠かせません。特に以下の点に注意を払いましょう。
 

  • ●食事内容と時間の記録をつける
  • ●排便の状態と頻度を観察する
  • ●腹痛の発生時期や強さをメモする
  • ●睡眠時間と質を確認する
  • ●ストレス要因と体調の関連を把握する

 
これらの情報は、医療機関を受診する際にも有用な情報となります。
 

生活習慣の見直し

健康的な生活習慣は腹痛の予防に重要です。以下のポイントを意識して生活習慣を見直しましょう。
 

  • ●適度な運動を定期的に行う
  • ●十分な睡眠時間を確保する
  • ●バランスの取れた食事を心がける
  • ●過度の飲酒や喫煙を控える
  • ●仕事やプライベートでの休息時間を確保する

 

予防のための習慣化

腹痛を予防するための習慣を身につけることが大切です。以下の行動を日常的に実践しましょう。
 

  • ●毎日決まった時間に食事を取る
  • ●食後すぐに横にならない
  • ●腹部を冷やさないよう注意する
  • ●定期的な運動を習慣化する
  • ●ストレス解消法を確立する

 
これらの習慣を無理なく続けることで、腹痛の予防効果が期待できます。
 
 

受診の判断基準

腹痛が続く場合、いつ医療機関を受診すべきか判断に迷うことがあります。ここでは、受診が必要な症状と、その緊急性について説明します。
 

  • ●緊急性の高い症状
  • ●慢性化する場合の対応

 

緊急性の高い症状

以下のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。特に複数の症状が重なる場合は、より慎重な対応が求められます。
 

激しい痛みが続く場合

急激に始まり持続する強い腹痛は、重大な疾患の可能性があります。以下のような場合は特に注意が必要です。
 

  • ●痛みが徐々に増強する
  • ●触れると痛みが強くなる
  • ●痛みに波があり、持続する
  • ●普段経験したことのない強さの痛み
  • ●痛みが背中や肩に放散する

 
このような症状がある場合は、腹膜炎や臓器の穿孔など、緊急性の高い疾患の可能性があります。
 

発熱や吐き気を伴う場合

腹痛に以下のような症状を伴う場合は、早急な受診が必要です。
 

  • ●38度以上の発熱が続く
  • ●繰り返す嘔吐
  • ●血便や黒色便
  • ●著しい食欲不振
  • ●急激な体重減少

 
これらの症状は感染症や炎症性疾患の可能性を示唆します。
 

慢性化する場合の対応

1週間以上続く腹痛や、繰り返し発生する腹痛がある場合は、以下の点に注意して対応する必要があります。
 

  • ●症状の経過と変化を記録する
  • ●食事内容や生活習慣との関連を観察する
  • ●市販薬での対応は短期的にとどめる
  • ●かかりつけ医に相談する
  • ●必要に応じて専門医を受診する

 
長引く症状を放置することで、病状が進行する可能性があるため、適切な時期での受診が重要です。
 
 

まとめ

腹痛が続く場合、その症状と原因を正しく理解し、適切な対応を取ることが重要です。腹痛にはさまざまなタイプがあり、消化器系の疾患から精神的なストレスまで、多岐にわたる原因が考えられます。日常生活では、食事の改善や生活リズムの整備、ストレス管理などの基本的な対策を実践することが大切です。
 
また、体調管理の継続と予防的な習慣づけも重要な要素となります。特に、症状の記録をつけることで、医療機関での適切な診断や治療に役立てることができます。ただし、強い痛みや発熱、吐き気などの危険信号がある場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。
 
腹痛への対応で最も重要なのは、自己判断に頼りすぎないことです。不安な症状がある場合は、早めに専門家に相談することをお勧めします。適切な診断と治療を受けることで、より効果的な症状の改善が期待できます。健康な生活を送るためにも、自身の体調の変化に敏感になり、必要に応じて医療機関を受診する判断力を養うことが大切です。
 
 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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