
季節の変わり目の体調不良、症状別に解説!対策と自律神経の関係も
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季節の変わり目の体調不良、症状別に解説!対策と自律神経の関係も
季節の変わり目に体調を崩しやすいと感じることはありませんか?寒暖差や気圧の変動が激しいこの時期は、自律神経が乱れやすく、頭痛や肩こり、イライラなどさまざまな体調不良を引き起こすことがあります。
本記事では、季節の変わり目に起こりやすい体調不良の原因や症状を詳しく解説するとともに、体調管理のための予防方法や対策を紹介します。バランスの良い生活習慣を整え、快適に季節を乗り切るためのポイントをぜひ参考にしてください。
季節の変わり目は寒暖差が大きい時期
季節の変わり目として特に注意が必要なのは、春先の3〜4月と秋口の9〜11月です。この時期は1日の気温差が激しく、朝晩は冷え込むものの日中は暖かいといった寒暖差が顕著になります。春には「三寒四温」と呼ばれる寒暖の繰り返しが見られ、3日間ほど寒い日が続いた後に4日間ほどの暖かい日が来るサイクルが特徴的です。
また、梅雨入り前の6〜7月も季節の変わり目にあたり、この時期は湿度の変化が大きくなります。近年では温暖化の影響で夏の猛暑が続いたり、秋が短くなったりと気候パターンそのものが変化しつつあるため、体調管理により一層の注意が必要です。
さらに、冷暖房が発達した現代社会では、室内外の温度差も大きな課題となっています。夏や冬でも、空調の効いた室内から外に出る際の温度差により、体に負担がかかりやすい状況が生まれています。このような人工的な環境による寒暖差も、季節を問わず体調不良を引き起こす要因となっているのです。
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季節の変わり目に体調不良になりやすい理由は?
季節の変わり目に体調を崩す原因は、主に気象変化と自律神経の乱れに大きく関係しています。
これらの要因が複雑に絡み合って、様々な不調を引き起こすのです。具体的な仕組みを見ていきましょう。
気圧や天候などの変動からの人体への影響
季節の変わり目には、気温の変化だけでなく気圧の変動も大きな影響を及ぼします。耳の奥にある内耳は気圧の変化を敏感に感知するセンサーの役割を果たしており、この情報を脳へと伝達します。特に春は低気圧と高気圧が頻繁に入れ替わる時期であり、内耳への負担が大きくなります。
また、気圧の低下などの情報を受け取った脳は、ストレス反応を引き起こし、交感神経を興奮状態にします。その結果として、心拍数の増加や血圧の上昇、慢性的な痛みの悪化など、さまざまな症状が現れることがあります。もともと人間の体は、環境からのストレスに対してある程度の耐性を持っていますが、現代の空調設備が整った環境での生活や不規則な生活リズムにより、その適応能力が低下していることも問題となっています。
季節の変わり目は自律神経が乱れやすい
自律神経は、体の機能を24時間休むことなくコントロールする重要な仕組みです。交感神経と副交感神経の2つがバランスを取りながら、心臓や腸、胃、血管などの働きを調整しています。しかし、この自律神経は私たちの意思でコントロールすることができず、わずかなストレスでもバランスを崩してしまいます。
季節の変わり目は、この自律神経が特に乱れやすい時期です。例えば、寒暖差に対応するために交感神経が優位な状態が続くと、体内のエネルギー消費が増加し、疲労感やだるさを感じやすくなります。さらに、気圧の変動による内耳からの刺激も加わることで、自律神経の乱れは一層顕著になります。その結果、頭痛やめまい、不眠といった様々な不調が引き起こされるのです。
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季節の変わり目に現れる体調不良の主な症状とは?
季節の変わり目の体調不良は、身体面と精神面の両方に症状が現れます。自律神経の乱れが原因となって、人それぞれ異なる不調があらわれることが特徴です。どのような症状に気を付ければよいのか、詳しく見ていきましょう。
頭痛、めまい、肩こりなどの体の不調が起こりやすい
季節の変わり目の体調不良でよく見られる症状として、頭痛やめまい、肩こりが挙げられます。これらの症状は「気象病」や「天気痛」と呼ばれ、気圧の変化に敏感な方に特に多く見られます。例えば、飛行機に乗った時に頭痛を感じやすい人は、気圧が急変する時期にも同様の症状を経験しやすい傾向があります。
その他にも、微熱や咳、吐き気、倦怠感、不眠、肌荒れ、鼻づまりなども気象病の症状として知られています。また、雨が降る前に関節や古傷が痛むという方もいます。これらの症状は、その人の体の弱い部分に現れやすいという特徴があり、症状の現れ方には個人差があります。
イライラやうつ状態などの心の不調も注意
季節の変わり目は心の健康にも影響を及ぼします。特に、新年度が始まる4月は、不慣れな仕事や新たな人間関係を築かなければならないストレスにより、不安やイライラが募りやすい時期です。また、新しい環境に慣れてきて緊張がほぐれると、反動で急にやる気が失せてしまうこともあります。いわゆる「五月病」と呼ばれる状態です。
秋から冬にかけては「季節性うつ」に注意が必要です。日照時間が少なくなることで、活性型ビタミンDの生成が減少し、抑うつ症状が現れやすくなります。一般的なうつ病と症状は似ていますが、季節性うつの特徴として、食欲が増進して特に炭水化物を多く摂取したくなったり、過眠傾向が現れたりすることが挙げられます。なお、発症数は少ないものの、夏季にも季節性うつは存在します。
季節の変わり目の体調不良を予防する方法
季節の変わり目の体調不良は、適切な対策を行うことで予防や軽減が可能です。自律神経のバランスを整え、寒暖差への対応力を高めるために、日常生活で実践できる方法をご紹介します。
これらの対策を無理のない範囲で取り入れることで、季節の変わり目を健やかに過ごすことができます。
バランスの取れた食事や水分を摂る
健康の基本は、栄養バランスの整った食事にあります。特に神経の働きを支えるビタミンB群は重要な栄養素で、その不足は自律神経の乱れを引き起こす原因となります。ビタミンB1は豚肉やうなぎ、玄米などに多く含まれており、体内でエネルギーに変換する際に必要不可欠な栄養素です。
また、心の健康を維持するセロトニンの生成には、ビタミンB6が重要な役割を果たします。毎日の食事で意識的に摂取することで、自律神経の安定につながります。朝食は1日のスタートとして特に重要で、寝ている間に下がった体温を上げ、自律神経を整える効果があるため、必ず摂るように心がけましょう。
早寝早起きを心がける
規則正しい睡眠は、自律神経の働きを高め、免疫力を向上させる重要な要素です。特に季節の変わり目は、早寝早起きの習慣を意識的に取り入れましょう。秋の夜長で読書や録画したドラマを見たりと、つい遅くまで起きてしまいがちですが、この時期こそ睡眠時間の確保が大切です。
十分な睡眠をとることで、体は疲労から回復し、自律神経のバランスを整えることができます。就寝前には副交感神経を優位にすることで、質の高い睡眠が得られます。そのためには、適度な運動や就寝2〜3時間前に入浴することがおすすめです。
太陽を浴びて運動する
約1日の周期で変動する体の機能のリズム(概日リズム)は、季節の変わり目にずれが生じやすく、そのずれによって自律神経のバランスが乱れることがあります。朝の太陽光を浴びることで、このリズムをリセットすることができます。朝起きたらまずはカーテンを開けて、太陽の光を積極的に取り入れましょう。
運動は朝のウォーキングが特におすすめです。早朝の太陽を浴びながら体を動かすことで、自律神経の働きを高め、気分の落ち込みも解消できます。ウォーキングや水泳など、ゆっくりとしたリズムで長時間続けられる運動が、自律神経のバランスを整えるのに効果的です。
姿勢を整える
食事、睡眠、運動と同じくらい重要なのが姿勢です。正しい姿勢を保つことは、特別な時間やコストを必要とせず、いつでもどこでも始められる効果的な対策方法です。良い姿勢を意識することで、血行が促進され、自律神経の働きも整います。
普段の生活の中で気づいたときに姿勢を正すことから始めてみましょう。デスクワークが多い方は、特に背筋を伸ばして座ることを意識してください。猫背や前かがみの姿勢は、首や肩に余計な負担をかけ、自律神経の乱れを助長する可能性があります。
呼吸を整えてリラックスする
呼吸の仕方を意識することで、自律神経のバランスを整えることができます。腹式呼吸と呼ばれる方法が特に効果的です。胸ではなく、お腹で息をするような感覚で、深くゆっくりとした呼吸を心がけましょう。
運動の時間が取れない場合でも、仕事や家事の合間に深呼吸を取り入れることで、心身をリラックスさせることができます。特に息を吐く際は、ゆっくりと時間をかけて吐き切ることを意識すると、より効果的です。
寒暖差を軽減する
季節の変わり目の体調不良を引き起こす大きな要因の一つが寒暖差です。気温にあわせて着るものをこまめに変えることで、体への負担を軽減できます。特に春や秋は、同じ1日でも気温の変化が激しいため、時間単位で衣服を調整する必要があります。
空調の効きすぎにも注意が必要です。室内外の温度差が大きくなりすぎないよう、エアコンの設定温度を適切に調整しましょう。また、扇風機などを併用することで、室内の温度むらを解消することもできます。
身体を温める
体を温めることは自律神経のバランスを整える基本的な対策です。暖かい飲み物やみそ汁、スープなどを積極的に取り入れ、内側から体を温めましょう。また、シャワーだけでなく、お風呂にゆっくりとつかることで、体がリラックスし、睡眠の質も向上します。
生姜などの体を温める効果のある食材を料理に取り入れるのも効果的です。日々の習慣として無理なく続けられる方法を見つけ、実践することが大切です。
自律神経を整える「内関」ツボを刺激する
自律神経の乱れに効果的なツボとして、手首の内側にある「内関」があります。このツボは、乗り物酔いや自律神経の乱れに効果があることで知られています。ふらつきやめまいなどの症状が現れそうな時に刺激すると、症状が和らぎます。
両手首の内側にある皺の真ん中から、肘方向に指3本分下がったあたりが内関のツボです。左右の腕にありますが、特に痛みやだるさを感じる方を重点的に刺激しましょう。つまようじの根元でツンツンと刺激を与えることも効果的です。
症状が続く場合は専門家の診察を受ける
自己対策を行っても症状が改善せず、日常生活に支障が出るほどつらい場合は、医療機関の受診を検討しましょう。季節の変わり目の不調と思っていても、実は別の病気が隠れている可能性もあります。
診療科の選び方に迷った場合は、かかりつけ医に相談するのがよいでしょう。必要に応じて適切な専門科を紹介してもらうことができます。早めの受診で適切な治療を受けることが、症状の改善につながります。
まとめ
季節の変わり目の体調不良は、気温や気圧の変化による自律神経の乱れが主な原因となって引き起こされます。このような不調を放置せず、適切な対策を講じることが重要です。規則正しい生活リズムの確立や、バランスの取れた食事、適度な運動など、できることから始めることで、季節の変わり目特有の不調を予防・改善することができます。また、症状が続く場合は早めに専門家に相談することで、より快適な毎日を送ることができるでしょう。自分の体調の変化に敏感になり、季節の変わり目を健やかに乗り越えていくことが大切です。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師