おならが臭い原因と対策|病気の可能性もチェック

  • クリニックブログ
2025/01/10

おならが臭い原因と対策|病気の可能性もチェック

「最近、おならの臭いが気になる……」そんな悩みを抱えていませんか?おならは体の健康状態を反映するサインのひとつです。腸内環境が乱れると、臭いが強くなるだけでなく、病気のリスクを示す場合もあります。
 
このコラムでは、おならが臭くなる原因や改善方法を解説し、腸内環境を整えるための具体的なアドバイスを提供します。読後には、日常生活で取り入れやすい解決策を参考に、健康的な毎日を目指せるようになるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。

 
 

おならが臭う理由は?

私たちの体から出るおならには様々な成分が含まれています。その構成や臭いの強さは、食生活や腸内環境によって大きく変化します。ここでは、おならの基本的な成分と、なぜ臭いが発生するのかについて詳しく解説していきます。
 

おならの大半の成分となる窒素は無臭

おならの99%以上は、窒素、酸素、水素、メタン、二酸化炭素といった無臭のガスで構成されています。これらのガスの多くは、食事の際に一緒に飲み込んだ空気に由来するもので、成人の場合、1日に0.5〜1.5リットル程度のガスが作られています。
 
このガスの約85%は血液中に吸収され、残りの約15%が1日約5〜20回に分けて肛門から排出されます。つまり、健康な状態のおならは基本的にほとんど無臭か、漬物のような軽いにおい程度なのです。
 

おならの臭いの元は硫化水素、二酸化硫黄など

おならの臭いの正体は、腸内細菌が食物を分解する際に発生する特殊なガスです。具体的には、硫化水素(卵の腐ったようなにおい)、二酸化硫黄(マッチをすったような刺激臭)、二硫化炭素(独特の不快臭)、インドールやスカトール(大便臭)などが含まれます。
 
これらの成分は全体の1%未満ですが、非常に強い臭いを持つため、わずかな量でもはっきりと感じることができます。特に、硫黄分の多い食べ物(玉ねぎ、ニラ、にんにくなど)や動物性タンパク質が多い食品(魚・肉・卵など)を過剰摂取すると、これらの臭い成分が増加します。
 

おならの頻度が増える理由は何か?

おならの頻度が増える主な原因は、腸内で発生するガスの量が増加することです。通常、腸内で発生したガスの約85%は血液中に吸収されますが、ガスの発生量が過剰になると血液での吸収が追いつかず、おならとして排出される量が増加します。
 
特に、サツマイモやバナナ、タマネギ、プルーン、アルコール、カフェインなどのガスを発生させやすい食品の摂取や、食物繊維の過剰摂取、ストレスや睡眠不足による自律神経の乱れが原因となることがあります。
 
また、便秘や過敏性腸症候群などの病気が影響している可能性もあるため、頻度の増加が気になる場合は、医師への相談をおすすめします。
 
 

おならが臭い原因は食生活の偏りや便秘など

おならの臭いが気になる場合、その原因は日常生活の中に潜んでいることが多いものです。食生活の偏りや生活習慣の乱れが主な要因となりますが、時には病気のサインであることもあります。ここでは、おならが臭くなる様々な原因について詳しく解説していきます。
 

生活習慣による影響

私たちの日常的な生活習慣は、おならの臭いに大きな影響を与えており、特に食事内容や腸内環境の状態が、おならの臭いを左右する重要な要素となっています。
 

過剰な動物性タンパク質の摂取

 

 
動物性タンパク質を過剰に摂取すると、体内のアンモニアの発生量が増加し、おならが臭くなります。特に注意が必要なのは、肉類の過剰摂取です。肉類には脂肪分も多く含まれており、タンパク質と脂肪の両方を大量に摂取することで、腸内の悪玉菌の増殖を促進してしまいます。
 
ただし、タンパク質は筋肉や臓器、皮膚など体の構築に必要不可欠な栄養素なので、完全に避けるのではなく、適度な量を心がけることが大切です。
 

硫黄を含む食品の摂取、例えばネギやニンニク

ニンニク、ニラ、ネギなどの食品には、硫黄化合物が多く含まれています。代表的な硫黄化合物である硫化アリルやアリシンは、体内で硫化水素を発生させる原因となります。
 
これらの食品を摂取すると、腸内で硫化水素が多く産生され、卵の腐ったような強い臭いのおならの原因となります。また玉ねぎやジャガイモ、サバ、サンマなどにも二酸化硫黄が含まれており、これらも同様におならの臭いを強める要因となります。
 

腸内環境の乱れがおならの原因に

腸内には約1,000種類、100兆個もの細菌が生息しており、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つのグループに分類されます。これらは通常バランスを保っていますが、不規則な食生活やストレスの影響で崩れることがあります。
 
特に悪玉菌が増加すると、腸内で腐敗物質が多く作られ、ガスの発生量が増加するとともに、臭いも強くなります。善玉菌は食物繊維やオリゴ糖を分解する際に無臭に近いガスを発生させますが、悪玉菌はタンパク質分解時に強い臭いのガスを発生させます。
 

便秘の影響

便秘になると、本来体外に排出されるべき便とガスが腸内に滞留します。その結果、溜まったガスの発酵が進み、悪臭の原因となります。また、便秘時は腸内に停滞したガスを排出するため、おならの回数も増加します。
 
さらに深刻な場合、腸内に滞留したガスが腸管から吸収され、血管を通じて肺から呼気として排出されることで、口臭がおならの臭いのようになることもあります。
 

おならの悪臭と共に腹痛や下痢などを伴う場合の胃腸の病気

おならの臭いが急に強くなったり、他の症状を伴ったりする場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。早期発見・治療のためにも、以下のような症状には注意が必要です。
 

過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群は、腸に器質的な異常が見られないにもかかわらず、慢性的な腹部膨満感や腹痛、下痢、便秘などの症状が現れる症候群です。腸が何らかの原因で過敏になることで引き起こされ、症状は様々です。
 

 
下痢と便秘が交互に起こったり、数週間にわたって下痢が続いたり、一時的に症状が改善しても再発することがあります。腸内環境が乱れることで腸にガスが溜まり、お腹がゴロゴロと鳴ったり、臭いおならの頻度が増加したりします。
 

慢性胃炎がおならの原因に

慢性胃炎は主にピロリ菌の感染による胃の炎症を指し、胃の粘膜が弱まって炎症が繰り返され、治りにくい状態となります。長期化した胃の炎症は胃の機能を低下させ、おならの増加や突発的な胃痛、吐き気、膨満感、胃もたれ、胸やけなどの症状を慢性的に繰り返すことがあります。
 
また、ピロリ菌はアンモニアを産生するため、おならの臭いにも影響を与えます。重症化すると胃潰瘍に進行するケースもあるため、早期の治療が重要です。
 

大腸がんがおならの原因に

大腸がんの初期段階では、検査でようやく分かる程度の血便が見られる程度で、ほとんど自覚症状がないのが特徴です。がんが進行すると大腸が狭くなり、頑固な便秘が生じて弱い音のおならが頻繁に出るようになります。
 
また、腹部にしこりを感じたり、便が細くなったり、下痢や腹痛といった症状も現れます。大腸がんの患者の腸内では、硫化水素を生成する細菌が増加していることが報告されており、これがおならの悪臭の一因となっています。
 
 

 胃腸の病気に関連する記事はこちら

詳しくはこちら

 
 

悪臭を伴うおならの対策:食事や運動習慣の改善

おならの臭いに悩んでいる方に朗報です。適切な食事管理と生活習慣の改善により、おならの臭いを軽減することが可能です。ここでは、実践しやすい具体的な対策方法をご紹介します。
 

動物性タンパク質の摂取を制限する

タンパク質は分解される際にアンモニアを発生させ、おならを臭くする原因となります。特に動物性タンパク質は脂肪分も含むため、腸内の悪玉菌を増加させやすい傾向があります。
 
ただし、タンパク質は筋肉や臓器、皮膚、毛髪など、体を構築する上で不可欠な栄養素であり、ホルモンや酵素、抗体の生成にも関わります。そのため、タンパク質の摂取を完全に控えるのではなく、過剰摂取を避け、動物性から植物性タンパク質への置き換えを意識した、バランスの良い食生活を心がけましょう。
 

腸内フローラと大腸のバリア機能を改善する

腸内には無数の細菌が存在し、それぞれが独自の生態系(腸内フローラ)を形成しています。これらの細菌は、腸内に入ってきた食物の分解を助け、消化吸収を促進します。また、代謝産物を通じて心身の機能にも影響を与えます。
 
健康な腸内フローラを維持するには、善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスを整え、細菌の多様性を保つことが重要です。特に、酪酸菌のような善玉菌は大腸のバリア機能を高め、有害物質や悪玉菌の侵入を防ぐことで、おならの臭い軽減にも貢献します。
 

自律神経を整えることで悪臭を軽減

 

 
腸の動きには自律神経が深く関わっています。副交感神経が優位な時は腸の動きが活発になり、交感神経が優位な時は腸の動きが鈍くなります。腸の動きが鈍いと腸内環境が乱れ、臭いおならが出やすくなります。
 
改善するには、適度な運動が効果的です。ウォーキング、ストレッチ、ヨガなどの軽い運動は、副交感神経を優位にする効果が期待できます。また、十分な睡眠をとり、就寝前のスマートフォン使用を控えるなど、生活リズムを整えることも重要です。
 

食物繊維を摂取しておならの臭いを改善

食物繊維には整腸作用があり、特に水溶性食物繊維は腸内環境の改善に有効です。実験では、水溶性食物繊維の摂取により、便中のアンモニアと腐敗産物の量が減少し、便の臭いが軽減されたという結果も報告されています。
 
水溶性食物繊維を多く含むモロヘイヤ、ごぼう、ライ麦パンなどを積極的に摂取すると良いでしょう。ただし、一度に多量の食物繊維を摂取すると逆におならの量が増える可能性があるため、徐々に摂取量を増やしていくことをお勧めします。
 

善玉菌を含む食品でおならの臭いを軽減

善玉菌を増やすには、プロバイオティクスとプレバイオティクスの両方を摂取することが効果的です。プロバイオティクスはビフィズス菌や乳酸菌などの生きた善玉菌で、ヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆、漬物などに含まれています。
 
プレバイオティクスは善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維で、大豆、たまねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナなどに多く含まれています。ただし、これらの食品が体質に合わない場合もあるため、体調を見ながら適量を摂取することが大切です。
 
 

食事や生活習慣を改善しても臭いおならが続く場合は病院を受診

臭いおならが続く場合、食事や生活習慣の改善が効果を発揮しないこともあります。そのような場合には、腸内環境の異常や病気が原因である可能性を考慮する必要があります。
 
特に、おならの悪臭に加えて腹痛や下痢、便秘といった症状を伴う場合、消化器系の疾患が隠れていることがあります。慢性胃炎や過敏性腸症候群、大腸がんなどの病気が考えられるため、早めに消化器内科を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
 
 

まとめ

おならは誰もが経験する自然な生理現象ですが、その臭いは健康状態を映し出すバロメーターとなります。腸内細菌のバランスや食生活、生活習慣の改善によって、多くの場合は臭いを軽減することが可能です。
 
ただし、改善が見られない場合や他の症状を伴う場合は、何らかの病気のサインである可能性があります。適切な対策と必要に応じた医療機関の受診により、健康的な腸内環境を取り戻し、快適な生活を送ることができます。
 
 

 臭いに関連する記事はこちら

詳しくはこちら

 
 
 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
一覧に戻る