いびきの原因とメカニズム|なぜ寝るといびきをかくの?

  • クリニックブログ
2025/01/09

いびきの原因とメカニズム|なぜ寝るといびきをかくの?

 

 

いびきは多くの人にとって身近な問題ですが、放置することで健康リスクが高まる可能性があります。夜間のいびきは、睡眠の質の低下や疲労感の原因となるだけでなく、睡眠時無呼吸症候群など深刻な疾患の兆候である場合もあります。
 
いびきを改善するためには、生活習慣の見直しや専門的な治療が重要です。本記事では、いびきの原因やメカニズムを明らかにし、改善方法を詳しく解説します。健やかな毎日を取り戻す一歩としてぜひ参考にしてください。

 
 

いびきとは?いびきをかく仕組みは?

いびきは深い眠りの際に発生する呼吸音で、多くの人が経験する一般的な症状です。このセクションでは、いびきが発生する仕組みと、どのような症状があるのか、またどんな人がいびきをかきやすいのかを詳しく解説します。いびきの正しい知識を得ることで、効果的な対策を見つけることができます。
 

いびきの症状

睡眠中に起こるいびきは、気道が狭くなることで発生する振動音です。特に仰向けで寝ている時、のどの奥にある軟口蓋や口蓋垂(のどちんこ)、舌根、喉頭蓋などが重力で下に沈み込むことで起きやすくなります。いびきの症状は人によって様々で、軽度から重度まであります。
 
寝る姿勢によって起こる場合もあれば、どのような姿勢でも発生する場合もあります。特に注意が必要なのは、いびきと共に呼吸が一時的に止まる、大きな寝息を伴う、夜中に何度も目が覚めるなどの症状がある場合です。このような症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があり、医師への相談が推奨されます。
 

いびきをかきやすい人の特徴

いびきをかきやすい人には、いくつかの共通した特徴があります。最も代表的なのが肥満で、首周りや上気道周辺に脂肪が蓄積することで気道が狭くなりやすくなります。
 
また、日本人に多い特徴として、顎が小さく後退している骨格の方もいびきをかきやすい傾向にあります。その他、アルコールをよく飲む人、喫煙者、睡眠薬を服用している人、鼻炎や副鼻腔炎などで慢性的な鼻づまりがある人もいびきをかきやすいとされています。
 
さらに、加齢による筋力の低下や、女性の場合は閉経後のホルモンバランスの変化によっても、いびきが増える傾向があります。遺伝的な要因も関係しており、家族にいびきをかく人がいる場合は要注意です。
 
 

いびきをかく原因:疲れや肥満も関係?

いびきの原因は一時的なものと慢性的なものに大きく分けられます。ここでは、日常生活で起こりやすい一時的な原因から、体質や病気に関連する慢性的な原因まで、詳しく解説していきます。原因を知ることで、より効果的な対策を立てることができます。
 

一時的ないびきの原因とは?

普段はいびきをかかない人でも、特定の状況下でいびきが出ることがあります。疲労、飲酒、不適切な枕の使用など、生活習慣の改善で解決できる一時的な原因について見ていきましょう。
 

疲労がいびきを引き起こす?

疲労が極度に蓄積した状態で眠ると、体の筋肉が通常以上に弛緩してしまいます。特に喉の周りの筋肉が緩むことで、舌が喉の方へと落ち込みやすくなり、気道が狭くなってしまいます。
 
その結果、空気の通り道が制限され、いびきが発生しやすくなるのです。疲労によるいびきは、十分な休養を取ることで改善が期待できます。日頃から規則正しい生活を心がけ、睡眠時間を確保することが予防につながります。
 

飲酒がいびきの原因に?

就寝前の飲酒は、いびきを引き起こす大きな要因の一つです。アルコールには筋肉を弛緩させる作用があり、特に喉や舌の筋肉が緩んでしまうことで、舌根が後方に沈み込みやすくなります。これにより気道が狭くなり、いびきが発生しやすくなります。仰向けで寝る場合は特に顕著です。
 
また、寝酒は睡眠の質も低下させ、夜中に何度も目が覚めたり、早朝に目が覚めてしまったりする原因にもなります。
 

枕が合っていないといびきが出る?

枕の高さや硬さが体に合っていないと、首の自然な湾曲が妨げられ、気道が圧迫されていびきの原因となることがあります。高すぎる枕は喉や気道を圧迫し、空気の通り道が振動することでいびきが生じやすくなります。
 
逆に低すぎる枕は、口が開きやすくなって口呼吸を促進し、いびきの原因となります。理想的な枕の高さは約7cm以下とされていますが、個人差が大きいため、自分に合った枕を選ぶことが重要です。
 

慢性的ないびきの原因とは?

一時的な要因とは異なり、慢性的ないびきには体質や身体的な特徴が関係していることが多くあります。ここでは主な慢性的な原因について解説します。
 

肥満がいびきを悪化させる?

肥満は、いびきを引き起こす最も一般的な原因の一つです。過剰な体重により、気道周辺、特に首周りや喉の周辺に脂肪が蓄積することで、気道が狭くなってしまいます。これにより、呼吸時に空気の流れが阻害され、いびきが発生しやすくなります。
 
さらに、いびきが睡眠時無呼吸症候群を引き起こし、それによってさらなる肥満を招くという悪循環に陥ることもあります。適切な体重管理が、いびき改善の重要な鍵となります。
 

口呼吸がいびきを引き起こす?

口呼吸は、いびきを引き起こす重要な要因の一つです。口を開けて呼吸をする習慣がある場合、口周りの筋肉が常に緩んだ状態となり、舌が後方に落ち込みやすくなります。
 
これにより気道が狭くなり、いびきの原因となります。また、口呼吸によって下顎が開いた状態が続くことで、舌が後ろ向きに落ち込みやすくなり、さらにいびきを悪化させる可能性があります。
 

扁桃・アデノイド肥大がいびきの原因?

扁桃腺やアデノイド(咽頭扁桃)の肥大は、特に子どものいびきの主な原因として知られています。これらの組織が肥大することで上気道が狭くなったり、完全にふさがれたりして、いびきが発生しやすくなります。
 
また、粘膜の腫れや炎症によっても気道が狭くなり、いびきの原因となることがあります。この場合、医療機関での適切な診断と治療が必要になることがあります。
 
 

 痛みの少ない〝いびき〟のレーザー治療についてはこちら

詳しくはこちら

 

いびきを伴う病気が原因の場合も

いびきは睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重要な症状の一つとして知られています。SASでは、睡眠中に呼吸が一時的に止まる状態が繰り返し起こり、多くの場合大きないびきを伴います。
 
また、脳梗塞や甲状腺機能低下症(橋本病など)などの疾患でも、のどや舌の筋肉の機能が低下することでいびきが発生することがあります。特に、大きないびきが続く場合や、日中の強い眠気、頭痛、集中力低下などの症状がある場合は、医療機関での検査をおすすめします。
 
 

いびきを治すための対策と改善方法

いびきに悩む方の多くは、「どうすれば改善できるのか」という疑問を持っています。実は、生活習慣の見直しや適切な対策により、いびきを軽減できる可能性があります。ここでは、実践しやすい改善方法から専門的な治療法まで、効果的な対策を詳しく解説していきます。
 

横向きで寝る姿勢がいびきを改善?

仰向けで寝ることは、いびきを悪化させる大きな要因となります。仰向けで寝ると、重力の影響で舌や軟口蓋が後ろに沈み込み、気道が狭くなりやすくなるためです。
 
一方、横向きの姿勢で寝ることで、舌が喉の方に落ち込むのを防ぎ、気道を確保しやすくなります。つまり、いびきの改善が期待できるのです。就寝時は意識的に横向きの姿勢を保つようにしましょう。枕の使い方や配置を工夫することで、横向きの姿勢を維持しやすくなります。
 

飲酒を控えるといびきが軽減?

寝る前のお酒は、いびきを悪化させる大きな要因です。アルコールには筋肉を弛緩させる作用があり、特に喉や舌の筋肉が緩むことで、気道が狭くなりやすくなります。
 
また、飲酒は睡眠の質も低下させ、夜中に何度も目が覚めたり、尿が出やすくなったりするなどの問題も引き起こします。いびきの改善のためには、就寝前の飲酒を控えることが効果的です。特に習慣的な飲酒でいびきが気になる方は、飲酒のタイミングや量を見直してみましょう。
 

ダイエットでいびきを解消する方法

肥満の改善は、いびきを解消する最も効果的な方法の一つです。体重が減少することで、気道周辺の余分な脂肪が減り、呼吸がしやすくなります。
 
ただし、急激な減量は逆効果になる可能性があるため、適切な食事管理と運動を組み合わせた無理のないダイエットを心がけましょう。特に水泳やウォーキング、エアロバイクなどの有酸素運動が効果的です。また、食事は栄養バランスを考慮し、特に就寝前の過食を避けることが重要です。
 

マウスピースでいびきを防ぐ

マウスピースは、いびきの改善に効果的な治療用具の一つです。専用のマウスピースを装着することで、下顎が数ミリ前方に出て、舌根が引き上げられ、気道が広がります。特に、歯科医院で作製する個人用のマウスピースは、自分の顎の形や歯列に合わせて作られるため、より効果的です。
 

 
ただし、市販のマウスピースは顎や歯を傷める可能性もあるため、使用する際は専門医に相談することをお勧めします。保険適用となるマウスピースもあるので、医療機関に確認してみましょう。
 
 

いびきを改善する予防グッズの活用もおすすめ

いびきの改善には、生活習慣の見直しに加えて、様々な予防グッズの活用が効果的です。ここでは、比較的手に入りやすく、自宅で気軽に試せる予防グッズについて詳しく解説します。ご自身に合った方法を見つけて、快適な睡眠を取り戻しましょう。
 

枕の高さと硬さを調整する

枕は、いびきの改善に重要な役割を果たします。特に高さと硬さの調整が重要で、一般的には7cm以上の高さはいびきを誘発する可能性があるといわれています。理想的な枕は、肩と背中が布団にしっかりと付き、首に圧迫感がなく、息苦しさを感じないものです。
 
また、頭が安定して枕から落ちず、腰が浮かない高さが適切です。ただし、個人差が大きいため、実際に使用してみて自分に合った枕を選ぶことが大切です。高すぎる場合は気道が圧迫され、逆に低すぎると肩こりや筋肉痛の原因となる可能性があります。
 

鼻腔拡張テープの活用

鼻腔拡張テープは、鼻づまりが原因でいびきに悩む方におすすめの予防グッズです。このテープを使用すると鼻腔が広がり、鼻呼吸がしやすくなることで、気道が確保され、いびきが軽減する可能性があります。
 
口呼吸から鼻呼吸への改善が期待でき、それによって気道が拡張されいびきを軽減できます。薬局などで手軽に購入でき、約1,000円で1ヶ月分が手に入るため、比較的手頃な価格で試すことができます。継続的な使用で効果を実感できる方も多いようです。
 

口を閉じるテープを活用する

口閉じテープは、習慣的な口呼吸を改善するために効果的なグッズです。1本のテープで上下の唇を閉じることで、口が開かなくなり、下顎が上がって気道が拡張されます。
 
テープの活用により、いびきを軽減する効果が期待できます。ただし、鼻づまりがある場合は息がしづらくなる可能性があるため、使用は避けましょう。また、使用前に鼻呼吸がしっかりできることを確認することが重要です。
 

マスク着用でのいびき改善

就寝時のマスク着用は、いびきの軽減に効果がある場合があります。マスクを着用することで、吸入する空気が保湿され、鼻腔内の湿度が適切に保たれます。
 
鼻づまりが改善されると、口呼吸から鼻呼吸への転換が促されます。結果として、いびきが発生しにくくなる可能性があります。特に、乾燥する季節や空調の効いた部屋で寝る際に効果を発揮します。
 

顎に合ったマウスピースを使う

自分の顎の形に合わせたマウスピースは、いびきの改善に非常に効果的な予防グッズです。マウスピースを装着することで下顎が前方に出て、気道が拡張され、いびきを軽減することができます。
 
ただし、市販のマウスピースをそのまま使用すると、顎や歯を傷める可能性があります。そのため、呼吸器内科や耳鼻咽喉科に相談し、専門医の指導のもと、自分の顎の形や歯列に合わせたマウスピースを作製することをお勧めします。
 
 

睡眠時無呼吸症候群によるいびきの疑いがある場合

いびきの中でも、特に注意が必要なのが睡眠時無呼吸症候群(SAS)に伴ういびきです。単なるいびきと思って放置していると、深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
 
ここでは、睡眠時無呼吸症候群の特徴と、適切な治療法について解説します。
 

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が止まる状態が繰り返し起こる深刻な睡眠障害です。通常、1時間に5回以上の呼吸停止や呼吸低下が発生し、大きないびきを伴うことが特徴です。
 
症状として、夜間の息苦しさ、寝汗、頻繁な夜間覚醒に加え、日中の強い眠気や集中力低下、起床時の頭痛などが現れます。また、睡眠の質が低下することで、高血圧や心疾患、糖尿病などの生活習慣病のリスクも高まります。日本では約2,000万人がいびきをかき、そのうち300万人から500万人がSASの可能性があると推定されています。
 

睡眠時無呼吸症候群の治療は病院へ

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
 
医師は問診や身体検査に加え、必要に応じて睡眠ポリグラフ検査を行い、症状の程度を判断します。治療法として最も効果的とされているのが、CPAP(持続陽圧呼吸)療法です。これは、マスクを通じて圧力のかかった空気を送り込み、気道を確保する治療法です。
 

 
その他、マウスピースの使用や手術療法など、症状や原因に応じて適切な治療法が選択されます。早期発見・早期治療が、合併症の予防と健康的な生活の維持に重要です。
 
 

 睡眠時無呼吸症候群についてはこちら

詳しくはこちら

 
 

まとめ

いびきは単なる睡眠時の音の問題ではなく、健康に大きな影響を与える可能性のある症状です。いびきの原因は、一時的なものから慢性的なもの、さらには睡眠時無呼吸症候群のような重大な病気まで多岐にわたります。適切な対策を講じることで、多くの場合は改善が期待できます。
 
生活習慣の見直しや予防グッズの活用、必要に応じた医療機関の受診により、快適な睡眠環境を取り戻し、健康的な生活を送ることができます。早めの対策で、あなたとご家族の良質な睡眠を確保しましょう。
 
 

 いびきに関する別の記事はこちら

詳しくはこちら

 

 
 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
一覧に戻る