みぞおちが痛い原因はさまざま|受診目安や科目・予防治療法を解説

  • クリニックブログ
2023/12/20

みぞおちが痛い原因はさまざま|受診目安や科目・予防治療法を解説

みぞおちの痛み(鈍痛)が気になっている方はいらっしゃいますか?
みぞおちの痛みのなかには放置すると命を落とす危険性のある病気が潜んでいることもあります。
 
本記事では、みぞおちが痛む原因、受診目安、受診科目、予防や治療法を解説します。

腹部に違和感を感じる女性
 

みぞおちが痛くなる原因

みぞおちが痛くなる原因は、大きく分けてストレスや食生活といった一貫性のものと、消化器官の疾患による症状の2種類があります。
ただし、一過性のものであっても、長期間にわたり継続すれば疾患へとつながり、みぞおちの痛み、さらには命にかかわる疾患を引き起こすリスクがあります。
 
みぞおちの痛みを招く原因を知り、対策していくことが大切です。

逆流性食道炎

逆流性食道炎とは、胃酸や食物が繰り返し食道に逆流し、食道粘膜の炎症を引き起こす病気です。
空腹時に症状があらわれるのが特徴です。
 
みぞおちの痛みや胸やけ、飲みにくさ、呑酸といった症状がみられます。
加齢や過食、早食いといった食事習慣が主な原因であるため、再発を繰り返しやすい傾向にあります。
 

 

アニサキスによる感染性胃腸炎

感染性胃腸炎とは、細菌やウイルス、寄生虫により胃腸に炎症を起こす病気です。
アニサキスによる感染性胃腸炎を起こすと、みぞおちあたりの痛み、吐き気・嘔吐、下痢、発熱といった症状があらわれます。
脱水を起こしやすいため、きちんと水分補給ができていないと脱水症状を起こす可能性もあります。
 

 

虫垂炎

虫垂炎とは、盲腸の虫垂という部分に炎症が起きている状態です。
破裂すると急性腹膜炎を起こし命にかかわるため、虫垂炎の時点で早めに治療することが重要です。
 
症状は右下腹部痛、食欲不振が一般的ですが、初期症状として吐き気、下痢、みぞおちの痛みがあらわれるケースもあります。
虫垂炎発症の原因ははっきり分かっていませんが、虫垂が閉塞することで細菌・ウイルスに感染することが要因のひとつであると考えられています。
 

 

胃がん

胃がんは初期症状が分かりにくく、病気が進行してようやく分かりやすい症状があらわれます。
主な症状には、みぞおちの痛み、胸焼け、吐き気、胸周辺の違和感・不快感、食欲不振、体重減少などがみられます。
一般的に、ピロリ菌感染による萎縮性胃炎が長時間続くことが原因とされていますが、ピロリ菌感染がみられない状態での発症もあるため、一概にはいえません、
 

 

胆石症

胆石症は、胆汁が石のように固まってできる胆石が、胆管に詰まることで起きる病気です。
胆管に胆石が詰まると、みぞおちの強い痛み、吐き気や嘔吐、発熱、下痢といった症状があらわれます。
なかには背中に痛みを感じる方もいます。
 

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胆のう炎

胆のう炎は、胆石が胆のう管に詰まって炎症を起こした状態です。
「急性胆のう炎」と「慢性胆のう炎」があり、急性のほうが痛みが強い傾向にあります。
主な症状として、みぞおちの痛み、右上の腹部の痛みがあります。
 
急性胆のう炎の原因は、ほとんどが胆石によるものです。
慢性胆のう炎は、急性胆のう炎が引き続いて起こり、その炎症によって胆のうの壁が厚くなることが要因とされています。
 

機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアは、慢性的な胃の不調があるにもかかわらず、胃カメラ検査で異常がない場合に診断される病気です。
主な症状に、みぞおちの痛み、胸焼け、胃痛などが挙げられます。
 
原因はいまだはっきりと分かっていませんが、ストレス、胃・十二指腸の運動異常、胃・十二指腸の知覚過敏、胃酸の過剰分泌が関係していると考えられています。
 

 

十二指腸炎

十二指腸炎は、何かしらの原因で十二指腸の粘膜が傷つき炎症を起こしている状態です。
炎症が慢性的に続くとみぞおちの痛み、背中の痛み、吐き気といった症状を起こします。
発症の原因は、ストレスやピロリ菌、飲酒習慣、薬の副作用などです。
 

膵炎

膵炎には急性と慢性があり、それぞれで原因や症状が若干異なるのが特徴です。
急性膵炎は、みぞおちや左上腹部にかけての痛み、人によっては背中まで痛みが広がります。
一方の慢性膵炎は、みぞおちに鈍い痛みを感じます。
 
急性膵炎は、膵臓に貯蔵されている消化酵素が飲酒などにより活性化し、膵臓を溶かすことが原因です。
一方の慢性膵炎は、男性では飲酒が最も多く、女性では原因不明の特発性が多くみられます。
 

心筋梗塞

冠動脈が閉塞し、心臓に栄養や酸素が行き渡らなくなって心筋が壊死する病気です。
突然激しいみぞおちの痛みや胸痛が起こり、冷や汗や呼吸困難といった症状を伴います。
 
原因は動脈硬化で、高血圧や糖尿病、脂質異常といった生活習慣病、喫煙などが動脈硬化のリスクを高めます。
 

 

 
 

みぞおちの痛みは何科?受診目安は?

みぞおちに痛みを感じる場合に受診するべき科目と、受診目安をお伝えします。

受診科目

みぞおちの痛みがある場合は、まず消化器内科もしくは循環器内科に受診しましょう。
それでも「原因が見つからない」「症状が改善しない」といった場合は、心療内科に相談するのがよいでしょう。
 

受診目安

受診目安となる症状は以下のとおりです。

<受診すべき症状>

  1. ● 痛みが悪化している
  2. ● 痛みが激しい
  3. ● みぞおち以外に痛む範囲が広がっている
  4. ● 冷や汗が出る
  5. ● 発熱がある
  6. ● 嘔吐の症状がある

 
上記のような症状が一つでも該当する場合は、すぐに医療機関に受診してください。

 
 

みぞおちの痛みの予防法

みぞおちの痛みは、2つの方法で予防の対策ができます。

食生活をただす

食生活をただすことは胃腸の負担を軽減することにつながり、みぞおちの痛みを引き起こす原因や疾患の予防になります。
具体的には以下の方法を取り入れましょう。
 

<心がけること>

  • ● 過食・過飲をしない
  • ● 欠食をしない
  • ● 遅い時間に食事をしない
  • ● アルコール類を摂りすぎない
  • ● 刺激物を摂りすぎない

 

食べ物の鮮度に気をつける

鮮度が落ちた食べ物は、感染性胃腸炎を起こすリスクを高めます。
 

<心がけること>

  • ● 新鮮な魚を選ぶ
  • ● 冷蔵庫で食品の鮮度を保つ
  • ● 調理器具を消毒する

 

 
 

みぞおちの痛みの治療法

みぞおちが痛む場合に行う治療法は、大きく分けて3つです。
 

症状のレベルや疾患によっては投薬治療

みぞおちの痛みを引き起こしている原因疾患の種類やレベル、みぞおちの痛みそのものの症状のレベルによっては投薬治療を行います。
原因によって投薬する薬の種類は異なりますが、胃酸分泌を抑える薬、漢方薬、ヒスタミン受容体拮抗薬などが用いられます。

 

場合によっては手術が必要

急性虫垂炎やそれに伴う腹膜炎、急性膵炎、胃がんといった命にかかわる疾患が関係している場合、手術を要します。
手術後は、原因疾患によっては投薬治療に切り替えて治療します。

 

ピロリ菌を除去する

ピロリ菌が原因で疾患を起こしている場合は、ピロリ菌を除去する治療が必要です。
ピロリ菌は、処方薬を1週間服用することで除去できます。


 
 

みぞおちが痛いときは市販薬を使用してもいい?

みぞおちが痛いとき、市販薬を使用してもいいのか悩むことがあるでしょう。
使用を迷った場合、診断が遅れる可能性があるため、痛みどめなどの市販薬を使用するのは避けた方がいいです。
 
みぞおちの痛みが空腹時にも見られる、タール便やめまいがするなどがあれば、すみやかに受診してください。
危険な疾患が関係している恐れがあるため、放置せずに検査を受けましょう。


 
 

まとめ

みぞおちが痛むのは、ストレスや食生活といったそれほど深刻ではない原因もあれば、がんや心筋梗塞のように命を落とす危険性があり治療をしなければならない原因もあります。
原因がはっきりとせず不安な場合は、我慢せずに医療機関へ受診しましょう。


 
 

 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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