胃がんとは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/06/08

胃がんとは?原因、症状、治療法について解説

胃がんとは

胃がんとは、胃の内側の粘膜から発生したがんのことです。日本の2019年の統計では、男性、女性ともに部位別がん死亡数のトップ5に入っており、主ながんのひとつです。
40歳以上になると発症率が上昇し、60歳代にピークを迎えます。高齢化に伴い、高齢者の胃がんも増えてきています。また、女性よりも男性に多い傾向があります。
胃がんはステージ1からステージ4までの4つに分類されます。早く発見できれば胃カメラで切除、根治することができますが、ステージが進んで進行がんになると手術が必要となり、さらに進行すれば化学療法が治療の中心になるとともに、生存率が低くなっていきます。

胃がんの原因は

胃がんの原因としては、ヘリコバクターピロリ菌(ピロリ菌)が長期間感染していること、食生活、タバコなどの生活習慣、遺伝的要因などによって胃の粘膜の細胞が障害を受けてがん化すると考えられています。
特に日本人の高齢者はピロリ菌の感染率が高く、薬物療法による除菌がおすすめです。もちろんピロリ菌に感染したら全員が胃がんになるわけではなく、発症率は約1%と言われています。それでもピロリ菌を除菌すれば胃がんの発症率が下がったという研究結果があるので除菌するようにしてください。
ピロリ菌は、胃潰瘍の原因にもなります。胃潰瘍は薬物治療で治りますが、見た目の潰瘍が治ってもピロリ菌は住みついたままなので注意が必要です。
食生活では、繊維質が少ないもの、塩分が多い漬け物、肉や魚のコゲなどがリスクになると言われています。また、熱いものを急いで食べたりすると胃がんが発症しやすくなると報告されています。

 

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胃がんの症状は

胃がんの症状は決まったものはありません。また、発症早期の場合には無症状なことも多く、たまたま胃がん検診などで発見されることも多いです。
胃がんが進んでくると、胃もたれやゲップが出る、みぞおちの不快感、嘔気、嘔吐、胃が痛い、血を吐く、黒い便が出る、ふらつきやめまいなどの貧血症状が出る、などがあります。
また、胃がんは播種といって、お腹の中にがん細胞が飛び散りやすく、その影響でお腹に水がたまりやすいです。水の量が増えると、お腹が張ってくることもあります。また、周りのリンパ節などにも転移しやすく、場合によっては脇の下のリンパ節まで転移を起こして腫れてくる場合もあります。

 

検査方法と検査ができる時期/潜伏期間

胃がんを検査して診断するには、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)が最も重要です。胃カメラをすれば、胃がんを詳しく観察できます。胃がん検診でよく実施される、造影剤を飲んで胃を観察する経口造影検査も有効です。胃がんになると胃の壁が硬くなり、造影剤を飲んでも胃がきれいに膨らまなくなるのをチェックします。
CT検査も胃がんを見つけるのに役立ちます。胃がんが肝臓や肺、リンパ節などに転移していないかどうか、腹水の有無などを調べることもできます。胃がんが早期の場合にはCT検査ではわからないことが多いので、早期発見するには、胃カメラが一番大切です。
胃がんと診断するには、胃カメラで胃の中から組織を採取して、顕微鏡で観察してがんだと確認することが必要です。また、CT検査や経口造影検査などを用いて、どの程度胃がんが進行しているかの指標となるステージを予想します。

 


胃がんの治療は?

胃癌の治療法は、大きく分けて手術と化学療法です。早期がんの場合は、がんの大きさやがん細胞の悪性度、潰瘍があるかどうかなどを考慮して胃カメラでがんを切除します。
ある程度がんが進行すると、ステージ3までは手術が第一方針になります。手術でがんを根治できる可能性があるからです。手術は、昔ながらの開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット手術の3通りがあります。

手術

開腹手術は、お腹の上半分に傷跡ができます。腹腔鏡手術とロボット手術は比較的小さい傷でできますので、術後の痛みが少なく、患者様の回復スピードも早いです。
手術には3種類の胃の切除の仕方があります。全ての胃を切除する胃全摘術、胃の出口を含む3分の2程度を切除する幽門側胃切除術、胃の入り口側を切除する噴門側胃切除術です。
手術後は、切除した胃と、周りのリンパ節を病理検査という顕微鏡検査で調べ、実際にがんが胃の壁のどの程度の深さまで進行しているか、周りのリンパ節に転移しているかどうかを確認して最終的なステージを決定します。
最終的なステージが2か3だった場合には、再発率が高くなるので、術後補助化学療法といって、抗がん剤治療を1年間行うことがあります。副作用もあるので、患者様一人ひとりの体調や生活背景などを考慮し、するかどうかを相談します。

 

化学療法

予想したステージが4の場合は、基本的には化学療法を行います。この時は様々な種類の抗がん剤をひとつ、または組み合わせて使用していきます。残念ながら、ステージ4の場合は胃がんが完全に治る可能性は極めて低いです。抗がん剤で胃がんの勢いを抑えますが、いつかは効果がなくなってくるので、また違う抗がん剤を使うという繰り返しになります。

 

放射線療法

胃がんからの出血がひどい場合には放射線療法という放射線を胃がんに照射することもあります。その他、胃がんが胃を塞いでしまって食事が取れない場合は、胃と小腸とをつなぐパイパス手術という手術を行うこともあります。つなぐことで食べたものが別の経路で胃から小腸へ流れるようになるので、食事を食べれるようになります。

 

胃がんの予防方法は?

胃がんを予防するには、禁煙と食生活の見直し、適度な運動が大切です。タバコはほとんどのがんで発症のリスクになるので禁煙するようにしてください。
食生活では、塩分をとりすぎないこと、食物繊維をとること、脂肪分の少ない食事を心がけることが大切です。だしの旨みや、酢やレモンの酸味を使って塩分を減らしてください。

 


 

まとめ

胃がんは日本でも死亡率の高いがんです。男性や40歳以上で発症しやすいです。胃がんを発症する原因には、ピロリ菌の長期間持続感染などがあげられ、除菌をおすすめします。

胃がんになると、胃もたれや、胃痛などから、吐血や黒色便までさまざまな症状が出ます。胃がんの検査には、胃カメラ、CT、経口造影検査などがあります。胃がんの治療には、進行度に応じて胃カメラでの切除、手術、化学療法などがあります。胃がんの予防としては、タバコをやめることが重要です。食生活は、食物繊維を多く、脂肪分を少なく、塩分を控えめに、コゲを避けるようにしてください。

 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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