胃腸炎とは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/07/05

胃腸炎とは?原因、症状、治療法について解説

胃腸炎とは

胃腸炎は、胃や小腸、大腸に炎症が生じる病気です。
胃腸炎にはウイルス、細菌、寄生虫等に感染して起こる感染性胃腸炎、それ以外の非感染胃腸炎に分けられます。



 

胃腸炎の原因は

上記で上げました感染性の胃腸炎には下記のウイルス、細菌、寄生虫の感染で発症します。

ウイルス

ノロウイルス

一年を通して発生していますが、特に冬季に流行します。 
健康な方は軽症で回復しますが、子どもやお年寄りなどでは重症化することがあります。
  

ロタウイルス

乳幼児期(0~6歳ころ)にかかりやすい病気で5歳までにほぼすべての子どもがロタウイルスに感染するといわれおり、大人はロタウイルスの感染を何度も経験しているため、ほとんどの場合、症状が出ません。
  

アデノウイルス

呼吸器による感染は、BおよびE種で多く 
C種は小児の糞便中に長期間排泄され、糞口感染 
F種は糞口感染でのみ流行すると考えており眼にも感染 
D種では汚染されたタオル、手指あるいは水などにより感染すると考えられており、性行為によって性器にも感染することが知られている。
  

細菌

ヘリコバクターピロリ菌

胃炎や消化性潰瘍の原因として世界で最もよくみられるものであり、感染は非常に多くみられ、年齢とともに増加します。60歳までに約50%の人が感染します。

  

大腸菌

正常時から消化管に生息、一部の菌株は腸管感染症の惹起を可能にする遺伝子を獲得、これが増えることで引き起こされます。

  

サルモネラ菌

鶏・豚・牛等の動物の腸管や河川・下水道等の自然界に広く生息する細菌です。

  

カンピロバクター

ニワトリ、ウシ等の家きんや家畜をはじめ、ペット、野鳥、野生動物など多くの動物が保菌、ヒトや動物の腸管内でしか増殖せず、乾燥に弱く、通常の加熱調理で死滅します。

  

腸炎ビブリオ

5類感染症定点把握疾患  
コレラ菌と同じビブリオ属菌で好塩性があり、3%食塩濃度で最もよく発育します。 
逆に10℃以下では発育せず、熱にも弱く、煮沸すれば瞬時に死滅します。

  

赤痢菌

経口感染であり、感染する動物は、主に人や一部の霊長類であり、食品や器物等を介して人から人へ経口的に感染、国内で発生することも少なくありません。

  

寄生虫

アニサキス

サバ、サンマ、アジ、カツオ、サケ、スルメイカ等、の海産魚介類、内臓周辺、腹腔内、筋肉内に寄生します。

  

クリプトスポリジウム

ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ネズミなどの腸管寄生原虫でC. parvumやC. hominisで、ヒトや動物の腸管に寄生します。
衛生設備・下水設備が整っていない地域での食事や飲水、水泳等で寄生リスクが高くなります。熱にも弱く、煮沸すれば死滅します。

  

サルモネラ菌

鶏・豚・牛等の動物の腸管や河川・下水道等の自然界に広く生息する細菌です。

  

カンピロバクター

ニワトリ、ウシ等の家きんや家畜をはじめ、ペット、野鳥、野生動物など多くの動物が保菌、ヒトや動物の腸管内でしか増殖せず、乾燥に弱く、通常の加熱調理で死滅します。

  
非感染症胃炎ではストレス、薬剤等が主な原因となります。

 

胃腸炎の症状は

胃腸炎の症状には嘔吐、発熱、下痢、腹痛等の症状があります。強い炎症の場合、胃や腸が出血することもあり血便もみられることもあります。
大腸菌の感染による胃腸炎が重症化すると腎臓の機能低下を引き起こす尿毒症症候群(HUS)こともあり、感染性胃腸炎が重症化することにより高熱、下痢・嘔吐によって、水分不足に陥り、疲労感、脱力、立ちくらみ、動悸など症状も引き起こすこともあります。

  

胃腸炎について関連記事はこちら

詳しくはこちら

検査方法

血液検査

炎症、脱水の度合い等を調べるために行います。
腸管出血性大腸菌で は、ベロ毒素やリポ多糖体(LPS )に対する血清抗体を測定することによる血清学的診断も用いられます。
 

画像検査

炎症により腸の動きがやわくなったりするため、腸のガス、便の様子などをみるために腹部レントゲンを行なったり、他の原因の可能性もあるためCT検査等も行うこともあります。
また胃、腸の状態を直接確認するため胃カメラ、大腸カメラ等の検査を行ったりもします。
 

便検査

便を細菌培養(細菌)、ウイルス分離(ウイルス)、直接検鏡(カンピロバク タ、寄生虫)、抗原検出(ロタウイルス、腸管アデノウイルス、EHEC O157 抗原、ベロ毒素)、電子顕微鏡(SRSV)、PCR (ノロウイルス:旧称ノーウォーク様ウイルス、サポウイルス:旧称サッポロ様ウイルス)を行うことにより、病原体を推定します。
クリプトスポリジウム症は便からオーシストを検出することで診断できます。

  

胃腸炎の治療方法

感染性胃腸炎のほとんどはウイルス、細菌等は便、嘔吐物として排出するため時間の経過とともに症状が改善することが多いです。
細菌性の場合は抗菌薬の服用、ウイルスに対して特効薬がありません。非感染の薬剤等が原因の場合、薬剤の変更または使用中止します。
脱水を防ぐためこまめな水分補給、腸の動きをよくするために整腸剤、発熱に対する解熱剤の服用での治療となります。寄生虫による胃腸炎に対しまして、内視鏡にて直接除去を行うケースもあります。

 

胃腸炎の予防方法

感染性胃腸炎

トイレの後、調理・食事の前には、石鹸で十分に手を洗いましょう。
便やおう吐物を処理する時は、使い捨て手袋、マスク、エプロンを着用、処理後は石鹸で十分に手を洗いましょう。
火を通した食べ物を食べ、生の食べ物を避けてください。
 
ロタウイルスに関しては経口弱毒生ワクチンで予防できます
 

 感染性胃腸炎について詳しくはこちら

詳しくはこちら

 

サルモレラ菌

卵とその加工品、鶏肉・食肉・内臓肉、スッポン・ウナギ等の淡水養殖魚介などが原因ですので、卵を生食する時冷蔵庫に保管、期限表示内に食べてください。
卵を割ったら、直ちに料理し、割ったまま、保存することは避けます。生肉・卵等を扱った手指や調理器具はよく洗浄、消毒してください。
 

カンピロバクター

食肉を十分に加熱調理し、食肉を取り扱った後は十分に手を洗ってから他の食品を取り扱ってください。調理器具等は使用後洗浄・殺菌を行いましょう。
 

アニサキス

冷凍(-20℃で24時間以上)された生鮮魚介類を購入した場合は、アニサキス幼虫は死んでしまいます。加熱調理(中心温度60℃で1分以上)でもアニサキス幼虫は死にます。
生で食す場合、できるだけ早く内臓や内臓周りの筋肉を除去し冷凍をすることでリスクが低くなります。
 

クリプトスポリジウム

通常の浄水処理(凝集、沈殿、濾過)で完全に除去することは困難で、塩素消毒にも抵抗性であることから、水道水汚染には注意が必要です。
生水の摂取などを避け、煮沸した水を摂取しましょう。
 

非感染性胃腸炎

暴飲暴食をせず、ストレスをなるべくためすぎない日常の生活を送るように気を付けてください。

 

まとめ

胃腸炎は色々な原因で発症するため、ほっておくと重篤化することもありますので、少しでも症状に当てはまるものがありましたら、お近くの医療機関または当院にお気軽にご連絡ください。

胃腸炎について関連記事はこちら

詳しくはこちら

  

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
一覧に戻る