腰が痛いのはなぜ?腰痛の原因や予防法を徹底解説!

  • クリニックブログ
2023/11/29

腰が痛いのはなぜ?腰痛の原因や予防法を徹底解説!

腰が痛いと感じたとき、何か重大な病気があるのではないかと心配になったことがある方は少なくないのではないでしょうか。
腰痛の原因を特定できるケースは少ないといわれています。
 
しかし特定できずとも原因があり、痛みがあることは事実です。
この記事では、腰が痛い原因となる病気やきっかけ、治療と予防法、注意点について解説します。

腰痛を感じる男性
 
 

腰が痛い原因となる腰の病気

腰が痛い原因のうち、腰の病気について解説します。

加齢による腰の病気

腰は人間の体を支える重要な部位であり、さまざまな力が加わる場所です。
そのため、年齢とともに病気のリスクが高くなるといえます。
 

椎間板ヘルニア

加齢の他、姿勢の悪さや連続して圧力がかかることで生じやすい椎間板ヘルニアは、緩衝材の役割を果たしている物質が椎間板から飛び出す病気です。
腰だけでなく、お尻や脚部に痛みや痺れが広がることがあります。
 

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脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症は加齢による腰の病気の代表的な疾患です。
長年にわたって体を支え続けてきたことで、神経の通り道となっている脊柱管が圧迫され狭くなってしまうことが主な原因となっています。
 

すべり症

すべり症は、腰椎のすべりと呼ばれているズレが原因となって脊柱管狭窄症と似た症状を引き起こす疾患です。
加齢が主な原因となる変性すべり症とは別に、疲労骨折による分離すべり症があります。
痛みの症状は一律ではなく、まったく痛みがないケースもある疾患です。
 

感染その他の病気

細菌感染や炎症、その他の病気も腰が痛い原因になり得ます。
 

脊椎カリエス

脊椎カリエスは血管に入り込んだ細菌が脊椎に到達し組織を破壊する疾患で、化膿することで痛みを生じます。
腰だけではなく背骨の周囲にも起こる疾患です。
結核菌を原因とする場合は、結核性脊椎炎と呼ぶこともあります。
 

がん

がんも腰が痛い原因となる疾患です。
脊髄腫瘍や肺がん、前立腺がんの骨転移などがあります。
肺がんや前立腺がん、乳がんなどは骨転移が多いとされているがんです。
 

外傷

擦り傷や切り傷を除くと、外傷による腰の痛みは骨折が主な原因となります。
腰椎圧迫骨折は転倒や交通事故など、大きな外力が加わることで起こる骨折です。
外力が加わる以外にも、骨粗鬆症や骨腫瘍によって腰椎圧迫骨折が起きることがあり、腰が痛い主な原因の一つとなっています。

 
 

腰が痛い原因となる腰以外の病気

腰以外の病気が原因で腰が痛いケースも珍しくはありません。
ここでは腰が痛い原因となる主な病気について解説します。

内臓・血管の病気

内臓・血管の病気で腰が痛い原因となる主な疾患には尿路結石や十二指腸潰瘍、解離性大動脈瘤などがあります。
 

尿路結石

尿路結石は、尿路(腎臓〜尿道)にできた結石が動く際に激痛や出血を伴う疾患です。
突然の痛みが特徴で、数時間続くことも少なくありません。ただし、腎臓にある腎結石の段階では痛みがないこともあります。
 

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十二指腸潰瘍

十二指腸潰瘍は、胃酸によって十二指腸の粘膜が損傷することで潰瘍やびらんを生じる疾患です。
腹部に加え腰や背中の痛みを訴えるケースが少なくありません。そのため、十二指腸潰瘍だと気づきにくい点に注意が必要です。
 

解離性大動脈瘤

解離性大動脈瘤は内膜、中膜、外膜で構成される大動脈の内膜に亀裂が入り、中膜に血液が流入して激痛を引き起こす疾患です。
大動脈の層が解離してしまうことで生命に危険が生じるため、緊急度が高い疾患として知られています。大動脈解離と関係があるといわれているのは高血圧や動脈硬化などです。
 

婦人科系の病気

女性に特有の婦人科系の病気も、腰が痛い原因になります。
 

子宮筋腫

子宮筋腫は良性腫瘍ですが、腰が痛い原因となる疾患です。
月経異常によるめまいや貧血、頻尿などを伴うことがあります。
自覚症状がないケースもありますが、不妊や流産につながるおそれのある疾患です。
 

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子宮内膜症

子宮ではない場所に子宮内膜や似た組織が生まれ、腰が痛い、不妊などさまざまな症状の原因となる疾患が子宮内膜症です。
卵巣や骨盤腹膜が代表的な発生部位とされています。
よく聞くチョコレート嚢胞は、子宮内膜症が卵巣に発生した場合に生じます。
 

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精神科系の病気

腰が痛い原因には、統合失調症やうつ病などの精神科系の病気がかかわっていることがあります。
また、忙しい現代社会では心理的な要因が引き起こす腰痛も少なくありません。
腰が痛いと感じることも、ストレス反応の一種です。
作業中のストレスが原因で無理な体勢になったために、ぎっくり腰になってしまうケースもあります。
 

原因不明の腰痛とは?

腰が痛い原因がわかれば根本的な解決を考えることもできますが、なかには原因不明の腰痛もあります。
 

腰痛は原因不明が多い

厚生労働省によれば、実に85%の腰痛が原因不明とされています。
原因不明に分類されるのは、医師による診察やCTなどの医療機器を用いた検査では異常が見られなかった、原因を特定できなかった場合です。
この85%の腰痛は非特異性腰痛と呼ばれています。
 

仕事や生活習慣・心理的原因の可能性

原因がわからないからといって、原因がないわけではありません。
腰が痛いときには、何らかの原因があります。
主な可能性として、仕事の不満によるものや生活習慣の乱れ、前述の心理的な原因などが考えられます。
乱れた生活習慣や人間関係が悪い職場環境などは、心理的なストレスにつながるものです。

 
 

腰が痛いときの治療と予防法

それでは、腰が痛いときの治療と予防法を紹介します。

腰が痛いときの治療

腰が痛いときの治療法には、主として薬物を用いる保存療法と薬物を用いない保存療法、外科手術の3種類があります。
 

薬物療法

腰が痛いときは、痛みの原因や種類に応じた薬物療法が行われます。
非ステロイド系鎮痛薬だけでなく、神経障害性疼痛薬や抗うつ薬といった一般には腰痛の治療薬とは思われていないタイプの薬物が使用されるケースもあり、治療法は日々進化している状況です。
 
また、患部に直接アプローチするブロック注射も行われています。
ブロック注射は、主として内服薬やリハビリなどで改善が見られないときに使われる治療法です。
 

装具療法・理学療法・リハビリ

姿勢性腰痛と呼ばれる腰痛に対して、軟性コルセットで脊柱起立筋群をサポートする装具療法があります。
理学療法は運動や熱、光、電気などを使った治療法です。
リハビリは理学療法の一種といえる治療法で、理学療法士の手を借りずに自分でできる治療法としては、腰痛体操などが知られています。
 

外科手術

薬物療法や理学療法などの保存療法では治療効果が上がらない重度の脊柱管狭窄症や、椎間板ヘルニアなどによる腰痛に対する解決策として外科手術があります。
手術を選択するかどうかは、ケースバイケースです。
痛みが完全になくなるケースばかりではなく、本人が望む状態にならないケースもあります。
 

腰が痛くならないための予防法

腰が痛い状況を避けるための予防法を紹介します。
 

生活習慣の改善

生活習慣の改善は、心身にかかるストレスを低減することにつながります。
不規則で不十分な睡眠や偏食などは、健康によくない習慣です。
まずは生活を見直すことで、原因不明の腰痛が発生しないようにしましょう。
また、日常的な姿勢の悪さを直すことで、腰にかかる負担を軽くし、腰が痛い場面を遠ざけることが可能です。
 

ストレッチ

腰痛の治療法として行われているリハビリとも関連しますが、ストレッチは自分でできる手軽な腰痛予防法です。
ストレッチとは柔軟体操のことで、筋肉や関節をやわらげ、腰痛の予防に役立つとされています。
仕事で同じ姿勢を続けているようなときに、筋肉の緊張をほぐすことが可能です。
 

腰が痛いときの注意点

腰が痛いときに注意すべきポイントを解説します。
 

腰が痛い時にしてはいけない寝方

腰が痛いときにいつものような仰向けの姿勢やうつ伏せで寝ると、痛みが消えないどころか酷くなるおそれがあります。
また、痛みがある側を下にする寝方は、圧迫や血流の悪化につながる可能性が高くなる寝方です。できる限り避けるようにしましょう。
 

腰が痛い時におすすめの寝方

腰が痛いときは、痛みのある側が下にならないように注意しながら横向きで寝るのがおすすめです。
なるべく腰が反らないように、丸くなって膝を抱えるくらいのイメージで寝るとよいでしょう。

 
 

まとめ

腰が痛い原因はさまざまです。
原因がわかる腰痛よりも原因不明の腰痛のほうが多いため、素人判断で原因を決めつけるのは避けるべきでしょう。
重い病気が潜んでいるかもしれません。
そうでなくても、放っておくと悪化するおそれがあるため、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。

  

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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