胃が痛い場合の原因とは?胃痛に伴う病気についても解説
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胃が痛い場合の原因とは?胃痛に伴う病気についても解説
「ストレスがたまって胃が痛い」「突然胃が痛くなった」一度はこのような経験をした方は多いのではないでしょうか。
胃痛にはさまざまな症状があり、すぐに治るものから慢性的なもの、病院に行くべき症状の場合もあります。
この記事では、胃痛の原因と対策について解説します。ぜひ参考にしてください。
胃が痛い主な原因とは?
胃が痛い時にまず原因を考える方も多いのではないでしょうか。
はじめに、胃が痛い主な原因について解説します。
ストレスがもたらす胃痛
ストレスと胃痛の関係は、自律神経とストレスホルモンの分泌によって生じます。
自律神経は、急なストレスが生じると体を守るために心拍数を高め、筋肉への血流を増やし、胃腸の働きを抑制します。
この状態が続くと胃の粘膜がダメージを受け、胃痛を引き起こすことがあります。
また、ストレスホルモンとして知られるコルチゾールが過剰に分泌されると胃の動きが悪くなり、胃酸が多く分泌されます。
これにより胃の粘膜が刺激され、胃痛や胃もたれ、胃酸逆流などの不快な症状を引き起こすことがあります。
胃粘膜が刺激されることによる胃痛
胃粘膜とは、胃の内部を覆っている薄い層のことで、胃酸から胃の内部を守る重要な役割を果たしています。
食事によって胃酸が分泌され、胃の内容物を消化する一方で、胃粘膜もまた胃酸を中和するための粘液を分泌しているのが胃粘膜です。
しかし、過度なストレス、過度な飲食、アルコールの過剰摂取、喫煙などで胃粘膜が刺激されると、そのバランスが崩れ、胃酸が胃粘膜に直接作用することにより痛みが発生することがあります。
ピロリ菌による胃痛
ピロリ菌はヘリコバクター・ピロリと呼ばれる細菌です。
健康状態に大きな影響を及ぼす一方で、国内の約30%の方が保菌しているとされており、適度な除菌が推奨されています。
ピロリ菌により胃酸が過剰に分泌されると、胃の粘膜がダメージを受け、胃痛を引き起こします。
また、ピロリ菌は胃粘膜を直接侵害し、炎症を引き起こすこともあります。
PMSや月経不順と胃痛の関連
PMSは、月経の開始前に一部の女性が経験する一連の身体的および精神的症状を指します。
症状は、気分の揺れ動き、頭痛、胃痛、便秘、腹部の膨満感などです。
特に、プロゲステロンのレベルが高まる時期、つまり月経の直前には、胃の動きが遅くなり、胃痛や消化不良が起こることがあります。
また、月経不順も精神的ストレスや身体的健康問題などにより、ホルモンバランスが乱れることで引き起こされます。
このホルモンバランスの乱れは、さまざまな消化器官の働きに影響を与え、胃痛を引き起こす可能性があります。
PMSについて詳しくはこちら
妊娠と胃痛
妊娠初期に起こる体の変化と胃痛との関連はいくつか存在します。
つわりの一環として感じることがあるなど、特に初期の段階で胃痛を感じる妊婦さんは少なくありません。
妊娠に伴うホルモンの変化で胃酸が逆流しやすくなることがあり、これが胃痛や胃もたれ、胸焼けの原因となることがあります。
胃が痛い時の対策と予防法
胃が痛い時、どのような対策と予防が必要でしょうか。
ここでは、適切な食事調整、定期的な健康診断、ストレス管理、医師の診断を受けることについて解説します。
適切な食事調整
胃が痛い時に適切な食事調整が必要な理由は、食べたものが胃の働きに直結するためです。
胃は私たちが摂取した食物を消化し、栄養分を体に送り出す役割を果たします。
その働きは食べ物の種類や量、食べる時間などによって影響を受けます。
過度な食事や飲酒、またはスパイシーな食物やコーヒーなどの刺激物を摂取した場合、胃の粘膜が刺激されて胃酸分泌が増加し、胃炎や胃潰瘍などの胃の病気を引き起こす可能性があります。
また、食べすぎると胃が過度に膨張し、胃の筋肉に負担をかけることになります。
一方、食事を抜くと胃酸が直接胃壁に分泌され、胃痛を引き起こすことがあります。
また、長時間食事を摂らないと胃腸の働きが鈍り、消化機能が低下します。
食事調整で重要なのは、食べる内容だけでなく、食事のリズムや環境も大切です。
規則正しい食事時間を設け、食事をゆっくりと噛んで食べることで、胃腸の適正な働きを保つことができます。
定期的な健康診断
健康診断は、体の病気や異常を早期に発見することが目的です。
胃痛が頻発する場合や、一向に改善しない場合は、特に早急な対応が必要になります。
特に胃がんの初期段階では症状が出にくいため、定期的な健康診断はとても重要です。
健康診断で行うことは主に、血液検査や尿検査、胃カメラ検査です。
これらの検査により、胃炎や胃腸炎、胃潰瘍、胃がんなどの病気を早期に発見し、適切な治療を行うことで、胃痛の改善や病気の予防が可能になります。
ストレス管理
ストレスは慢性的な胃痛の原因になります。
ストレスが胃痛を引き起こす原因は、ストレスがかかると自律神経が乱れ、胃の働きを悪くするからです。
特にストレスが多いと胃酸の分泌が増えるため、胃の内側を傷つけて胃痛を引き起こすことがあります。
そのため、胃痛の予防や痛みの軽減のためにはストレス管理が非常に重要となります。
ストレス管理として、心地よい環境で適度な休息を取ることが大切です。
医師の診察を受ける
胃痛が続く時、痛みが強い場合などは、医師の診察を受けることを推奨します。
「胃が痛いだけでなく、食事も喉を通らない」「血便がある」「吐き気や嘔吐が続く」「持続的な胃痛がある」など、深刻そうな症状がある場合はすぐに医療機関を訪れましょう。
医師から詳細な診断を受けることで、適切な治療や対策を講じることができます。
病院での診察を推奨する胃痛に伴う病気とは?
胃痛が続く場合
胃痛が続く場合、急性胃炎を疑いましょう。
胃痛が続く場合に疑われる急性胃炎について説明します。
急性胃炎
急性胃炎は、胃の粘膜が炎症を起こす病気で、さまざまな原因により発症します。
急性胃炎の典型的な症状は、胃痛、吐き気、嘔吐、食欲不振などです。
また、稀に黒い便を排泄する場合もあり、これは胃や十二指腸で出血している可能性があるため、直ちに医療機関を受診する必要があります。
痛みが強い場合
胃の痛みが強い場合、機能性ディスペプシアが考えられます。
機能性ディスペプシアについて説明します。
機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシアは、原因のわからない胃の不快感や痛みを特徴とする消化器病の一つです。
通常、胃炎や胃がんなどの異常が検査で見つからないにも関わらず、胃痛、胃のもたれ、胸やけなどの症状が続く状態を指します。
その原因は明らかではありませんが、セロトニンなどの神経伝達物質のバランスの乱れやストレス、食生活の乱れなどが関与していると考えられています。
胃がん
胃癌は胃の壁の内側から始まるがんの一種で、上部消化管の主要ながんの一つです。
初期の胃がんは通常、特有の症状を有しません。
症状がある時は進行した段階で、胃痛、食後の腹部の不快感や痛み、脱力感や疲労、体重減少などが生じます。
胃がんについて詳しくはこちら
吐き気や嘔吐が伴う場合
吐き気や嘔吐が伴う場合は、胃潰瘍か逆流性食道炎、アニサキス症、慢性胃炎が原因の場合があります。
胃潰瘍
胃潰瘍は、胃や十二指腸の内側が酸やピロリ菌などによって傷つき、その結果、潰瘍が形成される状態を指します。
主な症状は、胸焼け、食後の腹痛、吐き気や嘔吐などで、特に空腹時や食事後すぐの痛みが特徴的です。
進行すると胃や十二指腸からの出血、穿孔、隣接組織への癒着などの合併症を引き起こすことがあります。
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃酸や胃の内容物が逆流して食道に炎症が起きる病気です。
主な症状は、胸焼けや胸部の不快感、口の中に酸っぱい味がするなどで、特に食後や横になったときに強くなることがあります。
逆流性食道炎について詳しくはこちら
アニサキス症
アニサキスは、魚介類などの生食から感染する寄生虫で、人体に侵入した場合はアニサキス症という病気を引き起こします。
初期の症状としては、感染後3〜4時間で発症する吐き気、嘔吐、腹痛などの消化器症状が主です。
重症化すると、アレルギー反応による蕁麻疹やアナフィラキシー、消化管穿孔など生命に関わる症状が出る場合もあります。
慢性胃炎
慢性胃炎は、胃の粘膜が長期間にわたり炎症を起こしている状態を指します。
何か特定の症状があるわけではないため、自覚症状がほとんどなく、健康診断などで胃の内視鏡検査を行った際に初めて発見されることが多い病気です。
進行すると胃潰瘍や胃がんの原因になる場合があります。
吐血・黒い便が出る場合
吐血や黒い便が出る場合は、十二指腸潰瘍を疑います。
十二指腸潰瘍について説明します。
十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍は胃酸によって十二指腸の内壁が侵され、潰瘍が形成される病気です。
主な症状は腹痛で、食事後すぐや空腹時に胃に痛みを感じます。
吐き気、胃の痛み以外の症状は、胸焼け、腹部の不快感、体重減少などです。
ひどい場合、吐血や黒色便(消化管出血)が見られることもあります。
まとめ
この記事では、胃痛の原因と対策について解説について解説しました。
胃の痛みの原因を知ることで、必要な対策がわかるだけでなく、病気の早期発見にもつながるでしょう。
特に胃痛が続く時は、病院の診察を推奨し原因を特定して、病院で治療を受けるとともに、生活改善にも取り組みましょう。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師