尿路結石とは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/06/29

尿路結石とは?原因、症状、治療法について解説

尿路結石とは

尿路結石とは尿路に石のように固い塊ができる病気です。腎臓から尿管、膀胱、尿道という尿路(尿の通り道)にカルシウム、マグネシウムなどのミネラル物質が結晶となり、さらにシュウ酸、リン酸などの有機物質を巻き込んで結石が形成されます。
結石のできる場所によって名前が分けられており、具体的な器官の名前で「腎臓結石」、「尿管結石」、「膀胱結石」と呼ばれているのが一般的です。結石の大部分は腎臓で成長するため、尿管結石や膀胱結石の場合も、結石自体は腎臓から降りてきたものがほとんどだといえます。
また男性は、男性ホルモンが結石の成分となるシュウ酸を増やすと考えられているため、女性より尿路結石ができるのが多く、男女比はおよそ2:1とされています。

  

尿路結石の症状は

尿路結石の症状は、疝痛発作と呼ばれる激しい痛みが特徴的で、冷や汗、吐き気をともなうこともあります。みなさんも結石は痛いというイメージがあると思いますが、結石のある場所や大きさによっては、無症状や鈍痛程度の場合もあります。
激しい痛みが出る原因としては、狭い尿路に結石が詰まって尿の流れが妨げられ、尿路内の圧が急激に上昇するためです。この場合は背中や脇腹に激しい痛みを感じます。また、結石により尿路の内部が傷つけられると血尿が出たり、膀胱結石では残尿感や頻尿などの症状があらわれることもあります。
結石が小さな場合は、痛みがあっても自然に尿と一緒に排出されることもある一方、腎臓の腎盂や腎杯など上部尿路に結石がとどまっている場合は、ほとんど自覚症状がないこともあります。そのまま放置しておくと、腎臓で作られた尿がせき止められて、尿の通り道や腎臓内に尿がたまってしまい拡張した『水腎症』と呼ばれる状態になることもあります。

 

尿路結石について関連記事はこちら

詳しくはこちら

尿路結石の原因は

結石の元となるのは、カルシウムやマグネシウム、尿酸、リン酸、シスチン酸、シュウ酸、などの物質です。これらが尿の中で飽和状態となると、腎臓で結晶化して、その結晶が凝集・成長して結石になると考えられています。
尿路結石は、結石を構成している物質によっても分類でき、シュウ酸カルシウム結石、リン酸カルシウム結石、尿酸結石などがあり、物質によって結石の色や形が違ってきます。そのため排出された結石を見れば発症原因の判断材料になります。

  

検査方法と診断

・超音波検査

超音波検査は、上部尿路の閉塞による水腎、水尿管の程度を診断するのに有用であり,無侵襲です。腎、上部尿管、膀胱近傍の結石を識別することができ、これらの部位に存在する5 mm 以上の結石では、感度、特異度とも95%以上です。しかし、全部位では同定できないこともあります。

  

・KUB

KUB での診断率は感度や特異度はやや低めではあるものの、尿路結石の経過観察として用いられめおり、また結石の成分についてレントゲン透過性の鑑別することが出来ます。

  

・単純CT

単純CTは尿路結石の標準的な診断方法とされています。尿路以外の腹部所見も見ることができ、診断率、特異性ともに高いです。また結石の密度・内部構造・皮膚からの距離などを測定することが出来るため、治療方針の決定にも有用です。しかし欠点として、放射線被曝量が多いことや、腎機能,尿路の形態などの情報が十分得られないことが挙げられます。

  

・low-dose CT

低線量のCTを用いることで、通常のCTより被曝量を減少することが出来ます。また、3 mm 以上の尿路結石についてはlow-dose CT でも通常のCT と同様の診断率が得られると言われています。

  

・IVU

IVU は上部尿路の通過障害や尿路奇形などの診断が可能で、治療計画の策定に有用です。

  

尿路結石の治療方法

10mm未満の尿路結石だと自然排出されることもあります。10 mm 以上の尿管結石においては,自然排石の可能性は高くなく、積極的な結石除去がすすめられます。また症状発現後1 か月以内に自然排石を認めない場合は、腎機能障害や感染を防ぐため積極的に治療をしていきます。
治療法としては体外衝撃波結石破砕術(extracorporeal shock wave lithotripsy:ESWL)が推奨されており、長径10 mm 以上または長径10 mm 未満の結石にも有用です。

  

尿路結石の予防方法

予防としては、食生活がとても大切になってきます。結石の原料を増やさないようにタンパク質・脂肪と炭水化物・ビタミンとミネラルをバランス良く摂ることが重要です。そして、結石形成を防ぐには、水分を十分に補給することです。尿の量が多ければ、小さな結石ができても自然に排泄されることにつながります。
結石の種類によっては、あまり食べないほうがよい食品もあります。また、注意する点も異なってきます。
結石の種類として多い2種類の結石を例として挙げます。

・シュウ酸カルシウム結石

シュウ酸とはいわゆるアクの成分です。シュウ酸が多く含まれる食品としてホウレンソウ、タケノコ、紅茶、チョコレートなどがあります。また、動物性タンパク質、砂糖、塩分のとりすぎは尿中のカルシウム濃度を高め、脂っこいものも尿中のシュウ酸濃度を高めます。これらの食品の摂りすぎなどには注意しましょう。
以前は結石に良くないとされていたカルシウムですが、腸の中でシュウ酸と結合してシュウ酸の体内への吸収を抑制してくれるので、積極的にとるようにしましょう。

  

・尿酸結石

尿酸はプリン体が多く含まれるビール、肉類、魚の干物、シイタケなどをとることで増加するので、これらの食物のとりすぎには注意しましょう。
まず食事の量とともにすべての種類のアルコールの量を減らし、プリン体(ビール・鶏卵・魚卵・肉・魚などに多く含まれる)の摂取が多い人はそれらを控える、水分と野菜を多くとる、軽い有酸素性運動を行うなどが有効です。
しかし、過度な運動や無酸素性運動を行うと、逆に尿酸が産生されやすくなり、尿酸値が上昇してしまいますので、尿酸がすでに高い人の場合は、ウォーキングなどの軽い有酸素性運動にとどめておきましょう。

  

まとめ

尿路結石は痛みを伴うものもあれば伴わないものもあります。激しい痛みを感じたときはもちろん、腹部の鈍痛などが気になる場合は早めに医療機関で診察を受けるようにしましょう。また、尿路結石は再発しやすい病気ですので、定期的な検診を受けることをおすすめします。
尿路結石は食生活の改善で十分予防できる病気です。シュウ酸やプリン体を多く含む食品を摂りすぎたりせず、日頃の食事には注意するようにしましょう。

 

当院での尿路結石の検査・治療方法はこちら

詳しくはこちら

  

MYメディカルクリニック顧問 北村 唯一医師

監修:MYメディカルクリニック 顧問

北村 唯一 Dr. Sasakura Wataru

略歴

  • 1973年 東京大学医学部医学科 卒業
  • 1998年 東京大学医学部附属病院泌尿器科 教授
  • 2006年 財団法人 性の健康医学財団 理事
  • 2008年 東京大学 名誉教授
  • 2008年 社会福祉法人あそか会 あそか病院 院長
  • 2011年 財団法人 性の健康医学財団 理事長
  • 2013年 社会福祉法人あそか会 あそか病院 名誉院長
  • 2014年 自靖会親水クリニック 院長
  • 2014年 光靖会北村記念クリニック 名誉院長
  • 2018年 医療法人社団裕志会 理事長
  • 2022年 医療法人社団MYメディカル 顧問

北村顧問の詳しい紹介はこちら

詳しくはこちら

一覧に戻る