子宮筋腫とは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/04/12

子宮筋腫とは?原因、症状、治療法について解説

今回は渋谷院医師の松下医師が「子宮筋腫」についてご説明します。

子宮筋腫って何?

子宮筋腫は子宮に筋肉のこぶができる良性の病気です。

珍しい病気ではなく、月経がある期間は発生する可能性があり30歳以上の女性の20〜30%にみられます。
特に症状もなく健康診断時に偶然指摘されることも多くあります。女性ホルモンで大きくなると考えられており、閉経すると小さくなることが多いです。子宮筋腫は複数個できることが多く、数や大きさは人によりさまざまです。
子宮筋腫に見た目が似た悪性の病気(子宮肉腫)のことが稀にあるため、子宮筋腫と診断された場合も経過観察が必要です。定期検診の時期でなくても、腹痛や不正性器出血、腹部膨満などの症状があれば早めにかかりつけ医を受診してください。
また子宮筋腫はできる場所によって、子宮の内側(粘膜下筋腫)、子宮の筋肉の中(筋層内筋腫)、子宮の外側(漿膜下筋腫)の3つに分かれます。

子宮筋腫の症状って?

主な症状は、過多月経(月経量が多くなる)と月経痛です。その他の症状としては、貧血、帯下(おりもの)異常、不正性器出血、腰痛、頻尿、便秘などがあります。また、不妊症や流産の導因になります。

症状はできる場所によって異なり、粘膜下筋腫は小さくても症状が強く、月経量が多くなります。逆に漿膜下筋腫は大きくなっても症状がでない傾向があります。そのため治療が必要かどうかは、子宮筋腫のできた場所や症状によって異なります。

診察を行う柳原医師

婦人科健診について

詳しくはこちら

子宮筋腫の検査について

内診や超音波検査で子宮筋腫大きさ、数、場所を確認します。子宮肉腫(悪性)との鑑別が必要な場合や手術を検討する場合には、MRI検査をすることもあります。

子宮筋腫の治療について

治療が必要な場合と治療は必要なく経過観察となる場合があります。無症状で子宮肉腫など悪性を疑う所見がなければ、定期的に超音波検査などで経過観察します。症状がある場合は薬物療法か手術療法を選択します。

1: 薬物療法

残念ながら、現在のところ、手術をせずに子宮筋腫をなくす薬は開発されていません。

閉経が近い方や手術を控えている方、症状が強く急いで治療しなければならない場合、偽閉経療法を行います。注射薬、点鼻薬、内服薬のいずれかを使って、女性ホルモンを閉経レベルまで低下させ、月経を止めます。月経がなくなることで月経痛や過多月経、貧血が改善します。子宮筋腫は小さくなるので子宮筋腫による圧迫症状が緩和されます。
閉経療法は骨密度が低下する副作用があるため、1回の治療で最長6ヶ月間しか継続できません。また、治療中に更年期症状が現れる場合があります。

月経痛、過多月経、貧血などの症状を抑えるための治療が対症療法です。鎮痛薬、漢方薬、鉄剤、低用量卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤、黄体ホルモン製剤、子宮内黄体ホルモン放出システムがあります。それぞれ解説していきます。

✩鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症剤):月経痛を改善します。

痛みが強くなってから使用しても効果が出にくいため、本格的に痛みが出る前から定時で使用すると効果が高いです。

✩漢方薬:月経痛を緩和します。

✩鉄剤:過多月経や過長月経による貧血を改善します。

✩低用量卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤(いわゆるピル):月経痛や過多月経を改善します。子宮筋腫自体を小さくする治療ではありませんが、続けることで子宮筋腫が大きくなりにくく、新たな子宮筋腫ができにくいと言われています。
月経痛や過多月経の他に、PMS(月経前症候群)、月経不順の改善、避妊目的にも使われます。稀ですが血栓塞栓症などの重篤な副作用がみられるので、医療機関で処方してもらいましょう。

✩黄体ホルモン製剤:月経痛を改善します。低用量卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤は副作用などで使えない方が使うことが多いです。

✩子宮内黄体ホルモン放出システム:子宮内に挿入する避妊具の中に黄体ホルモンを持続的に放出する装置が組み込まれているものです。黄体ホルモンが子宮内膜の発育を抑制するため子宮内膜が薄くなり、過多月経や月経痛を改善します。ただ、子宮内黄体ホルモン放出システムは、子宮筋腫を小さくする治療ではありません。子宮筋腫の位置や大きさにより、子宮内に挿入できない方、すぐに子宮外に脱落してしまう方がいます。5年毎に交換が必要です。

2: 手術療法

・保存手術
子宮筋腫核出術

妊娠の希望や予定がある年齢の方を対象とすることが多い手術です。
子宮筋腫をくり抜く方法で、妊娠に必要な子宮を残すことが可能です。発生部位や大きさ、筋腫の数などを鑑み、開腹手術か腹腔鏡手術かを選択します。

粘膜下筋腫は子宮鏡下手術といって、お腹を切らずに腟からのアプローチで手術することができます。子宮筋腫が再発することがあるので、手術後も定期検診がすすめられます。

他に子宮動脈塞栓術(UAE)、MRガイド下集束超音波療法(FUS 手術ではありません)、子宮内膜焼灼術(MEA)が子宮筋腫に対する治療としてあります。特殊な治療のため、ご希望の方は実施施設にお問い合わせください。

・根治手術
子宮全摘術

妊娠の希望や予定がなく、子宮温存の必要性がない場合の手術です。
腹腔鏡手術、開腹手術、腟式手術のいずれかで、子宮筋腫とともに子宮筋腫の発生母地である子宮自体を手術で摘出します。卵巣を残せば、子宮摘出だけでは女性ホルモンは低下しません。
子宮を摘出すれば、子宮体がんや頸がんの心配が無くなりますので、手術後、子宮がん検診は基本的に不要になります。

まとめ

MYメディカルクリニックのレディース外来では子宮筋腫の診断、薬物治療、定期検診が可能です。手術適応がある方、手術ご希望の方は高次医療機関に責任をもって紹介させていただきます。

まずは、お気軽にご相談ください。

婦人科健診の診察内容について

詳しくはこちら

MYメディカルクリニック渋谷 受付

MYメディカルクリニック渋谷医師

松下 智香子 Dr. Chikako Matsushita

学歴

  • 宮崎大学 医学部 卒業

職歴

  • 自治医科大学附属病院 初期研修
  • 自治医科大学附属病院 婦人科
  • 国際医療福祉大学病院 派遣 産婦人科医長
  • 自治医科大学附属病院産 婦人科
  • 自治医科大学附属病院附属さいたま医療センター 婦人科
  • 社会医療法人 母恋 天使病院
  • ピュールレディースクリニック錦糸町院
  • 2022年8月 医療法人社団MYメディカル 医師

専門

婦人科

一覧に戻る