更年期障害とは?原因、症状、治療法について徹底解説

  • クリニックブログ
2023/10/31

更年期障害とは?原因、症状、治療法について徹底解説

「更年期障害」と聞くと、イライラやホットフラッシュのような症状を思い浮かべる方が多いかもしれません。実際は、更年期障害の症状や対処法も人によってさまざまです。
 
本記事では、更年期障害の原因や症状、治療法について解説します。
更年期障害に不安を感じている方、お困りの方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

更年期障害かもしれない体調不良を訴える女性
  

更年期障害とは

まず、更年期障害とは何かについて解説していきます。

更年期といわれる年齢

月経が永久に停止した状態を「閉経」といいます。最後の月経から12か月以上月経が来なければ閉経と判断し、最後の月経があった年齢を閉経年齢とします。
 
閉経年齢には個人差がありますが、平均すると50歳前後です。更年期は、閉経年齢の前後5年、合計10年間をさしますので、だいたい45歳〜55歳の時期を一般的に更年期といいます。
 

更年期症状と更年期障害の違い

更年期症状と更年期障害は同じようなものとして扱われることもありますが、意味が異なります。
更年期に身体に現れるさまざまな症状を「更年期症状」といい、これには病気は伴いません。更年期症状のうち、日常生活に支障をきたすほど、症状が重いものを「更年期障害」といいます。
 
更年期に現れる症状には個人差が大きく、ほとんど症状がないまま更年期を終える方もいれば、仕事や生活に支障が出るほど症状が重い方もいます。
 

更年期の症状

更年期の症状の現れ方はさまざまですが、主に以下の症状が現れます。
 
のぼせ、ほてり、発汗などのホットフラッシュに代表される血管運動系障害やイライラや不安感、不眠など精神神経障害が起こります。ほかに、倦怠感、肩こり、腰痛、頭痛、皮膚粘膜の乾燥などの症状が出ることもあります。
 

男性の更年期障害

更年期障害というと、女性特有のものというイメージがあるかもしれませんが、男性にも更年期障害が起こります。女性と同様に、性ホルモンの低下やバランスの乱れが原因です。
 
病気ではないのに漠然とした不調がある、ほてりや発汗などの身体症状、やる気の低下やイライラなど精神症状などが現れ、生活に支障をきたしている場合は更年期障害の可能性があります。

 
 

更年期障害の原因

更年期障害には、女性ホルモンが大きく影響しています。
次に、女性ホルモンの仕組みや更年期障害が起きる原因について、解説していきます。

女性ホルモンの仕組み

女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種があります。エストロゲンは、妊娠に備える役割のほか、髪の毛や肌を美しく保つなどの働きをしています。骨を丈夫にしたり、自律神経を整えるのもエストロゲンの役割です。
 
プロゲステロンは、妊娠を維持してサポートする役割を持っています。水分や栄養を身体にため込み、体温を上げる働きをします。これら2つのホルモンの働きにより、女性の身体には排卵や妊娠、月経が起こるのです。
 

更年期障害が起きる原因

更年期障害は、女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少することによって起こります。
更年期には卵巣の機能が衰えていき、エストロゲンの分泌量が低下します。エストロゲンは脳の指令により、卵巣から分泌されますが、更年期にはいくら脳からの指令があっても卵巣機能が低下しているため、エストロゲンの分泌量が増加しません。
 
その状態が続くことで脳に混乱が生じ、自律神経が乱れてさまざまな症状があらわれるのです。
 

更年期障害になりやすい方の特徴

生活習慣や環境、性格によっても更年期障害になりやすい方とそうでない方がいます。真面目、完璧主義、責任感が強い方などは更年期障害の症状が重くなりやすいと言われています。
 
また、更年期の年代は、子育てや親の介護、仕事でも責任のある立場になるなど、日々の生活にかかる責任や負荷もさまざまです。ストレスを感じやすい環境にある方は、更年期症状が出やすい傾向にあります。
 
栄養不足や睡眠不足も更年期症状の悪化につながりますので、生活習慣を整えることも大切です。

 

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更年期障害の治療法

更年期障害の改善には、薬を使った治療に加え、生活習慣の見直しもしましょう。
 

薬物療法

薬物療法には、ホルモン療法と漢方薬を利用した方法があります。
 

ホルモン療法

ホルモン補充療法(HRT)は、減少したエストロゲンを補う治療方法です。更年期障害のおもな原因はエストロゲンの減少ですので、エストロゲンを補うことによって更年期障害の改善をはかります。
 
特に、ほてりや、発汗などホットフラッシュの症状緩和に有効ですが、その他の症状の改善にも効果が期待できます。子宮体がんを予防するため、プロゲステロンも一緒に使用しますが、手術で子宮を摘出した方には、併用する必要はありません。
 

漢方薬

心疾患や持病によりHRTが出来ない方や、症状が多岐にわたる場合に漢方薬が用いられます。
漢方薬は、症状に直接作用する対症療法とは異なり、体全体のバランスを整えて症状を改善していくという考え方です。ホルモン療法と併用されることもあります。
 

カウンセリング・心理療法

更年期障害が原因の精神症状は、ホルモン補充療法で症状が改善する場合もあります。
ただし、症状が改善しない場合や、うつ症状がみられる場合には、専門家によるカウンセリングや認知行動療法などの心理療法が必要です。症状に合わせて、抗うつ薬や抗不安薬を使用することもあります。
 

食事療法

食事は、栄養素のバランスが大事です。積極的に摂りたい食品をご紹介します。
 

大豆食品

大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをするといわれています。
豆腐や納豆を積極的に摂るとよいでしょう。
 

ビタミンE

ホルモンバランスを調整するといわれています。
アーモンド、かぼちゃ、アボカドなどに含まれます。
 

ビタミンD

エストロゲンの減少により、骨密度が低下し骨粗しょう症のリスクが高まりますので、骨を強化する食品を意識しましょう。鮭、いわしなどの魚、しいたけ、まいたけなどのキノコ類や卵に多く含まれます。
 

運動療法

更年期障害には、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が有効です。無理のない範囲で、生活の中に運動を取り入れましょう。
適度な運動をすることで、骨粗しょう症の予防やストレス軽減、精神症状の改善にもつながります。
 
また、更年期には骨盤底筋の衰えにより、尿漏れ等のトラブルが起きやすくなりますので、骨盤底筋体操やヨガなどで、骨盤底筋を鍛えましょう。
 

更年期以降の健康管理

更年期以降はエストロゲンの減少で、病気のリスクが高まります。
ホルモンの材料はコレステロールです。女性ホルモンが作られなくなれば、体内のコレステロール値が高くなり、動脈硬化が起こりやすくなります。それにより、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの深刻な病気を引き起こす可能性があるでしょう。
 
エストロゲンの減少でインスリンの働きが低下し、糖尿病のリスクも高まりますので注意が必要です。
 
また、骨密度が低下し、骨粗しょう症のリスクも高まります。骨粗しょう症は、自覚症状が出にくい病気でもありますので、骨の健康を意識しておきましょう。
ほかには、認知症、性器の委縮や乾燥、排尿トラブル等も起こりやすくなります。これらの病気の予防のためには、バランスのとれた食生活と運動習慣などの健康管理が大切です。

 

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まとめ

更年期の症状や重症度には個人差があります。生活に支障をきたすほどの症状が出ている場合は、更年期障害といえますので、無理をせず病院を受診してください。
また、病院の治療と並行して、食事や運動等のセルフケアも症状の改善に有効です。無理のない範囲で取り入れてみましょう。

 

  

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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