お腹にガスが溜まるのはなぜ?お腹が張る原因と病気について解説

  • クリニックブログ
2025/01/21

お腹にガスが溜まるのはなぜ?お腹が張る原因と病気について解説

お腹にガスが溜まり、張った感じや不快感に悩まされることはありませんか?こうした症状は、食事や生活習慣が原因で起こることが多いですが、場合によっては病気のサインである可能性もあります。
 
本記事では、お腹にガスが溜まる理由や、生活習慣が与える影響について詳しく解説します。また、過敏性腸症候群や呑気症などの関連する疾患についても取り上げ、ガスが溜まった際の対処法や予防策を分かりやすく紹介します。日常生活をより快適にするための参考にしてみてください。

 
 

お腹にガスが溜まるのはなぜ?その理由は?

体内のガスには主に2つの発生源があります。1つは食事中や会話の際に無意識に飲み込んでしまう空気、もう1つは腸内細菌が食べ物を分解する過程で生じるガスです。通常、このガスは血液中に吸収されて肺から排出されたり、ゲップやおならとして体外に排出されたりしています。
 
健康な状態では、ガスの発生と排出のバランスが保たれ、お腹の中には約コップ1杯分(200mL程度)のガスしか存在しません。しかし、このバランスが崩れると過剰なガスが腸内に溜まり、お腹の張りや不快感を引き起こすことになります。
 
特に、腸内細菌のバランスが乱れて悪玉菌が増えすぎると、ガスの産生量が増加します。また、腸の動きが低下することでガスの排出が滞り、お腹の張りや痛み、食欲不振などの症状が現れることがあります。
 
 

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お腹にガスが溜まる可能性がある生活習慣

日常生活の中で何気なく行っている習慣が、お腹のガス溜まりの原因となっていることがあります。自覚のないまま続けている生活習慣を見直すことで、ガス溜まりの改善につながる可能性があります。
 

食べ方によってガスが溜まる

食事の仕方は、ガス溜まりと密接な関係があります。例えば、早食いの習慣がある人や、一口量が多い人は、知らず知らずのうちに空気を一緒に飲み込んでしまいがちです。
 
また、食事中の会話も空気を飲み込む原因となります。さらに、あまり噛まずに食べる癖がある方も要注意です。食べ物を十分に噛まないことで、消化不良を引き起こし、腸内でガスが過剰に発生する可能性が高まります。
 

便秘が原因でガスが溜まる

便秘によって腸内に便が溜まると、腸内細菌による分解が進み、ガスが発生しやすくなります。このガスは体外に排出されるため、おならの回数が増加することになります。
 
さらに、便秘で溜まった腸内ガスが腸管から吸収され、血管を通って肺から放出されることで、口臭がおなら臭くなることもあります。このような状態が続くと、腸内環境が悪化し、さらなるガスの蓄積を招く悪循環に陥る可能性があります。
 

肉類やにんにくの過剰摂取でガスが溜まる

 

 
肉類を大量に摂取すると、小腸での消化が追いつかなくなり、未消化の食物が大腸内で分解されることになります。特に、肉に含まれるタンパク質が分解される際、ウェルシュ菌などの悪玉菌による腐敗が発生し、アンモニアや硫化水素、二酸化硫黄、スカトールといった臭い成分を含むガスが発生します。その結果、強い臭いを伴うおならが増加することになります。
 

運動不足によってガスが溜まる

デスクワークが多い人や運動習慣のない方は、腸の動きが鈍くなっている可能性が高いです。運動不足により腸の蠕動運動が妨げられると、お腹にガスが溜まりやすくなります。日常生活の中で、仕事や勉強の合間にお腹周りを動かすストレッチを取り入れることが効果的です。1日30分程度の軽いウォーキングでも十分な効果が期待できますので、運動を習慣化することをお勧めします。
 

おならが増える疾患もある?

慢性胃炎や過敏性腸症候群などの疾患に罹患すると、腸にガスが溜まりやすくなることがあります。過敏性腸症候群では、便秘と下痢を繰り返すことで腸内環境が乱れ、ガスの産生が増加します。
 
また、大腸がんが進行すると便秘が悪化し、それに伴っておならの回数が増加することもあります。このように、おならの増加は単なる生活習慣の問題だけでなく、重大な疾患のサインである可能性もあります。
 
 

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お腹にガスが溜まる場合に可能性がある病気

お腹のガス溜まりが長期間続く場合、何らかの疾患が隠れている可能性があります。症状を放置せず、適切な診断を受けることが重要です。
 
以下に、ガス溜まりの症状を引き起こす可能性のある主な疾患について説明します。
 

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群は、腹痛や腹部の不快感が慢性的に続き、便秘や下痢を繰り返す疾患です。特徴的なのは、検査をしても腸に明確な異常が見られないことです。
 
主な原因として、不安や緊張などの精神的ストレス、気候変動による環境的ストレス、過労などの身体的ストレスが挙げられます。症状は人によって異なりますが、便通の異常に加えて、ガスが溜まって苦しむ方も少なくありません。
 

呑気症

空気の主成分である窒素は体内で吸収されにくく、ゲップやしゃっくりで排出されます。しかし、排出されなかった空気は腸へ下降し、腸内ガスとして蓄積されていきます。
 
その結果、おならの回数が増加することになります。呑気症は、一気飲みや一気食いをする習慣がある方、口呼吸の方、早食いの傾向がある方に多く見られます。また、精神的なストレスにより、無意識に空気を飲み込んでしまう方もいます。
 

大腸がん

大腸がんは、運動不足や喫煙、野菜不足などが原因で発症するがん疾患です。症状としては、お腹の張りをはじめ、下痢、血便、便が細くなる、食欲不振などが現れます。
 
注意すべき点は、初期の段階ではほとんど症状が現れないことです。そのため、定期的な検査による早期発見が重要となります。進行すると便秘が悪化し、それに伴っておならの回数が増加することもあります。
 

慢性胃炎

慢性胃炎は、胃の粘膜が慢性的に炎症を起こしている状態を指します。原因の約80%がピロリ菌感染によるものとされています。主な症状として、腹部の張りやおならの増加、ゲップなどが見られ、さらに胃痛、吐き気、胸焼けなども伴うことがあります。放置すると胃潰瘍や胃がんに進行するリスクもあるため、早期の治療が推奨されます。
 

機能性ディスペプシアとガスの関連性

機能性ディスペプシアは、検査で病的な異常が見つからないにもかかわらず、胃や腹部に不調が現れる疾患です。お腹の張りに加えて、胸焼けや胃痛、胃もたれなどの症状も出現します。症状の原因が特定できないため、治療が難しい場合もありますが、生活習慣の改善や薬物療法により症状の緩和が期待できます。
 
 

お腹にガスが溜まった時の対処法

お腹のガス溜まりに悩まれている方のために、日常生活で実践できる効果的な対処法をご紹介します。ただし、これらの対処法を試しても改善が見られない場合は、何らかの疾患が隠れている可能性もありますので、医療機関への相談をお勧めします。
 

便秘改善ができる生活習慣を心がける

便意を我慢しないことは、便秘予防の基本です。また、水分を頻繁に摂取することと、食物繊維を積極的に摂ることも重要です。豆類やイモ類などの食物繊維が豊富な食品に加え、ヨーグルトや乳酸飲料なども積極的に取り入れましょう。
 
さらに、きな粉やはちみつ、インゲン、バナナ、納豆など、オリゴ糖を含む食品も便秘改善に効果的です。これらの食品を日々の食事に取り入れることで、腸内環境を整え、ガス溜まりの改善が期待できます。
 

ストレスをためないようにする

ストレスは消化管をはじめ、身体のあらゆる部分に悪影響を及ぼします。休日には趣味や旅行、スポーツなどを楽しみ、心身をリフレッシュすることが大切です。ストレスによって自律神経のバランスが乱れると、腸の動きが低下してガスが溜まりやすくなります。また、緊張や不安によって無意識に空気を飲み込んでしまう機会も増えます。リラックスできる時間を意識的に作ることで、腸の健康維持につながります。
 

肉類の過剰摂取を避ける

肉類やネギ類、ニンニクなどの食品は、過剰に摂取するとおならの臭いが強くなりやすいとされています。このような状況を改善するために、ヨーグルトなどを摂取して善玉菌(ビフィズス菌など)を増やし、腸内環境を整えていくことが重要です。腸内細菌のバランスが整うことで、ガスの発生が抑えられ、お腹の張りも軽減されます。適度な量を心がけ、バランスの取れた食事を心がけましょう。
 

適度な運動をする

 

 
腸の蠕動運動を活発にするためには、適度な運動が欠かせません。デスクワークが多い方は、仕事や勉強の休憩時間を利用して、お腹周りを動かすストレッチを行うことをお勧めします。
 
1日30分程度の軽いウォーキングでも十分な効果が期待できます。運動習慣を身につけることで、腸の動きが活発になり、ガスの排出がスムーズになります。継続的な運動は、体全体の健康維持にも役立ちます。
 

身体を温めたりマッサージをしたりする

運動やマッサージは、腸の蠕動運動を促進する効果があります。特に、ぬるめのお湯でゆっくり浸かる半身浴がお勧めです。お腹を温めることで腸管の血行が良くなり、腸の動きが活発になります。マッサージを行う際は、力を入れすぎないよう注意しながら、お腹全体をやさしくマッサージすることで、ガスの排出を促すことができます。
 
 

まとめ

お腹のガス溜まりに関する正しい知識と対処法を理解することは、快適な生活を送るための重要な要素です。食事の取り方や運動習慣、ストレス管理など、日常生活での適切な対応により、多くの場合は症状の改善が期待できます。しかし、ガス溜まりが長期化する場合は、様々な疾患の可能性も考えられるため、早めの医療機関への相談が望ましいでしょう。適切な生活習慣の改善と必要に応じた医療専門家への相談により、お腹の不快感から解放され、健康的な毎日を送ることができます。
 
 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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