内視鏡検査でわかること|病気の早期発見に繋がる

  • クリニックブログ
2025/01/09

内視鏡検査でわかること|病気の早期発見に繋がる

「胃が痛い」「お腹の調子が悪い」そんな症状があっても、内視鏡検査は「痛そう」「苦しそう」というイメージから、なかなか受診に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。
 
実は、医療技術の進歩により、現在の内視鏡検査は患者さんの負担を大幅に軽減できるようになっています。細い内視鏡や鎮静剤の使用など、様々な工夫で快適に検査を受けられる時代になりました。
 
本記事では、内視鏡検査でどんな病気が分かるのか、どのような検査方法があるのかをご紹介します。早期発見・早期治療のメリットを理解し、不安なく検査を受けていただくための情報が満載です。検査に対する漠然とした不安が解消され、ご自身の健康管理に役立つ知識が得られるはずです。
 
 

内視鏡検査とは?どんな検査ができる?

近年の医療技術の進歩により、内視鏡検査は以前と比べて格段に患者さんの負担が軽減されています。消化管の様々な病気を早期発見できる重要な検査方法として確立されています。
 
ここでは、内視鏡検査の基本的な仕組みから、どのような病気が発見できるのかまで詳しく解説していきます。
 

内視鏡とは

内視鏡検査は、先端にカメラを内蔵した直径約5~10mm程の細い管(スコープ)を用いて、普段は見ることのできない体内を直接観察する検査です。口や鼻、肛門から挿入し、食道、胃、十二指腸、大腸などの消化管内部をリアルタイムにモニターで確認することができます。
 
検査中に異常が見つかった場合は、内視鏡に付属する専用の器具を使って、その場で組織を採取(生検)したり、ポリープを切除したりすることも可能です。また、近年では細径内視鏡の登場や、鎮静剤の使用により、検査時の苦痛も大幅に軽減されています。
 

内視鏡検査で明らかになること

内視鏡検査では、消化管の様々な病気を発見することができます。特に早期がんの発見には非常に効果的で、食道、胃、大腸それぞれの部位で特徴的な病変を詳しく観察することが可能です。以下、各部位で発見できる主な病気について説明していきます。
 

食道の病気

食道の内視鏡検査では、主に食道がんや逆流性食道炎などの発見に役立ちます。特に食道がんは早期発見が重要で、初期段階では自覚症状がほとんどないため、定期的な検査が推奨されています。胸のつかえ感や、急な体重減少などの症状がある場合は要注意です。
 
また、食道静脈瘤の有無や程度も確認できます。アルコールをよく飲む方や喫煙者は、食道がんのリスクが高いとされているため、特に注意が必要です。内視鏡検査は、これらの病気を早期に発見し、適切な治療につなげる重要な役割を果たしています。
 

胃の病気

胃の内視鏡検査では、胃がんをはじめ、胃炎、胃潰瘍、ポリープなどの様々な病気を発見することができます。特に重要なのは、胃がんの原因となるピロリ菌感染の有無を確認できることです。胃がんの98%はピロリ菌が関連していると言われており、早期発見・早期治療が可能です。
 
また、慢性胃炎や急性胃炎の状態、胃粘膜の萎縮の程度なども詳しく観察することができます。みぞおちの痛みや胸焼け、食欲不振などの症状がある場合は、内視鏡検査で原因を特定することが重要です。
 

 

大腸の病気

大腸の内視鏡検査では、大腸がんやポリープ、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎などの発見が可能です。特に大腸がんは、多くの場合ポリープから発生するため、定期的な検査でポリープを早期に発見し除去することが予防につながります。
 
検査では直腸から結腸、盲腸に至るまでの大腸全域を観察することができ、血便や便通の変化、腹痛などの症状の原因を特定することができます。また、クローン病などの炎症性腸疾患の診断にも重要な役割を果たしています。早期発見により適切な治療法を選択することが可能です。
 
 

 大腸内視鏡検査についてはこちら

詳しくはこちら

 

 

治療における内視鏡検査の役割

内視鏡検査は単なる観察だけでなく、病気の早期発見から治療まで幅広い役割を担っています。医療技術の発展により、その活用範囲は年々広がっており、患者さんの体への負担を最小限に抑えながら効果的な治療を行うことが可能になっています。
 

内視鏡検査による病気の早期発見目的

内視鏡検査は、消化管の粘膜異常を高精度で発見できる重要な検査方法です。特にがんの早期発見において大きな役割を果たしています。臓器の内部を直接観察できるため、微細な変化も見逃さず、必要に応じて組織を採取して詳しい検査を行うことができます。
 
食道がんや胃がん、大腸がんなどは、初期段階では自覚症状がほとんどないため、定期的な内視鏡検査による早期発見が非常に重要です。また、がんの前段階となるポリープや、胃がんの原因となるピロリ菌感染の有無なども確認することができ、予防医療の観点からも重要な役割を担っています。
 

内視鏡検査は治療の手段

内視鏡検査は診断だけでなく、治療手段としても活用されています。特に内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)といった治療法により、早期がんやポリープを手術することなく切除することが可能です。
 
これらの内視鏡治療は、従来の開腹手術と比べて患者さんの身体への負担が大幅に軽減され、入院期間も短縮できるというメリットがあります。また、消化管の出血に対する止血処置や、狭窄した部分を広げる治療なども、内視鏡を用いて行うことができます。
 
このように、内視鏡治療は低侵襲で効果的な治療方法として、現代医療において重要な位置を占めています。
 
 

内視鏡検査は痛みや苦しみを伴うのか?

多くの方が内視鏡検査に対して「痛そう」「苦しそう」というイメージを持っているのではないでしょうか。しかし、近年の医療技術の進歩により、検査時の苦痛は大きく軽減されています。
 
ここでは、実際の検査における痛みや不快感、それらを軽減するための方法について詳しく解説していきます。
 

内視鏡検査で気になる痛みや不快感

内視鏡検査では、のどの反射(咽頭反射)による不快感が最も一般的な症状です。特に口からの検査では、舌の付け根をスコープが通過する際に「オエッ」となりやすい方もいます。しかし、現在では直径5mmほどの細い内視鏡も開発されており、鼻から挿入する経鼻内視鏡検査も可能になっています。
 
経鼻内視鏡は従来の経口内視鏡と比べて、咽頭反射が少なく、検査中も会話ができるため、精神的な不安も軽減されます。また、心臓や肺への負担も少ないことが特徴です。ただし、鼻腔が狭い方では挿入時に痛みを感じたり、鼻出血を伴ったりすることもあります。
 

鎮静剤の使用と内視鏡検査の痛み

内視鏡検査時の不安や苦痛を軽減するために、鎮静剤の使用が有効な選択肢となっています。鎮静剤を使用すると、ウトウトと眠った状態で検査を受けることができ、患者さんの身体的・精神的な負担を大幅に軽減することが可能です。
 
さらに、鎮静剤により体の力が自然と抜けることで、内視鏡スコープの挿入や観察がよりスムーズになり、検査の質も向上します。鎮静剤の使用は患者さんの希望に応じて検討されますが、高齢の方や薬アレルギーのある方など、使用できない場合もあります。使用後は約1時間の安静が必要で、当日の車の運転はできないなどの制限があることにも注意が必要です。
 
 

内視鏡検査の受け方の流れ

内視鏡検査は、検査部位や目的に応じて手順が異なりますが、どの方法でも快適さを優先しながら進められます。以下では、代表的な胃内視鏡検査と大腸内視鏡検査について、その準備や実施方法を具体的に解説します。
 

胃内視鏡検査の受け方

胃の内視鏡検査には、口から挿入する経口法と鼻から挿入する経鼻法があります。それぞれに特徴があり、患者さんの状態や希望に応じて選択することができます。以下、それぞれの方法について詳しく説明していきます。
 

経口挿入の場合

経口内視鏡検査では、午前中の検査の場合は、前日の夕食は21時頃までに済ませ、それ以降は水やお茶以外の飲食を控えます。検査当日は、検査の1時間前まで水やお茶のみ摂取可能です。
 
検査時には、胃の中の泡を消す消泡剤を服用し、その後のどに麻酔をかけます。必要に応じて胃の動きを抑える鎮痙剤や、リラックスするための鎮静剤を使用することもあります。検査台で左側を下にして横になり、マウスピースを装着して検査を開始します。通常の検査時間は5~10分程度です。鎮静剤を使用した場合は、検査後1時間ほどの安静が必要です。
 

経鼻挿入の場合

経鼻内視鏡は、直径約5.4mmの細い内視鏡を使用します。検査前に両鼻に麻酔スプレーを噴霧し、その後麻酔ゼリーを注入して鼻腔を麻酔します。必要に応じて、鼻腔を広げるためのチューブによる処置を追加することもあります。
 
経鼻内視鏡の大きな特徴は、検査中に会話ができることで、医師とコミュニケーションを取りながら検査を進めることができます。また、咽頭反射(吐き気)が少なく、心肺機能への影響も少ないため、多くの方が経口法よりも楽に感じられます。
 
ただし、鼻腔が狭い方は痛みを感じたり、鼻出血を起こしたりする可能性があるため、事前に医師と相談が必要です。
 

大腸内視鏡検査の受け方

大腸内視鏡検査では、腸内をきれいにする前処置が最も重要です。検査の3日前から繊維の多い食品や種の多い食品を控え、前日の夕食は20時までに済ませます。その後は腸管洗浄剤を服用して腸内を洗浄します。
 
検査では肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸まで大腸全体を観察します。検査中は体位を変えたり、腸を膨らませたりする必要があるため、腹部の張りを感じることがありますが、必要に応じて鎮痛剤や鎮静剤を使用することができます。
 
検査時間は通常20分程度ですが、ポリープ切除などの処置を行う場合は30分程度かかることもあります。鎮静剤を使用した場合は、検査後1時間ほどの安静が必要で、当日の車の運転は避ける必要があります。
 
 

 大腸カメラ検査についてはこちら

詳しくはこちら

 
 

まとめ

内視鏡検査は、消化管の病気を早期発見し、適切な治療につなげるための重要な検査方法です。かつては苦痛を伴う検査というイメージが強かったものの、医療技術の進歩により、細径スコープの登場や鎮静剤の使用など、患者さんの負担を大きく軽減する工夫が施されています。
 
定期的な内視鏡検査を受けることで、がんをはじめとする様々な消化器疾患を早期に発見し、体への負担が少ない内視鏡治療で対応できる可能性が高まります。健康な生活を維持するために、内視鏡検査を積極的に活用することをお勧めします。
 
 

 MYメディカルクリニックの内視鏡検査についてはこちら

詳しくはこちら

 
 
 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
一覧に戻る