メタボリックシンドロームの診断基準と予防・改善方法を解説

  • クリニックブログ
2023/12/18

メタボリックシンドロームの診断基準と予防・改善方法を解説

「メタボリックシンドロームはどのくらいの数値から診断されるの?」
「メタボリックシンドロームを予防したい」
「メタボリックシンドロームを何としてでも改善したい」
このような、メタボリックシンドロームに関する疑問や悩みはありませんか?
 
以前からメタボリックシンドロームはコマーシャルや番組などでも取り上げられているため「知っている」または「名前くらいは聞いたことがある」という方も少なくないでしょう。
しかし、実際の詳しいリスクや診断基準は知らないという方も多いのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、メタボリックシンドロームの診断基準や予防方法、改善方法について解説します。
メタボリックシンドロームについて不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

メタボリックシンドロームに悩む男性
 
 

メタボリックシンドロームとは

メタボリックシンドロームはどのような状態なのか、特徴や原因、生活習慣病との違いを解説します。

メタボリックシンドロームの特徴となる原因

メタボリックシンドロームとは、簡単にいうと内臓肥満に脂質異常や高血糖、高血圧が合併し、心臓病や糖尿病などになりやすい状態のことです。
 
腹囲が大きくても診断項目に該当しない場合は、メタボリックシンドロームとは診断されません。
メタボリックシンドロームになる原因は、下記のような「乱れた生活習慣」です。
 

  • ● 不健康な食生活
  • ● アルコールの摂りすぎ
  • ● 喫煙
  • ● 運動不足
  • ● 睡眠不足

 
これらの要素は内臓脂肪を溜まりやすくさせ、メタボリックシンドロームの発症リスクを高めます。
 

不健康な食生活

不健康な食生活は脂肪の蓄積を促す要因です。
具体的には、お腹いっぱいに食べる、甘いものをたくさん食べるといった食生活です。
食事量の取りすぎはカロリー摂取の過多につながり、脂肪を蓄積しやすくします。
また、甘いものを摂りすぎると余分な糖質の量が多くなり、その分脂肪への変換を促します。

 

アルコール

たしなむ程度であればそれほど問題はありませんが、アルコールの取りすぎはメタボリックシンドローム発症の要因です。
アルコールは、内臓脂肪をつけやすくする作用のある「ステロイド」というホルモンを分泌させると言われています。そのため、アルコールを摂りすぎると内臓脂肪の量が徐々に増え、ビール腹の要因になります。

 

喫煙

喫煙もメタボリックシンドロームのリスクを高める習慣のひとつです。
喫煙は血管内皮にダメージを与えるため、中性脂肪の上昇や善玉コレステロールの低下を起こし、メタボリックシンドロームを引き起こしやすくします。
ほかにも、インスリン抵抗性や交感神経の緊張を高めて血圧を上昇しやすくすることも、喫煙でメタボリックシンドロームのリスクを高める理由です。

 

運動不足

運動不足は、内臓脂肪の蓄積を促しメタボリックシンドロームを発症させる要因のひとつです。
運動量の減少に伴いカロリー消費量や基礎代謝も低下するため、摂取エネルギーが消費しきれず体に蓄積されやすい体質になってしまいます。
太りやすい体質になると、内臓脂肪や皮下脂肪を溜め込みやすくなるため、メタボリックシンドロームを引き起こすリスクを高めます。

 

睡眠不足

睡眠不足が続く状態は、喫煙習慣と同様にインスリン抵抗性や交感神経の緊張を高めるため、メタボリックシンドロームのリスクを高めます。
加えて、睡眠不足は食欲を刺激するホルモンの分泌を促進させ、食欲を抑制するホルモンの分泌を低下させます。
その結果、日中の食欲が増進されて食べ過ぎにつながり、摂取カロリーの過多で太りやすくなるのです。
 

生活習慣病との違い

メタボリックシンドロームは、生活習慣病の発症リスクが高まっている状態です。
一方で生活習慣病は、病気を発症してしまった状態です。
 
生活習慣病の代表的な例に、糖尿病や心臓病、脳卒中、がんなどが挙げられます。
生活習慣病はメタボリックシンドロームだけが要因ではなく、食生活や運動習慣、喫煙や飲酒などでも起こりえます。

 
 

メタボリックシンドロームの診断基準

メタボリックシンドロームは、内臓肥満に脂質異常や高血糖、高血圧が合併した状態ですが、具体的に各種数値がどこまで高まるとメタボリックシンドロームに該当するのか気になる方もいらっしゃるでしょう。
診断基準や各項目の数値、予備軍の診断基準や数値、痩せているのにメタボと診断されるケースについて解説します。

メタボリックシンドロームと診断される基準とは

脂質異常・高血糖・高血圧のどれか2つ以上と内臓肥満が合併していると、メタボリックシンドロームと診断されます。
各項目の数値は、以下のとおりです。
 

【腹囲】

  • ● 男性:85cm以上
  • ● 女性:90cm以上

 

【脂質異常】

下記のいずれか該当・もしくは両方該当

  • ● 中性脂肪:150mg/dl以上
  • ● 善玉(HDL)コレステロール:40mg/dl未満

 

【高血糖】

下記のいずれか該当・もしくは両方該当

  • ● 最低(収縮期)血圧:85mmHg以上
  • ● 最高(拡張期)血圧:130mmHg以上

 

【高血圧】

  • ● 空腹時血糖値:110mg/dl以上

 

腹囲や血圧は、メジャーや血圧計を持っていれば家でもチェックできますが、脂質異常や高血糖は医療機関で採血検査を受けなければチェックできません。
よって、きちんと結果を知りたい場合は、受診する必要があります。

 

メタボリックシンドローム予備軍の診断基準

メタボリックシンドローム予備軍は、内臓肥満と脂質異常・高血糖・高血圧の3つのうち一つでも当てはまると該当します。
「生活習慣が乱れている」「運動量が低下している」と感じている方は、改善せずにそのような状態を続けると、メタボリックシンドロームに進行するリスクがあります。
 
診断されていないとはいえ、メタボリックシンドローム一歩手前の状態なので、生活の改善につとめましょう。
 

痩せているのにメタボリックシンドロームの診断に?

BMIの数値が18.5未満の痩せ型であっても、体内で生活習慣病発症やメタボリックシンドロームのリスクを高める条件が揃っている状態が「痩せメタボ」です。
 
BMIが肥満の数値でなくても、運動不足やカロリーの摂りすぎなどで脂質異常・高血糖・高血圧の数値が悪くなっていることがあります。
見た目が痩せていても、数値が悪ければ糖尿病や心疾患、血液疾患といった病気の発症リスクの高さは肥満メタボ群とあまり変わらないことが分かっています。
見た目が痩せているからといって油断するのは危険といえるでしょう。

 
 

メタボリックシンドロームを放置することのリスク

メタボリックシンドロームを放置することで、疾患を引き起こすリスクが高まります。
メタボリックシンドロームによる疾患のなかには命に関わるものもあるため、発症させないことが大切です。
以降では、発症リスクのある疾患やその症状、メタボとの関連、各疾患を放置や悪化した場合のリスクについてお伝えします。

糖尿病

糖尿病は、インスリンの分泌がうまく働かず、血糖値が上がる疾患です。
生活習慣病のひとつで、糖質の摂りすぎが主な原因で発症します。
また、メタボリックシンドロームと診断された項目に高血糖が見受けられる場合は、改善しないと糖尿病に進行することがあります。
 
糖尿病の主な症状は以下のとおりです。
 

  • ● 喉がよく乾く
  • ● 排尿回数が増える
  • ● 体臭や尿が甘い臭いになる
  • ● 疲労を感じやすくなる など

 
糖尿病を放置したり悪化したりすると、合併症を起こして失明や腎不全、壊死による足の切断につながります。
 

 糖尿病については詳しくはこちら

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脂質異常症・動脈硬化

脂質異常症は、善玉コレステロールが過剰に少ない、もしくは悪玉コレステロールや中性脂肪が過剰に多い状態となる病気です。
 
そして、動脈硬化は脂質異常症が原因で起こりえる病気です。
メタボリックシンドロームと診断を受けた項目の中で脂質異常がみられる場合は、脂質異常症を発症しています。
放置していると動脈硬化のリスクが高くなるため、食生活の見直しが必要です。
動脈硬化を起こした状態でさらに放置したり悪化したりすると、心筋梗塞や狭心症といった心疾患を起こすリスクが高くなります。
 

 睡眠時無呼吸症候群については詳しくはこちら

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睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に無呼吸状態が何度かあったり、浅くなったりして低酸素状態が生まれる疾患です。
いびきを指摘されたり、睡眠中に何度も目が覚めたり、起床時がすっきりしなかったりといった症状がある方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
 
この病気は、肥満により気道が狭くなることが発症原因のひとつですので、メタボリックシンドロームと診断された方は注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群を放置していると、心筋梗塞、高血圧、脳卒中、糖尿病などの合併症を発症するリスクがあります。

 

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メタボリックシンドロームの予防方法

メタボリックシンドロームの予防方法は、大きく分けると「適度な運動」と「食習慣の改善」の2つです。
健康的な数値を目指し予防することは、重大な疾患の発症を予防することにもつながるため、できることから生活に取り入れてみましょう。

適度な運動

適度な運動はエネルギー消費を増加させ、内臓脂肪量を減らします。
また、筋力トレーニングは代謝を向上させる効果があるため、適度な運動と併せて行うと太りにくい体質を目指せるでしょう。
 
軽いウォーキングなどの強度が低い有酸素運動もよいですが、中程度の早歩きウォーキングは脂肪燃焼に効果的です。
脂肪燃焼を効率的にできる運動の強度は「ややきついけれど楽しく運動できるレベル」ですので、これに当てはまる早歩きウォーキングはゆっくりのウォーキングよりも脂肪燃焼効果が期待できます。

 

食習慣の改善

自身の一日のエネルギー消費量に見合った食事にすることで、脂肪の蓄積を予防できます。
また、食べ方も工夫することで、カロリー摂取の減少や食後血糖値急上昇の抑制も可能です。
 
具体的な方法は下記のとおりです。
 

  • ● よく噛んで食べる
  • ● 食物繊維(野菜や藻類)をしっかりとる
  • ● おかしは低GI値のものを選ぶ
  • ● アルコールの過剰摂取を避ける
  • ● 食物繊維が豊富なものから食べ、炭水化物は最後に食べる

 
 

まとめ

メタボリックシンドロームの原因は生活習慣であるため、誰にでも発症リスクはあります。
摂取カロリーをオーバーしすぎない、適度に体を動かすといった生活の積み重ねは、メタボリックシンドローム発症の予防につながるため、少し意識して食事や運動をしてはいかがでしょうか。


 
 

  

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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