過活動膀胱とは?原因や症状、頻尿に悩む方の割合などとあわせて解説!
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過活動膀胱とは?原因や症状、頻尿に悩む方の割合などとあわせて解説!
皆様の中には
「急な尿意で困っている」
「我慢できない尿意がある」
といったことで、お悩みの方もいらっしゃるかもしれません。それらの症状に悩まされている方は、もしかすると「過活動膀胱」になっているかもしれません。
この記事では、多くの方が悩む「過活動膀胱」について解説します。
過活動膀胱とは
過活動膀胱とは、過剰に膀胱の機能が活発化することで、尿を溜める機能が障害を起こしてしまっている状態のことです。
それでは、過活動膀胱の原因と症状について解説します。
過活動膀胱の原因と症状
過活動膀胱は、症状によって定義される病気です。
過活動膀胱を発症すると尿意切迫感や頻尿などの症状によって、何回もトイレに行ったり尿を漏らしてしまうことも。また、尿が十分に溜まらないうちに尿が出そうになります。
過活動膀胱を引き起こす原因は、神経因性過活動膀胱と非神経因性過活動膀胱の2種類があります。それぞれ原因や症状は、次の通りです。
神経因性過活動膀胱
神経因性過活動膀胱とは、中枢神経や脊髄、末梢神経を通して行われる排尿の過程で障害が起きてしまい、過活動膀胱が起こる病気です。
神経因性過活動膀胱は脳卒中や脳出血を初めとする中枢神経疾患、糖尿病や梅毒などの末梢神経障害などが原因として挙げられます。
また、尿失禁、排尿が上手くできない、尿が出ないといった症状が起こることもあるでしょう。
非神経因性過活動膀胱
非神経因性過活動膀胱とは、神経系以外の原因で過活動膀胱になっている状態です。
加齢や前立腺肥大、骨盤底の脆弱化といった原因で過活動膀胱を引き起こす恐れがあります。非神経性なので、さまざまな対策を行うことで改善することが可能です。
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過活動膀胱の検査と診断
過活動膀胱の検査方法は、以下の通りです。
- ● 過活動膀胱症状質問票(OABSS)
- ● 尿検査
- ● 超音波検査
過活動膀胱症状質問票(OABSS)
過活動膀胱の検査として用いられるのが、過活動膀胱症状質問票、通称OABSSです。
過活動膀胱の検査を行う際は、自覚症状があるかどうかが重要なので、質問票を通してどのくらいの点数になったかどうかで過活動膀胱の進行度を判断します。
OABSSは全質問の総合点数が3点以上であれば、過活動膀胱と診断されるのがポイントです。また、総合点数が5点以下は軽症、11点は中等症、12点以上は重症と判定されます。
尿検査
尿検査を行うことによって、過活動膀胱以外に症状がないか調べていきます。
尿検査で尿の中に出血がないか、他に炎症がないかを調べるのが一般的です。
膀胱炎や膀胱結石などの膀胱の病気が発見されなければ、過活動膀胱として診断されるでしょう。
超音波検査
超音波検査を行うのは、尿検査と同様に過活動膀胱以外の症状がないか検査するためです。尿検査を行った後には、超音波検査を行います。
超音波検査の方が尿検査よりも判断材料が多いため、膀胱炎や膀胱結石などの膀胱の病気が発見されなければ、過活動膀胱として診断されるでしょう。
過活動膀胱はどれくらいで治る?治療方法を解説
過活動膀胱は、薬物療法や行動療法、手術療法といった治療方法で改善していきます。それでは、それぞれの治療方法を解説します。
薬物療法
薬物療法では、基本的に膀胱の収縮を抑制して急な尿意を改善する抗コリン薬、尿が溜まったときに膀胱の拡張を促進するβ3受容体作動薬などが処方されます。
行動療法
行動療法は基本的に薬を使用しないので、副作用が起こりにくく、薬物療法との併用ができます。
基本的に、積極的な水分の摂取やカフェイン等の抑制などの生活指導、排尿間隔を少しずつ延ばす膀胱訓練、体操による骨盤底筋訓練などを行います。
最初は効果が実感できないケースがほとんどですが、続けるうちに少しずつ症状が改善されていくのがポイントです。
手術療法
薬物療法や行動療法でも改善が見られない場合は、手術療法で治療を行います。
手術療法で行われるのは、主にボツリヌス療法や仙骨神経刺激療法です。
ボツリヌス療法では、膀胱の筋肉を緩める薬を膀胱の壁に直接注射して治療します。一方、仙骨神経刺激療法は電極を埋め込んで仙骨神経に電気刺激を行う治療法です。
いずれも薬の副作用などで治療が継続できないときに、ボツリヌス療法や仙骨神経刺激療法を行っていきます。
市販薬や漢方薬を使用しても大丈夫?
過活動膀胱の治療で市販薬や漢方薬を使用しても大丈夫なのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
医師との相談の上で市販薬を使用しても良いと言われたら、市販薬による治療ができます。また、漢方薬での治療も可能です。
過活動膀胱を繰り返さないための予防策
過活動膀胱を繰り返さないための予防策は、以下の通りです。
- ● 生活習慣の見直し
- ● コーヒーなど利尿採用のある飲み物は控える
- ● 骨盤底筋体操
生活習慣の見直し
過活動膀胱を繰り返さないようにするためにも、生活習慣を積極的に見直していきましょう。
肥満やメタボリックシンドロームは過活動膀胱の原因になるため、生活習慣を見直して無理なく痩せていくのが理想です。他の病気や健康被害を引き起こす可能性もあるので、健康体を目指すことを意識しましょう。
また、飲酒や喫煙も膀胱に大きな刺激を与えてしまうため、禁酒・禁煙を心がけることが大切です。
コーヒーなど利尿採用のある飲み物は控える
コーヒーを初めとするカフェインが含まれている飲み物は、利尿作用によって排尿が促されてしまうので注意が必要です。利尿作用が促進されてしまうと排尿間隔が短くなって頻尿が誘発されるので、過活動膀胱が改善されにくくなります。
カフェインが含まれている飲料を避けるだけでも、過活動膀胱の改善につながります。
骨盤底筋体操
骨盤底筋体操は、膀胱を支える骨盤底筋を鍛える体操です。骨盤底筋を鍛えることで過活動膀胱はもちろん、尿失禁などの排尿障害にも効果があります。
まとめ
過活動膀胱は、神経因性過活動膀胱や非神経因性過活動膀胱などの原因で発症することがあります。
行動療法や薬物療法、手術療法で改善できますが、普段から過活動膀胱にならないように対策することが大切です。
普段から過活動膀胱を意識して予防することで、頻尿や尿漏れなどの症状に悩まされにくくなるでしょう。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師