PMSとは?月経前症候群の症状・原因・対処法を解説

  • クリニックブログ
2023/05/23

PMSとは?月経前症候群の症状・原因・対処法を解説

月経前不快気分障害(PMDD)って何?

月経周期における発症時期はPMSと同じですが、思い通りにいかず焦ったりイライラして気持ちの整理がつかず不安な状態や涙もろくなるなど、心の不調が強く出るために人間関係や日常生活に支障が出ている状態を【月経前不快気分障害:PMDD】と診断されます。

原因

症状が月経周期と同期して出現するため、女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)が関わっていると考えられますが、PMSとPMSではない方で比べると血液中のホルモン濃度には差がないことが確認されています。
原因は不明で、考える要因として下記の3つ挙げられます。

 

①女性ホルモンの変動

水分代謝に影響し、むくみや乳房の張りなどの身体症状を引き起こす。

 

②女性ホルモンと神経伝達物質(セロトニンとGABA)の関係

女性ホルモンの変動により、気分を落ち着かせたり不安を取り除いたりする神経伝達物質の【セロトニン】や【γアミノ酪酸(GABA)】がうまく働かない。
またPMSの人は、ビタミン・ミネラルの微量栄養素の欠乏状態のため、セロトニンやGABAの生成に必要なビタミンB6や、精神安定作用のあるカルシウムが不足している事が多い。

 

③交感神経、副交感神経の乱れ

PMSの方は、月経前に交感神経(興奮や緊張モードにする神経)が活発になり、副交感神経(リラックスする神経)が弱まる。

 

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PMSの症状とは

※症状 
下記の表のように<身体的症状><精神的症状><社会的症状>に分けられます。
個人差もあり、PMSの症状には200種類の症状があると言われています。

身体的症状
乳房緊満感、乳房腫脹、腹痛・腰痛、腹部膨満感、頭痛 、関節痛、食欲不振・過食、筋肉痛、体重増加、手足の腫脹・むくみ、肌荒れ・ニキビができやすい、疲れやすい
情緒的症状
抑うつ、怒りっぽくなる、集中力の低下、 いらだち、不安、混乱 、無気力
社会的症状
いつもの通り仕事ができない、面倒くさくなる、月経がいやになる、他人と口論する、家に引きこもる

また厚生労働省研究班のホームページ【女性の健康推進室 ヘルスケアラボ】の調査では、PMSやPMDDの症状は、「疲れやすく、気力がわかない」「感情が不安定になる」「身体的症状」「食欲増進」を感じている人が多かったです。
 
また同調査でも、月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)があるときの対処方法について調査した結果、月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害 (PMDD)があるときの対処方法をみると「いつもしている」と「たいていしている」の合計が最も多い のは、「症状が出ても我慢している」、次いで、「市販の痛み止めを服用している」でした。

 

検査や診断について

アメリカ精神医学会の定義(DSM-Ⅲ-R)によると、
①月経前1週間に下記の症状のうち⭕️印の4個のうち一つは存在
②月経とともに消失するという周期性があること
③あてはまる項目の合計が5つ以上になる
④これらの症状が日常生活に支障をきたす場合に診断されます。
 
⭕️抑うつ気分や落ち込みがひどい
⭕️突然悲しくなったり涙もろくなる
⭕️不安、緊張
⭕️いらいらしたり、怒りっぽくなる
⏹️仕事・趣味などへの興味消失
⏹️いつもより疲れやすく、活動性が低くなる
⏹️集中力低下
⏹️同じものを食べ続けたり、甘いものを食べたくなる
⏹️睡眠不足や睡眠過多
⏹️その他の身体症状がある(乳房緊満感・体重増加・むくみ・頭痛・肩こりなど)
 

検査項目

PMSではない他の病気の鑑別として、血液検査や経腟エコーを実施します
●血液検査→甲状腺や糖尿病・肝機能異常・貧血がないか確認
●婦人科→経腟エコーで子宮内膜症や子宮筋腫ないか確認
 


 

PMSの改善するためには?

PMSの治療方法は、以下のようなものがあります。

 

【カウンセリング】

*認知療法

症状が現れた時期や、具体的な症状の記録することで、パターンが把握できます。症状の状況に応じて仕事や家庭の負担や人と会う予定を調整ができます。

 

【薬物療法】

*漢方薬

血液循環改善(体質改善し、様々な症状を緩和する効果)

 
*鎮痛剤

月経痛・頭痛・腰痛

 
*睡眠導入剤

不眠症

 
*ビタミンCやビタミンB群などのビタミン剤

肌荒れ・ニキビ

 
*整腸剤

下痢症・便秘症

 
*エストロゲン・プロゲスチン配合薬(低用量ピル)

ホルモンバランス整える

 
*向精神薬(セロトニン再取り込み阻害薬)

精神症状

 

【生活改善】

①バランスのとれた食事をとる

*揚げ物やファストフードは控える
*ビタミン(ビタミンB6)やミネラル(カルシウム、マグネシウム、鉄)を意識して摂取する
*良質のたんぱく質をとる
*オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)を意識して摂取する
*精製されたものは控え、未精製のもの(白米より玄米)、白砂糖は控える

 
②血糖値がを急上昇させない

*野菜から食べる
*よく噛んで食べる
*血糖値を急激に上げる食品(砂糖、チョコレート、ケーキ)を避ける

 
③睡眠と休息を確保し、日々の疲れをためない

*GABAを摂取すると、入眠しやすくなり安眠につながる

 
④お腹や腰を温め、血行の改善する

 
⑤刺激物を避け、イライラを和らげる

*カフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶、栄養ドリンク)やアルコール、タバコは控える
*GABAを含む食材やGABAの生成をサポートするビタミンB6を摂取する

 
⑥むくみ予防

*塩分やアルコールを控える
*利尿作用のあるビタミンEを摂取する

 
⑦軽い運動で、気分転換はかる

*ストレッチ、ヨガ、散歩、深呼吸

 
⑧サプリメントの活用

*チェストベリー含有のもの・・・チェストツリーの果実でハーブの一種。PMSの症状緩和
*γトコフェロール含有のもの・・・ビタミンEの一種、むくみを軽減

 

【おすすめ食材】

☆GABA⇨⇨発芽玄米・野菜類・発酵食品

☆ビタミンB6⇨⇨マグロ・カツオ・バナナ、鶏ささみ

☆ビタミンE⇨⇨ブロッコリー、アーモンド、全粒の食品

☆カルシウム⇨⇨牛乳、チーズ

☆マグネシウム⇨⇨魚介類・海藻類

 

まとめ

月経前に出現する症状は個人差があります。「痛みを我慢するのが当たり前」など無理せず、PMSやPMDDは治療の対象になる疾患で、様々な治療法があります。当院の婦人科にご相談ください。

  

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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