胃が痛い場合の原因とは?胃痛に伴う病気についても解説
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胃が痛い場合の原因とは?胃痛に伴う病気についても解説
「ストレスがたまって胃が痛い」「突然胃が痛くなった」一度はこのような経験をした方は多いのではないでしょうか。
胃痛にはさまざまな症状があり、すぐに治るものから慢性的なもの、病院に行くべき症状の場合もあります。
この記事では、胃痛の原因と対策について解説します。ぜひ参考にしてください。
胃痛にはタイプがある
胃痛を起こす原因には以下3つのタイプがある
- ●胃けいれん
- ●胃酸による炎症
- ●胃腸機能の低下
では、上記がどのような痛みを起こすのか、特徴を一つずつ解説します。
胃けいれん
胃けいれんとは、まるで胃がけいれんしているように震えた感覚があり、同時に強い痛みを感じる症状です。
人によっては吐き気を感じたり、食欲不振を起こしたりすることもあります。
強い症状ですが、症状は数分程度で治まっていくため過度に心配する必要はありません。
胃けいれんは、温めたり軽く食事をとったりすると緩和されることもあります。
カフェインを摂取したり、辛い食べ物を食べたりすると悪化する可能性があり、食事をとる際は飲み物や食べ物に気を付けましょう。
胃酸による炎症
胃酸は食べ物を消化するために欠かせない消化酵素です。
しかし、過剰に分泌されると胃の粘膜や壁を刺激し、炎症を起こします。
空腹時に痛みを感じる場合は、胃酸により胃痛を感じている可能性が高いです。
このような胃酸の量が多い状態は「胃酸過多」と呼ばれています。
ストレスや寝不足といった生活の乱れや、カフェインのとりすぎといった刺激物などが影響しています。
胃酸過多の症状には、内服薬を飲むことで胃酸の分泌を抑制することが期待できます。
胃腸機能の低下
何らかの原因で胃腸機能の低下を起こした場合も胃痛を引き起こします。
原因が特定されない胃痛は「機能性ディスペプシア」と呼ばれており、食後に胃痛を感じるのが特徴です。
原因がはっきりと分からないため、確立された治療法はまだ見つかっていません。
胃腸機能が低下しているときに胃に負担をかけるのはよくないため、胃に優しいものを食べたり飲んだり、ストレスをできる限りためないようにすることが大切です。
胃が痛い主な原因とは?
胃が痛い時にまず原因を考える方も多いのではないでしょうか。
はじめに、胃が痛い主な原因について解説します。
ストレスがもたらす胃痛
ストレスと胃痛の関係は、自律神経とストレスホルモンの分泌によって生じます。
自律神経は、急なストレスが生じると体を守るために心拍数を高め、筋肉への血流を増やし、胃腸の働きを抑制します。
この状態が続くと胃の粘膜がダメージを受け、胃痛を引き起こすことがあります。
また、ストレスホルモンとして知られるコルチゾールが過剰に分泌されると胃の動きが悪くなり、胃酸が多く分泌されます。
これにより胃の粘膜が刺激され、胃痛や胃もたれ、胃酸逆流などの不快な症状を引き起こすことがあります。
胃粘膜が刺激されることによる胃痛
胃粘膜とは、胃の内部を覆っている薄い層のことで、胃酸から胃の内部を守る重要な役割を果たしています。
食事によって胃酸が分泌され、胃の内容物を消化する一方で、胃粘膜もまた胃酸を中和するための粘液を分泌しているのが胃粘膜です。
しかし、過度なストレス、過度な飲食、アルコールの過剰摂取、喫煙などで胃粘膜が刺激されると、そのバランスが崩れ、胃酸が胃粘膜に直接作用することにより痛みが発生することがあります。
ピロリ菌による胃痛
ピロリ菌はヘリコバクター・ピロリと呼ばれる細菌です。
健康状態に大きな影響を及ぼす一方で、国内の約30%の方が保菌しているとされており、適度な除菌が推奨されています。
ピロリ菌により胃酸が過剰に分泌されると、胃の粘膜がダメージを受け、胃痛を引き起こします。
また、ピロリ菌は胃粘膜を直接侵害し、炎症を引き起こすこともあります。
PMSや月経不順と胃痛の関連
PMSは、月経の開始前に一部の女性が経験する一連の身体的および精神的症状を指します。
症状は、気分の揺れ動き、頭痛、胃痛、便秘、腹部の膨満感などです。
特に、プロゲステロンのレベルが高まる時期、つまり月経の直前には、胃の動きが遅くなり、胃痛や消化不良が起こることがあります。
また、月経不順も精神的ストレスや身体的健康問題などにより、ホルモンバランスが乱れることで引き起こされます。
このホルモンバランスの乱れは、さまざまな消化器官の働きに影響を与え、胃痛を引き起こす可能性があります。
PMSについて詳しくはこちら
妊娠と胃痛
妊娠初期に起こる体の変化と胃痛との関連はいくつか存在します。
つわりの一環として感じることがあるなど、特に初期の段階で胃痛を感じる妊婦さんは少なくありません。
妊娠に伴うホルモンの変化で胃酸が逆流しやすくなることがあり、これが胃痛や胃もたれ、胸焼けの原因となることがあります。
サプリメントが胃の不調を招くケースもある
サプリメントは食事から補いきれない栄養素を賄うために使用されることが多いです。
しかし、飲み方を間違えている場合や、配合されている成分によっては胃の不良を招くことがあるため気を付けなくてはなりません。
例えば、ナイアシンが配合されているサプリメントを過剰に摂取すると、胃に負担がかかることがあるかもしれません。
また、サプリメントを食前に飲む場合も同様です。
健康維持に役立つものですが、過剰摂取をしても良い栄養がその分摂取できるわけではありません。
必ずサプリメントごとの一日の摂取目安量を守って使用しましょう。
胃が痛い時の対策と予防法
胃が痛いとき、どのような対策と予防が必要なのでしょうか。
ここでは、適切な食事調整、定期的な健康診断、ストレス管理、医師の診断を受けること、サプリメントの摂取量や痛みがある際の寝る姿勢などついて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
適切な食事調整
胃が痛い時に適切な食事調整が必要な理由は、食べたものが胃の働きに直結するためです。
胃は私たちが摂取した食物を消化し、栄養分を体に送り出す役割を果たします。
その働きは食べ物の種類や量、食べる時間などによって影響を受けます。
過度な食事や飲酒、またはスパイシーな食物やコーヒーなどの刺激物を摂取した場合、胃の粘膜が刺激されて胃酸分泌が増加し、胃炎や胃潰瘍などの胃の病気を引き起こす可能性があります。
また、食べすぎると胃が過度に膨張し、胃の筋肉に負担をかけることになります。
一方、食事を抜くと胃酸が直接胃壁に分泌され、胃痛を引き起こすことがあります。
また、長時間食事を摂らないと胃腸の働きが鈍り、消化機能が低下します。
食事調整で重要なのは、食べる内容だけでなく、食事のリズムや環境も大切です。
規則正しい食事時間を設け、食事をゆっくりと噛んで食べることで、胃腸の適正な働きに貢献できるでしょう。
胃が痛いときにおすすめの食べ物
胃痛に悩まされている際におすすめの食べ物をご紹介します。
以下は胃への負担がかかりにくく、胃に優しい食べ物です。
- ●人参
- ●青菜
- ●ジャガイモ
- ●りんご
- ●鶏ささみ
- ●白身魚
- ●うどん
- ●おかゆ
- ●卵
- ●豆腐
- ●ヨーグルト
胃に優しい食べ物の共通点は、食物繊維が少ないもの、脂質が少ないもの、柔らかいものです。
不溶性食物繊維は腹持ちが良いといわれていますが、溶けにくいため消化に時間がかかってしまうことがあります。
元気なときであればいいのですが、胃が疲れているときは酷使させてしまうためおすすめできません。
脂質の多さも消化に負担をかけるため、胃が痛い場合はヘルシーな食材がおすすめです。
もし、メニューを何にすればよいのか分からない方は、以下を参考にしてみてください。
食材のカテゴリー | 胃に優しい料理 |
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卵がゆ 煮込みうどん |
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煮魚 鍋料理 蒸料理 |
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煮浸し 煮物 |
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つくねの煮物 赤身肉のしゃぶしゃぶ 鶏ささみのホイル焼き |
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湯豆腐 | |
ポタージュスープ 温めた牛乳 プリン |
デザートを食べたいときはフルーツにする
デザートを食べたいと思った際にはフルーツを選ぶようにしましょう。
ケーキなどの洋菓子には砂糖が多く使われている上に、ケーキの場合はクリームがたくさん塗られています。
砂糖は胃腸に負担がかかることがあるため、たっぷり使われた甘いデザートはおすすめしません。
フルーツではあれば、天然の糖質でなおかつ水分が多く含まれています。
特に、水分量91.5%のスイカ、水分量90.5%のいちご、水分量90.2%のメロン(マスクメロン)がおすすめです。
胃が痛いときにおすすめの飲み物
胃が痛いときにおすすめの飲み物は以下のとおりです。
- ●常温水・白湯
- ●経口補水液
- ●乳酸菌飲料
- ●麦茶・ルイボスティー
- ●りんごジュース
<常温水・白湯>
常温水とは、冷蔵庫で冷やさず常温保存している水です。
冷たい飲み物は胃腸に影響を与えることがあるため、常温で摂取することが好ましいでしょう。
よりおすすめしたいのは白湯です。
白湯は一度沸騰させてからある程度時間が経過したお湯のことです。
胃腸を温める効果があるため、胃腸機能が高まります。
白湯は美容にも良い飲み物なので、代謝を上げて痩せやすい体質を目指している方にもおすすめです。
<経口補水液>
経口補水液とは、脱水にならないようにバランスよくミネラルが配合された飲料水です。
ミネラル類の吸収を素早くするサポートをするため、安心して飲めます。
ドラッグストアなどでも購入でき、手が届きやすいです。
水分補給にスポーツドリンクを選ぶ方もいますが、胃が痛い場合は避けておきましょう。
スポーツドリンクには砂糖がたっぷり配合されているためです。
運動中や熱中症予防の水分補給を考えている方は、経口補水液がおすすめです。
<乳酸菌飲料>
乳酸菌飲料は、胃の粘膜の保護をサポートするため、胃が荒れている際におすすめです。
さらに、乳酸菌飲料には胃腸の調子を整える場合に役立つとされています。
また、腸環境が整えば胃の消化もスムーズになり、結果的に胃腸の両方の改善が期待できるでしょう。
さまざまな味のものが登場していますが、プレーン味が無難です。
レモンが入っているものはかえって刺激を与えるため、おすすめしません。
<麦茶・ルイボスティー>
麦茶やルイボスティーは、お茶の中では数少ないノンカフェインの飲み物です。
カフェインは胃痛に悪い影響を与える可能性もあるので、ノンカフェインのお茶が望ましいです。
さらに、温めることで白湯のように胃腸を温めてくれるので、胃の調子を整えるのに役立つかもしれません。
<りんごジュース>
胃の調子が悪いときはりんごジュースもおすすめです。
りんごは整腸作用があるとされていますが、胃にも優しいとされるため、胃痛のときに摂取を考えてもよいかもしれません。
さらに、りんごには「クエン酸」や「リンゴ酸」が含まれています。
これらは消化酵素にもなり、胃に残っている食べ物の消化を助けてくれます。
定期的な健康診断
健康診断は、体の病気や異常を早期に発見することが目的です。
胃痛が頻発する場合や、一向に改善しない場合は、特に早急な対応が必要になります。
特に胃がんの初期段階では症状が出にくいため、定期的な健康診断はとても重要です。
健康診断で行うことは主に、血液検査や尿検査、胃カメラ検査です。
これらの検査により、胃炎や胃腸炎、胃潰瘍、胃がんなどの病気を早期に発見し、適切な治療を行うことで、胃痛の改善や病気の予防が可能になります。
ストレス管理
ストレスは慢性的な胃痛の原因になり得ます。
特にストレスが多いと胃酸の分泌が増えるため、胃の内側を傷つけて胃痛を引き起こすことがあります。
そのため、胃痛の予防や痛みの軽減のためにはストレス管理が非常に重要となります。
ストレス管理として、心地良い環境で適度な休息を取ることが大切です。
軽く体を動かしてみる
ストレス管理方法として1つ目にご紹介するのは、軽く体を動かす方法です。
軽い運動は、自律神経のバランスを整える効果やリフレッシュ効果が期待できるため、ストレスを解消に役立つかもしれません。
運動といえば「走り込み」や「筋トレ」、「ジムに通う」といったことをイメージする方もいるでしょう。
実際には、そのようなことをする必要はありません。
運動は体を動かすことそのものをいうため、ストレッチや窓拭き、大掃除なども運動に入ります。
もう少しスポーティなことがしたい方は、ウォーキングやジョギング、ヨガもおすすめです。
音楽を聴いてリラックスする
音楽には心身を癒やし、リラックスできるとされています。
ヒーリングミュージックやカフェ音楽、自然音を聴きながら、寝転んだり読書したりするとよいでしょう。
在宅でパソコン仕事をしているときに音楽を聴くのも、ストレスを感じることが少なくなるといわれているためおすすめです。
大きな声で歌ってみる
3つ目にご紹介するのは「大きな声で歌ってみる」という方法です。
大声を出すことで脳が刺激され、気持ちがすっきりするといわれています。ストレス発散に役立つかもしれません。
カラオケなどで、思うがままに自由に歌ってみてはいかがでしょうか。
腹式呼吸をしてみる
4つ目に紹介するのは「腹式呼吸をする」という方法です。
腹式呼吸とは、おなかを膨らませたりへこませたりして呼吸する方法で、肺を膨らませたりしぼませたりして行う呼吸をおなかで行います。
空気を吸うときにおなかを膨らませ、吐くときにおなかをへこませていきます。
座った状態で目をつむり行うと、徐々に心身がリラックスして、自律神経のバランス調整に貢献できるでしょう。
温泉に入る
自宅のお風呂で38~40℃のお風呂にゆっくりつかるのもよいとされています。
例えば、温泉はいつもの環境と違うためリフレッシュできます。
サウナが好きな方はサウナに入り、岩盤浴が好きな方は岩盤浴でじっくりと体を温めるのもよいでしょう。
体を温める行為は、心身の緊張をほぐし副交感神経を優位にさせます。
自律神経のバランスを整えてくれるため、ストレスが解消されます。
アロマやお香の香り効果でリラックス
アロマやお香の香りの種類によってはリラックスできるでしょう。
例えば、リラックス効果が期待できる香りには、ヒノキやラベンダー、ビャクダンなどがあります。
日本人は身近に木があるため、特に木の香りのほうがラベンダーよりもリラックスできるといわれています。
ペットが家にいる場合は使用に気を付けなければならない場合がありますが、好きな香りを探してアロマやお香を楽しむ時間をつくってみてはいかがでしょうか。
医師の診察を受ける
胃痛が続く時、痛みが強い場合などは、医師の診察を受けることを推奨します。
「胃が痛いだけでなく、食事も喉を通らない」「血便がある」「吐き気や嘔吐が続く」「持続的な胃痛がある」など、深刻そうな症状がある場合はすぐに医療機関を訪れましょう。
医師から詳細な診断を受けることで、適切な治療や対策を講じることができます。
サプリメントは用法・容量を守って飲む
サプリメントは用法・容量を守って飲むことが大切です。
用法・容量はサプリメントによって異なるため、サプリメントの注意書きにしっかり目を通しましょう。
例えば、一日摂取量の目安に3錠が設定されているサプリメントもあれば、1錠だけのサプリメントもあります。
サプリメントの容器に表記されているため、それに従って飲むようにしましょう。
寝る姿勢を工夫する
寝るときにも胃が痛いときは、寝る姿勢を工夫することで痛みが緩和されることがあります。
「シムス姿勢」と呼ばれる、横向きになり上の足を少し曲げて前に出す姿勢になると、胃痛が緩和されるといわれています。
胃もたれが気になる場合は、右腹が下になる向きになりましょう。一方で逆流性食道炎などで胃液の逆流を防ぎたい場合は、左腹を下にして横になりましょう。
病院での診察を推奨する胃痛に伴う病気とは?
病院での診察を推奨する、胃痛を伴う病気をお伝えします。
胃痛が続く場合
胃痛が続く場合、急性胃炎を疑いましょう。
胃痛が続く場合に疑われる急性胃炎について説明します。
急性胃炎
急性胃炎は、突如胃の粘膜が炎症を起こす病気です。
症状が強く、発症するまでの進行が速いのが特徴です。
原因はさまざまで、寄生虫の感染、ウイルスの感染、ストレス、暴飲暴食などがあります。
典型的な症状は、胃痛、吐き気、嘔吐、食欲不振などです。
まれですが、症状がひどく出血が見られる場合は、黒い便を排せつする場合があります。
血が混じった黒い便を「タール便」といい、タール便が出た場合は胃や十二指腸で出血している可能性があります。
迅速な出血原因の特定と治療が必要なため、医療機関を受診する必要があります。
痛みが強い場合
胃の痛みが強い場合、機能性ディスペプシアが考えられます。
機能性ディスペプシアについて説明します。
機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシアは、原因不明の胃の不快感や痛みを特徴とする消化器病の一つです。
主に、胃痛、胃のもたれ、胸やけなどの症状があります。
明らかな胃の不調を感じるにもかかわらず、検査では胃炎や胃がんなどの異常が検査で見つからない場合に診断が下ります。
原因はまだ明らかにされていませんが、セロトニンなどの神経伝達物質のバランスの乱れやストレス、食生活の乱れなどが関与していると考えられています。
治療法は対症療法で行われます。
第一の選択として胃酸分泌を抑制する「酸分泌抑制薬」の服用が推奨されています。
胃がん
胃がんは、胃の壁の内側でがん細胞が活発化し、がん化したものです。
上部消化管の主要ながんの一つで、初期の胃がんは通常、特有の症状を有しません。
症状があるときはすでに進行しており、胃痛、食後の腹部の不快感や痛み、脱力感や疲労、体重減少などが生じます。
原因は完全には特定されていませんが、胃潰瘍やピロリ菌が有力です。
胃がんの中には進行が速く致死率が高い「スキルス性胃がん」があります。
胃がんについて詳しくはこちら
吐き気や嘔吐が伴う場合
吐き気や嘔吐が伴う場合は、胃潰瘍か逆流性食道炎、アニサキス症、慢性胃炎が原因の場合があります。
胃潰瘍
胃潰瘍は、胃や十二指腸の内側が酸やピロリ菌などによって傷つき、その結果、潰瘍が形成される状態を指します。
主な症状は、胸焼け、食後の腹痛、吐き気や嘔吐などで、特に空腹時や食事後すぐの痛みが特徴的です。
進行すると胃や十二指腸からの出血、穿孔、隣接組織への癒着などの合併症を引き起こすことがあります。
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃酸や胃の内容物が逆流して食道に炎症が起きる病気です。
主な症状は、胸焼けや胸部の不快感、口の中に酸っぱい味がするなどで、特に食後や横になったときに強くなることがあります。
発症する主な原因は、暴飲暴食や肥満が挙げられます。
生活習慣を改善したり、内服薬を飲んだりすることでアプローチできるでしょう。
逆流性食道炎について詳しくはこちら
アニサキス症
アニサキスは、魚介類などの生食から感染する寄生虫です。
基本的に魚の臓器にいますが、魚が死亡したことが分かると身に移動する傾向があります。
人体に侵入した場合はアニサキス症という病気を引き起こします。
初期症状で見られるのは、感染後3~4時間で現れる吐き気、嘔吐、腹痛などの消化器症状です。
重症化すると、アレルギー反応によるじんましんやアナフィラキシー、消化管穿孔など生命に関わる症状が出る場合もあります。
アニサキスは、冷凍するか火を入れると死滅します。
慢性胃炎
慢性胃炎とは、胃の粘膜が長期間にわたり炎症を起こしている状態です。
急性胃炎のように特定の症状があるわけではないため、自覚症状がほとんどありません。
そのため、胃の内視鏡検査を行った際に初めて発見されるケースが多々あります。
進行すると胃潰瘍や胃がんの原因になる場合があるため、早めの治療が大切です。
治療方法は、ピロリ菌の除去です。
2013年より、慢性胃炎へのピロリ菌除去治療にも保険が適用されるようになりました。
吐血・黒い便が出る場合
吐血や黒い便が出る場合は、十二指腸潰瘍を疑います。
十二指腸潰瘍について説明します。
十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍は胃酸によって十二指腸の内壁が侵され、潰瘍が形成される病気です。
主な症状は腹痛で、食事後すぐや空腹時に胃に痛みを感じます。
吐き気、胃の痛み以外の症状は、胸焼け、腹部の不快感、体重減少などです。
ひどい場合、吐血や黒色便(消化管出血)が見られることもあります。
まとめ
この記事では、胃痛の原因と対策について解説について解説しました。
胃の痛みの原因を知ることで、必要な対策がわかるだけでなく、病気の早期発見にもつながるでしょう。
特に胃痛が続く時は、病院の診察を推奨し原因を特定して、病院で治療を受けるとともに、生活改善にも取り組みましょう。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師