血便とは?原因や対処法、予防法について解説

  • クリニックブログ
2023/10/31

血便とは?原因や対処法、予防法について解説

「血便が出てすごく怖い! やっぱりがんだったりする?」
「切れ痔以外で血便出るのは危険?」
「特に何も症状がないのに血便が出て怖い」
 
このような疑問や不安はありませんか?
 
突然トイレ中に血便が出ると驚いたり、怖くなったりする方もいるでしょう。
血便が出るのはさまざまな原因が考えられるため、できるだけ早く対処することが大切です。
 
本記事では、血便の原因や対処法、予防法、排便時痛や肛門の痛みがない場合の原因についてご紹介していきます。

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血便とは?

血便とはどういった状態のことをいうのか、判断基準とともに解説していきます。
 

血便とは?

血便とは、便に血が混じっている状態のことです。
目で見て分かる鮮血や暗赤色の血便、または肉眼では見えてないものの便潜血検査で検出される場合があります。
 
血便の原因には、痔、胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、大腸ポリープ、大腸がんなどがあります。
 
大腸がんである場合、早めに治療しなければ進行し、最悪命を落とすため、血便が見られた場合は医師の診察を受けることが重要です。
 

血便の判断基準

血便かどうかは便の色を確認することで判断できます。
 
加えて、便の色によってどの箇所で出血があるのかも予測が立てられます。
基本的に、便が黒かったり赤かったりする場合は血便が疑われます。
 
鮮やかな血が見られる場合は、お尻などの肛門に近い場所での出血が考えられます。
中には肉眼で判断できないケースもあります。
必要に応じて、便潜血検査などを行い、確実な診断を求める必要性があるでしょう。
 

ストレスと血便の関係性

ストレスと血便に直接的な関係はないと考えられています。
では、なぜストレスで血便が出るといわれているのでしょうか。
 
その理由は、自律神経の乱れによる便秘や下痢、ストレスによる疾患の発症が原因の血便があるからです。
 
自律神経は胃腸機能のコントロールも行っているため、バランスが乱れると便秘や下痢を引き起こします。
その結果、症状が強いと炎症や切れ痔で出血することがあるのです。
 
ストレスによる疾患には、胃潰瘍や過敏性腸症候群などがあります。
胃潰瘍は潰瘍の症状が強いと出血するため、血便が出ることがあります。
過敏性腸症候群は、炎症を起こすことによる出血が考えられます。
 

血便を放置するとどうなる?

血便の放置は、重大な病気の進行を促す可能性があります。
例えば、直腸がんや大腸がん、虚血性大腸炎などの場合です。
 
血便は、アニサキスなどの食あたりや切れ痔、いぼ痔などによっても引き起こることがあります。
しかし、直腸がんや大腸がんなどの重大な病気によって引き起こされる場合もあり、血便を放置すると重大な病気に気付けず、最悪の場合手を付けられないほどに進行してしまっている可能性があります。
 
血便が出るきっかけは、病気が進行しているためでもあるため、一度病院へ行き検査を受けましょう。
 
放置したまま過ごすことは、精神的にも病気の危険性を考えてもあまりよくありません。
 
体の異常や病気の進行を知らせるサインだと思って、速やかに消化器科に受診しましょう。
 
 

血便を引き起こす5つの原因とは?

血便を引き起こす原因は、以下の5つなどが挙げられます。

  • ● 食あたり
  • ● 痔
  • ● 胃潰瘍
  • ● 十二指腸潰瘍
  • ● 潰瘍性大腸炎

 
では、一つずつ解説していきます。
 

食あたり

食あたりとは、いわゆる食中毒です。
 
卵などに存在しているサルモネラ菌、カキなどにいるノロウイルスなどの病原性大腸菌、寄生虫のアニサキスが原因で発症します。
これらの細菌やウイルス、寄生虫が含まれているものを、対策が不十分な状態で食べてしまうことで、体内で増殖して炎症を起こしたり、アレルギー反応を起こしたりすることが原因です。
 
増殖した細菌は腸内で攻撃を行い、出血して便に付着することで血便となります。
血便以外にも、腹痛や下痢、発熱などの症状も併せて見られることが多いです。
 

痔とは、肛門で発生する病気です。
痔といっても、いくつか種類があります。
 

  • ●痔核(いぼ痔)
  • ●裂肛(切れ痔)

 
痔核は、静脈にコブが発生するタイプです。
できる箇所によって内痔核と外痔核に分類できます。
 
裂肛は、便が硬いといった理由により、肛門が切れて出血するタイプです。
驚くほど便器内に出血が見られることがあり、パニックになってしまう方もいます。
 
どちらのタイプにしても、肛門付近が切れて出血している状態です。
そのため、便の表面に少量の血液が付着していることもあれば、便器が血まみれになっていることもあります。
加えて、トイレットペーパーに血が付着する場合は、痔による血便と判断して構いません。
 

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍とは、胃の粘膜が胃酸の過剰分泌によってダメージを受けたり、ただれたり、穴があいたりする病気です。
胃潰瘍を発症している場合、便に黒い血が混ざっていることがあります。
胃に食べ物が入っていると胃が痛くなります。
 
十二指腸潰瘍も、胃潰瘍と同じように潰瘍が見られる病気です。
強い胃酸によって十二指腸内膜がダメージを受けて、傷ができています。
 
胃潰瘍と同じく、便に赤黒い血が混じっているのが特徴です。
十二指腸潰瘍の痛みは、空腹時にみぞおちに痛みを感じるのが特徴です。
 

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜が慢性的な炎症を起こしている状態です。
「びらん」や「潰瘍」が見られ、出血すると貧血を起こすこともあります。
便は、下痢と同時に血液が混ざった粘液のようなようなものも一緒に出てきます。
 
なお、現時点で原因ははっきりとは分かっておらず、寛解と再発を繰り返す厄介な病気です。
また、発症後7~8年で大腸がんを併発する症例が増えています。
 
 

排便時痛や肛門の痛みがない血便は何が原因?

出血しているにもかかわらず、排便時痛や肛門の痛みがないケースがあります。
 
このような場合、安心してもいいのか、危険な病気が隠れているのではないか、気になっている方もいるでしょう。
ここでは、痛みがない血便の原因を解説していきます。
 

内核痔

内核痔とは、肛門部の歯状線と呼ばれる境界線より内側の、粘膜部分にできるいぼ痔です。
原因や症状、治療法は以下のとおりです。
 

原因

原因は明確には分かっていませんが、長期間にわたって肛門に負担がかかり、血液の循環が悪くなるとできやすくなります。
 
具体的には、便秘で長くいきむことが原因となるほか、妊娠や出産、アルコール飲料の過剰摂取、辛いものの食べ過ぎなども原因の一つです。
なお、年齢による要因や遺伝による要因はないと考えられています。
 

症状

主な症状は、肛門からいぼが出てくる、痛みはないが排便時に出血がある、全体的にお尻が腫れるといったものがあります。
 

治療法

治療法は以下の3つです。
 

  • ●薬物療法
  • ●手術療法

 
薬物療法は、再発を予防したり、症状を緩和させたりするために使います。
種類は、外用薬、内服薬があり、ドラッグストアでも購入できます。
 
手術療法には、注射と切除の2パターンがあります。
注射は、いぼ痔に流れる血液量を減らし、粘膜にいぼを癒着・固定させるために行います。
お尻から出てくることはありませんが、効果が現れるまで1週間~1カ月の期間が必要です。
 
切除術による手術もあります。
いぼ痔を切除できるため、根本的改善ができます。
なお、体の負担も考え妊娠・授乳中は基本的に手術は不可です。
 

ポリープ

ポリープとは、粘膜部分に突起物ができる病気です。
ポリープには良性と悪性があり、悪性の場合はがんということになります。
原因や症状、治療法は以下のとおりです。
 

原因

大腸ポリープの主な原因は「遺伝子の異常」です。
APC遺伝子の変異により正常な粘膜がポリープに変わることがあります。
さらに、K-ras遺伝子やp53遺伝子の変異が、ポリープのがん化に関与している可能性もあります。
 
遺伝子異常により発症する「家族性大腸腺腫症」では、大腸全体にポリープができ、がんが発生することもあります。
 
ただし、年齢、家族歴、食生活、喫煙、肥満などの外的要因も、ポリープ形成に影響すると考えられています。
 

症状

基本的にポリープがあっても無症状です。
しかし、ポリープが大きくなると、こすれて出血を起こすことがあります。
また、下痢やおなかの痛みを感じるケースもあります。
 

治療法

大腸ポリープの治療は、ポリープの種類に応じて行われます。
 

  • ●ポリペクトミー
  • ●EMR(内視鏡的粘膜切開術)
  • ●ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)

 
ポリペクトミーは、内視鏡の先端にあるループ状のワイヤーでポリープを切り取る方法です。
 
EMRは、粘膜下に生理食塩水を注入してポリープを持ち上げ、高周波電流で切り取る方法です。
 
ESDは、ポリープの周りにマーキングし、薬剤で持ち上げてから専用の高周波ナイフで剥離する方法です。
 

大腸がん・胃がん

大腸がん・胃がんは、進行性のがんです。
放置すると転移する恐れがあるため、早めに治療を受けなくてはなりません。
原因や症状、治療法は以下のとおりです。
 

原因

大腸がんの原因は、遺伝的要因や年齢、食生活、肥満、運動不足、慢性的に炎症を起こす腸疾患によって引き起こされます。
 
 

大腸がんについて詳しくはこちら

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胃がんの主な原因は、ヘリコバクター・ピロリ感染です。
しかし、年齢や食生活、遺伝なども原因として考えられています。
 

症状

大腸・胃がんでは、血便や胃痛、貧血、吐血といった症状が見られます。
血便では、粘り気のあるものと一緒に血混じりのタール便と呼ばれるものが出てきます。
 

治療法

大腸がん、胃がんともに摘出する方法で治療をします。
胃がんの場合、内視鏡を使用した摘出手術と外科的手術が可能です。
 
大腸がんの場合腹腔鏡手術での摘出手術と外科的手術で対応できます。
手術で除去しきれたら、再発防止のために抗がん剤治療を行います。
 
 

クローン病

大腸や小腸の粘膜に慢性的な炎症や潰瘍を引き起こす原因不明の疾患を「炎症性腸疾患(IBD)」と呼び、主に「クローン病」と「潰瘍性大腸炎」の2つに分かれます。
 
クローン病の原因や症状、治療法は以下のとおりです。
 

原因

発症する原因は、明確にはまだ解明されていません。
しかし、遺伝的要因や結核菌に似た細菌の感染、麻疹ウイルスの感染が関係していると考えられています。
 
また、腸にあるリンパ球などといった免疫を担当する細胞が、何らかの原因で過剰に反応することが原因とも考えられています。
 

症状

消化管のどの部分でも炎症や潰瘍が起こる可能性がありますが、特に小腸の末端部と大腸に多く発生します。
 
この病気の特徴は、病変と病変の間に正常な部分が混じりながら症状が見られるのが特徴です。
その他の症状としては、腹痛、下痢、血便、体重減少などがあります。
 

治療法

治療方法には以下があります。
 

  • ●栄養療法・食事療法
  • ●薬物治療

 
状態が安定すれば通常食が可能です。
調子が悪いときは低脂肪でなおかつ低残渣食(腸管に食べたものが残りにくくする食事)が推奨されます。
 
薬物治療では、5-アミノサリチル酸や副腎皮質ステロイドなどで治療します。
再燃予防のために継続されます。
 

虚血性腸炎

虚血性腸炎とは、大腸に十分な血流が行っていない状態です。
一般的には60歳以上の方が発症しやすい傾向ですが、最近では若い方でも発症しています。
 
再発率も高く、4人に1人は再発をして治療を必要とするといわれています。
原因や症状、治療法は以下のとおりです。
 

原因

虚血性大腸炎は、大腸に血液を送る動脈の血流が阻害され、粘膜に血液が不足することで発症します。
 
原因には動脈硬化や血液の固まりやすさがあり、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がリスクを高めます。
 
腸管の原因としては便秘がもっとも多いです。
いきんだ際に腹圧がかかり血流が低下するため発症します。
 

症状

虚血性大腸炎は、突然の強い腹痛と下痢が発症するのが特徴です。
下血が続くことも特徴であり、特に下行結腸(大腸の左側)の血管が狭窄することがあります。
 
おなかの左側が急に痛くなることもあります。
症状が進行すると粘膜傷害が悪化し、下痢や血便が見られることがあります。
血便の量に驚いて救急で来院するケースもありますが、輸血が必要なほどの貧血になることはまれです。
 

治療法

入院中は絶食と点滴で腸管を休ませ、炎症が強い場合には抗生剤を使用します。
また、腹部CT検査で大腸が壊死していることが分かった場合、緊急手術が必要なことがあります。
 
また、腸管の狭窄が進むと便が通過できず、手術が検討されることもあります。
とはいえ、通過障害の多くは保存的な治療で対応可能です。
 
食事については、症状が改善し次第、少量のお粥から徐々に食事を再開し、通常の食事に戻していきます。
 
 

潰瘍性大腸炎について詳しくはこちら

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痔と大腸がんでは血便に違いがある?

血便が出る原因として痔と大腸がんが挙げられますが、これらは血便の出方に違いがあります。違いを知ることで大きな病気に繋がるのを防ぐことができます。
 
それでは、痔と大腸がんによる血便の出方の特徴についてご説明しましょう。

痔で血便が出るときの特徴

痔が原因で血便が出るときの特徴は、鮮やかな赤色をしていることです。
ただ、少しだけしか血が出ないこともあれば、大量に血が出ることもあるので注意が必要です。
 
切れ痔の場合は大量に出血することはありませんが、排便するときに痛みを感じることが多いです。
 

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大腸がんで血便が出るときの特徴

大腸がんで血便が出るときの特徴は、徐々に出血量が多くなることです。
最初は少量で気づかないこともあるほどですが、症状が進行するにつれて血液が持続的に出るようになります。
 
直腸がんなら血便が出やすくなりますし、結腸がんなら血液が便と混ざって黒い便が出やすくなります。
 
 

血便の3つの予防法を解説

血便の予防法は、以下の3つなどが挙げられます。

  • ● 定期検診を受ける
  • ● 便秘に注意する
  • ● ピロリ菌除去治療を受ける

 
では、一つずつ解説していきます。
 

定期検診を受ける

日頃から血便が出ないように対策するなら、定期検診を受けるのがおすすめです。
食あたりや痔はもちろん、大腸がんや直腸がん、潰瘍性大腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などは定期的に検診を受けることで早期発見ができる可能性があります。
 
特に大腸がんや直腸がんなどは症状が進行しないと自覚症状が出ないため、定期検診で早期発見ができれば早期治療ができます。
 

便秘に注意する

血便が出ないようにするためにも、便秘に注意しましょう。
便秘が長く続いている方ほど血便が出やすくなります。腸内を固い便が通ることで腸に負担がかかるため、大腸の疾患を引き起こす可能性があるでしょう。
 
また、固い便は肛門を傷つける可能性があるため、切れ痔を引き起こす可能性もあります。普段から食生活やストレス等に注意して、便秘対策を行うことが大切です。
 

ピロリ菌除去治療を受ける

ピロリ菌は慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などを発生させる原因とされています。ピロリ菌が腸内にいることで出血を引き起こし、血便が出やすくなります。
 
もしも定期検診等でピロリ菌に感染していることが判明した場合、ピロリ菌除菌治療を受けることでピロリ菌を除菌することが可能です。

 
 

血便が出たときの2つの対処法を解説

血便が出たときの対処法は、以下の2つです。

  • ● 食生活を見直す
  • ● 消化器内科か肛門科を受診する

 
では、一つずつ解説していきます。
 

食生活を見直す

もしも血便が出た場合、すぐに食生活を見直しましょう。
血便が出たにもかかわらず食生活を見直さずに偏ったままだと、ますます血便がひどくなってしまいます。
 
できる限り脂質の多い食事を避けて、しっかり水分を摂ることが大切です。
 

消化器内科か肛門科を受診する

肛門から出血してしまった場合、病院に行ってもどこの科を受診すればいいのか分からない人も多いのではないでしょうか。そんなときは、消化器内科や肛門科を受診するのがおすすめです。
 
ただし、出血量が多かったり、痛みがひどくて生活に支障が出たりする場合、緊急外来で治療を受ける必要性があるでしょう。
 
 

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まとめ

血便は自然に収まるものだと思っているかもしれませんが、血便が出てきたときこそすぐに対処する必要性があります。
大きな病気の可能性もあるので、消化器内科や肛門科を受診しましょう。


 
 

 
 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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