肝硬変とは?原因、症状、治療法について解説
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肝硬変とは?原因、症状、治療法について解説
肝硬変は、命に関わる病気であり、早期発見・早期治療で予後が決まります。
しかし、肝臓は沈黙の臓器といわれるように、症状が出てきたときはかなり病状が進行してしまっていることが多いです。
肝臓は再生能力の高い臓器ですが、ダメージが度重なると肝臓そのものの働きが出来なくなってしまいます。
さらに、肝硬変を放置しておくと、合併症や肝臓がんへ移行する可能性が高まるため、注意が必要です。
肝硬変とは
肝硬変とは、肝臓が慢性的なダメージや疾患によって正常な組織が線維化し、機能低下を起こす病気です。
肝臓自体は再生能力があるため、ある程度の損傷であれば、再生されます。
これが症状として現れにくい理由です。
しかし、肝臓にダメージが蓄積すると炎症が起こり、肝臓細胞は損傷し、線維化します。最終的には全体的に硬くなり、肝臓の機能が低下します。
これが肝硬変です。
正常な肝臓が担っている機能は多岐にわたります。
- ●体内の代謝、排泄、貯蔵
- ●血液中の栄養素やホルモンの調節
- ●有害物質の解毒
- ●血液の凝固因子産生
肝硬変を発症すると、肝臓がこうした正常な機能ができなくなってしまい、健康な身体を維持できません。
しかも、肝硬変となってしまった肝臓は、機能低下だけでなく、さまざまな合併症や肝がんへと進行してしまう恐れがあるため、注意が必要です。
代償性肝硬変と非代償性肝硬変
肝硬変といっても、病状によって次の2つに分類されます。
- ●代償性肝硬変
- ●非代償性肝硬変
それぞれの状態について解説しましょう。
代償性肝硬変は、働かなくなった肝細胞はあるものの、残っている肝細胞がなんとか肝臓の機能を保っている状態のことです。
症状はほとんど無く、血液検査などで肝機能の低下がみられます。
非代償性肝硬変は、肝硬変が進行してしまった状態で、本来の肝臓機能が働いていない状態です。
はっきりとした症状が出始め、日常生活にも影響を及ぼします。
適切な治療をしなければ、肝不全や肝がんへと進行します。
肝硬変の予後と余命
以前は、肝硬変は治療が困難な病気とされてきました。
現在、肝硬変と診断された方の10年生存率は全体として50%といわれています。
原因となっているウイルスを抑える薬や生活習慣の改善などで、良好な予後にすることも可能になってきています。
代償性肝硬変であれば、適切な管理と治療を行うことで、が予後や余命に良い影響を与える可能性は高いでしょう。
そこで重要になるのは、合併症の有無です。
合併症があると、消化管からの出血や肝臓がん、肝不全のリスクが高まります。
若年層でも発症の危険性
肝硬変は50代以降での発症が多い傾向ですが、若年層であっても発症の危険性がないわけではありません。
東海国立大学機構 岐阜大学保健管理センターの山本眞由美教授、三輪貴生医師らのグループの研究によると、22歳男性の11%に脂肪肝があることがわかっています。
その多くは肥満や脂質異常が原因で、近年増加傾向のNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)に関わる要素となります。
若いころから生活習慣を整え、肝硬変のリスクを減らしていくことが重要です。
肝硬変の原因
肝硬変の主な原因は、長期にわたるアルコールの過剰摂取、ウイルス感染(B型、C型)、自己免疫疾患、薬物や有害物質の摂取などが挙げられます。
これらの原因によって、肝臓細胞は慢性的な炎症にさらされ、傷つき、繊維化して硬くなります。
肝硬変の治療には、原因ごとに適切な治療を行うことが必要です。
適切な治療を行わないでいると、肝硬変は最終的に肝がんや肝不全を引き起こす可能性があり、命に関わる重篤な状態に至ることがあります。
それでは、主な原因となる6つの原因について解説していきましょう。
自己免疫性
自己免疫性肝硬変は、本来細菌やウイルスに対して攻撃する免疫システムが自分の肝臓を攻撃してしまう肝疾患が原因です。
以下3つの疾患を自己免疫性肝疾患といいます。
- ●自己免疫性肝炎(AIH)
- ●原発性胆汁性肝硬変(PBC)
- ●原発性硬化性胆管炎(PSC)
自己免疫性肝炎
自己免疫性肝炎は、主に50~60歳の女性に多い疾患です。
原因不明の肝疾患とされてきましたが、患者様の多くは、HLA-DR4という遺伝子を持っています。
この遺伝子を持つ方が発症しやすいのではと考えられています。
治療にはステロイド剤が使われますが、適切に継続して使用することが重要です。
薬の中断などで病状の再燃を繰り返すと、肝硬変や肝不全へと進行してしまいます。
原発性胆汁性肝硬変
自己免疫性肝炎と同じく、圧倒的に女性の罹患率が多い原発性胆汁性肝硬変は、肝臓の中にある胆管が免疫機能によって壊されてしまう病気です。
疾患名に「肝硬変」とありますが、発症している時点では肝硬変ではありません。
胆管には消化吸収に関わる胆汁が通っていますが、胆管が壊れてしまうと、胆汁が肝臓に溜まってしまいます。
これが原因となって引き起こされる病気です。
しかし、自己免疫が胆管を壊してしまうメカニズムについては、まだ解明されていません。
症状は主に皮膚のかゆみと黄疸です。
薬物療法が中心ですが、なかには肝硬変へと進行してしまう場合があります。
原発性硬化性胆管炎
原発性硬化性胆管炎は、免疫システムが肝臓の中だけでなく外側の胆管に障害を与えてしまう病気です。
こちらは男性の患者様が多く、年齢も20歳頃と60歳頃に発症しやすいという特徴があります。
免疫抑制剤を用いても効果がはっきりしないため、原因はわかっていません。
患者様の遺伝子解析を行った結果、免疫に関係する遺伝子が見つかることから、自己免疫性肝疾患に分類されています。
ステロイドが効かないため、再発し病状が進行してしまう場合が少なくありません。
アルコール性肝硬変
アルコール性肝硬変は、多量の酒類を長期間にわたって摂取することで肝細胞が壊されておこる病気です。
アルコールは肝臓で分解されますが、その過程で「アセトアルデヒド」という物質が生まれます。この「アセトアルデヒド」は毒性があり、肝細胞にダメージを与えてしまうのです。
毎日の飲酒や一気飲みのような飲み方は、肝臓に負担をかけてしまうのでできるだけ避けてください。
非アルコール性肝硬変
非アルコール性肝硬変は、飲酒の習慣がなくても発症する肝硬変です。
肥満や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病と関連が深いといわれています。
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を抱えている方は、注意が必要です。
治療は食生活や運動習慣の見直し、生活習慣病の治療が中心となります。
初期のうちに、バランスの取れた食事や運動習慣を取り入れ、適切な治療を受けることが重症化を予防します。
薬物・有害物質の摂取
薬物性肝障害が原因となって肝硬変へと進行することがあります。
医薬品、健康食品、サプリメントなどの影響で、肝臓がダメージを受けてしまったことが原因です。
長期間にわたる薬の服用や、一時的に多量の薬を飲む行為などは、肝臓に過度な負担がかかります。
また、薬が体質に合わなかったことで肝障害になることもあります。
身体がだるい、疲れやすい、食欲が減退する、吐き気などの軽い症状がみられますが、他の肝疾患と同じく無症状の方も少なくありません。
肝機能の異常が認められたら、早期に対応しましょう。
初期であれば、原因となった薬物を止めるだけで改善が期待できます。
B型肝炎ウイルス(HBV)感染
B型肝炎ウイルスの感染が長期にわたり、肝臓が慢性的にダメージを受け続けると肝硬変へと進行します。
母子感染や、予防接種時の注射器の使いまわしによる感染が多く、20~30年後に肝炎を発症してわかる場合も多いです。
B型肝炎ウイルスによる慢性肝炎にかかってしまった場合、ウイルスの増殖を抑える薬を服用し続けなければいけません。
薬の服用を止めたりすると重篤な症状に陥ったり、肝硬変や肝臓がんへと進行したりするリスクがあります。
C型肝炎ウイルス(HCV)感染
C型肝炎ウイルスは、血液によって感染する疾患です。日本では、輸血や血液製剤から感染した例が多く見られます。
感染後に急性肝炎を起こすことがあり、70%の人が慢性肝炎へと移行します。
病状は30年かけて肝硬変へと進行するともいわれており、早期の対応が重要です。
治療法としては抗ウイルス薬でウイルスを除去する方法と、肝臓の炎症を抑えて病状の進行を遅らせる方法があります。
高齢である、肝臓の線維化が進んでいる、糖尿病の持病がある方は、肝臓がんへ進行するリスクがあるため、定期検査が必要です。
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肝硬変の症状
肝硬変は、初期段階では症状が現れないことが多く、気づきにくい疾患です。
しかし、肝硬変が進行するにつれて、さまざまな症状が現れることがあります。
代表的な症状としては以下のようなものが挙げられます。
黄疸
肝機能が低下すると皮膚や白目が黄色くなります。
黄疸は血液中にあるビリルビンが原因です。
ビリルビンは古くなった赤血球が破壊された際にできる黄色い色素です。
通常は、肝臓で処理されて胆汁に排泄されていますが、肝臓にダメージがあるとビリルビンを排出する機能が低下し、血液中に入ることで皮膚や白目が黄色くなってしまうのです。
腹水
肝硬変によって肝機能が低下すると、腹水が溜まります。
腹水が溜まる原因は2つあります。
- ●腹部の血液を肝臓に運ぶ血管の圧力が上がって血流が悪くなり、血漿が漏れる
- ●血管内の水分を保持するアルブミンの生成が減少し、血管外に水分が漏れる
腹水が溜まると息切れや食欲不振、むくみなどが現れます。
食欲不振・体重減少
肝硬変によって、肝臓の機能が低下し、栄養素の吸収や代謝がうまくできなくなります。
そのため、食欲不振や体重減少が生じることが多いです。
具体的には、腹水がたまったため胃が圧迫されること、消化に必要な胆汁をつくる機能が低下するため、食欲不振となって現れます。
栄養素の吸収が十分にできなくなるため、体重が減少します。
たんぱく質・エネルギーが低栄養状態になり、筋肉量も減少するため、食事の内容や回数など工夫が必要です。
肝臓や腹部の腫れ
肝臓や腹部の腫れも肝硬変の代表的な症状です。
肝臓が腫れると、腹部の右上部に痛みや圧迫感が生じることがあります。
便秘や下痢
胆汁は脂肪の消化を助ける役目をしていますが、肝硬変によって胆汁の分泌量が減少すると消化不良が起こりやすくなります。
また肝硬変によって腸内環境が悪化することがあり、便秘や下痢が生じることも多いです。
血液凝固異常
肝臓は、血液凝固因子の産生に重要な役割を果たしています。
肝硬変によって肝臓の機能が低下すると、血液を凝固させる因子の生成が減ってしまい血液凝固異常が生じて出血しやすくなることがあります。
クモ状血管腫
中心に赤い丘疹があり、放射状に細い血管がクモの足のように広がる血管腫のことです。主に顔や首、胸や上肢に出現します。
サイズは直径数ミリ程度が多いです。
とくに治療の必要はありませんが、肝硬変による症状の一つです。
手掌紅斑
手のひらの親指の付け根、小指の付け根に赤い斑点が現れます。
圧迫すると赤みが消え、止めるとまた赤くなります。
特徴は次の通りです。
- ●親指や小指の付け根に出やすい
- ●痛みやかゆみはない
- ●手のひら全体に現れることはまずない
女性化乳房
肝臓は女性ホルモンのエストロゲンを分解していますが、肝機能が低下するとエストロゲンの分解が進まず、体内に溜まっていきます。
乳腺が発達して、乳房のようになるため、発見しやすいです。
肝硬変が進行している証拠でもあるため、早めの受診がおすすめです。
こむらがえり
肝硬変の症状としてこむらがえりがあります。
原因は主に3つあります。
- ●体内のナトリウムやカリウムのバランスが乱れる
- ●アルブミンが減少するため血液の浸透圧が低下する
- ●アミノ酸の代謝異常
発生を抑えるために、水分補給やミネラルやビタミンを豊富に含む食事を心がけましょう。
食道静脈瘤
肝硬変が進行すると食道内に静脈瘤が現れます。
進行の影響で肝臓へ血液が流れにくくなり、肝臓に血液を送る血管(門脈)の圧力が上がります。
しかし、流れる血液量は減らないため、肝臓に入りきれない血液が食道の静脈に流れ込んでしまうことが原因です。
食道静脈瘤破裂の前兆として、口から少量の出血や黒色便などがみられることがあります。
肝性脳症
肝性脳症は、肝臓で解毒される有害物質(アンモニアなど)が解毒されずに蓄積し、脳に影
響をあたえてしまうことが原因で起こります。
軽度から重度まで症状はさまざまです。
- ●軽度:睡眠リズムの乱れ、怒りっぽくなる
- ●中等度:判断力、集中力低下、手の震え(羽ばたき振戦)
- ●重度:錯乱、昏睡状態
以上のように、肝硬変は初期段階では症状が現れないことが多いため、定期的な健康診断が重要です。
また、症状が現れた場合には、早期発見・治療が重要となります。
肝硬変の検査方法
肝硬変の検査方法として以下のようなものがあります
血液検査
肝硬変によって肝臓の機能が低下するため、肝臓機能検査を行うことで肝硬変の可能性を調べることができます。
注目すべき検査項目は以下のものがあります。
状態 | |
---|---|
● ASTとALT 肝細胞の損傷を示す ● ALP 胆汁のうっ滞を示す ● γ-GTP アルコール性肝障害、胆汁うっ滞を示す |
|
● アルブミン 主要たんぱく質量低下 ● コリンエステラーゼ 酵素量低下 ● プロトロビン時間(PT) 血液の凝固能力低下 ● 血小板数 血小板減少 |
|
● 総ビリルビンの血中濃度の上昇 ● アンモニアの血中濃度の上昇 |
これらの項目は肝硬変の重症度をみるための目安となるものです。
超音波検査
肝臓のサイズや形状、腫瘍などの異常を調べるために超音波検査を行います。
腹部超音波検査
腹部超音波検査は、肝臓の形や内部の状態がわかります。
- ●肝臓の表面に凹凸がないか、形、大きさの異常の有無
- ●異常血管の発達の有無
- ●腹水の有無
肝硬度測定
弱い振動を肝臓に与えるフィブロスキャンという装置を使用し、超音波で肝臓の硬さを測る検査です。
硬ければ振動の伝わる速度が速くなり、柔らかければ遅くなるという性質を利用して肝臓の硬さを診断します。
MRI検査
超音波検査だけでは異常が確認できない場合に行います。
肝硬変の診断や、進行度を確認するのに優れた検査です。
- ●肝臓の線維化、再生結節の有無
- ●門脈などの血流
- ●肝臓の形と大きさ
このほか、MRE検査では、肝臓を振動させ、肝臓内での振動の伝わり方をMRIで観察することで病状や進行度を評価ができます。
CT検査
CT単独では肝硬変かどうかを診断できませんが、表面の凹凸や肝臓の形、腹水の有無等を調べられます。
肝硬変によって発達したシャントといわれる血管は、CT検査で観察できます。
また、肝腫瘍の有無も調べられるため、肝硬変以外の疾患の確認も可能です。
肝生検
肝臓の組織を直接採取して、病変の種類や進行度を確認する検査です。
ただし合併症のリスクがあるため、必要性が高い場合に行われます。
経皮的針生検
検査方法は、局所麻酔をした上で肝臓に直接針を刺し、肝臓の組織を採取するものです。
少なくとも1泊2日の入院が必要になります。
腹腔鏡下肝生検
全身麻酔をし、腹腔鏡を用いて肝臓の様子を観察しながら組織を採取します。
原発性胆汁性肝硬変や原発性硬化性胆管炎の場合などに検討される検査です。
肝硬変の潜伏期間は、人によって異なりますが、肝硬変の原因によって左右されます。
ウイルス感染による肝硬変では、感染から発症までの期間は数十年に及ぶ場合があります。一方、アルコール性肝硬変では、数年から十数年で発症することが多いです。
しかし、肝硬変は初期段階では症状が現れないことが多く、気づきにくいため、定期的な健康診断が重要となります。
肝硬変の治療方法
肝硬変の治療法は、原因や進行度によって異なります。
治療の目的は、肝硬変の進行を遅らせ、肝臓の機能を維持することです。
ウイルス感染による肝硬変の場合は、ウイルスを抑える抗ウイルス薬が用いられます。
アルコール性肝硬変の場合は、アルコールの摂取を避け、肝臓を休めるための生活習慣改善が必要です。また、肝臓機能を維持するために、栄養療法やサプリメントの使用が勧められることもあります。
肝硬変が進行し、肝臓の機能が著しく低下している場合は、肝移植が必要となる場合もあります。
肝移植は、健康なドナーから肝臓を移植し、肝臓の機能を回復させる手術です。
ただし、肝移植は重症度や待機期間、手術費用などの問題があり、決して簡単な選択肢ではありません。
肝硬変の治療においては、早期発見と適切な治療が重要であるため、定期的な健康診断や適切な生活習慣の維持が求められます。
薬物療法
それぞれの症状によって薬剤は違いますが、大きく分けて次のようなものがあります。
- ●肝庇護剤:炎症を抑える 進行を遅らせる
- ●利尿剤:腹水やむくみをとる
- ●胃腸粘膜保護薬:胃腸の粘膜を保護、静脈瘤の破裂を防ぐ
- ●抗生物質:高アンモニア血症の改善
- ●BCAA製剤:アミノ酸不足を補う
生活習慣の見直し
肝硬変を進行させないためには、生活習慣を見直す必要があります。
- ●病状に応じた食事をとる
- ●禁酒
- ●ストレス管理
胃腸に負担がかかる食事や生ものはさけましょう。
また、ストレスも肝臓に負担をかけます。
軽い運動や趣味などリラックスできる時間を生活に取り入れましょう。
肝硬変の食事療法
肝硬変の方の食事はそれぞれの病状によって違いますが、基本的なポイントについて解説します。
代償性肝硬変の食事のポイント
肝機能の低下に対応する食事のポイントを挙げてみましょう。
- ●カロリー、たんぱく質は適量を守る
- ●ビタミン、ミネラル、食物繊維をとる
- ●塩分、鉄分を摂りすぎない
バランス良く、適量を守ることが重要です。
便秘は体内のアンモニアを増やしてしまうので、野菜や海藻など積極的に摂りましょう。
塩分や鉄分は病状に悪影響を及ぼす恐れがあるため、摂りすぎないことが重要です。
非代償性肝硬変の食事のポイント
それぞれの病状に応じたポイントは次のとおりです。
- ●腹水・むくみがある場合:塩分、水分を控える
- ●食道静脈瘤がある場合:刺激物、硬い食物を避け、よく咀嚼する
- ●糖尿病を合併している場合:一度に大量に食べない・砂糖や果物は控える
- ●肝性脳症がある場合:たんぱく質を控え食物繊維を摂る
食事は適量を守りましょう。
肝移植
肝硬変が進行してしまい、内科的治療が困難になった場合、肝移植が検討されます。
このほか、肝不全、肝細胞癌を併発している場合など、適応基準が決められています。
全身状態や病状から慎重に判断することが必要です。
肝硬変の予防方法
肝硬変を予防するためには、以下のような生活習慣や注意点が必要です。
1.適度な飲酒
アルコールは肝臓に負担をかけ、肝硬変を引き起こす原因の一つとされています。飲酒は適度にし、度を超える飲酒は避けましょう。
2.ヘルシーな食生活
バランスの良い食生活を心掛け、脂肪や塩分が多い食品を控え、野菜や果物を多く摂りましょう。
また、栄養豊富な食品やサプリメントを摂取することも、肝臓の健康を維持するために有効です。
3.感染症への対策
B型肝炎やC型肝炎などのウイルス感染は肝硬変を引き起こす原因となるため、感染症に対して注意することが重要です。
予防接種や衛生的な生活習慣の維持などが有効です。
4.健康管理の徹底
定期的な健康診断や、肝臓の検査を受けることで、早期発見や早期治療が可能となります。
また、肝硬変のリスクが高い人は、定期的な検査や医師の指導のもと、生活習慣の改善を行うことが大切です。
まとめ
肝硬変を予防するためには、アルコールの適量摂取、肥満や高脂血症などの生活習慣病の予防、B型肝炎やC型肝炎などの感染症への予防が重要です。
定期的な健康診断を受け、肝機能を確認し、早期発見・治療することも大切です。また、ワクチン接種や適切な処置によって感染症を予防することも効果的です。
肝臓に負担をかけない健康的な生活習慣を心がけ、肝硬変予防に努めてください。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師