体のほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)の原因とは?男性の更年期障害についても解説

  • クリニックブログ
2025/02/04

体のほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)の原因とは?男性の更年期障害についても解説

年齢を重ねるにつれて、突然の体のほてりや汗が気になる方は少なくありません。特に「更年期障害」というと女性特有の症状というイメージが強いものの、実は男性にも起こり得る現象なのです。近年、男性更年期障害(LOH症候群)への認識が高まってきており、40代後半から60代にかけて様々な身体的・精神的な変化を経験する男性が増えています。
 
本記事では、ホットフラッシュの仕組みや原因について詳しく解説するとともに、見過ごされがちな男性の更年期障害についても焦点を当てていきます。

 
 

体のほてり・のぼせの原因として考えられるもの

体のほてりやのぼせは、多くの人が経験する不快な症状です。その原因は様々で、一時的なものから、何らかの疾患が隠れている場合もあります。
 
主な原因として、以下の4つが挙げられます。
 

  • ●自律神経の乱れ
  • ●疾患
  • ●女性ホルモンバランスの乱れ
  • ●日焼け

 
 

自律神経の乱れ

自律神経の乱れは、ストレスや不規則な生活習慣、睡眠不足などが引き金となって起こります。自律神経は体温調節にも重要な役割を果たしており、バランスが崩れると血管の収縮と拡張がうまくコントロールできなくなり、突然の体のほてりやのぼせの原因となります。特に仕事や人間関係でのストレスが蓄積している場合は、注意が必要です。
 
 

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疾患

疾患による体のほてりは、甲状腺機能亢進症や高血圧、糖尿病などの病気が原因となることがあります。特に甲状腺機能亢進症では、代謝が活発になりすぎて体温が上昇しやすくなります。
 
 

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また、悪性腫瘍や感染症による発熱に伴うほてり感を感じることもあります。早期発見・治療のためにも、継続的なほてりを感じる場合は医療機関での検査をお勧めします。
 

女性ホルモンバランスの乱れ

女性ホルモンバランスの乱れは、主に更年期に起こりやすい症状です。エストロゲンの減少により、体温を調節する視床下部の機能が不安定になり、突然の発汗やほてりを引き起こします。これは閉経前後の女性に多く見られますが、ストレスや環境の変化によっても若い世代で発生することがあります。
 

日焼け

日焼けによるほてりは、紫外線による皮膚の炎症反応として現れます。皮膚が赤くなり熱を持つのは、紫外線によってダメージを受けた細胞を修復しようとする体の防御反応の一つです。特に強い日差しの下での長時間の外出後や、海水浴などのレジャー後に発生しやすく、場合によっては火傷のような症状を引き起こすこともあります。
 
 

更年期には体温調節と汗のトラブルが多い

更年期になると、女性ホルモンのバランスが大きく変化します。特にエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの分泌が低下することで、自律神経の働きが不安定になります。
 

ホットフラッシュとは

ホットフラッシュは、突然の体の熱感や発汗を特徴とする症状で、主に更年期に現れやすい自律神経の乱れによる反応です。具体的には、顔や首、胸部を中心に急激な熱感が生じ、心臓がドキドキしたり、発汗が伴ったりします。この症状は通常2~3分程度で収まりますが、1日に何度も繰り返し起こることもあります。
 

 
ホルモンバランスの変化により体温調節中枢である視床下部の機能が乱れ、わずかな温度変化や精神的なストレスでも血管が急激に拡張することで起こります。特に夜間に症状が出ると寝苦しさや不眠の原因となることもあり、日常生活に支障をきたす場合もあります。
 
また、寒暖差の大きい季節の変わり目や、温度変化の激しい環境下でより症状が現れやすくなります。
 

ホットフラッシュの原因

ホットフラッシュの主な原因は、性ホルモンの急激な変動による視床下部の体温調節機能の乱れにあります。特に更年期における女性ホルモン(エストロゲン)や男性ホルモン(テストステロン)の低下は、体温調節の仕組みを不安定にします。また、過度のストレスや不規則な生活習慣による自律神経の乱れも重要な要因となります。
 
精神的なプレッシャーや疲労の蓄積は、自律神経のバランスを崩し、体温調節機能に影響を与えます。さらに、カフェインの過剰摂取、辛い食事、アルコール、喫煙などの生活習慣も症状を悪化させる要因です。
 
加えて、糖尿病や甲状腺機能障害などの基礎疾患がある場合や、特定の薬剤の副作用としても発生することがあります。閉鎖的な空間や急激な温度変化も、症状を誘発する環境要因となり得ます。
 

その他の更年期障害の症状

更年期障害では、ホットフラッシュ以外にも様々な身体的・精神的な症状が現れます。身体面では、寝汗や冷え性、めまい、頭痛、肩こり、関節痛などが一般的です。また、不眠や疲れやすさ、体重増加、皮膚の乾燥なども特徴的な症状として挙げられます。
 
精神面では、イライラや不安感、気分の落ち込み、集中力の低下、記憶力の減退などが現れることがあります。これらの症状は個人差が大きく、複数の症状が同時に、あるいは断続的に現れることも特徴です。また、性機能の低下や性欲の減退といった症状を伴うこともあります。
 
 

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男性にも更年期障害はある?

一般的に「更年期」というと女性を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、男性にも更年期に似た症状が現れることがあります。これを男性更年期障害、またはLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)と呼びます。
 

女性の更年期障害との違い

男性と女性の更年期障害には、発症時期や症状の現れ方に特徴的な違いがあります。女性の更年期障害は45歳前後から始まり、閉経を境に比較的急激なホルモンの変化が起こるため、ホットフラッシュや情緒不安定などの症状が顕著に現れます。
 
一方、男性の更年期障害(LOH症候群)は50歳前後から始まり、テストステロンの緩やかな低下により、疲労感や意欲低下、筋力の減少などが徐々に進行していきます。
 

 
また、女性の場合は閉経という明確な転換期があるのに対し、男性は緩やかな変化のため気づきにくく、更年期障害と認識されないまま過ごすケースも多くあります。性機能面では、女性は主に膣の乾燥感や性交痛が、男性は勃起力の低下や性欲減退が特徴的な症状として現れます。
 

男性に更年期障害が起こる原因

男性の更年期障害は、主に加齢に伴うテストステロン(男性ホルモン)の低下が根本的な原因です。テストステロンは30歳をピークに年々減少していき、50歳前後から急激な低下が始まることがあります。このホルモンバランスの変化は、視床下部-下垂体-性腺系の機能低下によって引き起こされます。
 
また、過度の飲酒や喫煙、運動不足、不規則な生活習慣などの生活環境要因も、テストステロン低下を加速させる要因となります。さらに、仕事でのストレスや人間関係の悩み、責任の重圧などの精神的なストレスも、自律神経系のバランスを崩し、症状を悪化させる要因となります。
 
場合によっては、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の存在も、更年期障害の発症や症状の悪化に影響を与えることがあります。
 
 

まとめ

体のほてりやのぼせは、更年期に限らず様々な原因で起こる可能性がある症状です。特に近年は、男性の更年期障害(LOH症候群)への理解も深まってきており、性別を問わず適切な対処が求められています。症状が気になる場合は、まず生活習慣の見直しを行い、十分な睡眠やストレス管理、適度な運動を心がけることが大切です。
 
また、継続的な症状がある場合は、更年期障害や他の疾患の可能性も考えられるため、医療機関での相談をお勧めします。年齢や性別に関係なく、体調の変化に気づいたら、早めの対応を心がけることで、より快適な生活を送ることができます。一人で悩まず、専門家に相談することで、適切な治療や対策を見つけることができるでしょう。
 
 
 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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