大腸内視鏡検査とは?検査する病院・クリニックを選ぶポイント

  • クリニックブログ
2025/01/24

大腸内視鏡検査とは?検査する病院・クリニックを選ぶポイント

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は、大腸の健康状態を詳しく調べるための重要な検査です。ポリープやがんなどの疾患を早期に発見するだけでなく、予防の観点からも非常に有効です。しかし、検査前の準備や当日の流れ、検査後の注意点など、不安や疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
 
この記事では、大腸内視鏡検査の基本情報から、検査を受ける病院やクリニックを選ぶ際のポイント、負担を軽減する方法までを詳しく解説します。安心して検査を受けられるよう、ぜひ参考にしてください。

 
 

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)とは?

大腸内視鏡検査は、肛門から細い内視鏡を挿入して大腸の中を直接観察する検査方法です。大腸の病変を早期に発見し、必要に応じて処置や治療も同時に行うことができます。
 

大腸内視鏡検査で発見できる疾患

大腸内視鏡検査では、さまざまな消化器疾患を発見することが可能です。最も重要な対象疾患は大腸がんとその前駆病変である大腸ポリープです。大腸がんは早期発見すれば治療効果が高く、5年生存率が80%を超えることが報告されています。
 
また、慢性的な腸の炎症を引き起こす潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、腸管壁が外側に突出する大腸憩室症なども診断できます。さらに、検査中に病変部位の組織を採取して詳しく調べることも可能です。大腸内視鏡検査は、これらの疾患を直接目で見て診断できる最も確実な検査方法として位置づけられています。
 

大腸内視鏡検査を受けた方がいい人

主に40歳以上の方は定期的な大腸内視鏡検査をお勧めします。特に、便潜血検査で陽性反応が出た方や、下痢・便秘などの便通異常がある方は積極的に検査を受けることが望ましいでしょう。
 
また、大腸がんの家族歴がある方や、以前に大腸ポリープを指摘された方も定期的な検査が必要です。さらに、原因不明の腹痛がある方や、便に血が混じるなどの症状がある方も検査の対象となります。
 
炎症性腸疾患の方は、症状の経過観察や大腸がん発症リスクの確認のため、定期的な検査が推奨されます。年齢が若くても、これらの症状や 危険因子がある場合は、積極的に検査を検討すべきでしょう。医師と相談しながら、適切な検査時期を決めることが重要です。
 
 

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大腸内視鏡検査の流れ

大腸内視鏡検査は事前の準備から検査後のケアまで、いくつかの重要なステップがあります。検査を安全かつ正確に行うために、それぞれの段階で必要な注意点を理解しておくことが大切です。
 

大腸内視鏡検査の前日:食事制限等

検査の成功には前日からの適切な準備が欠かせません。前日の食事は消化の良いものを少なめに摂取し、夕食は午後5時頃までに済ませることが推奨されています。
 
具体的な食事内容としては、低脂肪・低たんぱく・低繊維の食事を心がけましょう。肉類や揚げ物、食物繊維の多い野菜や果物は避け、白米やうどんなど消化の良い食事を選びます。これは腸内をきれいにするための下剤が効果的に働くためです。
 

 
また、早めの就寝を心がけることも重要です。休息を十分にとることで、検査当日を快適に過ごすことができます。水分やお茶は検査の4時間ほど前までは摂取可能ですが、それ以外の飲食は控えめにしましょう。
 

大腸内視鏡検査前の準備:下剤の服用

検査当日の重要な準備として、腸管洗浄剤(下剤)の服用があります。服用方法は医療機関によって異なりますが、自宅で服用する場合と医療機関で服用する場合があります。
 
医療機関での服用を選択すると、専用の個室でゆっくりと下剤を飲むことができ、医師や看護師に不安な点をすぐに相談できる利点があります。特に初めて検査を受ける方や、遠方から来院される方には医療機関での服用がお勧めです。
 
下剤を服用すると、数回程度のトイレ通いが必要になります。排泄物が水様性の透明な状態になるまで続きますが、これは検査の精度を高めるために必要な過程です。
 

大腸内視鏡検査の処置

実際の検査は、患者さんが左側を下にした横向きの姿勢で始まります。まず、局所麻酔のゼリーや潤滑用ゼリーを使用して、肛門部の診察を行います。その後、直径約12mmの内視鏡を肛門から挿入していきます。
 
大腸は個人差はありますが、およそ150cmの長さがあります。検査では腸の形状に応じて、体の向きを変えながら内視鏡を盲腸まで進めていきます。挿入後は、内視鏡を徐々に引き抜きながら約10分かけて丁寧に観察を行います。
 
観察時には炭酸ガスを用いて腸管を適度に拡張させ、ヒダの裏まで細かく確認します。必要に応じて、病変部の組織採取やポリープの切除なども同時に実施可能です。
 

大腸内視鏡検査後の注意点

検査終了後は、しばらくの間院内で休息を取ります。特に鎮静剤を使用した場合は、十分な回復時間が必要です。検査当日は自動車の運転は避け、翌日からであれば通常通り運転可能です。
 
飲食に関しては、検査から1時間程度経過すれば可能となります。ただし、組織採取やポリープ切除を行った場合は、2〜3日間は刺激物の摂取や飲酒を控えめにする必要があります。また、激しい運動は避け、入浴はシャワー程度にとどめましょう。
 
検査後に少量の出血が見られることがありますが、これは通常の経過です。ただし、大量の出血や強い腹痛などの症状が出現した場合は、すぐに担当医に相談することが重要です。
 
 

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大腸内視鏡検査のメリット・デメリット

大腸内視鏡検査を受けるかどうか検討する際は、この検査のメリットとデメリットを理解することが重要です。実際の検査体験に基づく判断ができるよう、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
 

メリット

大腸内視鏡検査の最大の利点は、病変を直接観察しながら必要な処置まで同時に行えることです。リアルタイムで大腸内部を確認でき、拡大観察や画像強調などの精密な検査も可能です。
 
従来のバリウム検査と比べ、より正確な診断が可能となります。特に、発見したポリープを即座に切除できる点は大きな利点です。大腸がんの多くは良性の腺腫から発生するため、このポリープを早期に発見し除去することで、がんの予防にもつながります。
 
さらに、必要に応じて組織を採取し、より詳細な病理検査を行うことができます。これにより、確実な診断と適切な治療方針の決定が可能となります。また、拡大内視鏡による観察では、病変の性質をその場で判断できるため、より効率的な治療計画を立てることができます。
 

デメリット

検査にあたって最も負担となるのが、前処置としての腸管洗浄です。大量の下剤を服用する必要があり、服用後は頻繁なトイレ通いを強いられます。この準備段階での身体的・精神的な負担は決して小さくありません。
 
検査中は、腸内に空気や炭酸ガスを送り込むため、腹痛や腹部膨満感を感じることがあります。また、スコープの挿入時に痛みを感じる場合もあります。腸の形状によっては、スコープが奥まで到達しにくいこともあり、その際は体勢を変えながらの検査となります。
 
さらに、ごくまれではありますが、出血や穿孔などの合併症が起こる可能性があります。
 
 

大腸内視鏡検査の負担を軽減する方法

大腸内視鏡検査による身体的・精神的な負担を軽減するため、近年では様々な工夫が導入されています。まず、検査前の下剤については、複数の選択肢が用意されています。従来の液体タイプに加え、錠剤タイプや濃縮タイプなど、患者さんの状態や希望に応じて選択できるようになってきました。
 
検査時の苦痛軽減には、鎮静剤の使用が効果的です。特に初めて検査を受ける方や不安が強い方、以前の検査で痛みを感じた経験のある方には有効な選択肢となります。鎮静剤を使用した場合、うとうとした状態で検査を受けることができ、検査中の不快感や痛みを大幅に軽減できます。
 
また、検査機器の進歩も患者の負担軽減に貢献しています。炭酸ガスを用いた送気により、検査後のお腹の張りを軽減できるようになりました。さらに、スコープ自体も改良が重ねられ、より細いタイプや挿入時の痛みを抑える機能を備えたものも登場しています。
 
医療機関を選ぶ際は、これらの負担軽減策を積極的に取り入れている施設を選ぶことをお勧めします。また、専門医による検査実施や、十分な経験を持つ医師の在籍も重要な選択ポイントとなります。事前に医療機関の特徴や対応可能な負担軽減策について確認し、自分に合った施設を選ぶことが、より快適な検査につながります。
 
 

まとめ

大腸内視鏡検査は、大腸がんの早期発見と予防に欠かせない重要な検査です。近年の医療技術の進歩により、検査時の苦痛を大幅に軽減できるようになり、より安全で正確な診断が可能となっています。
 
適切な医療機関を選択し、定期的に検査を受けることで、大腸の健康を維持し、深刻な病気の予防や早期発見につながります。不安や負担を感じる方も、様々な負担軽減策を活用することで、安心して検査を受けることができます。
 
 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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