胸やけが起こる原因とは?対処法・予防法や胃もたれとの違いと合わせて解説
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胸やけが起こる原因とは?対処法・予防法や胃もたれとの違いと合わせて解説
胸やけが続いていたり、発症する頻度が高かったりして悩んでいませんか?
胸やけは一過性のものである場合もありますが、病気が原因で起きているケースもあり、放置は禁物です。
本記事では、胸やけがどのような状態を示すのか、また発症の原因、検査方法や治療法について解説します。
胸やけとは?
胸やけの症状と胃もたれの違いを解説します。
胸やけの症状
胸やけは胸(胃)が熱く感じたり、痛みを感じたり、違和感を覚えたりする症状です。
逆流した胃酸が喉まで上がって痛みや声のかすれ、喘息症状を訴えるケースもあります。
発症原因は、大きく分けて「乱れた食生活」や「体の変化」「疾患」があり、自己判断で見分けるのは困難です。
胃もたれとの違い
胃もたれは胃の機能が低下し、胃のなかにある食物を消化や運搬ができず、胃のもたつきを感じる症状です。
よって、胃酸の逆流でみぞおちあたりの痛み、焼けるような熱さなどを感じる胸やけとは、症状や起きるメカニズムが違います。
みぞおちの痛みについてはこちら
胸やけの原因となる病気や生活習慣
胸やけの原因となる病気や生活習慣を紹介します。
病気による原因
発症の原因となる病気はさまざまありますが、例として以下のようなものがあります。
- ●逆流性食道炎
- ●非びらん性胃食道逆流症
- ●慢性胃炎
- ●胃・十二指腸潰瘍
- ●胃がん・食道がん
各疾患の症状や特徴は下記のとおりです。
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流し食道が炎症を起こす「胃食道逆流症」の一種です。
主に、胸やけや酸っぱい液体が上がってくる感覚、食後に胸やみぞおちに痛みを感じます。
非びらん性胃食道逆流症
非びらん性胃食道逆流症とは、胃にびらんなどの所見は見当たらないものの、逆流症の症状が認められる疾患です。
逆流性食道炎と同じ胃食道逆流症の一種で、胸やけや呑酸の症状が見られます。
慢性胃炎
慢性的に胃が炎症を起こしている状態を「慢性胃炎」といい、はっきりとした原因疾患はありません。
以前までは加齢が要因だと考えられていましたが、1982年にピロリ菌が発見されたことで、最近ではピロリ菌の長期的な感染が関連しているとされています。
主な症状は、胸やけやみぞおちの痛み、吐き気などです。
胃・十二指腸潰瘍
胃・十二指腸潰瘍は、胃や十二指腸に潰瘍がみられる状態です。
治療しても繰り返し再発する場合は、ピロリ菌に感染している可能性があります。
主な症状は、胸やけ、空腹時のみぞおちの痛み、吐血や下血です。
胃潰瘍についてはこちら
胃がん
胃がんは、胃の粘膜にがんが発生し起きる疾患です。
詳しい原因はわかっていませんが、遺伝子異常やピロリ菌感染、喫煙、塩分の過剰摂取などが考えられています。
とくにピロリ菌は、萎縮性胃炎を起こすことで胃がん発生につながるとして、1994年にWHOによって発がん性リスク因子として認められました。
食道がん
食道がんは、食道の粘膜にがんが発生し起きる疾患です。
生存率は増加しているものの、治療が難しいがんとされています。
病気以外の原因
胸やけは、下記のような原因でも起こる可能性があります。
- ●ストレス
- ●薬の副作用
- ●自律神経・ホルモンバランスの乱れ
- ●食べ過ぎ・飲み過ぎ
- ●加齢
上記が胸やけを起こすメカニズムを解説します。
ストレス
ストレスの蓄積は食道の知覚過敏を起こし、胸やけを起こすと考えられています。
食道炎を起こしていなくても、胃酸に過敏な反応をしてしまうと、胸やけや痛みを感じます。
胃痛についてはこちら
薬の副作用
一部の狭心症や高血圧症などの薬の副作用により、胸やけを起こすケースがあります。
通常、血管の平滑筋を緩めることで狭心症や高血圧症の症状にアプローチする薬ですが、食道の平滑筋に作用してしまうことがあるのです。
食道の平滑筋が緩めてしまうと胃酸の逆流が起こりやすくなるため、胸やけにつながります。
自律神経・ホルモンバランスの乱れ
胃腸機能には自律神経の働きが大きく関わっているため、自律神経が乱れると胃腸機能が低下し、胸やけを起こす場合があります。
自律神経が乱れる主な原因は、生活習慣やストレス、女性ホルモンのエストロゲンの減少です。
食べ過ぎ・飲み過ぎ
飲み過ぎや食べ過ぎは、胃に過剰な力が加わるためその力をゆるめようと空気を体外へ逃す「ゲップ」がおきます。
しかし、ゲップは胃酸逆流を起こし、逆流した際に胸やけを感じるケースがあるのです。
とくに、炭酸飲料やアルコール類の摂りすぎは胃中の空気量を増やし、ゲップとして排出される空気も多くさせるため、胃酸逆流のリスクを高めます。
加齢
加齢による下部食道括約筋の筋力低下は、胸やけを起こす要因の一つです。
通常であれば、下部食道括約筋によりしっかりと胃の入り口が閉じられるため、食道に胃酸や食物は逆流しません。
しかし、加齢に伴う内臓機能の低下に伴い下部食道括約筋の筋力が低下すると、胃の入り口がゆるくなるため、逆流しやすくなります。
アレルギーによる胸やけ
アレルギーによる食道炎には「好酸球性食道炎」があり、難病に指定されています。
アレルギー反応に関わる白血球「好酸球」が、アレルギー物質を摂取することで食道に多く集まり、慢性的な炎症を起こすことが原因です。
日本国内では稀な疾患と思われていましたが、人間ドックなどによる胃カメラ検査で診断されるケースが近年増加しています。
胸やけの診断・検査方法と治療法
胸やけの診断方法と原因を突き止めるための検査方法、治療法を紹介します。
診断方法や検査
日本で行われる主な診断方法は2つあります。
問診検査
問診検査は、慢性的な胸やけ症状や、別の症状がある場合に有効な検査方法です。
診断や評価のために行います。
内視鏡検査
内視鏡検査は、問診検査だけではわからない胃や食道の状態を知るために行う検査方法です。
びらんや潰瘍の有無、炎症の有無などの病変を見つけるのに役立ちます。
治療法
胸やけが見られる場合は、以下の方法で治療が行われます。
手術療法
胃食道逆流症の外科治療として、手術療法があります。
食道の周辺に襟巻きのように胃を巻き、逆流を物理的に防止します。
手術は腹腔鏡手術で行われるのが主流です。
内服治療
第一選択として、胃酸分泌を抑制し胃酸の量を減少させる阻害薬の内服治療が推奨されています。
阻害薬は「PPI」と呼ばれるプロトンポンプ阻害薬が主流です。
胸やけの対処法と予防法
胸やけの症状がある場合は、ウエストの締め付けを緩めることで緩和をはかれます。
予防するためには、食べ過ぎや飲み過ぎ、過度な喫煙やアルコール摂取を避けることが大切です。加えて、前かがみの姿勢にならない、食べてすぐ横にならないなど、腹圧をかけないよう過ごすことも意識しましょう。
まとめ
胸やけは、命に関わるような病気が関わっていることがあり、早めの受診をおすすめします。
また、ストレスや薬の副作用、食べ過ぎや飲み過ぎといった原因でも発症するため、食生活や普段の過ごし方に気をつけることで、予防・改善できる場合もあります。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師