脊柱側弯症とは?症状や原因、治療法について徹底解説



 

「脊椎が曲がったまま放置するのは危険?」
「子どもに治療を受けさせたほうがいい?」

とお悩みではありませんか?
 
結論からお伝えすると、程度によりますが治療を行うことが望ましいです。後々成人になってから影響することも分かっているためです。
 
以降で症状やリスク、治療法などを詳しく解説します。

 
 

脊柱側弯症の特徴や症状・原因・治療法について

脊柱側弯症とはどのような状態で、どのような原因で起こるのでしょうか。
以降では、特徴や症状、原因、治療法について詳しく解説します。
 

脊柱側弯症とは

通常、脊椎は首から腰椎まで横に曲がることなく真っすぐになっています。
しかし、さまざまな原因によって背骨が回旋を伴いながら曲がってしまうのが脊柱側弯症です。なお、10度以上に弯曲すると診断されます。
 

 
先天性のものも後天性のものもありますが、多くは後天性の原因不明な突発性側弯症です。突発性側弯症はさらに細かく分類でき、最も発症数が多いとされているのは思春期突発性側弯症です。
 
側弯症かどうかは見た目でも分かることがありますが、単純X線で検査するとすぐに分かります。
 

発症原因

発症原因となるものは以下の3つがあります。
 

  • ●機能性側弯症
  • ●構築性側弯症
  • ●特発性側弯症

 
では、一つずつ特徴をお伝えします。
 

機能性側弯症

背骨そのものには何ら問題がなく、別の問題があって発症するタイプの側弯症です。例えば、腰椎椎間板ヘルニアの痛みが原因であることもあれば、普段から正しくない姿勢で過ごすことが多いといった要因で発症することもあります。
 
また運動習慣が原因で起こることもあり、テニスやバドミントン、バレエなど左右どちらかに偏る動きをすることが多い運動は、発症リスクを高めます。

 

構築性側弯症

構築性側弯症は、原因がはっきりと分かっているタイプと原因不明なものとに分類されます。原因が分かっているものは、外傷性や先天性、筋原性、神経原性など複数にわたります。

 

特発性側弯症

構築性側弯症の発症の中で多いのは特発性側弯症で、原因不明のものがこれに分類されます。現在もさまざまな専門家たちが原因を調べていますが、まだはっきりとしたことは分かっていないのが現状です。
 
しかし、家族内で発症が見られることから、遺伝が関連していると考えられています。これからも調査や研究が進み、原因が明らかになっていく可能性があります。

 

経過について

側弯症がどのように進行するかの予測を立てることは非常に困難です。よって、治療方針は年齢や弯曲のタイプなどから決定します。
最近報告された研究では、カーブの角度が緩い場合の思春期突発性側弯症になりそのまま経過した場合、成人になると腰痛を訴える方が多いとのことです。
 
このことから、生活にも支障をきたす可能性が高いため、子どもの時期に治療を行うことが大切だといえます。
 
また、思春期突発性側弯症に関する研究が進んでおり、進行がある程度予測できるようになりました。
 
予測方法は、年齢とコブ角です。10〜12歳、13〜15歳、16歳でコブ角が19度未満だった場合、進行する確率はそれぞれ、25%、10%、0%であるとされています。コブ角がこれよりも大きいと、進行するリスクは高まるようです。
 

治療法について

治療法は2通りあります。
まずは、装具療法です。
どのくらい変形しているかというレベルに合わせて、専用の道具を用いて進行を抑制します。
この治療法は骨の成長が終了するまで行う必要があり、長期間となります。なお、1日の装着時間が長いほど効果が上がるため、できる限り装着する時間を長くするのが望ましいです。
 
2つ目は手術です。
コブ角が40度を超える場合は手術を視野に入れなければなりません。症状のタイプや骨の成熟度によって異なりますが、手術は唯一矯正して進行を抑制できる有効な方法です。
 
コブ角が25度に満たない場合、治療を行わないこともあります。このような場合は、定期的に経過観察のために診察を行います。
 
側弯症は体が歪み、見た目が変わるだけではありません。内臓や筋肉組織などあらゆるものに負担をかけます。したがって、治療をスタートするのに適切なタイミングで、しっかりと向き合い治療することがとても大切です。
 

なりやすい人

痩せ型の女性がなりやすい傾向があります。生活習慣との関連性については、寝る姿勢や、通学カバンの重さや種類、睡眠時間、寝具が影響を及ぼすことはないようです。
 
加えて、妊娠や出産といったことにも関連性はありません。
 
しかしスポーツの影響については、クラシックバレエの経験がある女子は経験がない女子よりも側弯症の発生率が1.3倍高かったという調査結果があります。
ただ、バレエそのものが影響しているのか、痩せ型であることが影響しているのかはまだ不明です。そのため、まだまだ研究の余地があります。
 

遺伝性について

側弯症の中には先天性のものがあり、遺伝が関係することがあることが分かっています。また、思春期突発性側弯症の発症や進行にも遺伝が関連していると考えられており、現在も遺伝子研究が進められています。
 

先天性側湾症について

先天性側弯症は、遺伝子の変異により発症するタイプです。発症する方の10%程度が「TBX6」という遺伝子が原因で発症することが分かっています。
 
近年の研究では、発症する可能性がある遺伝子が5つ発見されています。
それが以下の遺伝子です。

 

  • ●LBX1
  • ●GPR126
  • ●PAX1
  • ●BNC2
  • ●SOX9

 
また、進行に関わると思われる遺伝子がMIR4300HGであることも発見されました。
 

進行すると平均寿命が短い傾向にある

症状が軽い場合は心配ありませんが、進行し心臓や肺を圧迫するようになると、呼吸機能に悪い影響を与えるため平均寿命が短い傾向があることが知られています。

 

発症したことによるリスク

脊柱側弯症の発症は、背骨が曲がるほど目立つため外見も影響を受けます。くびれは大きく左右差があり、下を向くと骨が傾いていることがはっきりと分かります。それに加えて、臓器圧迫なども起こすため、注意しなければなりません。

 
 

成人の脊椎側湾症の傾向や治療について

成人の場合、骨がすでに成長を終えているため、装着器具療法での矯正は困難です。
 
そのため、治療を行う際は手術が行われます。大々的な手術にはなりますが、現在の手術法は体へのダメージを抑えられています。
 

 
術式は「前方矯正固定術」と「後方矯正固定術」とがあります。手術時間は若い方の場合、前方矯正固定術を行うと約4〜6時間位、後方矯正固定術を行うと約3〜5時間位です。中年以上の方の場合は後方矯正固定術で約4〜7時間位です。
 
入院期間は一般的に10日前後となります。

 
 

まとめ

脊椎側湾症はタイプや原因が幅広いものの、直接命に関わることは少ないです。
 
しかし、強く側弯している場合は体にダメージを与えるため、治療を受けることが望ましいでしょう。
また、原因によってはその原因元を治療することで改善されるケースもあります。

 
 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師

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