ドライマウスは口が乾くだけじゃない?原因・症状と治療・対策方法を解説

  • クリニックブログ
2024/05/01

ドライマウスは口が乾くだけじゃない?原因・症状と治療・対策方法を解説

ドライマウスという病気を聞いたことがある人は多いかもしれません。何らかの原因で唾液の分泌量が減り口の中が乾く病気のことです。「ただ口の中が乾くだけじゃないの?」「ドライマウスになるのはどうして?」「ドライマウスにはどんな問題がある?」といった疑問を持つ方もいることでしょう。
 
今回は、ドライマウスの原因や問題・症状、治療法と対策について解説します。

 

ドライマウスとは

ドライマウスとは、「口腔乾燥症」とも呼ばれ、何らかの原因によって唾液分泌量が低下し、口の中が乾燥する病気のことです。近年、ドライマウスは増加傾向にあるとされ、男性よりも女性の方が発症しやすいとされています。加齢やストレス、薬剤の副作用なドライマウスの原因はさまざまです。

 
 

ドライマウスの原因

ドライマウスは、高齢者が発症することが多いため、加齢が主な原因だと思われがちです。しかし、ドライマウスは加齢以外にもさまざまな要因によって引き起こされる可能性があります。

喫煙・アルコール・カフェインの影響

喫煙するとニコチンの作用により血管が収縮したり、自律神経が働いたりすることで唾液の分泌量が減少しやすくなります。また、アルコールやカフェインには利尿作用があるため、過剰摂取することで体内の水分が減って口が乾きやすくなります。
 

口呼吸の癖や会話の減少

口呼吸をすると、口腔内が乾いてしまいドライマウスになりやすいです。口呼吸の癖や歯並びなどが原因で口を閉じられない場合、アレルギー性鼻炎で口呼吸せざるを得ない場合はドライマウスになりやすいでしょう。
また、IT機器やアプリの発展により実際に会話する機会が減っていることも原因の一つと考えられています。会話が減ることで口の筋肉が使われなくなり、唾液の分泌が促されにくくなるためです。

 

ストレスや緊張

ストレスや緊張を感じると、自律神経の作用によって唾液の分泌が抑えられます。そのため、ストレスを感じやすい人や緊張しやすい人はドライマウスになりやすい傾向があります。
 

加齢の影響

加齢によって唾液腺が萎縮することで、唾液の分泌量が減ることがあります。また、歯の本数が少ない高齢者は噛む機能が低下するため唾液分泌量が減りやすく、それがドライマウスの原因となることがあります。
 

全身疾患の影響

糖尿病などの生活習慣病や腎不全などの全身疾患も、ドライマウスの原因となるものです。
 

薬による影響

薬の副作用によって唾液の分泌量が減ることがあります。たとえば、花粉症の薬の中には、唾液分泌を抑える副作用を持つものがあり、それが原因でドライマウスになることがあります。また、女性の更年期障害の薬で処方される抗うつ剤の副作用により、口が乾いてドライマウスになるケースもあるようです。
 

シェーグレン症候群

涙や唾液を作る臓器に炎症を起こす自己免疫疾患のことです。40~60歳くらいの女性が発症しやすい病気で、原因はよくわかっていません。炎症の影響により身体のさまざまな粘膜が乾燥しやすくなり、ドライマウスの原因にもなる病気です。

 

 シェーグレン症候群について詳しくはこちら

詳しくはこちら

 

ドライマウスが引き起こす問題・症状

ドライマウスになると食事を楽しみにくくなります。食べ物が唾液に溶けにくくなるため味を感じにくくなり、食感もパサパサしてしまうためです。また、虫歯や歯周病といった歯やお口の病気、口臭がきつくなるといった問題を生じやすくなります。ドライマウスによって唾液が少なくなることで、口腔内の浄化作用が低下することが理由です。
 
さらに、口が乾くことで痛みが生じたり、カンジダ菌が増殖したりすることもあります。
他にも、風邪などの感染症にかかりやすくなる、発音しにくくなる、誤嚥性肺炎を起こしやすくなるなど、ドライマウスはさまざまな問題・症状を引き起こします。


 
 

ドライマウスのセルフチェックリスト

「もしかしたらドライマウスかも?」と気になるようでしたら、セルフチェックをしてみましょう。以下のような症状があれば、ドライマウスの可能性がありますので、病院を受診しましょう。
 

  • ● いつも口の中がネバネバしている
  • ● 口内炎が頻繁にできて困っている
  • ● 喉が乾いて水ばかり飲んでしまう
  • ● 氷をガリガリと噛むのが癖だ
  • ● 夜中に喉が乾いてなんども起きてしまう
  • ● 口の中がよく傷ついてしまう
  • ● パサパサして食事しにくい
  • ● 口の中がヒリつく、ピリつく
  • ● 口臭がきついと言われるようになった
  • ● 会話したり笑顔になったりすると、唇がくっついてしまう


 
 

ドライマウスの治療法と対策

ドライマウスは検査・診断などによって原因を調べます。原因が治療可能なものであれば、原因除去治療がメインになります。たとえば、全身疾患が原因であれば、その治療を行います。ただし、生活習慣などが原因の場合はその除去が困難であるため、対症療法によって症状を緩和します。また、ドライマウスに伴う痛みがあれば、まずはそれを取り除く治療を行うのが一般的です。
 
以下でドライマウスの治療法や対策について解説します。

セルフケア・対策

ドライマウスは生活習慣が原因となるケースが少なくありません。そのため、改善や予防のためには生活習慣の改善やセルフケアが重要です。たとえば、喫煙・飲酒などを控えめにする、規則正しい生活を心がけて質の高い睡眠をとる、しっかり噛んで食べる、ストレスを溜め込まないといったことが基本の対策です。
 
また、部屋を乾燥させないようにしたり、なるべく会話したり、歌ったりするということもドライマウスの改善や対策に効果的です。
 

食事による改善

食べ物には唾液の分泌を促すものが数多くあります。たとえば、多くの人が思い浮かぶのはレモンや梅干しなどの酸っぱいものでしょう。ただ、酸っぱい食べ物は摂りすぎると胃腸に負担をかけたり、歯を溶かしたりするためご注意ください。
 
他にも唾液を促しやすいものには以下のようなものがあります。
 

  • ● よく噛むもの:スルメやナッツ類、ガムはたくさん噛む必要があるため、唾液分泌が促されやすいです。
  • ● 唾液分泌を促進するもの:こんぶに含まれているうま味成分には、唾液を分泌する作用があります。他に、納豆に含まれる成分も唾液分泌に効果的とされています。

 

マッサージ

唾液分泌を促すマッサージもドライマウスの改善・対策に効果的です。頬のあたりにある耳下腺やアゴの下前方にある舌下腺、アゴの下後方にある大唾液腺などの唾液腺を優しくマッサージしてみましょう。
 

口腔内の保湿

お口の乾燥を防いで保湿する保湿剤の使用も、ドライマウスの改善・対策に効果的です。保湿剤にはうがいタイプ・ジェルタイプ・スプレータイプなどがあります。特にスプレータイプは持ち運びしやすく、外出先でも気軽に使用できるためおすすめです。
 

口周りの治療

噛み合わせの不具合やアゴの問題、唇の筋力低下などによってドライマウスが引き起こされることもあります。そうした場合は、口周りの治療をすることでドライマウスが改善するかもしれません。たとえば、矯正治療や口腔周囲筋のトレーニングなどです。


 
 

まとめ

ドライマウスは加齢だけでなく、さまざまな原因により引き起こされる病気です。特に現代人は若い人でもドライマウスになることが少なくありません。生活習慣によっても引き起こされるため、誰もが発症する可能性があります。
 
ドライマウスは原因が明確であれば、それを取り除くことで改善できます。また、生活習慣の改善やその他の対策を行うことで、ある程度予防することも可能です。今回の記事を参考に、日常生活で気をつけていきましょう。もし気になる症状がある、ドライマウスを早く改善したいという場合は、病院の受診をおすすめします。


 
 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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