シェーグレン症候群とは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/07/19

シェーグレン症候群とは?原因、症状、治療法について解説

シェーグレン症候群とは

シェーグレン症候群は1933年にスウェーデンの眼科医ヘンリック・シェーグレン氏が発表し、日本では1977年の厚生労働省研究班の研究によって医師の間に広く認識されるようになりました。
全身性の臓器病変を伴う全身性の自己免疫疾患でもあり、視神経脊髄炎にもシェーグレン症候群は合併すると報告されています。経過を見てみると、約半数の患者様は10年以上経っても大きな変化はないと言われておりますが、残り半数の方は10年以上経つと何らかの検査値異常や新しい病変がみられるという報告があります。

また、関節リウマチの約20%にシェーグレン症候群が発症し、50歳代にピークがあり、子供から80歳の老人まで発症することもあります。男女比は男1人:女17人で、女性に多く発症するというデータがあります。


 

シェーグレン症候群の原因は

詳細は不明ですが自己免疫による疾患と考えられており、自分の身体の成分に対して免疫反応を起こすことによる疾患で、遺伝的要因、ウイルスなどの環境要因、免疫異常、更に女性ホルモンの要因が考えられています。

これらの4つの要因が複雑に関連し合って発症するものと考えられており、どれか一つの原因で発病するわけではありません。同一家族内で膠原病が発症する率は約8%で、シェーグレン症候群が発症する率は約2%位とされています。これはそうでない人と比べ少し多いですが、単一の遺伝子の変化が原因で発症する、いわゆる遺伝病ではありません。
  

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シェーグレン症候群の症状は

◎乾燥

目:乾き、ゴロゴロ、掻痒感、疼痛、疲労感など
口:渇き、唾液が出ない、味がよくわからない、疼痛、虫歯が増えるなど
鼻腔:渇き、かさぶたができる、鼻出血など
   

◎全身

疲労感、記憶力低下、頭痛(特に多い)、めまい、集中力の低下、気分が移りやすい、うつ傾向など
   

◎その他

唾液腺の腫脹・疼痛、息切れ、発熱、関節痛、脱毛、肌荒れ、夜間の頻尿、紫斑、皮疹、レイノー現象、アレルギー、日光過敏、膣乾燥(性交不快感)など


  

シェーグレン症候群の検査方法

1999年に厚生省の診断基準が改定され、

  • ・口唇小唾液腺、または涙腺の生検組織でリンパ球浸潤がある
  • ・唾液分泌量の低下がガムテスト、サクソンテストで証明され、シンチグラフィーで異常がある、または唾液腺造影で異常がある
  • ・涙の分泌低下がシルマーテストで証明され、ローズベンガル試験または蛍光色素試験で角結膜の上皮障害がある
  • ・抗SS‐A/Ro抗体か抗SS‐B/La抗体が陽性である

 
この上記4項目の中で2項目以上が陽性であればシェーグレン症候群と診断されます。


  

シェーグレン症候群の治療方法

現状では根本的にシェーグレン症候群を治癒させることは出来ません。したがって治療は乾燥症状を軽快させることと疾患の活動性を抑えて進展を防ぐことにあります。
目の乾燥、口の乾燥はひどくなると著しく生活の質(QOL)を害しますので、毎日の点眼、口腔清潔を心がける必要があります。エアコン、飛行機の中、風の強い所、タバコの煙などに注意が必要です。皮膚に対して、石鹸の使用、頻繁にお風呂に入ること、特に熱い湯は良くありません。膣の乾燥の原因について、アンケートでは20%の患者さんに性交不快感があり、エストロジェンの内服やエストロジェン入りのクリームなどを使用することが必要となりますので、婦人科を受診するのが良いでしょう。
 
規則正しい生活、休養、バランスのとれた食事、適度の運動、ストレスを取り除く等の注意が必要です。また、他膠原病を合併した場合には、その治療を優先していきます。患者さんと医師が協力し合って忍耐強く病気に対応することが重要です。

   

シェーグレン症候群の予防方法

残念ながら原因がわかっていないため、有効な予防方法はありません。
ただ、罹患後の日常生活で気をつけることはあります。治療方針で述べたように、規則正しい生活を心がけ、寒冷や精神的ストレスを避けていくことが大切です。また、処方された薬をきちんと内服することや、定期的な診察・検査を受け、病気と向き合っていくことが大事です。  

 

まとめ

患者会として「シェーグレンの会」があり、毎年1回開かれています。国際的な研究会は「国際シェーグレン症候群シンポジウム」が2~3年に1回開かれ、世界中の多くの医師がシェーグレン症候群にとり組んでいます。

病気の原因の解明と新しい治療の開発が確実に進んでいます。この病気は長期間にわたる慢性疾患です。自己免疫疾患であり慢性に経過することや、病気の勢いに波があることを理解した上でコントロールをしていくことが大切となります。

 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

  • 麻酔科標榜医
  • 日本医師会認定産業医
  • 専門

    麻酔・救急・内科/外科全般

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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