アルツハイマー病の原因や症状、治療法を解説|ウイルスや菌感染の関連性

  • クリニックブログ
2024/05/01

アルツハイマー病の原因や症状、治療法を解説|ウイルスや菌感染の関連性

「アルツハイマー病になるのはなぜ?どのような原因がある?」
「どのような症状が出てどういった経過をたどるのか知りたい」
「完治できるような治療法はある?」
といったお悩みや疑問もあるのではないでしょうか。
 
アルツハイマー病は脳の神経細胞が徐々に死滅し、脳が萎縮してしまい認知障害などを起こす病気です。徐々に症状が進む脳の病気であるため、止めることはできません。
 
本記事では、どういった病気であるのか、特徴や原因、症状を詳しく解説するとともに、治療法やウイルス・菌感染との関連性について解説します。

 

アルツハイマー病とは?

アルツハイマー病の特徴や原因、症状と経過パターンについて解説します。

アルツハイマー病はどんな病気?

認知症の発症要因となる病気のひとつで、現在の治療法では完治が難しいです。発症してから10年〜15年で亡くなることが多く、最終的には身内でさえもわからなくなってしまいます。また、進行すると寝たきりや食事ができなくなるといった症状も起き、認知障害や記憶障害では止まらなくなるのも特徴です。
 
強く責められたり、家の中に閉じ込められたりといった強いストレスを受けると、一気に症状が悪化しやすくなります。介護する側は「忘れられる」「何度も同じことを繰り返す」といったことでストレスを受け、患者様に対して怒ってしまうことで自己嫌悪に陥ることも少なくありません。アルツハイマー病は本人にとってもご家族にとっても、向き合うことが難しい病気なのです。

 

発症する原因について

発症原因は詳しくわかっていません。
 
しかし、アミロイドとタウ蛋白という物質が脳に蓄積し、沈着することが発症原因だと考えられています。それは、アルツハイマー病を発症している患者様の脳の状態にアミロイドとタウ蛋白が溜まっているといった病変が見つかっているためです。
 
また、遺伝が原因で発症するという場合もあります。

 

現れる症状

現れる症状は、脳の障害によるもの、からだに現れるもの、精神症状として現れるものがあります。初期と後期で現れる症状は大きく異なり、次のようなものが挙げられます。
 

初期症状

初期症状として現れやすいのは「物忘れ」です。買った食材をどこに置いたのかわからなくなったり、火を消し忘れたり、人の名前が思い出せなかったりします。さらに、人格が変化し別人に感じられるような症状が現れることもまれにあります。
 
よくある認知症の症状なので、患者様本人や周囲の人が異変に気づくパターンも多いです。また、徐々に進むと錯乱が混じり、患者様本人がパニックを起こしやすくなります。

 

後期症状

後期になると、過去の出来事はおろか、仲の良い友達や家族でも名前が出てこなくなります。また、進行具合によっては日常生活を自力で送ることができません。食事や排泄、入浴を自分ですることができなくなり、家族やヘルパー、看護師といった人のサポートが必要となります。
 
加えて、アルツハイマー病に多いのが徘徊です。日付や場所の感覚を失い、迷子になった感覚になってしまいます。その結果、家を飛び出して自分の家を探そうとする行動に走ります。

 

症状の経過は3パターン

症状の経過は以下の3パターンです。
 

  • 1. 初期
  • 2. 中期
  • 3. 後期

 
最初は軽い物忘れからスタートし、徐々に悪化すると記憶が錯乱して、過去の自分に戻ったり現在の自分に戻ったりする症状が見受けられます。また、支離滅裂で話が成立しなくなる、会話が減るといった症状は中期でみられます。
 
後期になると「自分のことも周囲の親しい人もわからない」「日常生活が自分で送れない」といった重度の記憶・認知障害や身体症状が現れ、一人で生活することはできません。

 

 認知症について詳しくはこちら

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アルツハイマー病の診断・予防・治療について

アルツハイマー病が疑われる場合の診断や、ならないための予防法、診断されたあとに行う治療について解説します。

診断方法

診断するために、アルツハイマーの病の有無を診断する検査と、原因を特定する検査が実施されます。
 

アルツハイマー病の有無の診断検査

アルツハイマー病になると、記憶や思考を司る海馬に強い萎縮がみられるため、画像検査でチェックが可能です。
 
他にも、症状の確認によっても発症の有無を判断できます。アルツハイマー病の特徴として、新しい記憶を脳に残せない、物忘れがあるといった症状があります。よって、家族や受診の付き添い者に聞き取りを行い、特有の症状がないかを確認することも診断のための材料です。
 
また、脳血流SPECT検査も、特有のパターンを持っているため診断を確定するのに役立ちます。

 

予防について

アルツハイマー病を発症しないための予防方法を紹介します。
具体的な方法は以下のふたつです。
 

  • 1. コレステロール値の上昇を抑える
  • 2. 脳を使うことを意識

 
では、ひとつずつ解説します。
 

コレステロール値の上昇を抑える

コレステロール値の上昇が発症要因に関係していることから、コレステロール値をコントロールすることが勧められています。卵を食べすぎている、マヨネーズをたくさんかけるなど、食生活で思い当たる節がある方は見直しましょう。
 

脳を使うことを意識

脳を使うことを意識することで、神経細胞のネットワークがつながって活性化するのを促進できます。それにより、アルツハイマー病の進行を緩やかにしたり、発症の予防につながったりします。
 
たとえば、新聞を読む、人と会話をする、折り紙をするといった方法で構いません。手指を動かす折り紙は脳に刺激を与えるため、良い訓練にもなります。

治療法について

診断が確定されたあとの治療法は、患者様が快適に過ごせるための環境整備と薬剤治療があります。

 

患者様にとっての環境整備

患者様にとっての環境整備とは、見当識や認知機能が低下するため、「ここがどこだかわからない」「今が何月何日なのかわからない」というような状況に陥り、患者様本人は不安な気持ちが大きくなっていきます。患者様は常にそのような状態になっているため、安心して穏やかに過ごせるための環境づくりが必要なのです。たとえば、1日のルーティンを作ると記憶の助けにもなり過ごしやすくなります。

 

薬剤治療

薬剤治療は進行具合によって処方する薬を変えて行います。コリンエステラーゼ阻害薬は、記憶力、学習力、集中力に関する神経伝達物質の分泌量を上げる薬です。中期から後期になるとメマンチンが処方され、中等症や重度の症状の緩和に効果が期待できます。アデュカヌマブはアルツハイマー病の新薬で、月に1回の皮下注射で治療をします。

 
 

ウイルス・菌の感染によるアルツハイマー病の発症原因と関係性

ウイルス・菌の感染がアルツハイマー病の発症原因に関係があると長年いわれ、研究が進んでいます。その研究結果を今回紹介します。

ヘルペスウイルス1型とアルツハイマー病との関係

研究の結果、ヘルペスウイルス1型はアルツハイマー病の発症要因となりえることがわかりました。ヘルペスウイルス1型のカプシドタンパク「VP26」がアルツハイマー病に関係するDNAのメチル化に影響することが判明したのです。
 

歯周病菌とアルツハイマー病の関係

近年、歯周病菌がアルツハイマーのリスクを高める可能性があるといわれていますが、その可能性が濃厚となりました。歯周病菌が血液の循環に乗って全身にまわり、脳内物質内に侵入することでアルツハイマー病の発症を促す可能性が示唆されたのです。


 

 歯周病について詳しくはこちら

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まとめ

アルツハイマー病は未だ完治できる病気ではありませんが、新しい治療薬が登場したりと医療技術は進歩しているため、完治を目指せる日が近いのかもしれません。現在の治療では、進行を緩やかにすることで、自分らしい生き方ができる期間を延ばすことができます。
 
記憶から消えてしまうという悲しい病気でもありますが、準備や治療を受けることで一緒に楽しく過ごせる日が増えるのではないでしょうか。


 
 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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