ぽっこりお腹の肥満は改善できる?肥満の原因・リスクや治療法・予防法を解説

  • クリニックブログ
2024/05/01

ぽっこりお腹の肥満は改善できる?肥満の原因・リスクや治療法・予防法を解説

体重が増える、お腹がぽっこりするなど、肥満が気になる方は多いです。実は、肥満の度合いが高くなると、さまざまな合併症を引き起こすリスクが高まる肥満症になってしまいます。「どうして肥満になるの?」「肥満と肥満症は違う?」「肥満を一人じゃ改善できない」など、疑問やお悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。
 
今回は、肥満と肥満症の違い、肥満の原因、肥満のリスク、肥満の治療・予防法について解説します。

 

肥満と肥満症の違いとは

肥満と肥満症は同じように思われがちですが、実は意味が違う言葉です。肥満とは、体重が過剰であり太っている状態を指す言葉です。そのため、病気を意味する言葉ではありません。しかし、肥満である場合、糖尿病・高血圧を始めとする健康を脅かす合併症を引き起こす、または合併症を引き起こすリスクが高まります。その場合、肥満ではなく肥満症として、医学的に治療によって減量すべき対象とされます。
 
また、肥満と混同されがちな言葉にメタボリックシンドロームがあります。これは、内臓脂肪症候群と呼ばれるものです。肥満であってもそうでなくても、内臓脂肪の蓄積とともに、血圧・血糖値・血清脂質のうち2つ以上が異常な値である場合にメタボリックシンドロームと呼ばれます。

 
 

肥満・肥満症・メタボリックシンドロームの分け方

肥満・肥満症・メタボリックシンドロームは、BMI(体格指数)によって求められますBMIは国際的な標準指標です。以下では、BMIの計算方法や、肥満・肥満症・メタボリックシンドロームの分類について解説します。

BMI(体格指数)の計算方法

BMIは「体重(kg)÷(身長×身長)(m)」という計算式によって導き出すことができます。男女ともにBMIの標準とされるのはBMI22.0です。統計データにおいて、糖尿病・高血圧・脂質異常症にかかりにくい数値であることから標準とされています。
 

 BMI(体格指数)について詳しくはこちら

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肥満

肥満は、身長に対して体重が重い状態のことです。BMIが25以上である場合は肥満とされます。さらに細かく分けると、BMI25以上30未満は肥満度1、BMI30以上35未満なら肥満度2、BMI35以上40未満なら肥満度3、BMI40以上は肥満度4とされます。

 

肥満症

肥満症とは、BMI25以上の肥満であるとともに、肥満による合併症を1つ以上発症している、または合併症を引き起こしやすい状態のことです。BMIが35以上の場合は、高度肥満症と呼ばれます。リスクの高い状態であるため、医学的に治療が必要とされます。
 

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームは、BMIの数値にかかわらず分類されるものです。腹囲が男性は85cm以上、女性は90cm以上かつ血圧・血糖・血清脂質のうち2つ以上の数値が異常である場合にメタボリックシンドロームとされます。BMIが25未満の標準または痩せ型であったとしても、上記条件が満たされる場合はメタボリックシンドロームです。
 
メタボリックシンドロームは、動脈硬化を発症しやすく、心筋梗塞や脳梗塞といった命の危険性がある疾患を引き起こすリスクが高い状態です。

 

 メタボリックシンドロームについて詳しくはこちら

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肥満の原因

「食べ過ぎや運動不足の人は肥満になりやすい」というのは多くの人が理解していることでしょう。実はこれ以外にも、肥満になる原因は多くあります。肥満はさまざまな要因が重なり合って起こることが少なくありません。

運動不足や食べ過ぎ

運動習慣がない人や、高カロリー食を好む人は肥満になりやすい傾向にあります。カロリーは身体を動かすのに必要なエネルギーですが、過剰摂取すると脂肪として体内に蓄えられます。さらに運動習慣がない場合、カロリー消費しにくいため脂肪がより蓄積されやすくなります。
 

社会や環境要因

現代の日本は、さまざまな分野で発展して便利になっています。移動は公共交通機関や車を利用すればいいですし、コンビニエンスストアやスーパーなどで手軽に食品を購入できます。このような発達した環境は便利である一方で、肥満やそれに伴う健康障害を増加させることにもつながる可能性があります。

 

遺伝によるもの

実は、肥満は遺伝する傾向があるとされています。実際、代謝に関するホルモンの分泌量は個人差がありますし、腸内環境も人によって異なります。これらは遺伝が関連していると考えられています。つまり、同じ量の食事・同じ強度の運動をしても、肥満になりやすい人・なりにくい人が存在するわけです。
 

その他の原因

加齢によって、筋肉が衰えて基礎代謝の低下や運動習慣の減少などによって肥満になることもあります。女性の場合は、妊娠や閉経によってホルモンバランスが変化し、体脂肪が増えることも少なくありません。他にも、睡眠障害や摂食障害、薬の影響などが原因で肥満になる可能性があります。


 
 

肥満により引き起こされる問題や疾患

肥満はさまざまな疾患を引き起こすリスクが高まるとともに、生活上でも問題が生じるようになります。

日常生活で問題がある

肥満によって、呼吸に関する問題が出ることが少なくありません。たとえば、少しの運動でも息切れする、いびきをかくなどが起こる可能性があります。また、体重増加により膝や腰に負担がかかったり、運動機能低下により怪我をしやすくなったりするかもしれません。他にも、皮膚がのびて線ができるなどの問題が起きることもあります。
 

疾患リスクが高まる

肥満になることで、さまざまな疾患リスクが高まります。以下のような疾患には注意が必要です。
 

  • ● 糖尿病・高血圧・高脂血症
  • ● 胃食道逆流症
  • ● 冠動脈疾患
  • ● 心不全
  • ● 脂肪肝・肝硬変
  • ● 関節炎・腰痛・通風
  • ● 胆石などの胆嚢の病気
  • ● 男性の勃起障害
  • ● 女性の月経異常・不妊症・流産
  • ● 乳がん・子宮がん・卵巣がん・前立腺がん・膵臓がんなど

 
他にも肥満はさまざまな疾患リスクを高める恐れがあります。健康を維持するためには、肥満の改善や予防が大切です。


 
 

肥満の治療法と予防方法

肥満の改善・予防にはライフスタイルの改善・薬物療法・外科療法などがあります。

ライフスタイルの改善

肥満の主な原因となるのは、食べ過ぎや運動不足です。まずは、栄養バランスを整えつつ食事量を適切にし、カロリー摂取量を適正にしましょう。そして、適度な運動をすることでカロリー消費を促し、筋肉をつけることで肥満になりにくい身体にしていきましょう。
 
また、睡眠不足やストレスは肥満を促すものです。生活リズムを整えて質の高い睡眠を取る、休息や趣味のことをしてストレスを解消するなどしましょう。このように食事・運動を中心としたライフスタイルの改善は、肥満の治療・予防の基本となります。ぜひ継続して実践しましょう。

 

薬物療法

合併症を発症している、または発症リスクが高い肥満症と診断された場合は、薬物療法を行なう場合もあります。「痩せたい」という希望があるだけでは薬物療法の対象にはなりません。肥満症治療薬として保険診療で使える薬の対象となるのは、BMI35以上の高度肥満症のみです。
 
薬物療法は短期間の使用が意図されており、食事療法や運動療法を始めとしたライフスタイルの改善を並行して進めるのが効果的です。
 

外科療法

胃の一部を切除する外科手術によって、食べる量を減らして長期的な減量を維持する方法もあります。外科療法の適用は、対象年齢18~65歳までで、高度肥満症であるとともに他の病気がなく、内科治療を6ヶ月以上行ったにもかかわらず高度肥満性が改善しない場合に限られます。


 
 

まとめ

肥満とは太っている状態を表し、合併症を発症しているまたは合併症リスクが高い場合は肥満症と呼ばれます。肥満症は病気の1つであり、病院で治療を受けることができるものです。
 
現代になって、肥満の因にはさまざまあり、自力で痩せるのは難しいケースがあることもわかってきています。肥満について一人で思い悩まず、まずは病院を受診して医師に相談してみましょう。


 
 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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