肥満度の判定基準となるBMIの計算方法と健康との関係性

  • クリニックブログ
2024/04/12

肥満度の判定基準となるBMIの計算方法と健康との関係性

人間ドックや健康診断の結果には「BMI」という数値が記載されていることが多くなっています。BMIとは肥満度を示す指標として国際的に用いられているものですが、BMIの適正値やBMIの計算方法をご存じでしょうか。
 
今回は、BMIの計算方法やご自身のBMIの見方、BMIと健康の関係についてご説明します。

 

BMIとは

BMIとは「Body Mass Index」の頭文字をとったもので、日本では「体格指数」とも呼ばれているものです。
BMIは身長から見た体重の程度を示す指標であり、BMIの指数によって自分が痩せているか、肥満に該当するかが分かります。太りすぎや痩せすぎは、病気にかかるリスクが高まるため、BMIは健康を維持するための目安として利用されます。(ただし、BMIは18歳以上の成人を対象とした指標であり、18歳未満の子どもには別の指標が用いられます。)

 
 

BMIの計算方法とBMIの見方

BMIはご自身の身長と体重が分かれば、簡単に算出することができます。BMIの計算方法とBMIの判定基準をご紹介しましょう。

BMIの計算方法

BMIは、次の計算式で求められます。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
 
例えば、身長160cm、体重55kgの方のBMIは、55÷1.6÷1.6=21.5となります。
 

BMIの判定基準

BMIの計算方法は世界共通ですが、判定基準は国によって異なります。日本肥満学会が定めたBMIの判定基準は次のようになっています。

<日本肥満学会によるBMI判定基準>

BMI 判定
18.5未満
低体重
18.5以上25未満
普通体重
25以上30未満
肥満度Ⅰ
30以上35未満
肥満度Ⅱ
35以上40未満
肥満度Ⅲ
40以上
肥満度Ⅳ

 
日本肥満学会では、BMIが25以上の場合を肥満とし、BMIの数値によって肥満をさらに4つの度合いに分けています。
また、同学会では、最も病気にかかりにくい標準体重はBMI22であるとしています。したがって、先ほどBMIの計算の例として挙げた身長160cm、体重55kgの方の場合、BMIは21.5であることから身長に対するほぼ理想的な体重であるといえます。


 
 

BMIと健康の関係

一般的にBMIの値を見る場合には、BMIが高い、肥満の方が健康面での問題が起こりやすいと思われがちです。しかし、BMIは高すぎても低すぎても、健康を害する恐れがあります。BMIが標準値よりも高い場合と低い場合のリスクについてご説明します。

BMIが高い場合のリスク

BMIが高い状態は、肥満です。厚生労働省が行った令和元年の「国民健康・栄養調査」によると、男性の33.0%、女性の22.3%がBMI25以上の肥満に該当しています。BMIが高いだけで病気と判断することはできませんが、BMIが高く、内臓脂肪も増加している場合にはメタボリックシンドロームにつながる可能性が高くなります。メタボリックシンドロームは、糖尿病や高血圧、脂質異常などの生活習慣病を招きやすく、心臓病や脳卒中などに進む恐れがある状態です。
 
また、体重が増加すれば骨や筋肉にかかる負担は大きくなります。そのため、BMIが高い場合には腰痛やひざ痛などの関節痛を招く恐れも高まります。

 

BMIが低い場合のリスク

BMI18.5以下の低体重の人の割合は、男性3.9%、女性11.5%となっています。ダイエットなどが影響して、20代女性の低体重の割合は20.7%と高くなっています。低体重の状態は、栄養が不足していると考えることができ、貧血や疲れやすいなどの症状を招く恐れがあります。また、若い女性の場合は月経不順や低出生体重児の出産につながるリスクも指摘されています。
 
65歳以上の高齢者では、BMIが20以下の低栄養傾向にある方の割合が高まっています。男性では12.4%、女性では20.7%の方がBMI20以下となっているのです。高齢者の低栄養状態は筋力の低下を招き、転びやすくなったり、躓きやすくなったりするほか、骨量に低下を招き、骨粗しょう症につながる恐れもあります。筋力が弱まり、転倒などによって骨折をすれば、寝たきりの原因になってしまうこともあるでしょう。


 
 

BMIの異常が関連する病気とは

繰り返しになりますが、BMIは高くても低くても病気を招く恐れがあります。BMIが高い場合、または低い場合に罹患のリスクが高まる病気についてご説明します。

糖尿病

BMIが高くなり、肥満になると糖の代謝に関わるインスリンと呼ばれるホルモンの機能が低下し、血液中の糖が高い状態が続きます。糖尿病は神経障害や網膜症など、さまざまな合併症を招く恐れがある病気です。
 

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高血圧症

BMIが高くなり、肥満の状態となると高血圧症になるケースが多くなります。常に血圧が高い状態が続くと、動脈は次第に厚みを増して硬くなります。これが動脈硬化と呼ばれる状態です。動脈硬化では血管の内部が狭くなるため、血液が流れにくい状態となり、脳卒中や心筋梗塞など、さまざまな病気を招きます。
 

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心臓病

BMIが高い肥満の場合、高血圧症や動脈硬化になりやすく、心筋梗塞や狭心症などの心臓病のリスクを高めます。また、肥満になると、心臓の周辺にも脂肪がつきます。これを心臓周囲脂肪と呼び、心臓周囲脂肪もまた、心筋梗塞や狭心症を招く恐れがあります。
 

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脂質異常症

BMIが高くなり、血液中の中性脂肪やコレステロールが増えると、血管内に脂肪がたまり、血管の内部が狭くなるために動脈硬化が進行します。動脈硬化は脳卒中や心臓病のリスクを高めます。

 

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脂肪肝

BMIが高い場合、脂肪肝になる確率が高くなります。脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪がたまった状態です。脂肪肝は、放置しておくと肝硬変や肝臓がんなどに進行する可能性があります。

 

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骨粗しょう症

BMIが低い、低体重の状態ではカルシウムやビタミンDなどの骨を作る栄養素が不足する恐れがあります。骨粗しょう症になると骨がもろくなり、小さな衝撃でも骨折しやすくなります。高齢女性の発症リスクが高い病気ですが、若い人でもBMIが低い人の場合は骨密度が低い傾向にあり、骨粗しょう症を発症する恐れがあります。


 

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まとめ

BMIは身長に対する体重の程度を示す指標で、健康を維持するためにはBMIを標準値である18.5~24.9までの間に収めることが大切です。BMIが18.5を下回る場合は低体重、BMIが25を上回る場合は肥満の状態となり、いずれの場合も病気のリスクが高くなります。
 
健康を維持するためには、バランスの良い食事をとり、適度な運動をすることが大切です。また、定期的に健康診断を受診するとともに、日頃からご自身のBMIを把握することが健康維持につながります。BMIが標準値から大きく外れ、体調にも不安がある場合には早めに医療機関に相談することをおすすめします。


 
 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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