統合失調症の原因・症状や治療法について|高齢になるとどうなるかも解説

  • クリニックブログ
2024/04/12

統合失調症の原因・症状や治療法について|高齢になるとどうなるかも解説

統合失調症は誰にでも発症するリスクがある病気です。10代や20代にかけて発症する傾向にありますが、40代や50代で発症する例もあり幅が広いです。
 
以降では、発症する原因や見受けられる症状、治療法を解説します。高齢になるとどのようになっていくのかも解説しているので、この病気を知りたいとお考えの方は最後までご覧ください。

 

統合失調症はどんな病気?

どのような病気なのか、特徴や発症の原因、症状、予後について解説します。

統合失調症とは

統合失調症は精神疾患に含まれる病気です。精神病でよく見られるような気分の浮き沈みといった症状だけでなく、認知機能の障害や幻覚、妄想なども見受けられます。そのため、高齢者の方が発症した場合だと「認知症と思われていたが、実は統合失調症だった」ということもあるようです。
 
統合失調症は日常生活に大きく悪影響を及ぼすため、患者様の心に大きな負担がかかりやすい厄介な病気です。そして、以前までは「完治が難しい」「進行性の病気」だといわれていた時代もありました。しかし現在は治療薬もあり、早期に治療を受けることができれば症状の軽減や完治が期待できる病気となっています。
 

発症の原因

発症の原因は、実ははっきりとはわかっていません。しかし、最近の研究におけるエビデンスから、遺伝的要因に環境的要因が加わることで発症するとされています。また、脳のドーパミンの過剰分泌や、ストレス、神経発達上の脆弱性などが関係しているとも考えられています。
 
症状の緩和や完治を目指せる治療法が確立されてはいますが、インフルエンザのタミフルのような特効薬はありません。

 

症状は大きく5つに分けられる

 

  • 1. 前兆症状
  • 2. 陽性症状
  • 3. 陰性症状
  • 4. 解体症状
  • 5. 認知障害

 
では、ひとつずつ解説していきます。
 

前兆症状

前兆症状とは、統合失調症の典型的な症状が現れる前の段階で見られる症状です。
たとえば、以下のようなものがあります。
 

  • ● 不眠
  • ● 不安
  • ● 神経過敏
  • ● 身体症状 など

 
上記の症状は、ストレスが溜まっていたり疲れが溜まっていたりしても発症します。
よって、特段として統合失調症の初期症状だとは気づかず、進行する場合が多いのです。
 

陽性症状

陽性症状とは、精神機能に影響がおよび現れる症状です。具体的には、幻覚が見えたり、幻聴が聞こえたり、考えがなかなかまとまらなかったりといった症状が見受けられます。
 

陰性症状

陰性症状とは、感情系統の機能や社会的な機能が低下、あるいは喪失してしまうことで現れる症状です。具体的には、以下のような症状が見受けられます。
 

  • ● 感情が麻痺して無表情になる
  • ● 言葉数が減る
  • ● 喜びが感じられなくなる
  • ● 他人と関わりを避けてしまう

 
うつの症状とよく似ているため、統合失調症による陰性症状なのか、うつ病なのかの判断は極めて困難です。
 

解体症状

解体症状とは、思考障害や理解できないような行動をするといった症状が現れるのが特徴です。具体的には、支離滅裂で会話が成立しない、子どものようにわがままに振る舞うなどがあります。知的障害にも見られる、動き回るような症状が出ることもあります。
 

認知障害

認知障害とは、記憶力や集中力、計画して実行する能力、問題を解決する能力などに悪影響がおよび現れる症状です。具体的には、集中力が続かず本が読めなかったり、上司に指示された仕事を実行できなかったりします。
 
また、単純な作業しかできない、記憶ができずメモが常に必要といった方もいます。
よって、認知症や若年性認知症に間違われることも少なくありません。

発症の予後について

早い段階に統合失調症であることに気づき、早期に治療ができた場合は予後が良い傾向にあります。加えて、予後が良くなるかどうかは、治療薬をきちんと服用しているかにもかかっています。服用せず放置している患者様は、70〜80%の確率で診断されてから1年以内に再発する傾向があるのです。薬を飲み続けることで再発率は30%にまで下げられるため、治療薬の服用は非常に重要だといえます。
 
また、発症すると境界性パーソナリティ障害や強迫症状といった精神障害や症状を併発することもあります。ただし、境界性パーソナリティ障害が合併した場合は、予後が良い傾向にあるため過度な心配は必要ありません。

 
 

統合失調症は高齢になるとどうなる?

もし、統合失調症を患った状態で高齢になると、年齢を重ねるほど陰性症状が強くなる傾向があります。また、発症していない人に比べ、メタボリックシンドロームや糖尿病などの慢性疾患やがんなどの身体合併症が多いことも報告されています。
 
年齢を重ねると、高用量の向精神薬を飲むのは心配という方もいるかもしれません。しかし、急激に中止したり減量したりすると脳内のバランスが大きく崩れるため、高齢になっても飲み続けることが大切です。


 

 メタボリックシンドロームについて詳しくはこちら

詳しくはこちら

 

統合失調症の診断・検査方法や治療法

統合失調症の診断・検査方法や治療法について解説します。

診断・検査方法

統合失調症の診断は、臨床検査や神経画像検査、病歴の聞き取りによって行われます。また、確認のために血液検査を行う場合もあります。

 

脳腫瘍検査を行うケースもある

脳腫瘍による症状かどうかを確認するために、脳腫瘍検査が実施されることもあります。CTやMRI検査などといった脳の画像検査を行い、腫瘍が疑われる怪しい影がないかをチェックします。

治療法について

診断されたあとに行われる治療法について解説します。
 

抗精神病薬

抗精神病薬は、妄想や幻覚といった症状が見られる場合に有効です。症状が改善されてからしばらく継続的に服用することで再発率を抑制できます。副作用もあり、以下のような症状があります。
 

  • ● 振戦
  • ● 不随意運動
  • ● 眠気
  • ● 筋肉のこわばり など

 
最近開発された第二世代の薬は、副作用が起きにくくなっています。
 

精神療法(心理療法)

精神療法(心理療法)は、統合失調症の症状が軽くなったり治ったりすることはありません。しかし、患者様本人と家族、医師の関係性を良好にし、患者が治療へ前向きに取り組む一助になります。
 

リハビリ・地域支援活動

リハビリ・地域支援活動は、職業訓練などが含まれます。社会で自立して生きられるための方法を身につけ、仕事や買い物、家事などができるように訓練していきます。


 
 

まとめ

統合失調症は原因がまだはっきりとわかっていません。しかし、効果が期待できる治療法は判明しています。諦めず前向きに、医師や家族、友人といった周囲の人の支えを得ながら、治療薬を服用し続けることが大切です。


 
 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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