脂肪肝とは?原因・症状・予防法について

  • クリニックブログ
2023/05/10

脂肪肝とは?原因・症状・予防法について

脂肪肝って何?

脂肪肝とは日々の運動不足や食べ過ぎが原因で中性脂肪が肝臓に蓄積されてしまった状態を言います。
世界三大珍味のフォアグラをイメージしていただけたらと思います。
この脂肪肝の状態が続くと肝炎や肝硬変、さらには肝臓がんへ進行していく可能性もあります。
放置してはおけない状態ですよね。今回は健康診断で脂肪肝と言われたらどうしたらいいのか、また脂肪肝にならないように心がけるべきことなどお伝えしていきたいと思います。

脂肪肝の原因って?

肝臓は成人男性の場合約1キロを超える大きな臓器で、主に胃や小腸で分解された栄養を貯蔵したり、アルコールなどの分解をおこなったりする働きがあります。
日々の食事から摂る栄養は、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると、余分なエネルギーがグリコーゲンや中性脂肪につくり替えられ、皮下脂肪や内臓脂肪として体のさまざまな部位に蓄えられていきます。この時、肝細胞の30%以上に中性脂肪が蓄積すると脂肪肝と診断されます。診断には様々な方法がありますがいくつかここで紹介します。

脂肪肝の検査や診断について

1: 腹部超音波検査

腹部超音波検査では、お腹の表面に超音波を発する機械をあて、内臓からの反射波をその装置が受けとり電気信号にかえてモニターに写します。肝臓に脂肪が蓄積されている場合、内臓が正常な肝臓と比較して白っぽく写ります。

腹部超音波検査

2: 血液検査

血液を採取してさまざまな異常がないかを調べます。肝臓系の検査では総タンパク・アルブミン・AST(GOT)とALT(GPT)・γ-GTPなどの項目があります。AST(GOT)は心臓・筋肉・肝臓に多く存在する酵素であり、ALT(GPT)は肝臓に多く存在する酵素です。これらの数値が高い場合には脂肪肝、急性肝炎、慢性肝炎、肝臓がん、アルコール性肝炎の可能性があります。またγ-GTPは、肝臓や胆道に異常があると血液中の数値が上昇します。この数値が高い場合にはアルコール性肝障害、慢性肝炎、胆汁鬱滞、薬剤性肝障害が疑われます。飲酒習慣のある方は高い数値となる場合もあります。

3: CT検査

CT検査とはX線を使って全身の断面像を撮影することで体表からでは確認できない内臓の状態を詳細に確認することのできる検査です。

CT検査

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脂肪肝の症状とは

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、炎症があっても初期は自覚症状がほとんどありません。なので脂肪肝も初期の自覚症状はほとんどなく、健康診断の画像検査や血液検査をすることで初めて発見されるケースが多くあります。疲れやすい・体がだるい、食欲不振、腹部右上の鈍痛などの自覚症状が出始めた頃にはすでに炎症が進行してしまっている可能性もあります。

脂肪肝(肝炎)の種類

脂肪肝は進行していくとアルコールが直接関係していない非アルコール性脂肪炎(NASH・ナッシュ)/非アルコール性脂肪肝(NAFL・ナッフル)とアルコール摂取と関連のあるアルコール性肝炎へと進行していくことがあります。

1: 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)/非アルコール性脂肪(NAFL)

非アルコール性脂肪肝炎は、過食・運動不足・肥満(特に内臓脂肪型)・糖尿病・脂質異常症などに合併した脂肪肝を背景として発症する肝炎です。

2: アルコール性肝炎

アルコール性肝炎は常習飲酒家で大量飲酒後に発症し、多くの場合、食欲不振・だるさ・発熱の自覚症状が出現します。また、肝臓は痛みを出さない臓器ですが、アルコール性肝炎のときは肝臓の腫れとともに右上腹部に痛みが出現し、黄疸もみられ、尿の色が紅茶色になります。さらに悪化すると腹水とむくみも出現します。血液検査では、白血球・肝酵素が増加し、肝酵素AST(GOT)は200IU/L以上であり、(必ずしも200以上ではないので、肝酵素の上昇は、白血球とまとめて良いと思います。)貧血・血小板減少・アルブミン減少・プロトロンビン時間の延長・クレアチニン上昇など、その他の原因で起こる急性肝炎と類似の血液検査異常を示します。

脂肪肝(肝炎)の予防・改善するためには?

脂肪肝(肝炎)を予防するもしくは改善するためには、運動不足・過食・過度な飲酒習慣を改善することが必要になります。

1: 運動

脂肪燃焼効果の高い有酸素運動を習慣としましょう。有酸素運動は心拍数が120回/分程度に上昇するような強度の運動を言います。
会話ができる程度のペースのジョギング、大股で早歩き、階段昇降など…習慣と言えるためには週2回以上を最低1〜2ヶ月間継続できるとよいでしょう。
また、脂肪燃焼効果を高めるためには1回の運動は20分間以上継続することをお勧めします。
筋トレなどの無酸素運動は筋肉量を増やし基礎代謝を上げるためには効果的であると言えますが、内臓脂肪・皮下脂肪にアプローチするためには無酸素運動と有酸素運動を組み合わせると効率的です。

 

運動

2: 食事

過食・肥満の解消には食事の見直しが必要になります。
まずは昨日1日の食事を思い出してください。
欠食することなく朝昼夕の3食食事を摂りましたか?
仕事が忙しいからとファストフードばかり食べていませんか?
糖質・タンパク質・脂質・野菜や海藻やきのこ類などこれらの食材を摂取できましたか?
何か1つに偏ることなくバランスよく食べることが大切です。またあわせて摂取カロリーも振り返ってみましょう。
1日1食だけダイエットや極度な糖質制限ダイエットなど聞いたことのある方もいらっしゃるかもしれません。ですが健康診断で脂肪肝を指摘されたことがきっかけでこちらの記事を読んでいる方がもしいらっしゃったら、残念ですがお勧めできないダイエットです。1日1食だけダイエットは血糖値の乱高下が起こり血糖コントロールが上手くいかなくなり将来的に糖尿病を発症するリスクが高くなる可能性があります。また、極度に糖質を制限することは一時的に体重が減ることもありますが、その食生活をやめた時に大きくリバウンドしてしまう可能性が高いです。
旬の食材を取り入れた和食中心の食生活をお勧めします。テレビやスマホを見ながらの”ながら食べ”は控え、ゆっくりよく噛んで野菜から副菜から順番に食べましょう。

  

健康によい和食

3: 飲酒

お酒はつい飲みすぎてしまう人も多いのではないでしょうか。節度のある適度な飲酒を心がけるようにしましょう。最低連続2日間肝臓を休ませる”休肝日”を設定しましょう。また血液検査で肝機能の数値が高い方はこの限りではありません。

まとめ

健康診断で脂肪肝を指摘された方、手遅れになる前にぜひ今日から生活習慣の改善に取り組みましょう。
当院では生活習慣に関する項目に所見を認めた方を対象に保健指導を実施しております。特定保健指導は40歳以上を対象とした指導ですが、40歳未満の方に受けていただける若年保健指導をご用意しております。
このままではいけないと思いながらも、何から始めたらいいのかわからない…
自分なりに取り組んでいるつもりだがなかなか痩せない…
など、変わりたい皆様のお悩みを保健師が予防医学の視点でサポートします。生活習慣改善に向けて生活スタイルにあわせた食事や運動など保健師から提案させていただいております。詳しくは当院ホームページ保健指導をご覧ください。

当院では腹部造影CT検査や腹部超音波検査といった画像検査や血液検査などをうけることができますので、ご心配な方は一度ご相談ください。

  

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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