口内炎はどうすれば治る?症状や潜伏期間、感染経路などを解説

  • クリニックブログ
2023/12/26

口内炎はどうすれば治る?症状や潜伏期間、感染経路などを解説

口内炎は口腔内に痛みと不快感を伴う「できもの」で、人の活動意欲の低下につながりやすい症状です。
1週間程度で治る口内炎は、「からだの不調のサイン」と捉えて、生活習慣を見直す機会と考えましょう。
ただし、口内炎が2週間以上治らない場合は別の病気の要因が潜む可能性があるため、早期に医療機関の受診をおすすめします。
 
本記事では、口内炎の症状や原因、治療や予防に関して解説します。

 

口内炎とは

口内炎とは、「口腔内の粘膜の一部に限って起こる円形または楕円形の潰瘍を伴う発疹」のことであり、粘膜の炎症と定義されています。
一般的に口内炎と呼ばれるものは、症状などの違いから「アフタ性口内炎」「カタル性口内炎」「カンジダ性口内炎」「ヘルペス性口内炎」の4種類に分けられます。世界保健機関(WHO)の研究によると、4~5人に1人は罹患するとされています。
 
口内炎として多くみられるのは「アフタ性口内炎」であり、口腔粘膜の損傷やストレス、生活習慣の乱れなどが原因とされていますが、はっきりとした原因はわかっていません。

 

 

口内炎の原因

口腔内は健康な人でも常在菌というものが存在しており、それに対抗する粘膜を守る因子とのバランスで口腔内の衛生環境が保たれています。
ところが、食生活の乱れや睡眠不足、ビタミン・鉄分の不足や疲労の蓄積などで人の免疫力は低下し、ウイルスや細菌に感染しやすくなります。
また、口腔内の乾燥や不衛生、タバコやアルコールなど嗜好品による粘膜の障害も口内炎の原因となりえます。
 
頬を噛んでしまったり、歯科治療で義歯などの異物が口腔内に入ったりするなどの外傷性の要因もリスクとなりますが、これらの関連性も完全には解明されていません。
稀ではありますが、関節リウマチなどの膠原病(こうげんびょう)やガンなどの重篤な病気、服用薬剤の副作用が原因となることもあります。

 

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口内炎の症状

発症初期は口の中に違和感のある円形の浅い潰瘍ですが、潰瘍の周囲に赤みを帯びていき痛みが増していきます。
1箇所あたり直径5~6mm程度の大きさで、口腔内に1箇所〜複数箇所で発生します。
「できもの」の大きさや深さは人によって様々ですが、痛みの強さと相関することが多く、潰瘍部分が白くなったり、内部が出血したりすることが特徴です。
 
痛みが原因となって発熱することがあっても軽微であり、発熱よりも集中力低下・食欲の減退・抑うつ気分など日常生活に関連する影響が強く出てきます。
また、口内炎は潰瘍部位のみの症状であることが多く、基本的にリンパ節腫脹・身体の他の部位に波及することはありません。再発することもありますが、同一部位に限らない点も特徴の一つです。

 

 

口内炎の治療と予後

口内炎ができた場合でも、1週間程度でなくなることが一般的です。
治療は症状に応じた対処療法が主となります。局所にはステロイド軟膏の塗布、痛みが強い場合は痛み止め、その他ビタミン剤やトローチの内服・うがい薬などを使用しますが、場合によっては外科的処置(硝酸銀による焼灼)を行うこともあります。
また最近では、漢方薬の局所塗布(半夏瀉心湯)も注目されています。
 
歯科治療による口腔内の異物が原因の場合には、かかりつけの歯科医に相談しましょう。
稀ではありますが、2週間以上発疹や痛みが続くケースにおいては、ガンなどの別の病気である可能性もあるため、早期に受診し、治療を開始することが大切です。


 

 

口内炎の際の注意点・控えた方がいいこと

口内炎は感染によって発症しますが、同時に免疫力が低下しているサインでもあります。
ビタミンや亜鉛などのサプリメントを適切に摂るよう心掛け、粘膜に刺激を与えるような辛いものや熱いものなどの食事、タバコ・飲酒は控えましょう。ほかに激しい運動や心身の負担になるような人との関わりはなるべく避けることも大切です。


 

 

口内炎の予防方法

口内炎の予防には、規則正しい生活習慣でストレスを避け、バランスのよい食事と不足分をサプリメントで補い免疫力を高めることが効果的です。
睡眠環境を整えて適度な運動を行い、刺激的な食べ物を避け、ビタミン・葉酸・鉄分などを含むバランスの良い食事を摂り、口腔内の衛生環境を保ちましょう。
 
なお、口内炎のために処方された漢方薬を治った後も継続して服用し続けることで体質が改善し、再発が少なくなるケースを臨床上で経験することがあります。


 

 

まとめ

口内炎は口腔内の唇や舌などに発疹が出る症状があり、ストレスの多い社会においてはよく見られる病気の一つです。
通常は1週間ほどで自然治癒しますが、重大な病気のサインである可能性も考えられるため、症状が2週間以上続く場合には早めに医療機関を受診しましょう。
 
食生活や睡眠など生活環境を整え、口腔内の衛生環境を保つセルフケアの習慣が予防につながります。口内炎は免疫力低下のサインであるため、生活習慣を見直すことでより健康な心身を保つことを心掛けましょう。


 

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吉川 博昭医師

執筆

吉川 博昭 Dr. Yoshikawa Hiroaki

自己紹介

  • 大阪府出身。
    都内医学部を卒業し、医師免許取得後は麻酔科やペインクリニックを専攻し、医療機関で臨床業務に携わっている。
    近年は内科診療・予防医学・心療内科などの生活に密着した御相談にも診療幅を広げ、「健康を通じたハッピーな生活をお手伝いしたい」ことをテーマとしている。
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