腰椎分離症とは?症状や原因、やってはいけないことについて解説!

  • クリニックブログ
2023/12/08

腰椎分離症とは?症状や原因、やってはいけないことについて解説!


腰痛は何度も繰り返す可能性があります。
原因がわからない場合、「何か大きな病気が潜んでいるのではないか」「スポーツ前後で痛くなるけど、ケガなのかな?」と心配になる方は多いのではないでしょうか。
 
腰が痛いといっても、筋肉の張りが原因の腰痛から、運動中にいつの間にか疲労骨折していたという場合までさまざまです。
この記事では、過剰な運動がきっかけで生じる腰椎分離症について、原因と症状を中心に解説します。

腰痛を感じる男性
 
 

腰椎分離症とは?

腰椎分離症とは、疲労骨折の一種です。
その病態となりやすい方について解説します。

腰椎分離症の病態

腰椎分離症は骨折の一種とはいえ、一度の大きな圧力により骨が折れてしまうわけではありません。
ある程度の長い期間に繰り返しスポーツの練習などを行うことで発症するケースが多いとされています。
スポーツ以外でも、スポーツと同じような状況に継続して置かれることがあれば、発症する可能性が考えられる疾患です。
 
腰椎分離症の診断には、レントゲン撮影が使われます。
腰椎分離症は第5腰椎に起きることが多く、進行するとすべり症になるおそれがあるため、軽視は禁物です。

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腰椎分離症になりやすい方

腰椎分離症になりやすい方には特徴があります。
年齢でいえば、骨が完全に成長していない10代での発症が多いとされ、スポーツを行っている方、ジャンプやひねりといった腰に急激かつ大きな負担がかかる運動をしている方の発症率が上がる点が大きな特徴です。
一般的な腰椎分離症の発症率が5%程度といわれているのに対し、スポーツ選手の発症率は30%とも40%ともいわれています。

 
 

腰椎分離症の症状

ここでは腰椎分離症の症状を初期と進行期・終末期の順に解説します。

腰椎分離症初期の症状

骨折の一種ともいえる腰椎分離症は、ヒビが入った段階と完全に折れて時間が経過した段階とでは症状に違いがあります。
初期の頃の自覚症状は限定的で、スポーツを行っている最中や直後に、局所的な違和感や痛みを覚えるといったものです。
とくに腰を伸ばして反るような姿勢をとったときに痛みを感じることが多いとされています。

 

腰椎分離症進行期・終末期の症状

腰椎分離症が進行し、骨が折れてしまい時間が経過すると分離してしまった部分はグラついた状態になります。
痛みやしびれの症状を自覚するのはスポーツ時だけではありません。
立ったままや座ったままの状態が続く場合や、歩行時などにも炎症による腰や下肢の痛みを感じる場面が多くなります。
放っておくと日常生活への支障が懸念されるでしょう。

 

腰椎分離症が進行するとどうなるか

進行した腰椎分離症は、前述したようにすべり症に移行するおそれがあります。
すべり症には加齢が原因で椎間板が変性して生じる変性すべり症もありますが、腰椎分離症から進行して発症するすべり症は分離すべり症です。
分離すべり症は、腰椎分離症に見られる下肢のしびれや痛みに加え、下半身の動きが思うようにならない、排泄がうまくできないといった深刻な症状を伴うことがあります。

 
 

腰椎分離症の原因

腰椎分離症の原因には先天的要因と後天的要因があります。

成長期の過度な運動

腰椎分離症を発症する主な原因は、成長期にスポーツの練習や試合などで腰椎に過度な負担をかけ続けてしまうことです。
骨格が十分に形成されていない段階では、疲労骨折を起こすリスクが高いといえます。
 
より激しい動きが多いスポーツとして、柔道などの格闘技やラグビー、サッカーや野球などの球技が挙げられます。
腰椎への瞬間的な衝撃、強い衝撃が腰椎分離症のリスクを高める危険な要因です。
ただし、激しいスポーツをしていても、腰椎分離症にならない方のほうが多く、個人差が大きいといえます。

 

遺伝的要素

遺伝的な要素によって発症する腰椎分離症もあります。
激しいスポーツどころか、運動そのものをほとんどしない方でも、腰椎分離症と完全に無縁ではありません。
兄弟ともに腰椎分離症を発症するケースなどでは、遺伝的要素が原因となっていることが考えられます。

 
 

腰椎分離症の治療法

急性期と慢性期に分けた腰椎分離症の治療法に加え、予防法とやってはいけないことも解説します。

急性期

急性期の腰椎分離症に対しては、スポーツの禁止を前提として、薬物療法やコルセットを用いた装具療法による保存的治療を行います。
疲労骨折の一種ともいわれているように、骨折部位を動かさない、振動を伝えないことが重要です。
ケースにもよりますが、数ヶ月間の安静により、分離しかかった腰椎の癒合が期待できます。その確率は90%にもなるといわれており、早期の発見と治療開始が重要です。

 

慢性期

慢性期の具体的な治療法としては、痛みを緩和するためのストレッチなどの体操と軟性コルセットの装着が基本です。
痛みがなくなれば、運動をしてもかまいませんが、医師の判断が前提になります。
ただし、痛みがなくなっても腰椎分離症が治癒したわけではなく、再発や分離すべり症への進行が懸念されるため、注意が必要です。
分離すべり症に進行してしまった場合には、外科手術が視野に入ります。

 

予防法

腰椎分離症の予防法は、腰に急激な衝撃や負担をかける行動をしないことです。
ジャンプやひねりなどを伴う激しいスポーツを継続しないことが重要になります。
 
スポーツを楽しみながら腰椎分離症の予防を行うなら、腰回りの筋肉を鍛えて腰椎をサポートすることが重要です。
腹筋や背筋を鍛えることは、スポーツにも役立ちます。
スポーツをするならストレッチを欠かさずに行いましょう。
もしも激しい動きを伴う場合には、コルセットの装着が予防法の一つになります。

 

腰椎分離症でやってはいけないこと

腰椎分離症でやってはいけないことは、主に以下の3点です。
 

  • ● 安静にしていなければならない期間のスポーツ
  • ● 痛みを和らげる目的でのマッサージ
  • ● コルセットの必要性を自己判断

 
患部に余計な力を加えてしまいかねない行動は、治りを遅くするだけでなく悪化させてしまうおそれがあるため控えましょう。
コルセットは自分が動きやすいかどうかではなく、治療のために必要な装具であり、医師の指示通りに装着しなければなりません。


 
 

まとめ

腰椎分離症は、子どもの頃から激しいスポーツをしている方なら誰が発症しても不思議ではない疾患です。
初期の頃には症状も限定的で、慢性期には完治しないまま運動ができるなど、軽く考えてしまうこともあるかもしれません。
 
しかし、進行すると分離すべり症に移行してしまうなど、決して軽くみてよい疾患ではありません。
腰椎分離症は早期発見・早期治療が重要です。
腰が痛い、思い当たる節があるという場合には、すぐに医療機関に相談するようにしましょう。


 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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