倦怠感は身体からのSOS!原因と対処法・コロナとの関係を解説

  • クリニックブログ
2023/12/06

倦怠感は身体からのSOS!原因と対処法・コロナとの関係を解説

仕事終わりや部活後に、疲労感から一時的に倦怠感を感じることは珍しくありません。
そうした一過性のだるさは休養を取ることで回復しますが、休んでも改善せず、倦怠感が長引く場合は要注意です。それはあなたの身体からのSOSかもしれません。
 
本記事では倦怠感とはどんな状態をさすのか、原因や症状から考えられる病気、コロナウイルスによる影響を解説します。ぜひ最後までご覧ください。

倦怠感・怠さを訴える女性
 
 

倦怠感の原因

倦怠感とは、身体に力が入らず、やる気が起きないようなだるさのことです。
まずは、倦怠感の原因として考えられることを解説します。

外部要因

外部要因とは、体内に風邪などのウイルスが入り込んだことによる反応や、花粉症などのアレルギー反応のことです。
外部からの刺激と闘うためにエネルギーを要することから、だるさを感じます。
また、抗がん剤により倦怠感を覚える場合もあります。
がん治療においては、手術や放射線治療のあとにも疲労を感じやすいといわれていますが、いずれも原因は判明していません。

 

肉体疲労

私たちは、休養をとることで身体の疲れを回復させています。
しかし、過労や過度な運動などにより身体を酷使しながらも十分な休養を取れない状態が続くと、慢性疲労と呼ばれる状態に陥ります。
慢性疲労としての症状は、倦怠感のほか食欲不振や体重減少、集中力の低下などです。
 

精神的ストレス

ストレスも倦怠感の要因の一つです。
私たちの身体は、交感神経と副交感神経がバランスを保ちながら作用することで、コンディションを調整しています。
しかし、人間関係や仕事のプレッシャー、引っ越しや結婚といったイベントなどのストレスにうまく対処できない状態が続くと、自律神経が乱れ、だるさなどの不調を引き起こすのです。

 

生活習慣の乱れ

栄養不足や睡眠不足など、生活習慣が乱れることによっても倦怠感は現れます。糖質や脂質など、身体のエネルギーとなる栄養素が不足すると、身体の機能が働きにくくなりだるさにつながります。
 
また、過度のダイエットや偏食、朝食を抜いたりスムージーだけにしたりといった食生活は、栄養不足だけでなく胃腸の機能も弱らせかねません。
さらに、睡眠不足もだるさと関係が深く、大きな要因の一つです。
 
睡眠は記憶を定着させ成長ホルモンを分泌するなど、脳や心身の疲労を回復させるために大切な役割を担っています。
睡眠のリズムが崩れると睡眠の質の低下や不眠を引き起こし、その結果、倦怠感や集中力・注意力の低下、イライラなどに悩まされることもあるのです。

倦怠感に潜む病気

休養を取っても改善されず、倦怠感が長引く場合は病気が隠れている可能性があります。
具体的にどんな病気が考えられるのでしょうか。

急性肝炎

まれに飲酒や薬剤が原因で発症する場合もありますが、ほとんどの原因は肝炎ウイルスへの感染です。感染すると半年ほどの潜伏期間ののちに発症することもあります。
 
症状は倦怠感のほか、発熱や嘔吐、黄疸などがみられます。
肝硬変や肝臓がんに進行する可能性もあるため、早めの治療が大切です。

 

糖尿病

血糖値を下げる役割を持つインスリンの分泌が減少したり、質が低下したりすることで高血糖が続く状態を糖尿病といいます。
糖尿病が進行すると、腎臓にも負担がかかるため注意が必要です。
倦怠感以外にも、喉の乾きや頻尿、体重減少などの症状がみられます。

 

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貧血

貧血とは、赤血球中のヘモグロビンが減少することにより、全身に酸素がうまく運ばれない状態のことで、多くの場合は鉄欠乏貧血です。
ヘモグロビンは鉄分とタンパク質で構成されており、鉄分が酸素を運ぶ役目を果たしています。貧血になると倦怠感のほか、めまいや頭痛、息切れ、味覚障害などを起こします。
 

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりを繰り返すことで、身体が低酸素状態に陥ることです。
周囲からいびきを指摘されたり、夜間に目が覚めたりすることが多い場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いでしょう。
十分に身体を休めることができないため、倦怠感以外にも日中の眠気や、記憶力・集中力の低下などをきたします。
 

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腎不全

腎不全が末期になると、体内に尿毒症物質が蓄積されます。
尿毒症の典型的な症状が倦怠感です。
また、腎不全によって貧血が進行したり、高カリウム血症などの電解質異常によってもだるさが認められます。腎臓病の持病がある方でだるさの症状が出た場合は、腎不全末期にさしかかっている可能性があります。
 

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うつ病

気分の落ち込みや不安な気持ちといった精神症状、あるいは食欲減退や倦怠感などの身体症状が続き、日常生活に支障をきたす状態です。
症状が毎日、2週間以上持続する場合はうつ病とみてよいでしょう。
うつ病は100人中約6人がかかるといわれており、男性より女性の方が多いといわれています。

 

慢性疲労症候群

6ヶ月以上にわたって、強い倦怠感・疲労感が続き、思考力低下や睡眠障害などが生じる状態を慢性疲労症候群といいます。
立っていると物事を考えられない、少しの活動で強い倦怠感を感じるといった場合は、慢性疲労症候群の可能性が考えられるでしょう。

 

更年期障害

更年期とは閉経前後の10年間のことで、更年期障害は40歳代半ばの女性に多い症状です。
閉経が近づくことにより、女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少するため起こります。
 
倦怠感やだるさが更年期障害の主な症状として挙げられ、そのほかにのぼせや肩こり、めまい、抑うつ気分などの症状もみられることがあります。

 

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コロナの影響による倦怠感

新型コロナウイルス感染症に罹患後、倦怠感を感じることはありませんか?
ここでは、コロナと倦怠感の関係について解説をします。

コロナ後遺症として現れる倦怠感

新型コロナウイルス感染症の後遺症として、最も多く挙げられるのが倦怠感である、といったデータがあります。(第116回 東京都モニタリング会議資料による)
後遺症としての倦怠感の特徴は、動作時にだるさを感じるのではなく時間差があることです。動いたあと、数時間から半日ほど経過したのちに倦怠感が現れはじめます。
無理に動くと寝たきりのように動けなくなる場合もあるため、十分な休養を取りながら徐々に活動量を上げていくとよいでしょう。

 

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風邪やインフルエンザとの見分け方

倦怠感は風邪やインフルエンザでも症状として現れます。
新型コロナウイルスとの見分け方はあるのでしょうか。
それぞれの特徴をご紹介します。
風邪は、咽頭痛・咳・鼻水がほぼ同時に現れることが特徴です。
 
インフルエンザは、38℃以上の高熱を突然発症し、筋肉痛や関節痛を伴います。
風邪と同様、咽頭痛や咳などの症状が現れることもあります。
 
新型コロナウイルスの特徴は、味覚障害や息切れがあることです。
発熱や悪寒、咽頭痛などもみられます。
感染拡大を防ぐためには、風邪だと思って様子をみず、疑わしい症状がみられた際にすぐに医療機関を受診することが大切です。

 
 

倦怠感の対処法とは

生活習慣の乱れを整え、ゆっくり丁寧に過ごしてみることを心がけると、倦怠感改善につながります。
ここでは、その具体的な方法を改善していきます。

良質な睡眠

質のいい睡眠は、体内の代謝を促進し自律神経のバランスを保ってくれます。
寝る前は激しい運動をせずにゆったりと過ごし、食事後3時間は空けるようにしてみてください。
また、夜だけでなく昼寝も効果的です。
寝すぎると疲労感を助長させる場合があるため、30分以内を目安にしましょう。
 

栄養バランスのいい食事

食事のサイクルを整えるには、朝食を抜いたりせず、きちんと3食摂るようにすることが大切です。
栄養バランスを考えるのが難しいと感じる方は、主食・主菜・副菜・汁物といった定食を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。
定食スタイルにすると、炭水化物・タンパク質・脂質・ミネラル・ビタミンをバランスよく摂取できます。
 

適度な運動

心地いい程度の軽い運動は、倦怠感の軽減に役立ちます。
また、心肺機能が鍛えられることで疲れにくくなったり、抵抗力を高めて風邪などを予防したりと、運動からはあらゆる効果が得られるのです。
まずはストレッチや散歩から始め、慣れたら階段を使ったりスクワットをしたりと、負担にならない範囲で活動量を増やしてみましょう。
 

ストレスを緩和

趣味などで気分転換を図り、ストレスを軽減していくことも大切になります。
例えば、入浴は副交感神経を優位にし、緊張がほぐれるためおすすめです。
疲れているときこそ家族や友人と会話をすることで、気持ちが晴れる場合もあります。
ご自身が心地よいと思う時間を過ごしてみてください。
 

医療機関を受診する

これまでにご紹介した方法を試し、生活習慣を整えてもなお改善がみられない場合は、前項で示したように病気が隠れていることも考えられるでしょう。
 
持病を抱えている方は、持病の悪化の可能性もあります。
どんな場合も、早期に発見し治療することが改善の鍵となりますので、長引く倦怠感を抱えて無理をせずに医療機関を頼ってみましょう。

 
 

まとめ

倦怠感とは、身体が重く普段通りの生活が送りづらくなる状態のことです。
原因はさまざまですが、栄養不足や睡眠不足などの生活習慣の乱れ、精神的なストレス、肉体的な疲労、病気の影響が考えられます。
数ヶ月にわたって症状が持続する場合は、慢性疲労症候群やコロナ後遺症の可能性もあるでしょう。単なる疲れと思って見過ごさず、生活リズムを整えるよう意識し、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。


 
 

  

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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