破傷風はペットから感染するケースもある?破傷風の予防方法についても解説

  • クリニックブログ
2023/12/06

破傷風はペットから感染するケースもある?破傷風の予防方法についても解説

ペットに噛まれたり引っ掻かれたりして、破傷風にかかることがあります。
破傷風は子供や妊婦が気をつける病気として知られていますが、どのような方も気を付けるべき病気です。
 
本記事では、破傷風がどのような病気なのか、症状や原因、予防法や治療法について解説します。

 
 

破傷風とは?ペットから感染することもある

破傷風とはどのような病気なのか、特徴や病原体、症状や経過、感染経路、発生状況を解説します。

概要

破傷風菌が傷口から侵入して引き起こされる感染症です。
体内に侵入した菌が放出した毒素により神経系の症状があらわれ、重症化すると命を落とす危険性があります。
 
破傷風の感染が認められた場合は届出が必要になる、第五類感染症全数把握疾患です。
厚生労働省によると、近年の発症年齢は30歳以上に多く発生していることがわかっています。
 

病原体について

破傷風菌は、酸素があると増殖できない嫌気性菌の一種です。
硬い殻を外側にまとった状態で主に土の中で生息しており、動物の腸内や糞にも存在しています。体内に侵入すると酸素がないところで増えていき、毒素を放出して神経を極度に活発化させてしまいます。
 

症状・経過

潜伏期間は3日から3週間ほどで、発症するまでの期間が短い、またはオンセットタイム(初期症状から全身性けいれんがみられるまでの時間)が48時間以内の場合、重症化するリスクが高くなります。
 
主な症状は以下のとおりです。
 

  • ● 筋肉のけいれん・硬直
  • ● 脈拍異常や血圧異常などの自律神経不安

 
初期にあらわれるのは開口障害です。
症状が進むと、笑顔を見せているような表情になる痙笑、咽頭けいれん、手足や腹部などの硬直やけいれんなどがあらわれてきます。
 
神経が過度に活発化した場合は、自律神経のバランスが崩れることで頻脈・徐脈・高血圧・低血圧などの症状がみられます。
また、全身性と局所性、頭部の3種類があり、よくみられるのは全身性です。局所性は頭部や全身性と比べて症状は軽いですが、全身性へと進むリスクがあります。頭部の発症はまれですが、こちらも局所性と同様に全身性に進行する可能性があります。
 

感染経路

主な感染経路は以下のとおりです。
 

  • ● 交通事故などによる外傷
  • ● 動物・ペットによる咬傷
  • ● 土や木片
  • ● 熱傷
  • ● ピアス
  • ● 人工妊娠中絶
  • ● 臍帯不潔処理(新生児感染) など

 
上記のとおり、傷口から血液に菌が侵入して感染したり、ワクチン未接種の母体からの臍帯不潔処理で新生児に感染したりします。ただ、人から人への感染はありません。
 

発生状況

日本での発生状況をみると、1947〜1954年にかけては毎年約1,000〜2,000例あったというデータがあります。発生例は徐々に減少し、最近では年間で約100例にまで下がっていることが、感染症発生動向調査で報告されています。

 
 

破傷風の予防方法

予防方法としてワクチン接種が有効的です。ワクチンを打つ回数は、抗体やワクチン接種経験の有無によって異なります。
そのため、大人の予防ワクチン接種の回数や頻度を40歳以下と50歳以上に分け、次のように推奨しています。

50歳以上の予防法

1967年以前の50歳以上の方は、子どもの頃の定期接種として破傷風ワクチンが存在していなかったため、基礎免疫がありません。そのため、3回のワクチン接種が推奨されています。
 
1回目と2回目は1か月間隔、3回目は6〜12か月後に接種を受けます。
ただし、外傷などにより破傷風トキソイドを接種した経験のある方は、この限りではありません。
また、3回接種が済んだ方、または接種経験がある方は、追加接種を10年に1回の頻度で受けましょう。
 

40歳以下の予防法

40歳以下の方は定期接種で基礎免疫があるため、10年に1回の頻度で追加接種を受けましょう。
ただし、未成年の場合は効果が持続しているため追加接種は必要ありません。
接種対象となる方は、最終接種から10年以上経過している方のみです。

 

 破傷風ワクチンについては詳しくはこちら

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ペットに噛まれた!受診目安や受診科目

以降では、受診目安となる症状の詳細、受診科目を解説します。

受診目安

発症すると症状の進行が早いため、速やかな治療が必要です。ペットに噛まれてから3〜21日後に下記の症状があらわれた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
 

  • ● 飲食物をこぼす頻度が高くなった
  • ● 飲食物が飲み込みにくい
  • ● 舌のもつれや口の開きにくさがある
  • ● 倦怠感がある
  • ● 首や手足のけいれん、こわばりがある

 
一つでも当てはまる症状がある場合は、破傷風を疑い対応することをおすすめします。
 

何科に受診?

破傷風が疑われる場合は、内科や救命救急科に受診しましょう。
悪化するまでが早く命を落とす危険性があるため、集中治療室がある救命救急センターや二次救急医療機関といった三次救急医療機関への受診を必要とします。

 
 

破傷風の診断・治療法

医療機関で行われる診断方法と治療方法を解説します。どのような流れで治療が行われるのか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

診断方法

破傷風は、臨床所見から診断します。
破傷風菌は酸素を苦手としているため、採取して培養する際に死滅してしまい、検査に失敗する可能性が高いため困難です。
よって、開口障害や筋肉のこわばり・痙攣といった特有の症状が見られるかどうかで診断されます。
 

治療法

治療法は下記のとおりです。
 

  • ● 感染部位の殺菌
  • ● 抗菌薬の投与
  • ● 免疫グロブリン製剤(破傷風抗体)の投与
  • ● 抗けいれん薬の投与
  • ● 人工呼吸器の装着 など

 
上記の治療法は、そのときの状態やあらわれている症状に合わせて行っていきます。

破傷風以外の感染症にも注意

ペットに噛まれた際、気をつけるべき感染症は破傷風だけではありません。以降では、ペットが原因で引き起こされる感染症の例を紹介します。

狂犬病

海外に住んでいる方や海外へ旅行する方は注意が必要です。
狂犬病に感染し発症すると、ほぼ100%の確率で命を落とすとされており、潜伏期間は1〜3か月です。
発症すると風邪のような症状からはじまり、感染部位の知覚異常、不安感や水恐怖症、錯乱などの症状に進行していきます。
 

 狂犬病については詳しくはこちら

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パスツレラ症

パスツレラ症は、ペットに咬まれたり引っ掻かれたりしてパスツレラ菌に感染すると発症する感染症です。
パスツレラ菌は、人間に感染する90%以上の原因が犬や猫からとなっています。
 
感染すると30分〜2日で傷口の激痛や発赤などの皮膚症状があらわれます。
また、結核や喘息、悪性腫瘍などの基礎疾患がある方は呼吸器症状の発症リスクが高く、注意が必要です。

 

猫ひっかき病

猫ひっかき病は、猫に咬まれたり引っ掻かれたりして、その傷口からバルトネラヘンセレという細菌に感染することで発症する感染症です。
潜伏期間は数日〜2週間で、主な症状は傷を受けた部位に所属するリンパ節の腫れ、おできやのう胞です。また、発熱や肝臓の腫れ、倦怠感の症状が出現するケースもあります。
 

 
 

まとめ

破傷風は、症状の進行が早く危険な感染症です。ペットに咬まれたり引っ掻かれたりしたら、感染症を引き起こすリスクがあることを念頭に入れ、受診先を調べておきましょう。
また、ワクチンで予防できますので、ペットを飼育している方は定期的な予防接種を受けることも検討してはいかがでしょうか。


 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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