「喉が痛い」そんなときどうする?原因や対処方法について解説!

  • クリニックブログ
2023/10/31

「喉が痛い」そんなときどうする?原因や対処方法について解説!

「風邪?」「乾燥?」「扁桃炎?」のどの痛みに悩まされることはありませんか。
のどの痛みの原因はウイルスや細菌感染での症状、もしくは生活習慣という要因に分けられます。
 
この記事では、のどの痛みが起こる仕組みから、その対処法などを解説します。のどの痛みについて知ることで、不安を軽減し冷静に対処できるようにぜひ参考にしてください。

  

のどの仕組みや構造

のどが痛いとき、すぐに痛みを取りたいと感じるものです。
しかし、のどが痛みを感じる仕組みは複雑で、痛みを取り除く方法も複数あります。
 
ここではのどの仕組みや、痛みを感じる理由について解説します。

のどの解剖生理

のどは、口と鼻が交差するポイントであり、この場所から食道と気管に分かれる重要な交差点です。このエリアはただの通過点ではなく、多くの生理的機能を担っています。
 
たとえば、呼吸においては、気管が空気の通り道となります。
食道を通るのは食物や水分です。
さらに、のどに存在する声帯が振動することで、話す声が形成される仕組みができています。
このように、のどは多機能な部位であり、のどの健康状態が全身の健康に影響を与える可能性があるといえるでしょう。
 

のどが痛む仕組み

のどの痛みにはいくつかの原因が考えられますが、主な要因としてはウイルスや細菌の侵入があります。これらの微生物がのどの粘膜に付着すると、炎症反応が起こりますが、この炎症がのどの痛みや赤みの原因です。
 
また、乾燥した環境や刺激物によってものどの痛みは生じることがあります。特に冬季に暖房を使用すると、室内の空気が乾燥しがちですが、乾燥ものどの痛みの一因です。
 
さらに、タバコやアルコールなどの刺激物がのどに直接影響を与えることで、痛みや不快感が生じる場合も少なくありません。

 
 
のどに違和感を感じている
 
 

のどが痛くなる原因

のどの痛みは、疾患からくるものと、日常生活や環境からくるものが主な原因といえるでしょう。
 
ここではのどの痛みの原因を解説します。

疾患的要因

のどの痛みが疾患からくる場合、その背後には主に咽頭炎、扁桃炎、喉頭炎といった病気が存在します。
 
咽頭炎は、のどの粘膜がウイルスや細菌によって炎症を起こし、それが赤みや腫れを引き起こす病気です。
 
扁桃炎は扁桃腺が感染症によって腫れ上がる状態で、これが高熱やのどの痛みをもたらすことが多いといえます。
 
喉頭炎は声帯やその周囲の炎症が主な特徴で、この状態が声のかすれやのどの痛みに影響を与える可能性が高い疾病です。
 
のどの痛みを感じ、発熱がある場合などは疾患の可能性があるため、医療機関を受診して治療しましょう。
 
 

 扁桃炎について詳しくはこちら

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日常生活や環境的要因

のどの痛みは日常生活や環境に原因がある場合も少なくありません。
特に冬季に多い乾燥は、のどの粘膜を乾燥させ、痛みを引き起こすことがあります。
 
喫煙や飲酒も、タバコの煙やアルコールが喉の粘膜に刺激を与え、痛みを引き起こすことがある生活習慣といえるでしょう。

 
 

のどが痛い時の対症療法

のどの痛みに悩まされたとき、どう対処したらいいのか迷うことも多いのではないでしょうか。
ここでは、そんなのどの痛みに対する対症療法を紹介します。
 
食事の工夫から内服薬の選び方まで、多角的な対処法があるので参考にしてください。
 

のどが痛いときにおすすめの食事について

のどが痛いと食事もままなりませんが、栄養は摂取しなければいけません。
のどの痛みを軽減できるようサポートしてくれるもの、体調管理に役立ててくれるもの、のどが痛いときでも食べやすいものなどをご紹介しています。
ぜひ、食事を考える際の参考にしてください。
 

スープ

スープはのどごしが良いためのどへの負担が少ないです。
さまざまな野菜やきのこ類などの具材を入れれば、栄養分をしっかり補えます。
 
クタクタに柔らかくなる玉ねぎやキャベツの葉部分、ジャガイモなどがおすすめの具材です。
 
人参は、のどに負担がかかりにくいほど柔らかくするには手間がかかります。
時短でスープが作れるよう、火が通りやすい材料を選ぶと、体調が悪いときも作りやすいでしょう。
 
スープを飲む際は、ある程度冷ましてからにしてください。
出来立てで熱い状態のまま飲むと、熱により炎症が悪化する恐れがあります。
 

バナナ

バナナは粘り気があるため、飲み込む際に摩擦が生じにくくのどへの負担が少ない食べ物です。
もし痛みが強く飲み込むことがつらい場合は、すりおろしてヨーグルトに入れたり、ミキサーにかけてジュースにしたりするのもよいでしょう。
バナナは加工が簡単なので、体調がつらい場合にも手軽に取り入れられます。
 
カリウムや必須アミノ酸のメチオニン、ビタミンB群などの栄養素が豊富なため、おやつや食欲がそれほどないときの食べ物としてもおすすめです。
特にビタミンB群は疲労回復を促すため、体力低下の回復をサポートしてくれるでしょう。
 

はちみつ

はちみつは殺菌効果が高く、炎症を鎮める作用があります。
加えて、含有されているブドウ糖や果糖は吸収率が高いため、体調不良による体力低下の回復をサポートする食材としてもおすすめです。
はちみつはそのまま食べてもいいですし、飲み物やヨーグルトに入れたり、フルーツにかけたりしてもよいでしょう。
ただし、乳幼児はボツリヌス菌症の発症リスクがあるため避けてください。
 

アイスクリーム・ゼリー

アイスクリームやゼリーものどが痛いときに食べやすいです。
アイスクリームは熱で溶けて液体になるため、のどへの負担が軽い上に、冷たさで痛みを感じずに食べられます。
扁桃腺を手術し術後の痛みを訴える子供に対してアイスクリームを食べさせたところ、痛みを訴えた人数は0人になったという報告もあります。
有用性が証明されている食べ物ですので、痛みが強い場合はアイスクリームを選ぶとよいでしょう。
 
ゼリーもつるんとした食感でのどに引っかかりにくく、スムーズに飲み込めるためおすすめです。
 

ショウガ

ショウガは血行を促す作用が期待され、体調管理に役立ちます。
 
咳や痰、のどの痛みを軽減するサポートに役立つため、のどの痛みが出ている時は積極的に取り入れるとよいでしょう。
加えて、体調管理にも役立ち、感染症や風邪を引いているときに取り入れると治りが早くなる可能性があります。
 
生姜湯にしたり、生姜を料理に使ったりすると食べやすいのでおすすめです。
 

大根

大根は葉の部分も含めて栄養が豊富です。
大根には体調管理に役立つイソチオシアネートが含有されており、のどの健康維持に役立つのですう。
 
葉の部分にはビタミンCが豊富で、健やかな粘膜の維持をサポートしてくれます。
さらに、水分もたくさん含まれているため、乾燥によるのどの痛みの緩和、発熱による脱水症の予防にも役立つでしょう。
 
おろしにしてうどんやそばにかけると食べやすいのでおすすめです。
 

ネギ

ネギは元来風邪に効くと言われてきました。
ネギの緑の部分にはビタミンCも多く含まれているため、粘膜にも良い影響を与えてくれます。
 
お味噌汁に入れたり、焼きネギにしたり、そばやうどんに刻んでかけたりと幅広いアレンジができます。
 

のどが痛いときにおすすめの飲み物について

のどが痛いときにおすすめの飲み物もあります。
飲む際は温度が熱すぎるとかえって悪化する可能性もあるため、ある程度冷ましてから飲むようにしましょう。
 

番茶

番茶とは、新茶となる茶葉以外で作られたお茶です。
新茶とは違って、やわらかくさっぱりとした風味が特徴で、テアニンやカテキン、ビタミンCが豊富に含まれており、のどの健康維持に役立つと言われています。
 
番茶は一般的な緑茶に比べるとカフェイン量が少なく、お子様や高齢者の方も飲めます。
風味の特徴から食後のお茶として親しまれているため、食事をしたあとに飲んでみるのもよいでしょう。
 

緑茶

緑茶には緑茶カテキンやビタミンCが豊富に含まれているため、昔からのどの痛みや風邪に効く飲み物といわれています。
 
実際に、古くから傷の修復や炎症性疾患の治療やアレルギーの軽減に役立つとして、緑茶カテキンが使われていました。
また、ウイルスを抑制する効果もあり、うがい薬の代わりとして使うと効果を得られることも実証されています。
ただし、作り置きは避けた方がよいでしょう。
 
殺菌作用は期待できますが、雑菌が湧きやすいため作り置きしたものを使用すると逆効果になる恐れがあります。
 

のどが痛いときに避けるべきもの

のどが痛いときに避けるべき食べ物や飲み物をお伝えします。
 
これからお伝えするものを摂取すると、のどの痛みや炎症が悪化し、回復が遅れることが予測されます。
食べたくなったり飲みたくなったりすることもあるかもしれませんが、完全にのどの痛みが引いてからにしてください。
 

酸っぱいもの

お酢を使用した食べ物や、レモンやすだちといった柑橘類など、酸っぱさがある食べ物は避けましょう。
これらは殺菌作用がありますが、刺激が強すぎるためかえって炎症を悪化させる可能性があります。
 
また、のどの痛みも飲み込む際に強く感じるため不快な気持ちになりやすいです。
もし取り入れるとすれば、お湯にはちみつとレモン汁を入れたはちみつレモンが飲みやすいでしょう。
 

からいもの

トウガラシやわさびなど、辛味のある食べ物は避けましょう。
刺激物になるため、炎症を悪化させたり、痛みが増悪したりする恐れがあります。
カレーやキムチ、塩コショウをたくさん使うような料理も、のどの炎症が鎮まってからにしましょう。
 

炭酸などの刺激があるもの

炭酸やアルコールといった刺激物ものどが痛いときは避けるのが無難です。
熱があるときや倦怠感があるときは、さわやかな炭酸飲料が飲みたくなるかもしれません。
 
人によってはお酒を飲む習慣があり、飲みたくなる方もいるでしょう。
 
しかし、炭酸飲料やアルコール飲料はのどへの刺激があり、痛みや炎症を悪化させるリスクがあります。
のどが痛い状態のときは、刺激のないお茶や水を選んでください。
 

過度に熱いものや冷たいもの

過度に熱いものや冷たいものも避けたほうがよいです。
炎症を起こしていたり腫れていたりするところは、温めると逆効果になりますが、冷たすぎるものも控えなければなりません。
 
過度に冷えているものはのどに負担をかけるため、かえってのどの粘膜にダメージを与える可能性があるからです。
のどの痛みが強い場合は、少し冷たいものが飲み込みやすくなりますが、冷えすぎた飲食物には注意してください。
 

硬いもの

硬いものや固形物も、のどの痛みが悪化する可能性があるためおすすめしません。
 
飲み込む際に粘膜を傷つけて炎症や痛みを増悪させる可能性があるためです。
白ご飯をおかゆにする、ステーキなどの固形物は避ける、硬い野菜は細かく刻んで煮る煮など工夫するとよいでしょう。
 

喫煙や飲酒は良いのか?

タバコの煙には、200種類を超える有害物質が含まれています。
なかでもタールは声帯の炎症を引き起こす要因です。
 
加えて、肺や気管にも影響を及ぼし痰の症状が出現するため、明らかに悪い影響が大きいといえます。
 
飲酒が悪いといわれている理由は、アルコール分解によるのどの乾燥です。
アルコールを分解するには、大量のミネラルが消費されること、利尿作用により水分を多く排出することから、のどが乾燥しやすくなります。
乾燥すると粘膜に菌やウイルスが付着しやすくなったり、炎症が悪化したりするため、飲酒も避けるべきです。
 

鎮痛剤の使用は良いのか?

のどの痛みを強く感じた場合、鎮痛薬の使用も一つの選択肢です。
ただし医師の診断と指示が不可欠といえるでしょう。
 
特に、痛みが続く場合や他の症状が出ている場合は、自己判断での服用を避け、医療機関での診察を受けることが重要です。

 
 

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こんなときは受診が必要

のどの痛みがひどくて、医療機関で診てもらうべきかどうか悩んでいる方も多いでしょう。ここでは、そういった状況で受診が推奨されるケースについて詳しく解説します。
 

発熱があるとき

のどの痛みに加えて発熱がある場合は、単なる風邪と考えられることが多いですが、高熱が何日も続いている場合は注意が必要です。
 
ウイルス性咽頭炎やA群溶血性レンサ球菌(通称:溶連菌)による扁桃炎など、悪化するリスクのある疾患が隠れているかもしれません。
また、発熱が続くと体力が消耗し、他の疾患に対する抵抗力も低下するため、早めの医療機関での診察を受けることが重要です。
 

食事や飲水ができないとき

のどの痛みで食べることや飲むことが困難になった場合、のどの痛み以上の深刻な状態である可能性が高いです。特に、急性喉頭蓋炎という疾患が疑われる場合があります。
 
のどの蓋が腫れて気道を塞ぐ危険性があり、非常に重篤な状態に陥る可能性があるため、速やかな医療機関受診が不可欠といえるでしょう。食事や飲水ができないという状態は、栄養や水分が摂取できないため、体調をさらに悪化させる可能性があります。
 
早急な医療介入が必要となる場合も多く、自己判断での対処は避けるべきです。
 

呼吸困難

のどの痛みが原因で呼吸がしにくくなる状況は、非常に深刻な問題が生じている可能性があります。胃食道逆流症が原因で呼吸困難が発生することもあるので、十分注意が必要です。
 
胃食道逆流症は、胃酸が逆流してのどに刺激を与えることで、呼吸困難やのどの痛みを引き起こす場合があります。呼吸困難が起きた場合、気道が何らかの形で閉塞している可能性も否定できません。
 
呼吸困難が続くと酸素供給が不足し、最悪の場合、命に関わる事態にもつながる可能性があります。

 
 

セルフケアでのどの痛みを緩和する方法

セルフケアでのどの痛みを緩和する方法もあります。
手軽に実践できる方法もありますので、ぜひ参考にしてください。
 

加湿して部屋の湿度を上げる

のどの乾燥は炎症を悪化させる要因になるため、部屋の湿度コントロールをすることが大切です。
加湿器を使用したり、濡れたタオルをハンガーに数枚かけたりすることで、部屋の湿度を上げられます。
 
空気清浄機と一体型になった加湿器もありますので、部屋の広さや予算に合わせて購入を検討してみましょう。
 

うがい薬でうがいをする

うがい薬でのどのうがいをしたり、鼻うがいをしたりするのも効果的です。
 
うがい薬でのどをうがいすると、殺菌効果や鎮静効果で炎症を鎮められるほか、潤いを与えられるため痛みや炎症の緩和につながります。
 
鼻のうがいは慢性上咽頭炎に効果的です。
上咽頭や鼻腔を洗浄、殺菌でき、炎症の鎮静が期待できます。
 

医薬品・医薬部外品のトローチで殺菌する

トローチには医薬品と医薬部外品、食品に分類される製品があります。
 
食品に分類されるものものどを潤せるため痛みの緩和が期待できます。
しかし、炎症が激しく痛みが強い場合は、殺菌効果のある医薬品か医薬部外品を選択しましょう。
用量・用法を守って使用してください。
 

こまめに水分補給してのどを潤す

こまめに水分補給をすることも、のどを潤すため痛みの緩和に効果的です。
冷たすぎたり、炭酸飲料といった刺激を与えたりするものでなければ飲み物は何を選んでも構いません。
ご自身が飲みやすいもの、普段飲んでいるお茶などをこまめに飲み、のどの乾燥を予防しましょう。
 

免疫力の維持

免疫力が下がったままであったり、さらに低下させたりするとウイルスや菌への抵抗力が弱まるため治りにくくなります。
 
体を冷やさない、睡眠をしっかりとる、食べられるものでしっかりと栄養を摂るなどして免疫力を維持することが大切です。
食材で特におすすめなのは、良質なタンパク質が摂れる魚、卵、乳製品、大豆食品、抗酸化作用のある緑黄色野菜やうなぎ、魚介類などです。
 
 

まとめ

のどの痛みは、単純な不快感以上のもので、疾患や生活習慣が影響するケースが多いです。のどの構造や機能を理解することで、痛みの原因を特定しやすくなります。
 
日常生活での対処法も有効ですが、症状が重い、または持続する場合には、専門医の診断を受けましょう。
 
痛みがある場合、特に発熱や食事の困難、呼吸困難などの症状が出たら、自己診断や自己治療ではなく、専門の医療機関で適切な診断と治療を受けることが重要です。
 
 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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