虚血性心疾患とは?突然死の原因、注意すべき症状、治療方法を解説

  • クリニックブログ
2023/10/24

虚血性心疾患とは?突然死の原因、注意すべき症状、治療方法を解説

虚血性心疾患とは、動脈硬化の影響で血液の巡りが悪くなり、心臓に酸素や栄養を供給する血管である「冠動脈」が詰まることで発症する病気の総称です。
日本人の死因の中で、がんに次いで多いのが心疾患であり、重症化し突然死に見舞われることもある病気です。
 
この記事では虚血性心疾患の概要や原因、治療方法などについて解説します。
注意すべき症状や予防方法も紹介しますので、隠れた病気のサインを見逃さないようぜひ参考にしてみてください。

  

虚血性心疾患とは

虚血性心疾患とは、心臓への血流が不足することで、心臓が栄養不足になり最悪の場合、命に関わる恐れがある病気です。
狭心症や心筋梗塞などの循環器疾患を総称して虚血性心疾患と呼びます。
 
では、具体的に狭心症と心筋梗塞はどういう病気なのか、それぞれの違いとあわせて解説します。

狭心症

狭心症は、冠動脈の痙攣などにより心臓へ供給される酸素が不足してしまい、胸の痛みや圧迫感が生じる病気です。
急な運動や仕事でのストレスなど心身に負荷がかかった際に生じることもありますが、数分から15分ほどの一時的なものです。運動時に発生するような典型的な狭心症は安静にすることで回復することもありますが、症状が強い場合にはニトログリセリンを投与することで改善します。
 
また、狭心症は運動やストレスによって起こる「安定狭心症」や、安静時に痛みを感じる「異型狭心症」など複数の種類があるため、「狭心症は運動時に起こる」と決めつけず、不安な胸の痛みを覚えた方はすぐに専門医の診察を受けましょう。
 

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心筋梗塞

心筋梗塞は、心臓に酸素や栄養を与える冠動脈が完全に詰まってしまい、心筋が壊死することで心臓のポンプ機能が落ちてしまう病気です。
症状としては、激しい胸の痛み、呼吸困難、冷や汗、嘔吐などがあり、最悪の場合、死に至ることもあります。
 
心筋梗塞の治療としては、PCIと呼ばれる冠動脈カテーテル治療により、詰まった血管を拡張する処置が必要です。

 

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狭心症と心筋梗塞の違い

狭心症と心筋梗塞の大きな違いは、心筋が回復するか否かです。
狭心症は一時的なものが多く心筋が壊死にまで至ることはありませんが、心筋梗塞では心筋が壊死してしまいます。
 
また胸の痛みの種類も、狭心症は「胸を締め付けられるような圧迫感」がある痛みですが、心筋梗塞は「恐怖感を伴う激しい痛み」です。いずれにせよ、命に関わるリスクのある病気であることは変わらないため、早期発見が重要となります。

 
 

虚血性心疾患の原因

虚血性心疾患の主な原因を解説します。
 

加齢や生活習慣の乱れによる動脈硬化

虚血性心疾患の原因の多くは動脈硬化です。
高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満などによって動脈硬化が起こると、冠動脈の血管内に悪玉コレステロールが溜まり血管が硬くなります。
 
悪玉コレステロールの蓄積が進むことで血管が狭くなり、血流が悪くなることで起こる病気が狭心症です。さらに進行すると、冠動脈が完全に詰まる心筋梗塞になります。
 

精神的・肉体的なストレスによる発症

ストレスは血管や血液にダメージを与え、動脈硬化を悪化させることが報告されています。
さらに、ストレスを感じると体の防御反応で交感神経が活性化し血圧や心拍数が上昇します。
 
血管にダメージがある状態で、血圧が上がると血管の内壁がさらにダメージを受けるため、心筋梗塞のリスクが生じてしまうのです。
 

こんな症状には注意!虚血性心疾患の前兆

虚血性心疾患には次の前兆があります。
 

  • ● 胸の痛み
  • ● 胸の不快感
  • ● 腕・肩・顎の痛み
  • ● 運動時に症状が出る

 
上記のような症状がある場合は、動脈硬化が悪化し虚血性心疾患を引き起こす恐れがあるため注意が必要です。
 

 
 

虚血性心疾患の治療方法

虚血性心疾患の治療は、薬物療法、カテーテル治療、バイパス手術です。
それぞれの治療方法について解説します。
 

薬物治療

薬物療法では、症状の緩和や病気の進行を遅らせるために次の薬剤が用いられます。
 

  • ● 降圧薬:高血圧を管理し、心臓の負担を軽減する
  • ● 血管拡張薬・硝酸薬:血管を拡張し血流を改善する
  • ● 抗血小板薬:血液が固まり詰まるのを防ぐ
  • ● 利尿薬:余分な水分や塩分を排出し心臓の負担を軽減する
  • ● 強心薬:心筋の収縮を助ける

 
上記の薬剤を、症状や体調、持病などを考慮し選択されます。
 

カテーテル治療

カテーテル治療は手首や腕の血管から冠動脈までカテーテルを挿入する治療方法であり、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)とも呼ばれています。
カテーテル治療では、冠動脈の詰まっている部位を血管の内側から膨らませることで血液の流れを改善します。細いカテーテルを使用するため、体への負担が小さく治療後の傷も目立ちません。
 
一方でデメリットとしては、治療した部分が再度詰まってしまうケースがあります。
 

バイパス手術

冠動脈バイパス手術は、冠動脈の詰まっている部位の先に、新しい血管(バイパス)を通し血流の流れを作る治療方法です。
カテーテル治療と違い、胸を開いての外科手術のため体への負担は大きいですが、虚血性心疾患が重症化したような方には有効とされています。
 
カテーテル治療と比較して、治療後の生存率が高いため有効な手段です。

 
 

虚血性心疾患による突然死を防ぐために

虚血性心疾患は、ある日突然死に至る恐ろしい病気ですが、動脈硬化を改善することで予防できます。
 

血圧と脂質異常症の数値をチェック

動脈硬化の進行は、健康診断などで確認可能です。
特に次の検査値をチェックしましょう。
 

血圧

高血圧の診断基準は次のとおりです。
 
医療機関での測定:140/90mmHg以上
自宅での測定:135/85mmHg以上
 

脂質

脂質異常症の診断基準は次のとおりです。
 

  • ● 高LDLコレステロール血症(悪玉コレステロール):140mg/dL以上
  • ● 高トリグリセライド(中性脂肪)血症:150mg/dL以上
  • ● 低HDLコレステロール血症(善玉コレステロール):40mg/dL未満

 
上記の基準を超えている場合、動脈硬化のリスクが非常に高まるため、医療機関での受診をおすすめします。
 

虚血性心疾患の予防方法

虚血性心疾患の予防は生活習慣の改善から始まります。
主な予防方法は食生活の改善、適度な運動、禁煙です。
 
特に食生活の改善が効果的ですので、塩分とコレステロールを管理しましょう。塩分の摂りすぎは高血圧のリスクであり、高血圧は動脈硬化の危険因子です。
日本高血圧学会は動脈硬化のリスクを減らすために、1日6g未満の減塩を推奨しています。コレステロールは、細胞膜やホルモンの原料となり、体にとっては重要な栄養素ですが、摂り過ぎは要注意です。
 
コレステロールは脂身のついた肉、卵類、レバーなどの内臓類、生クリームなどに多く含まれるため、バランスの良い食事を心がけましょう。

  

まとめ

この記事では虚血性心疾患について、原因から治療方法、予防方法まで解説しました。
虚血性心疾患の発症は、日々の生活習慣が影響を与えます。
 
バランスの良い食事や適度な運動を心がけることで予防していきましょう。胸が痛んだり息切れなど気になる症状が現れたら、速やかに循環器内科の受診がおすすめです。

 

  

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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