髄膜炎とは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/07/30

髄膜炎とは?原因、症状、治療法について解説

髄膜炎とは

ここでは髄膜炎について説明させていただきます。髄膜の炎症と書いて髄膜炎ですが、髄膜炎の種類と髄膜とは何なのかをまず説明します。
髄膜炎は大きく4分類されています。急性、亜急性、慢性、または再発性と分かれています。これらの分類の他に原因によって分けられることもあり、細菌性、ウイルス性、真菌性、原虫性などと分類されることもあります。また非感染性の場合もあります。
 
まず髄膜とは何なのかということですが、髄膜とは頭蓋骨と脳の間に存在し脳を包み込み、脳を保護している膜です。髄膜は3枚の膜から成り立っています。外側から硬膜、くも膜、軟膜となっています。さらに軟膜とくも膜との間にくも膜下腔というスペースがあります。中には脳脊髄液という液体が入っています。この髄膜に、細菌やウイルスなどが感染して炎症が起きることを髄膜炎と呼んでいます。
髄膜炎菌によって引き起こされる髄膜炎では、日本での死亡率は15%と高く、劇症型では50%に達すると報告されています。


 

髄膜炎の原因

髄膜炎の原因についてですが、ここでは細菌性髄膜炎の原因についてご説明します。
原因となる菌として髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、B群レンサ球菌やリステリア菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌などのグラム陰性桿菌などがあります。例えば髄膜炎菌は健康な人の喉や鼻の粘膜にもいる身近な菌になります。
 
感染経路は病原体によって様々ですが、髄膜炎菌を持った方などそのような菌を持っている人の咳やくしゃみなどの際にの飛沫に含まれる病原体を吸い込むことによる飛沫感染や、鼻や喉などの分泌物に直接手で口や鼻に触れることによる接触感染が多いです。その後吸入した髄膜炎菌が鼻や喉の粘膜に侵入し、やがて血流に乗って髄膜まで至ると、髄膜炎を引き起こします。

  

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髄膜炎の症状

細菌性髄膜炎は倦怠感、発熱、頭痛、羞明、意識障害などの精神状態の変化、項部硬直(仰向けになり頭部を持ち上げると抵抗がある状態のこと)嘔吐、背部痛などの症状があげられます。倦怠感、発熱、頭痛、嘔吐などの他の病気にも当てはまるような症状が3〜5日間の内に潜行的に進行することにより発症します。より急速に発症することもあります。
急性細菌性髄膜炎の初期には痙攣発作が起こることがあり、小児に多いですが成人でみられることもあるります。最大12%の患者が昏睡状態で来院することがあります。

 
 

髄膜炎の検査方法

血液検査、脳脊髄液検査、画像検査が行われます。これらの検査で炎症反応の確認や、原因となる菌やウイルスなどを調べます。
血液検査では炎症反応の数値が大切となってきます。一般的な感染症同様に、白血球の増多やCRP上昇を認めます。これらの上昇があるか確認します。
 
脳脊髄液検査では確定診断に必要な検査になっています。例えば細菌性髄膜炎では、他の髄膜炎と比較し、細菌による糖の消費が大きくなっています。そうすると明らかな糖の低下が生じます。髄液糖/血糖比を確認し、低下している場合には細菌性髄膜炎を強く疑う指標になります。
画像検査はCTやMRIで頭部を確認するだけでなく、他の病気ではないかを確認するためにも行われます。

 
 

髄膜炎の治療方法

髄膜炎の治療では抗菌薬の投与、脳の炎症および浮腫を軽減するためコルチコステロイドの投与を行います。
抗菌薬に関しては起因菌が判明した場合に、それに対して効果を発揮するお薬を投与します。しかし髄膜炎になっている方の状態が悪い場合や髄膜炎が強く疑われる場合には、起因菌の判明を待たずに直ちに初期抗菌薬とコルチコステロイドの投与を開始します。

 
 

髄膜炎の予防方法

予防接種

髄膜炎菌ワクチンというものが存在します。日本より欧米の方が髄膜炎菌の感染症例が多くなっています。
アフリカや中東、サハラ砂漠以南、セネガルからエチオピアにかけての地域に含まれる国々など、特に「髄膜炎ベルト」と呼ばれる場所に渡航する時は必ず接種を受けることをおすすめします。
また、学生寮や部活動などで集団生活をされる10代の方、海外留学をされる方などにも接種が勧められています。また一回の接種で5年程度効果が持続します。対象年齢は2歳から55歳となっています。
 

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物理的対策

治療開始後24時間にわたり患者さんを空気感染隔離することで、髄膜炎の拡散予防に役立ちます。手袋、マスク、およびガウン等を使用します。
 

化学的予防

髄膜炎を有する患者さんと対面で長時間接触した方には、曝露後化学予防を行うべきとされています。
髄膜炎菌性髄膜炎に対する化学予防は、経口でのお薬投与や注射での投与などがあります。

 
 

まとめ

髄膜炎の一つに細菌性髄膜炎の原因となる菌として髄膜炎菌があります。はじめに言った通り髄膜炎は、発熱や頭痛など一般的な風邪症状と同じような症状が出ます。
しかし気が付かないで放っておくと、急速に症状が進行し発症してから、わずか24〜48時間で5~10%が死亡してしまいます。また、死亡しなかった場合でも難聴や神経障害が残ることもあれば、四肢を切断する等の後遺症が残る事も多い病気です。いつもと違うなと思ったら病院を受診すること、また集団生活の前や海外渡航前には自分がワクチンを打つ必要がないかなど確認して、接種の検討をしていただければと思います。
 
MYメディカルクリニックでも髄膜炎菌ワクチンやその他ワクチンを取り扱っております。
是非渡航前などに相談していただけたらと思います。みなさまに寄り添い、最善の医療を提供いたしますので、MYメディカルクリニックにお任せください。

 

  

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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