敗血症とは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/07/29

敗血症とは?原因、症状、治療法について解説

敗血症とは

敗血症とは、なんらかの感染症を起こしている細菌が増殖し、炎症を起こすことで、臓器に障害が発生し引き起こされる状態です。
感染症とは、病原体(細菌やウイルス、カビなど)が体内に侵入することを言い、病原体が侵入すると、私たちの体は防御反応を起こして、微生物を退治し感染症を治そうとします。
 
しかし、免疫機能が低下している場合などの際は、防御反応がコントロールできなくなり、自分自身の体の臓器(心臓、肺、腎臓など)が障害を受けることがあります。 
原因となる病原体を調べ、治療をしなければ、生命に関わる危険を及ぼす場合もある病気です。
 
どんな感染症でも敗血症を起こす要因になる可能性があり、特に、免疫力がまだついていない乳幼児や、免疫力が下がっている高齢者、心臓病・尿病や透析をしている方など慢性疾患、がんで抗がん剤治療やステロイド治療など免疫抑制剤治療中をされて免疫力が低下している基礎疾患がある人は、防御反応がコントロールできない状態になりやすいため、感染症から敗血症を起こすリスクが高くなります。また、敗血症では、集中治療室(ICU)での専門的な治療が必要となります。


 

敗血症の原因

敗血症の原因は感染です。原因菌にはさまざまなものがあり、細菌が原因になることが多いといわれています。
主な感染源として、肺に感染すると肺炎、腎臓に感染すると尿路感染症、皮膚・腸管の感染症の頻度が高いです。
 
主な細菌としては、黄色ブドウ球菌、レンサ球菌、肺炎球菌を代表とするグラム陽性球菌(GPC)と大腸菌を代表とするグラム陰性桿菌(GNR)が多く占めます。健康な人ではこれらの細菌が血液中で増殖することはありませんが、身体の抵抗力が低く、防御反応のコントロールができなくなると感染しやすくなります。 
どうやって体内に感染するかというと、病原体によって病原体がヒトに入る際に通る身体の部分は異なり、肺炎・尿路感染症・皮膚や腸管・腹腔内の感染など部分的に感染している状態から血液中に病原体が入り込み、全身の血液をまわることで重症化を引き起こします。

  

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敗血症の症状

敗血症では何か1つの症状が出現するといつことはあまりなく、感染して炎症を起こし障害が起きている臓器によって、さまざまな症状が起きます。
細菌が血液中で増殖し、その毒素によって高熱・全身のふるえなどを起こします。血液中の細菌が二次的に様々な臓器に定着し増殖を始めると、その臓器が障害された際の症状が出現します。
 
まず、初期の主な症状としては、悪寒、発熱、全身のふるえ、発汗などが多いです。 
症状が進行すると、呼吸困難、頻呼吸、頻脈、血圧低下、意識障害、皮膚の温度異常、出血傾向、皮膚の紫斑、黄疸、尿量の低下あるいは無尿を認め重症化していきます。 
重症化してしまうと、腎不全や肝不全といった臓器不全、敗血性ショックとなり命を落とす危険がさらに高まります。また、皮下出血が見られる場合は、播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併し、さらに重篤な状況になる可能性があります。

 
 

敗血症の検査方法

 

1.血液検査

体内の炎症の程度、臓器機能などを調べるために血液検査が行われます。
項目としては、白血球、CRP、肝臓や腎臓機能、プロカルシトニン検査、エンドトキシン定量検査、β-D-グルカンなどが挙げられます。
 

2.血液培養検査

血液を採取して血液中に細菌が潜んでいるか、潜んでいる場合にはどのような種類の細菌なのかを調べる検査です。
敗血症の原因である細菌の種類を特定することで適切な抗菌薬の選択をするために行います。
 

3.画像検査

敗血症は全身の臓器にさまざまな影響を与えるため、それぞれの症状に応じてX線、CT、MRIなどを用いて各臓器の状態を調べる検査を行うことがあります。
 

 
 

敗血症の治療方法

感染症となっている原因(病原体)を調べ、特定し早急に治療を行う必要があります。
血液培養検査採取した後に広域に有効な抗菌薬投与を行います。 
薬物治療として、細菌の場合は抗菌薬、ウイルスの場合は抗ウイルス薬、真菌の場合は抗真菌薬、寄生虫の場合は抗寄生虫薬を使用します。
 
そして、重症化している場合は、集中治療室(ICU)での専門的な治療が必要となります。基礎疾患を踏まえた上での対処を考慮し治療を行う必要があります。 
まずは、ショック状態を回避するために、組織への酸素供給を改善するため、通常急速かつ十分な輸液療法を行う必要があります。 
また、脱水と血圧を保つために、大量の輸液製剤を行い、低血圧の場合は血管収縮薬・降圧剤を使用し臓器への血流を確保していきます。また場合によっては輸血・人工呼吸器管理や人工透析を必要とする場合があります。

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敗血症の予防方法

予防として、病原性の微生物、細菌・ウイルス・真菌(カビ、酵母等)が、人の体内に侵入することを防ぎ、感染症にかからないように注意することが大切です。
特に、免疫力がまだついていない乳幼児や、免疫力が下がっている高齢者、心臓病・尿病や透析をしている方など慢性疾患、がんで抗がん剤治療や免疫抑制剤を投与されて免疫力が低下している基礎疾患がある人は、防御反応がコントロールできない状態になりやすいため、まず敗血症につながる感染症を起こさないことが重要となります。そのためには、まず頻回な手洗いやマスク着用が有効です。
 
そして、風邪などにかからないよう、必要以上に人混みを避け、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種などを受けることも有効的です。なにより、進行すると重症化し生命に関わる危険性がありますので、早期治療介入を行うことが大切です。

 
 

まとめ

敗血症は、どんな感染症でも敗血症を起こす引き金になる可能性があり、重症化するとさまざまな臓器に影響を与える病気ですので、早期発見が重要です。
特に、免疫力がまだついていない乳幼児や、高齢者、糖尿病など慢性疾患やがんなどの基礎疾患がある人など、免疫力が下がっている方は、感染症から敗血症を起こすリスクが高くなりますので、発熱が続く場合などは、早期の受診をし、早めの治療を行うことで重症化を回避することができます。
 
感染症を引き起こす細菌やウイルス、真菌(カビ、酵母等)は、感染者や人混みだけではなく、食べ物や庭の土の中、ペットの糞尿などにも潜んでいます。肌荒れや小さな傷から侵入することもありますので、傷口をしっかり洗うなど衛生面をきれいに保つことも、感染を回避するため日常の生活で意識することが予防につながります。

 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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