痔とは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/07/20

痔とは?原因、症状、治療法について解説

痔とは

「肛門や肛門周囲に起きる病気の総称」で、「いぼ痔(痔核)」「きれ痔(裂肛)」「痔ろう」の3種類に分類されています。
 

1.いぼ痔(痔核)

いぼ痔は最も多い痔で、全患者数の半数を占めます。長年の便秘や下痢、排便習慣などで、肛門周辺にある毛細血管が拡張して静脈瘤となり、肛門周囲の組織が弛んで膨らみ、瘤状になったものを「いぼ痔(痔核)」と呼びます。
歯状線(肛門と直腸の境目)より内側にできたものを「内痔核」、肛門直腸移行部より外側にできたものを「外痔核」といいます。内痔核が進行すると、大きくなったイボが排便寺等に肛門から外に飛び出してくることを脱肛といいます。血栓性外痔核は、肛門の周りの静脈内に血栓ができたもので、肛門に負担がかかった時などに突然起こります。
 

2.きれ痔(裂肛)

きれ痔とは、肛門付近の皮膚が裂けてしまった状態を指します。便秘による硬い便の通過などで、肛門付近が切れたり、直腸肛門部の血液循環が悪くなることが原因で起こります。
 

3.痔瘻

痔瘻とは、肛門や直腸の周辺に膿がたまり、その膿が皮膚を通じて排出されるようになった状態をいいます。肛門周囲に膿がたまる「肛門周囲膿瘍」が進行していくと痔瘻になります。


  

痔の原因

・便秘、下痢

便秘は痔を引き起こす大きな原因です。便秘になって硬くなった便を排出する際に、肛門に負担が掛かり傷が付いたり、いきむことで肛門周辺がうっ血を起こしてしまいます。
また、下痢も痔の原因となります。何度も頻繁に肛門付近を拭くことにより粘膜が傷付いてしまい痔になることもあります。
 

・長時間同じ姿勢でいる

同じ姿勢で座っている時間が長い方はおしりが圧迫されることで、肛門周囲の血流が悪くなりやすいです。肛門周辺は細かい血管がたくさん走っている部分なので血液が滞りやすく注意が必要です。
 

・ストレス

ストレスは胃腸の働きに悪影響を及ぼしお通じを悪くしたり、筋肉の緊張が続くと血流が悪くなるため痔のリスクが高くなります。
 

・妊娠や出産

女性の場合は、妊娠や出産がきっかけで痔になる方も少なくありません。妊娠すると子宮が大きくなることで腸の動きが妨げられ、便秘になりやすくなります。
また、黄体ホルモンの影響で骨盤内がうっ血しやすい状態にあるため肛門周囲の血流が悪くなりやすいことも関係しています。

  

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痔の症状

1.いぼ痔

【内痔核】

・痛みはない(少ない) 
・排便時の出血 
・肛門からいぼが出てくる
 

【外痔核】

・痛みがある 
・大きく腫れると激しく痛む
 

2.きれ痔

・排便時の強い痛み
・出血量は少ない
 

3.痔瘻

・肛門の周囲が腫れて痛みがある 
・発熱がある 
・おしりに熱をもっている 
・おしりから膿が出ている
  

痔の検査方法

基本的に痔の症状を認めれば、まずは肛門科を受診することが最適です。
 

・問診

どんな症状がいつから続いているか、便秘や下痢などの便通異常があるか確認します。
 

・視触診

横向きに寝てもらい、患部を直接診たり、触れたり指を入れて診察します。肛門や直腸下部の病気には欠かせないものなので、緊張せず、力を抜いて受けましょう。
 

・肛門鏡検査

肛門内部を肛門鏡を用いて観察します。
 

・大腸内視鏡検査

必要に応じて、直腸を含めた大腸全体をカメラで観察します。
 

  

痔の治療方法

1.いぼ痔

【内痔核】

治療の基本は、排便習慣や食生活の改善など、生活習慣の見直しによる患部を切らない治療法です。
脱出の程度により、炎症を抑える薬剤を患部に注射して、これ以上痔核が大きくならないようにする治療法(硬化療法)や痔核の大きさによっては、輪ゴムで患部の根元を縛り、血流を止めて壊死させる方法(輪ゴム結紮療法)をとる方法もあります。
痔核が肛門の外に脱出するようになると、基本的には手術が必要になります。手術では、痔核の根元にある血管をしばり、痔核を外側の皮膚と一緒に切除する結紮切除術が行われます。
 

【外痔核】

歯状線の外側にある血管に血栓ができたものを血栓性外痔核といいます。軟膏などの外用薬を用いて血栓を小さくしていく治療が主です。
投薬治療や入浴などでも血栓が小さくなっていくと痛みもなくなりますが、腫れが引くまでの期間には個人差があります。
 

2.きれ痔

食生活や排便習慣などのライフスタイルを改善して、痔の症状を悪化させないようにする事が大切です。
補助的に、座薬や軟膏などの外用薬で痛みや晴れを軽減したり、軟便剤・整腸剤・下剤などの飲み薬を便の状態に合わせて使用します。
  

痔の予防方法

・食生活を見直す

十分な水分補給を心がけ、オリゴ糖や食物繊維をとるなど腸内の善玉を増やす食生活を意識しましょう。日頃の生活習慣から気をつけることで負担のかからない排便につながります。
 

・規則正しい排便習慣を身に付ける

便意があったら我慢しないでトイレへ行き、無理にいきんだりせずに短時間で排便することを心がけましょう。
 

・おしりを清潔に保つ

排便後は、便が残らないように丁寧に拭き取るようにしましょう。
トイレの温水洗浄機能で洗い流すのもよいでしょう。ただし、洗いすぎは痒みを引き起こすこともあるので注意が必要です。
 

・座りっぱなしの生活を改める

可能な限り、時々立ち上がったり散歩したりと肛門に負担がかかり過ぎないようにしましょう。
 

・湯船に浸かって温める

冷えると血流の低下が起こり、うっ血が起きやすくなります。お風呂に入ると、清潔にもなりますが、血行も良くなります。
入浴はシャワーだけではなく、湯船に浸かって体を温めましょう。ただし肛門周囲膿瘍などで熱を持ってズキズキ痛む場合はシャワーにしてください。
 

・過度な飲酒や刺激物は控える

アルコールは適量なら問題ありませんが、過剰に摂取してしまうと肛門の粘膜を痛め、痔を引き起こしてしまう原因となります。
また、スパイスなどの刺激物は体内に吸収されにくく、便として排出されるため肛門を刺激することでうっ血を引き起こす可能性があるため適度な摂取量を心がけましょう。
  

まとめ

痔は誰もがなる可能性があります。
排便時の出血や肛門の痛みなどの症状が出たら、恥ずかしがらずに医師の診察を受けるようにしましょう。
また、排便時の出血が続いたりする場合は直腸癌など他の病気の可能性もあるので、放置せずに医療機関を受診するようにしてください。

 

  

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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