突発性発疹とは?原因、症状、治療法について解説
- クリニックブログ
突発性発疹とは?原因、症状、治療法について解説
突発性発疹とは
突発性発疹とは、ほとんどの子どもが一度はかかる疾患です。年齢は、生後6ヶ月から3歳頃までに多く見られる感染症です。
突発性発疹は、ヒトヘルペスウイルス6か7のどちらかに感染することで発症します。幼い子どもが初めてかかる疾患として知られています。
突発性発疹は、特定の季節で発症するわけではありません。発症するタイミングは人それぞれです。
一度突発性発疹を発症した後は、基本的には再発しませんが、似た症状を引き起こすウイルスがあるので、突発性発疹が再発することがあります。また、ヒトヘルペスウイルスに感染しても無症状で経過することがあり、体調を崩した時に潜んでいたヒトヘルペスウイルスが活性化して突発性発疹を引き起こす場合もあります。
突発性発疹の原因は
突発性発疹を引き起こすウイルスは、ヒトヘルペスウイルス6と7ですが、ほとんどの方が一度は大人になるまでにかかった経験があり、身体の中にウイルスが潜んだ状態になっています。
ヒトヘルペスウイルスは、親からの唾液を介して子どもにうつると考えられています。生後6ヶ月より前は、親からの免疫が子どもにあるので感染する可能性が低いです。
突発性発疹の症状は
突発性発疹の症状は、急に高熱が出て、発熱が数日間続きます。熱が下がると、お腹や背中などの体幹に斑状の少し隆起がある皮疹が出てきます。その後、首まわり、顔、腕や足の順番に広がっていきます。
急な高熱が出るため、熱性けいれんがあらわれることがあります。熱性けいれんは高熱が出ている時に、けいれんが起こり、熱が低い時には起こりません。10人に1人は熱性けいれんを起こすのでよくある疾患のひとつです。
9割以上の熱性けいれんの子どもは自然と治りますが、24時間以内に再発する、15分以上けいれんが続く、痙攣の起こり方に左右差があるなどの場合は、今後も熱性けいれんを再発することや、てんかんを発症しやすいと考えられており、場合によっては薬物療法を行います。
また、突発性発疹の時は、嘔吐や下痢が見られることがあります。軽症なものが多いですが、重症化すれば脱水になりぐったりとして元気がなくなります。
その他の突発性発疹の合併症として、脳症、脳炎、劇症肝炎、血小板減少などがまれにみられます。脳症や脳炎は熱が下がってきた頃に多くみられ、意識障害やけいれん、異常な不機嫌さなどが起きます。劇症肝炎では、肝臓の機能が劇的に低下してしまいます。血小板が減少すると、止血効果が低くなるため出血しやすくなります。いずれも命に関わる重大な合併症なので、子どもが普段と違った様子であれば早めに医療機関を受診するようにしてください。
検査方法と検査ができる時期/潜伏期間
突発性発疹を診断するには、患者様の年齢と、症状の経過をみるのが重要です。好発年齢である生後6ヶ月以降で、初めて高熱が突然出た場合にこの疾患を疑います。
突発性発疹は、初めは高熱だけなので、経過をみて数日して体幹に発疹が出てきたら突発性発疹をより疑います。
突発性発疹の原因ウイルスである、ヒトヘルペスウイルス6、7を血液中から検出すれば確定診断になります。PCR法などを用いてウイルスDNAを検出することもできますが、健康保険の適応がないので、実際にはされていません。
血液検査では、白血球のリンパ球が多くなっていることがあります。また、身体の症状として、大泉門が膨隆することがあります。
突発性発疹の治療方法
突発性発疹の治療は、他の多くのウイルス性の疾患と同じように特別な治療方法はありません。悩んでいる症状に対して適宜対応するという対症療法が中心です。
突発性発疹は基本的には自然治癒しますし、重症化することはほとんどありません。自分自身の免疫力でゆっくりと治っていきます。しかし、高熱が出て、けいれんを起こさないかどうかに注意が必要です。一般的な熱性けいれんではなく、重症化しやすいタイプでは、熱性けいれん発症予防目的にお薬を使う場合もあります。
高熱とともに下痢などがある時には、解熱剤や整腸剤などを内服することがあります。脱水になりやすい状態なので、できるだけ積極的に水分補給をするようにしてください。突発性発心のしんどさのせいで食事や飲水が難しいことがあり、脱水になりぐったりしてしまった場合には、点滴をすることもあります。
生まれつき免疫が弱い方や、AIDSなどで免疫が低い状態にいる方では、抗ウィルス薬を使う場合もあります。
突発性発疹の予防方法
突発性発疹の原因であるヒトヘルペスウイルス6、7に対するワクチンなどの予防手段はありません。しかし、突発性発疹は基本的に自然に治っていくものであり、ほとんど全員が感染するので、あえて予防する必要はありません。
突発性発疹そのものに対しては予防方法は特にありませんが、合併症が起きていないかをチェックするのは大切です。熱性けいれんを起こしていないか、機嫌はどうか、脱水になっていないか、脳症や脳炎を起こしていないか、肝機能低下による黄疸などがでていないか、血小板減少による内出血が起こっていないどうかなどに気をつけるようにしてください。
まとめ
突発性発疹は、ほとんどの子どもが生後6ヶ月から3歳頃までにかかる感染症です。多くの場合は、親の唾液などから感染します。原因となるウイルスは、ヒトヘルペスウイルス6、7型です。
突発性発疹の症状は、急な高熱が数日間続いた後に、解熱するタイミングでお腹や背中に皮疹が出て、首、手足に広がっていくのが特徴です。高熱がある時は、熱性けいれんに注意が必要です。まれに、脳症や劇症肝炎、血小板減少が起きることがあるので、意識状態やけいれんのパターン、黄疸、内出血などに気をつけて観察しなければいけません。
治療は、特別な治療はなく、対症療法が中心です。特に高熱がある時には脱水になりやすいので積極的に水分摂取してください。嘔吐や下痢なども影響してぐったりとして脱水になった場合には点滴などが必要です。免疫が弱い方や、熱性けいれんを何度も起こしそうな方には、それぞれのお薬を使うこともあります。
突発性発疹は、誰でも発症する疾患なので特に予防する必要はありません。しかし、稀に重篤な合併症を起こすことがあるので、注意深く観察することが大切です。
突発性発疹の検査方法についてはこちら
略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師