アトピー性皮膚炎の原因・症状・対策について解説
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アトピー性皮膚炎の原因・症状・対策について解説
アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎とは、慢性的に長い間、かゆみと湿疹が続く病気です。かゆみや湿疹は改善したり増悪したりします。アトピー性皮膚炎では、皮膚が乾燥しバリア機能が正常に働いていません。外からの刺激に弱く、体内の免疫細胞とアレルギー反応を起こして炎症が起きます。
アトピー性皮膚炎の症状は
アトピー性皮膚炎の症状は、かゆみが強い湿疹が特徴です。かゆみが出るのは、かゆみを感じる神経が皮膚の表面近くまで伸びてくるのでかゆみを感じやすくなっているからと考えられています。湿疹の範囲は全身の一部だけのこともあれば、全身にわたることもあります。
炎症が起きて皮膚が赤くなってかゆみが出ますし、水分がなくなるため乾燥して皮膚がむけたりかさぶたができたりします。皮膚をかいてしまうことで、より皮膚のバリア機能が下がってしまって、さらに症状が悪くなるという悪循環になりやすいです。<.span>症状には軽微なものから重症なものまでさまざまです。皮疹や皮膚の状態から重症度が決まります。
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検査方法と検査ができる時期/潜伏期間
アトピー性皮膚炎を診断するための検査は、症状の経過を問診、診察するのに加えて血液検査が役に立ちます。家族歴や、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー性疾患の既往歴も参考にします。
血液検査では、一般的な血液検査項目や、TARC、SCCA2などの項目を測定してアトピー性皮膚炎の重症度評価の参考にすることもあります。その他に、特異的IgE抗体検査で、カビやダニ、ペットなどのアトピー性皮膚炎を悪化させる要因について検査します。ただし、IgE抗体の値が高いからといってそれがアトピー性皮膚炎の原因とはなりません。これまでの症状の経過や、季節性、生活環境やストレスなども考えに入れて総合的に判断します。
また、アトピー性皮膚炎と同じような症状が出る他の疾患の場合もありますので、必要に応じて皮膚検査や血液検査を行います。アトピー性皮膚炎を診断するには、特にどの時期が検査すべきタイミングということはありませんし、潜伏期も気にする必要はありません。
アトピー性皮膚炎の治療は?
アトピー性皮膚炎の治療目標は、日常生活に支障が出ないほどの症状になり、薬物療法もそれほど必要がなくなることです。
アトピー性皮膚炎のかゆみにより夜間に寝られないと、子どもだと身長が伸びにくくなったり、日中の集中力が低下したりします。また、顔に皮疹などがあると、網膜剥離や白内障になってしまい目が悪くなってしまう可能性もあります。場合によっては命に関わってしまうこともあるので、症状の程度に関わらず治療することをおすすめします。
治療は、適切なスキンケア、薬物療法、症状の悪化因子の検索と対策、の3つが基本です。
スキンケア
スキンケアは、皮膚を清潔に保ち、積極的に保湿して皮膚のバリア機能を守ります。入浴やシャワーなどで皮膚の汚れを、石けんをやさしくつけてしっかりとすすいだ後、すぐに保湿剤を塗るのがおすすめです。保湿剤は軟膏やクリーム、ローション、泡タイプなどありますが、皮膚の状態に合わせて医師と相談して使ってください。
薬物療法
薬物療法では、皮膚の炎症をとるような抗炎症薬を使用します。塗り薬としては、ステロイド外用薬、タクロリムス水和物軟膏、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤などを使います。その他、内服薬や注射薬もあります。
症状の悪化因子の検索と対策
アトピー性皮膚炎の湿疹の治療として、まずは寛解導入という湿疹を改善させかゆみを減らす治療を行います。その際に中心になる薬剤がステロイド外用薬です。副作用として皮膚萎縮やステロイド紅斑などの皮膚のトラブルがありますが、適切な処置をすることで良くなりますし、成長障害や糖尿病などの全身の副作用は起こりません。
寛解導入すると皮膚の見た目はきれいになりますが、目に見えない皮膚にも炎症があるので、ここで治療をやめてしまうとすぐに再発してしまいます。少しずつ薬の量を減らしながら患者さんの状態に合わせて調整することが重要です。これをプロアクティブ療法と呼びます。
アトピー性皮膚炎の症状を増悪させる因子を取り除くことも大切です。考えられる因子は、ホコリやダニ、ペットの毛、花粉、金属、化粧品などがあります。医師と相談してこのような因子をできるだけ除去するようにしてください。
アトピー性皮膚炎の予防方法は?
アトピー性皮膚炎を発症させないように、また、増悪させないようにするためには日常生活の環境を整えるのが重要です。
ペットを飼わないようにしたり、掃除をこまめにするだけでなく、室内は、花粉症以外の時期では部屋を換気してカビが生えないようにしたり、布団などの寝具は太陽光に当てて干して掃除機をかけたりしてください。エアコンのフィルターはこまめに水洗いし、家具の間を少しあけてほこりがたまらないようにし、床はフローリングにしてダニが増えないようにするのもおすすめです。
アトピー性皮膚炎を増悪させないために、考えられるアレルゲンに普段から気をつけておくことも大切です。例えば、日焼けで増悪することもあるので、帽子をかぶって日焼け止めを塗るようにして日の光に長時間当たらないようにしてください。
ほかにも、毛髪や汗、唾液、衣類の摩擦などでもアレルギー性皮膚炎が増悪することがあります。髪の毛はたばねるか短く切って、汗や唾液は濡れた肌にやさしい布で拭き取るか洗い流してください。服装も皮膚に刺激が少ない衣類を着るようにしてください。
まとめ
アトピー性皮膚炎とは、慢性的にかゆみと湿疹が出るアレルギーの疾患です。皮膚のバリアが低下しており、外からの刺激に弱くなっておりアレルギー反応が起こりやすくなっています。
症状は、かゆみが強い湿疹が全身または一部の皮膚にできます。皮膚をかいてしまうことで、ますます皮膚のバリアが弱くなり、さらにアレルギー性皮膚炎の症状がひどくなるという悪循環になりやすいです。診断するための検査には問診、診察と血液検査などが有用です。
早期に適切に治療することで治りやすくなりますし、子どもの場合では身長が伸びにくくなったり、視力低下したりという合併症を予防できます。治療はスキンケア、ステロイド外用薬を中心とした薬物療法、症状を増悪させる因子を取り除くことが重要です。アトピー性皮膚炎を予防するには、ホコリやダニをためない生活習慣や生活環境作りを中心に心がけてください。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師