睡眠時無呼吸症候群とは?原因、症状、治療法について解説
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睡眠時無呼吸症候群とは?原因、症状、治療法について解説
睡眠時無呼吸症候群って何?
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まったり浅い呼吸になることで、良質な睡眠を取ることができなくなったり、体内の酸素が不足してしまう疾患です。日中の眠気が事故などにつながりやすいことが問題となっています。また全身のさまざまな部位に負担がかかり、命に関わる合併症を引き起こしやすくなります。現在成人男性の10人に1人が無呼吸症候群と言われています。
睡眠時無呼吸症候群の原因って?
上気道が狭くなったり、閉塞したりする原因として、以下のようなものがあります。
・肥満
・小さい顎、小顔
・太い、短い首
・扁桃肥大
・アルコールを日常的に摂取している
などが挙げられます。
肥満の方は特に注意が必要です。肥満の方は軟口蓋や喉にも脂肪がついて、それによって上気道を狭めます。横になると重力がかってかかって気道がさらに狭くなり、睡眠時無呼吸症候群になる可能性が高くなります。扁桃腺肥大の方も物理的に気道が狭くなり、無呼吸症候群になりやすく、子供の無呼吸症候群はこの扁桃腺肥大が原因となることがあります。アルコールを飲むと体の力が抜けますが、同じように気道の筋力も低下します。そのため睡眠時に舌が喉に落ち込むなどして気道の狭窄が起きてしまいます。顎が小さい方は、もともと気道が狭く、無呼吸症候群になりやすいとされています。肥満でなくても睡眠時無呼吸症候群を発症する人は多いのです。
睡眠時無呼吸症候群の検査や診断について
無呼吸症候群の診断には以下の検査方法があります。
1.夜間ポリソムノグラフィー(PSG)
睡眠中の呼吸、心拍、筋肉活動、脳波などを計測し、睡眠時無呼吸症候群の有無や重症度を評価する方法です。PSGは、医療機関で行われる検査であり、専門の技術者や医師によって解析されます。
2.家庭での無呼吸検査
睡眠中に鼻にセンサーを装着し、呼吸の停止や低下を記録する検査です。この検査は、携帯式装置を使用して自宅で行うことができます。しかし、専門家による解析が必要であるため、結果を正確に判断するためには医師の判断が必要です。MYメディカルではこちらの検査を受けることができます。
どちらの検査方法も、睡眠時無呼吸症候群の診断に有効であり、医師と相談して適切な検査を受けることが大切です。
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睡眠時無呼吸症候群の症状とは
無呼吸症候群の症状ではいびきが代表的です。特に10秒ほど息が止まった後に大きないびきをかき始めたら、睡眠時無呼吸症候群の可能性がかなり高いです。睡眠時の呼吸の回数は自覚が難しいですが、日中の症状として、疲れが取れない、日中眠くなる、集中力が続かないなどが挙げられます。また夜中に何度も目が覚めたり、よく寝汗をかいたりすることも無呼吸症候群の症状の一つだそうです。
睡眠時無呼吸症候群の治療は?
睡眠時無呼吸症候群の治療方法は、以下のようなものがあります。
1.体重の管理
肥満が原因である場合、減量によって症状が改善することがあります。
2.絶対禁煙
タバコは気道を狭め、症状を悪化させるため、禁煙が推奨されます。
3.睡眠姿勢の改善
横向きに寝ることで、気道が開きやすくなり、症状の改善が見られることがあります。
4.口腔内装置の使用
口腔内装置を使用して、気道を開き、呼吸を改善することができます。
5.CPAP療法
CPAPは、気道に空気を送り込んで圧力をかけ、気道を開いて呼吸を安定させる治療法です。CPAPは、比較的重症の場合に有効な治療法とされています。
6.手術
気道を拡張する手術を行うことがあります。
睡眠時無呼吸症候群の治療方法は個人差があり、症状の程度や原因によって適切な治療法が異なります。医師と相談して、最適な治療法を選ぶことが重要です。
7.レーザー治療
レーザーを照射して気道を拡張する方法です。メスによる切開手術より施術中の出血や痛みを抑えることができ、傷口の縫合が不要となります。
口蓋垂(のどちんこ)やその周りの粘膜(軟口蓋)に原因がある場合に効果がある治療方法です。
睡眠時無呼吸症候群の予防・改善するためには?
睡眠時無呼吸症候群の予防方法には、以下のようなものがあります。
1. 健康的な生活習慣の維持
適度な運動やバランスの良い食生活、適切な睡眠時間を確保することが重要です。また、アルコールや喫煙の過剰摂取を避けることも予防につながります。
2.体重管理
肥満は睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めるため、適正な体重を維持することが重要です。
3.正しい睡眠姿勢の確保
仰向けで寝ると気道が狭くなり、症状を悪化させるため、横向きに寝ることが推奨されます。
4.アレルギー症状の治療
アレルギーが原因である場合、適切な治療を行うことで症状を改善できます。
5.ストレス管理
ストレスは睡眠時無呼吸症候群の原因の一つであるため、ストレスを軽減することが重要です。
6.レーザー治療
レーザーを照射して、いびきの原因となる緩んだ口蓋垂(のどちんこ)やその周りの粘膜(軟口蓋)を切除・縮小することで、気道を拡張する方法です。
いびきの原因が軽減・消失すると、睡眠時無呼吸症候群の症状が改善することがあります。
以上の予防方法は、睡眠時無呼吸症候群の発症リスクを軽減するためのものです。しかし、すでに症状がある場合は、治療が必要となるため、早めに医師に相談することが大切です。
睡眠外来について
睡眠外来とは?
睡眠外来は、夜の眠りや日中の眠気といった『睡眠に関する問題や障害』を診断・治療するための専門外来です。
・眠りが浅い感じがする。
・目覚めたときに倦怠感があり、爽快感がない。
・日中に耐え難い眠気に襲われることがある。
・寝ているときに大きないびきをかいていると家族から指摘される。
以上の項目で該当するものがあり、睡眠の問題でだるさや頭痛などの身体症状が1ヶ月以上続いている場合は、睡眠外来の受診をおすすめします。
睡眠障害の症状
睡眠障害とは、日常生活や健康に影響する『眠り』に関する問題のことで、大きく次の3つに分けられます。
1.睡眠の質・量に問題があることで起きる症状
なかなか寝付けない。途中で何度も目が覚める。日中に耐え難い眠気に襲われる。などの問題があります。
・入眠障害…寝付くまでに30分~1時間以上かかる
・中途覚醒…夜中に目が覚めることが一晩で2回以上ある
・早朝覚醒…起きる時間より早く目が覚めてしまい再度眠れない
・熟眠障害…眠りが浅く熟睡感が得られない
2.睡眠の時間帯に問題があることで起きる症状
夜ふかしや徹夜、交代勤務が続き、体内時計に乱れが生じることで起こる障害です。
・社会生活上望ましい時間に自然に寝付けない
・起きなければいけない時間に起きられない
・無理に起きると日中に強い眠気を感じ居眠りをしてしまう
昼夜逆転など、夜の寝付きと朝の起床の時刻が社会生活上望ましい時間から逸脱してしまう状態です。
3.睡眠中に起きる異常現象
・大きな〝いびき〟
・呼吸停止
・ねぼけ、寝言などの異常行動など
・足のピクつき、ムズムズ感を伴う異常運動など
睡眠外来に行く基準は?
睡眠による不調(日中の倦怠感など)が1ヶ月以上続いている場合や、1ヶ月以内でも日常生活に著しく支障をきたしている場合(居眠り、耐え難い眠気に襲われるなど)は、一度医療機関を受診しましょう。
睡眠外来で受けられる治療法
■睡眠外来での診療内容
問診や検査を行い、生活習慣や睡眠パターンを確認、睡眠の異常に対して原因の究明や対症療法ではない根本的な治療を行います。
■睡眠外来で行われる検査について
一般的には、睡眠の質、呼吸の問題、異常行動を評価するときに、終夜睡眠ポリグラフ検査を行います。
この検査は数年前まで医療機関への一泊入院が必要でしたが、当院では簡易検査と同様に検査機器をお送りすることでご自宅で精密検査を行うことができます。
■睡眠外来での睡眠障害の改善方法
・生活習慣の改善:生活習慣を改善することで、体内時計に乱れが生じることで起こる症状を改善します。
・薬物療法:睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬が必要に応じて処方されます。
・特定の治療法
CPAP療法:睡眠中に起きる異常現象(大きな〝いびき〟・呼吸停止など)に対する治療です。睡眠時にCPAP装置を使用します。専用のマスクを装着して鼻から気道に空気を送り込み、圧力をかけ、気道を開いて呼吸を安定させる方法です。
いびきレーザー治療:いびきの原因として、睡眠中に「緩んだ軟口蓋や口蓋垂(のどちんこ)」が後方に落ち込み、気道が狭くなるということがあります。レーザーを照射して緩んだ軟口蓋・口蓋垂を切除することなく縮小させる方法です。
いびきの原因が軟口蓋・口蓋垂にある場合に効果がある治療方法となります。
男性だけでなく女性でも〝いびき〟でお悩みの方におすすめの治療です。
いびきや睡眠時無呼吸症候群と睡眠外来
いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、一般的な睡眠障害の症状のひとつです。
いびきは、気道が狭くなったり、閉塞したりすることで発生しますが、通常は健康に大きな影響を与えません。
しかし、睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に一時的に呼吸が止まる状態で、健康に重大な影響を及ぼす可能性があります。睡眠時無呼吸症候群は、いびき、日中の過度な眠気、集中力の低下、高血圧などを引き起こします。治療には、生活習慣の改善、持続的陽圧呼吸療法(CPAP)、体重減少が含まれます。適切な治療により、症状の改善と合併症の予防が可能です。
睡眠に関する様々な問題や障害を治療するためには、専門医の診断と治療が重要です。睡眠障害の症状にお悩みの方は睡眠外来の受診をおすすめします。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、放置すると様々な健康問題を引き起こす可能性があります。最もよく知られた合併症は、高血圧、心臓病、糖尿病、脳卒中、肥満、うつ病などです。高血圧は、睡眠時無呼吸症候群の最も一般的な合併症であり、症状がひどい場合、血圧の制御が難しくなることがあります。また、心臓病や糖尿病にも関連しており、睡眠時無呼吸症候群の治療を行うことでこれらの疾患のリスクを低減することができます。
脳卒中も睡眠時無呼吸症候群の合併症の一つであり、長期間の無呼吸が脳卒中の発生リスクを高めることが知られています。また、肥満、うつ病、不眠症なども睡眠時無呼吸症候群の合併症として知られており、適切な治療を受けることでこれらの症状を軽減することができます。
睡眠時無呼吸症候群は、生活習慣の改善、適切な治療法の選択などによって予防・治療することができます。しかし、放置すると重大な健康問題を引き起こす可能性があるため、早期の診断と治療が必要です。また、定期的な医師のチェックアップや、予防策の実践が重要です。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師