睡眠時無呼吸症候群について

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2022/10/13

睡眠時無呼吸症候群について

 こんにちは。今回のブログはMYメディカルクリニック横浜みなとみらい院の神山が担当させていただきます。
 7月の当院開院以来、循環器専門医として高血圧や脂質異常症などの生活習慣病のほか、胸痛、動悸、浮腫症状など様々な患者様にご来院いただき対応させて頂いております。なかでも最近、いびきがうるさいと指摘を受けた、十分睡眠時間を確保しているにも関わらず朝起きてもスッキリしない、昼間の眠気が強い等の相談を承ることが増えてきております。そこで、今回のブログでは睡眠時無呼吸症候群についてお話しさせて頂きます。

 

睡眠時無呼吸症候群とは

 睡眠時無呼吸症候群(以降SAS)とは、寝ている間に無呼吸(10秒間以上の呼吸停止)が一晩に30回以上、または1時間あたり5回以上あることと定義され、特に1時間あたりの無呼吸回数(AHI)が多い方がより重症と診断されます。

 

 

 原因としては大きく2つに分かれ、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(舌根や口蓋扁桃が気道を圧迫することでの閉塞であり、主に肥満、加齢、男性がリスク)と中枢性睡眠時無呼吸症候群(呼吸中枢の呼吸リズム調節の問題によって起き、心不全や脳や脳幹の異常に伴うことがある)に分かれますが、頻度としては閉塞性睡眠時無呼吸症候群が多いとされており、以降は閉塞性睡眠時無呼吸症候群にスポットをあててお話させていただきます。

 

こんな症状は要注意

・いびきがひどい
・夜中に何度も起きてしまう
・起床時の頭痛
・日中の傾眠やだるさ、集中力の欠如
・車を運転中に事故を起こしかけた
 
・・・など、十分な睡眠時間を確保しているにも関わらず、夜間の低酸素状態が続くこと
でこのような症状を起こしてしまうことがあり、SASを疑うきっかけともなります。

 

実は怖いSASの合併症とリスク

 このような夜間の低酸素状態が常態化することで、様々な疾患の原因となることもあります。本来ならば頭や体を休ませる睡眠時間に交感神経系が活性化し続けることで高血圧の原因となることは以前から知られておりましたが、それ以外にも虚血性心疾患や不整脈、脳血管障害、糖尿病など様々な疾患のリスク因子として知られております。

 

SASを疑った場合には

 夜間の1時間あたりの無呼吸回数(AHI)を調べることでSASの診断ならびに重症度判定を行います。

当院では提携する機器メーカーよりご自宅に検査キットが送られて、ご自身で機器を装着して睡眠して頂くだけと、比較的簡単に自宅にいながらにして検査を受けることができます。

メーカーへ機器をご返送いただいた後、1週間程度でデータ解析が行われます。

その後、結果を外来にてお知らせし、必要に応じて治療を提案させて頂きます。検査には簡易検査と精密検査(脳波も測定できる)の2種類があり、それぞれ自宅で受けられます。

 

SASと診断されたら

 簡易検査でAHI≧40、精密検査でAHI≧20の中等症〜重症SASでCPAP(Continuous Positive Airway Pressure:持続陽圧呼吸)療法の保険適応となります。

CPAPとは夜間にマスクを装着して眠り、鼻や口を通じて空気をグイッと押し込む陽圧換気によって気道の閉塞を解除する治療法で、結果的に無呼吸回数を減らすことができます。
CPAP療法により高血圧が改善したり、日中の眠気により低下した生活の質を改善できたり、心血管疾患による死亡リスクの低下につながったりと様々な効果が報告されております。
 
その他の治療法としては生活習慣の改善や肥満体型の方はダイエット、軽症例ではマウスピースの使用、鼻・咽頭での気道開存(口蓋扁桃、アデノイド摘出など)手術が必要になることもあります。
 
 

 
以上のように、SASを放置することで様々な疾患のリスクとなってしまう可能性があります。就寝中の呼吸状態をご自身で評価することは難しく、検査による客観的な評価が必要となります。
 
「もしかすると睡眠時無呼吸症候群かも?」と疑った際にはぜひ当院へ!横浜みなとみらい院ではSASフォローに最適な呼吸器専門医の山本院長と循環器専門医の私が対応させて頂きます。
お気軽にご相談くださいますようお願い申し上げます。
 

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい院 神山崇

 

▼参考文献

1.睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020
2.Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observational study :Jose M Marin et al., Lancet 2005; 365: 1046-1053
 

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