膵臓がんとは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/04/05

膵臓がんとは?原因、症状、治療法について解説

MYメディカルクリニック大手町 常勤医 廣吉 淳子

早期には極めて発見しにくいと言われている「膵がん」。
今回はその「膵がん」について、MYメディカルクリニック大手町・常勤医師の廣吉医師が消化器内科の専門医としてご説明します。

膵がんって何?

膵臓という臓器にできた悪性腫瘍(がん)のことです。

今は2人に1人ががんにかかると言われていますが、年間4万人以上の方が膵がんと診断され、3万人以上の方が亡くなっています。女性に比べて男性に多く、年代は60歳代以降に多いと言われています。

膵臓はみぞおちの少し下、胃の背中側にあり、横方向に存在し、色は淡黄色で長さ15cm、幅3-5cm、厚さ2-3cmの臓器です。膵臓の働きは、「外分泌機能」と「内分泌機能」の2つに分けられます。
外分泌機能とは、食べ物を消化しやすくする膵液という消化酵素を分泌する働きで、内分泌機能は、主に血糖を下げるインスリンというホルモンを分泌し、血糖値をコントロールする働きです。

膵臓にがんができると、この働きが損なわれ、進行するとそれに伴う症状が出てきます。また、膵臓の周りには十二指腸、胆管、肝臓、脾臓といった臓器があり、がんは周囲の臓器に直接広がる、浸潤をすることがありますが、例えば胆管に浸潤すると胆管の中を通る胆汁の流れが滞り、黄疸(皮膚や目が黄色くなる)となります。
また、膵がんも他のがんと同様に膵臓以外の臓器に血管やリンパ管を通して他の臓器に広がる、つまり転移することがあります。

膵がんの症状って?

膵がんは早期では症状がほぼなく、健診や人間ドックなどの画像検査や別の病気で行われた画像検査で偶然見つかることがあります。
膵がんが進行すると腹痛、体重減少、黄疸といった症状が現れます。また、膵臓は内分泌機能として、血糖値をコントロールする働きがある臓器でもあるため、血糖値の値が高くなることがあり、糖尿病と診断されて、または糖尿病の方が血糖のコントロールが悪くなって、膵がんが見つかることもあります。

診察をする廣吉医師

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膵がんの原因って?

明らかな原因はわかっていませんが慢性膵炎、糖尿病、膵管内乳頭粘液性腫瘍、膵嚢胞、膵がんの家族歴、喫煙、肥満がある方は膵がんになるリスクが高いと言われています。


膵がんの検査や診断について

症状や血液検査(血中膵酵素や腫瘍マーカー)、危険因子や膵臓の画像検査で異常がある場合はさらに詳しい画像検査や必要に応じて細胞診や組織診といった検査を行い、診断に至ります。
つまり最終的には細胞や組織を検査や手術で取って、その中にがん細胞があるかどうかで診断されます。

血中膵酵素としては、アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1といったものがあり、膵がんができ、膵酵素が血液中に漏れ出ることで血中膵酵素が上がることがあります。膵炎といった他の病気でも上がることがあり、またがんがあるからといって上がるとは限りません。腫瘍マーカーとしてはCA19-9、SPan-1、DUPAN-2、CEA、CA50などがあります。腫瘍マーカーは、がんの種類によって特徴的に作られるタンパク質であり、がんの診断の補助や治療の経過を見ることに使われます。あくまでも診断の補助であり、腫瘍マーカーの値だけでがんが有るかどうかの診断ができるわけではありません。

画像検査としては、CT・MRI・超音波・超音波内視鏡・内視鏡的逆行性膵管造影検査などの画像検査がありますが、中でも造影CT検査と超音波内視鏡は最も重要な検査法と言われています。

当院では造影CT検査と腹部超音波検査と採血の検査を受けることができます。
画像検査で膵がんが疑われる場合には、細胞診や組織診といった検査や治療が必要になってきますので、検査と治療ができる医療機関をご紹介しています。

診察をするひろよし医師

膵がんの治療は?

膵がんの治療には手術と化学療法(抗がん剤治療)があります。
手術と化学療法のどちらかだけではなく、手術前後に化学療法を行うなど両方の治療が行われることもあります。がんの存在する部位(膵頭部/膵鉤部・膵体部・膵尾部)やその場所におけるがんの広がりや転移の有無といったがんの進行度(ステージ)や、全身状態(心臓や肺など他臓器の状態や持病など)を含めて治療方針については考えていくことになります。

手術では膵頭部にがんがある場合は膵頭十二指腸切除術といわれる、膵頭部、十二指腸、胃の一部、胆のうと下部胆管およびリンパ節を切除する手術になります。お腹の手術のなかでは大きな手術になります。膵体部や膵尾部にできたがんについては膵体尾部切除術といわれる、膵臓の体部と尾部を切除し、同時にリンパ節、神経、脾臓をとる手術が行われます。
がんが膵臓の広い範囲、例えば膵頭部だけではなく体部や尾部まであった場合などは膵全摘術という膵臓をすべてとる手術が選択されることもあります。
がんのある部位によっても手術がかわってきますし、今の手術は大きくお腹を開ける手術だけでなく、腹腔鏡という傷の小さな手術方法もありますので主治医の先生とご相談ください。

また、化学療法では点滴の薬や内服の薬があり、数種類の薬を併用して治療を行います。膵がんの代表的な化学療法では、FOLFIRINOXやGEM+ナブパクリタキセルといった治療があります。化学療法では治療によって効果や副作用、薬の投与期間、薬を休む休薬期間などが変わってきますので、どの治療をおこなっていくかは、患者さんと主治医の先生で相談する必要があります。

膵がんは進行するまで自覚症状はないことが多く、診断が難しいというお話をしてきたかと思いますが、治療に関しても難しいがんで、診断がついた時点で手術できる患者さんは約20%と言われています。
また、手術ができて、切除ができても手術後の再発率が高く、術後5年生存率は20-40%不良であるのが現状です。

診察をするひろよし医師

まとめ

膵がんは発見と治療が難しいがんです。特にご家族で膵癌の方がいる方や、慢性膵炎などの病気をお持ちの方はリスクが高いと言われています。

当院では腹部造影CT検査や腹部超音波検査といった画像検査や血液検査などをうけることができますので、ご心配な方は一度ご相談ください。

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MYメディカルクリニック大手町院 常勤医 takayama 
医師高尾 公美

MYメディカルクリニック大手町院医師

廣吉 淳子 Dr. Junko Hiroyosi

専門は消化器(胃、腸、肝臓、膵臓、胆嚢、胆道)ですが、それ以外でもお身体で何か気になる事がありましたら、お気軽にご相談ください。

学歴

  • 福岡大学 医学部医学科
  • 東京大学 大学院医学系研究科外科学専攻

職歴

  • 東京大学医学部附属病院
  • 東京労災病院 外科
  • 東京大学医学部附属病院 肝胆膵・人工臓器移植 病院診療医
  • 東京高輪病院 外科
  • 三井記念病院 消化器外科 医長
  • 2022年 医療法人社団MYメディカル 医師

専門

外科/消化器外科/肝胆膵外科

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