一般細菌はどんな菌を指すの?一般生菌や真菌・抗酸菌との違いについても解説

  • クリニックブログ
2024/09/24

一般細菌はどんな菌を指すの?一般生菌や真菌・抗酸菌との違いについても解説

 

 

一般細菌が病気を起こす可能性があるのかどうか、ご存じの方は少ないのではないでしょうか。
 
通常であれば、一般細菌から病原菌が検出されることはあまりありませんが、環境によっては性病を起こすこともあるため、注意が必要です。
 
本記事では、一般細菌の特徴や性病、真菌・抗酸菌との違いについて伝えていきます。

 
 

一般細菌とはどのような菌?

まずは一般細菌の特徴、対策方法、検査方法について解説します。

一般細菌とは?

一般細菌とは、水や土壌に生息している雑菌が、特定の条件で培養した際に培地にコロニー(集落)を形成する細菌のことです。
そのため、特定の菌類のグループやすべての細菌を総称するものではありません。
 
基本的に、検出される一般細菌で病気を引き起こす菌はそれほどありませんが、汚染された水や土壌では多く検出されます。
 

一般細菌検査は水道法により義務付けられている

飲料水の安全を維持するため、水道法により大腸菌群検査とともに一般細菌検査の実施が義務付けられています。
一般細菌による汚染を受けると病原菌が多く検出されるため、汚染の有無を調べるために検査しなければなりません。
 

対策方法

一般細菌を増殖させないようにする対策方法としては、以下のようなものがあります。
 

  • ●煮沸消毒
  • ●塩素滅菌
  • ●オゾン滅菌
  • ●紫外線滅菌

 
汚染されていない環境では病原菌が少ないとはいえ、増殖に伴い病原菌が増える可能性もあります。
そのため、水道やプール水など、健康に影響を及ぼす水は、上記のような対策をとることが望ましいでしょう。
 

検査方法と汚染基準

一般細菌の検査方法は「培養検査」です。
標準寒天培地で36±1℃で24±2時間し、菌のコロニーや検出数を調べて汚染されているかを判断します。
培養に時間を要するため、結果がわかるまでに2日かかります。
 
基準値は、水道水だと1mlのうち検出される集落数が100個以下であると定められています。
そのほかの検査対象に伴う基準値は、下記表のとおりです。
 

製品名 培養条件 基準値
氷菓
36℃で24時間 1mlのうち10,000個以下
生食用かき
35℃で48時間 1gのうち50,000個以下
冷凍ゆでたまご
35℃で48時間 1gのうち100,000個以下
無調整牛乳
35℃で48時間 1mlのうち50,000個以下

 
 
食品は水道水に比べて基準値が高いことがうかがえます。
反対に水道水の基準が厳しいのは、浄水処理が適切かどうかを調べることが検査の目的であるためです。

 
 
 

一般細菌による性病とは

通常、性病の発症原因となるのはウイルスや細菌、カビ菌ですが、一般細菌によって引き起こされる性病があるのはご存知でしょうか。
 
ここでは、一般細菌によって発症する性病と検査方法、治療方法について解説します。

一般細菌による性病とは?

一般細菌による性病の症状や原因について解説します。
 

症状

一般細菌による性病において、男性では次のような症状があらわれます。
 

  • ●尿道の痛み
  • ●尿道の違和感
  • ●排尿痛
  • ●尿道口から分泌液や膿が出る
  • ●亀頭の腫れ
  • ●包皮の腫れ
  • ●白いカスの発生 など

 
女性にみられる症状は以下のようなものが特徴です。
 

  • ●陰部周辺のかゆみ
  • ●できもの
  • ●おりものの増加や質の変化
  • ●イカのような生臭いおりもの など

 

上記のように、一般的な性病の症状とあまり変わりないことがわかります。
 

原因

基本的に、性病は性行為による感染が原因であり、一般細菌による性病も例外ではありません。
 
しかし、下着内の不衛生な状態や環境、免疫力の低下が原因となることもあります。
このような場合も性病の症状はあらわれますが、性感染症には該当せず「性感染症関連疾患」と診断されます。
 
また、一般細菌による性病は混合感染の可能性もあるので注意が必要です。
もともと患っている性病によって粘膜が炎症を起こし、傷があるところに一般細菌が侵入し、感染するというパターンです。
 
一般細菌の治療薬では、もともと存在している性病のウイルスや細菌に効き目がないことが多いため、治療しても症状が長引く場合があります。
 

知っておくべきこと

一般細菌が原因の性病は、繰り返し発症することがあります。
特に女性の「細菌性腟炎」、男性の「非特異的陰茎包皮炎」「尿道炎」は再発することが多い上に、治療しても完治しにくくなっています。
 
性的接触が多い方や、銭湯、プール、ジムを頻繁に利用する方、糖尿病になっている方などは一般細菌を含むさまざまな細菌に感染しやすくなっているため、よく注意しましょう。
 
 

 一般細菌による尿路感染症についてはこちら

詳しくはこちら

 

予防法ついて

性行為の際は、避妊器具を装着しましょう。
公共入浴施設を利用した際は最後にシャワーを浴びてから上がり、清潔を保つことも予防のために大切です。
 
免疫力低下も感染リスクが高まるため、睡眠時間を十分に確保し、栄養バランスのとれた食生活を心がけましょう。
 

検査方法や治療方法について

一般細菌がかかわっている可能性があると判断されると、検査はせず治療のみで対応するケースが多々あります。
 
検査をする場合は、男性は尿検査、女性は膣内に綿棒を入れて菌を採取して検査します。
なお、治療の細菌の種類によって方法も必要性も異なるため、培養検査で種類を細かく特定しなければなりません。

 
 
 

一般細菌と真菌・抗酸菌の違い

ここでは、一般細菌と混同しやすい真菌や抗酸菌の違いをについて解説します。

真菌との違い

真菌はカビ菌や酵母菌の形態で生育し、土壌や腐敗した植物のなかで増殖する菌です。
小さな胞子が撒き散らされることで繁殖します。
よって、水や土壌に存在する雑菌の一般細菌とは、菌の形態や種類が大きく異なっているのです。
 
真菌は真菌感染症を引き起こすことがあり、一般的に「日和見感染症」「原発性」に分類されます。
 

真菌感染症の症状

日和見真菌感染症は、免疫力が低下しているときに発症する感染症です。
症状が急激に進行することが多々あり、さまざまな臓器に感染して死にいたるケースがあります。
 
原発性真菌感染症は、症状の進行がゆるやかであるのが特徴です。
感染症を引き起こしていることに気づかず、受診までに数か月から数年かかることもあるほどです。
 

真菌感染症の治療法

真菌感染症の治療には、抗真菌薬を使用します。
発症している部分に抗真菌薬を塗布して治療するのが基本ですが、重篤な場合は経口や注射による投与で治療することもあります。
 

抗酸菌との違い

抗酸菌とは、細菌を色素で染めた際に酸による色抜けを起こさない性質を持っている菌のことです。
代表的なものに「結核菌」や「らい菌」があり、それ以外は「非結核性抗酸菌」と呼ばれています。
抗酸菌に感染すると抗酸菌症を引き起こすことがあり、結核の場合は治療が必要です。
 

抗酸菌症の症状

結核、非結核性抗酸菌症の主な症状は、咳や痰、血痰です。
ほかにも症状があらわれることもあり、全身の倦怠感や発熱、発汗を伴うケースがあります。
 

 
2週間以上咳が続く場合は結核が疑われるため、早期に受診することをおすすめします。
 

抗酸菌症の治療法

結核の場合、一部例外を除いて薬物療法で治療が可能です。
なかには点滴や筋肉注射で治療を行うケースもあります。
 
一方の非結核性抗酸菌症は、まだ効果的な治療法が見つかっていませんが、内服薬や注射薬による薬物療法が基本です。
また、非結核性抗酸菌症は人から人へ感染しないため、一般的な病棟で治療が行われます。

 
 
 

まとめ

一般細菌は、土壌や水に存在する雑菌であり、特定の菌類を指すものではありません。
基本的には無害な菌が多いですが、汚染されている場所では有害な病原菌が多く検出されます。
また、性病を発症することもあるため、雑菌だからといって安心はできません。

 
MYメディカルクリニックでは、性病検査を受け付けております。
下記のMYメディカルクリニックの診察・サービスにて予約できますので、お気軽にご来院ください。

 

 
 
 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
一覧に戻る