放置しても大丈夫?右脚ブロックの症状や治療について解説

  • クリニックブログ
2024/07/22

放置しても大丈夫?右脚ブロックの症状や治療について解説

「右脚ブロックと診断され、本当に放置しても大丈夫なのか知りたい」
「何か怖い疾患が隠れているのではないか?」

とお悩みではありませんか?
 
心臓の疾患は突然死のリスクがあるものがあります。
そのため、もし軽度であっても何か異常があるのだとしたら、放置したくないと思うことは自然なことです。
 
結論からお伝えすると、異常ではないことが多い傾向があります。
しかし、基礎心疾患が理由で起こる可能性があることも否めません。

 
以降では、右脚ブロックについて特徴や予後、治療など詳しく解説します。

 
 

右脚ブロックとは?原因や症状について

 

 

心電図検査で診断された右脚ブロックとはどのようなものなのでしょうか。
ここでは、状態や原因、症状について解説します。
 

右脚ブロックとはどのような状態?

心臓には電気が流れており、その電気信号で心臓が一定のリズムで正しく動いています。
その心臓内部には、電気を生み出したり、変化させたり、運んだりする役目を背負った部位があります。
 
発電所の役目がある「洞結節」、変電所の役目がある「房室結節」、電線の役目がある「右脚・左脚」です。そして、右脚ブロックは右側にある電線の電流の流れが悪いことを意味します。
 

原因

右脚ブロックは、すこぶる元気な方でも起こり得るものです。しかし、心疾患が原因で起こる可能性もあるため油断はできないでしょう。
 
例えば、原因疾患として挙げられるのは以下があります。

 

  • ●先天性心疾患
  • ●冠動脈疾患
  • ●肺性心
  • ●高血圧性心疾患
  • ●リウマチ性弁膜症 など

 

ただし、上記の心臓病を実際に持っていることが原因で発生するのはまれなケースです。
ほとんどが特に異常がなく発生しているものであり、心配する必要はありません。
 
もし、医師に問題ないと言われた場合、上記のような疾患に見られる別の症状がなかった可能性が高いです。
どうしても心配でしたら、セカンドオピニオンで診察を受けてみてもよいでしょう。
 

症状

右脚ブロックそのものに症状が発生することは基本的にありません。しかし、スポーツにより一時的に右脚ブロックが発生する方の場合、胸に違和感を覚える方もいます。
 

 

右脚ブロックの種類

右脚ブロックには「完全右脚ブロック」と「不完全右脚ブロック」の2種類があります。それぞれ命を脅かすものではありませんが、心電図の現れ方や状態が異なります。
 

完全右脚ブロック

名前の通り、完全に電気が流れず途絶えている状態です。完全に断絶しているといわれると、怖いと思う方もいるかもしれません。しかし、完全右脚ブロックが見られたからといって心臓が止まることはありませんので安心してください。

 

不完全右脚ブロック

名前の通り、完全ではないものの電気の流れが悪くなっていることが見受けられる状態です。伝導路の一部に軽い異常があり、少し伝導が遅れていたり一部途絶したりしています。

 
 

右脚ブロックの予後や治療法

 

 

右脚ブロックはこれからどうなっていくのか、また治療法について解説します。進行して悪化する恐れを心配している方はぜひご覧ください。
 

予後について

右脚ブロックの予後ですが、結論からお伝えすると異常が出てくる可能性は否めません。問題なく過ごせることのほうが多いのは確かです。
しかし、現在問題がなく他に異常が見当たらない場合であっても、数年後に異常が見受けられるケースがあるのです。
 
健康的な方の長期予後に関しては、心不全や心房細動を引き起こすことにつながるといった結果は現在のところ認められていません。
 
ただし、まだ不明瞭な点が多いものの、完全右脚ブロックは男女ともに死亡や心血管死との関連性があるという説があります。加えて、心筋梗塞の発症やペースメーカを将来必要とするリスクの増大も認められています。
 
なお、不完全右脚ブロックの場合はいずれも該当しません。
 
特に完全右脚ブロックの場合は、将来的に心臓に何らかの異常が発生するリスクがあり注意が必要なため、

1〜2年に1回程度は最低でも心電図検査または健康診断を受けましょう。

 

治療法について

右脚ブロックそのものの治療は必要ありません。もし治療する場合は、発症の原因となっている疾患の治療を行います。

 
 

注意するべきなのは「左脚ブロック」!症状や治療法について

右脚ブロックには特に問題がないことが多いですが、気を付けなければならないのが「左脚ブロック」です。右脚の異常とは違い大きなリスクがあり、命にも関わります。
 
以降では、特徴やリスク、原因、治療法について解説します。
 

左脚ブロックの特徴とリスク

左脚ブロックとは、左側の電線の電気の流れが悪い状態です。もし、心電図でこのような状態が見られる場合は、リスクが高い心疾患が原因である場合が多く見受けられます。
 
また、左脚前枝と左脚後枝に障害が発生しているため、重大な心筋障害を引き起こすこともあり、要注意の状態と考えられています。
 

原因

心疾患を患っている可能性が高いため、精密な心臓の検査を必要とします。例えば、考えられるものとして以下があります。
 

  • ●虚血性心疾患
  • ●心筋疾患
  • ●高血圧性心疾患
  • ●弁膜症 など

 
なお、高齢者に見られる場合は動脈硬化による冠動脈疾患が原因であることが多いようです。
 

虚血性心疾患とは?

虚血性心疾患は、血栓や動脈硬化が原因で発症します。血管が細くなり酸素や栄養が全身にうまく巡らなくなってしまうため、ストレスを感じたり運動したりすると胸の圧迫感や胸痛などの症状が表れます。
 
突然死のリスクもあるため、適切な治療を受けることが大切です。

 
 

 虚血性心疾患についてはこちら

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高血圧性心疾患とは?

高血圧が続くことで左心室が肥大を起こすことが発症原因です。初期段階では不整脈が見られ、進行すると喘鳴(ぜんめい)や心臓喘息が見られるようになります。
 
さらに拡張されると「うっ血性心不全」により呼吸困難を起こします。心不全は命を落とす可能性が高いため、少しでも異変を感じたら治療を受けましょう。
 
また、普段から高血圧にならないよう、塩分のとりすぎを控えるなど生活習慣を整えることも重要です。

 

心筋疾患とは?

名前の通り、心臓の筋肉に異常が起きる疾患です。種類があり「拡張型心筋症」「拘束型心筋症」「肥大型心筋症」に分類されます。進行すると、寝ているときも息苦しさを覚えるといった、心不全状態を起こします。
 
薬での治療やペースメーカの植え込みにより治療できますが、改善が見られない場合は心臓移植の検討が必要です。

 

弁膜症とは?

心臓には4つの部屋があり、それらのドアの役目を持っているのが「弁」です。この弁に異常が起きると血液の逆流が起きたり、血流が悪くなったりします。心不全や不整脈などを起こすリスクがあるため、カテーテルや外科手術による治療が必要です。

 

治療法

左脚ブロックそのものを治す治療はありません。発症原因が疾患にあれば、その疾患の治療を行います。

 
 

まとめ

右脚ブロックは問題ないことが多く、寿命を全うするまで何も異変がないまま過ごせる方も多くいます。しかし、完全右脚ブロックの場合は男女ともに死亡や心血管死のリスクとの関連が指摘されているため、ペースメーカを必要とする将来が来る可能性が否めません。
定期的に検査を受け、問題ないことを確認しましょう。

 
 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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